メーター巻き戻しの事実を隠して締結された中古自動車の売買契約につき、中古自動車の走行距離は契約の要素に該当し、表示された走行距離であることを条件に購入することが売主に明示されているときは、動機の錯誤として無効である 沼津簡易裁判所 岡田洋佑 平成18年ハ第19号 2006年(平成18年)9月6日 売買代金返還請求事件 赤松茂司法書士 055(933)0922 非公表インターネットオークションを介し、中古自動車の売却を業としている個人事業主の被告から購入した中古自動車について、売買契約後、走行距離の巻き戻しがされていること(約11万キロが約3万キロに巻き戻し)が判明したので、原告は、走行距離が巻 […]
マンション建築資金の貸付において、銀行がその返済計画の内容である土地の一部売却について、その可能性を調査し説明すべき義務が認められる特段の場合について判示した事例 裁判所最高裁判所第1小法廷 甲斐中辰夫、横尾和子、泉徳治、島田仁郎 平成16年(受)第1219号 2006年(平成18年)6月12日 根抵当権抹消登記手続等請求事件 斉藤英樹弁護士06(6367)6692 (株)みずほ銀行、積水ハウス(株) 上告人は、銀行から投資プランとしてマンション建築を提案され、土地の有効利用のノウハウを有する会社として住宅メーカーを紹介され、マンションを建築した。 銀行と住宅メーカーから提案された計画は、マン […]
商品(先物)取引の途中(年度末)一時的に利益勘定になっていたことに基づいて賦課され支払った譲渡所得税相当額は、先物業者の違法行為と相当因果関係のある損害である 大阪地方裁判所第11民事部 山下郁夫、横路朋生、矢野紀夫 平成16年ワ第8377号2006年(平成18年)6月30日 損害賠償請求事件 三木俊博弁護士 小林洋行 それまで全く投資経験のなかった当時69歳の大学理系教員(原告)が、商品(先物)取引に引き込まれて老後生活の基盤資金約5300万円を喪失するとの取引損害を蒙った。加えて、当該取引(取引期間:平成14年12月2日~平成16年2月19日)が平成14年度末に1時的に(帳簿上)利益勘定に […]
キンショーこと金原の貸付を、ユーシンファイナンスこと福岡が引き継いだが、挨拶状は社名変更と営業所移転の文言等を理由に、ユーシンファイナンスはキンショーの営業による債務、債権を譲り受けたとして、ユーシンファイナンスは前業者キンショーを含めた一連の取引による不当利得金の返還債務を引継業者ユーシンファイナンスとした事例 大阪高等裁判所第5民事部 大和陽一郎、菊池徹、大西忠重 平成16年ネ第3220号 2005年(平成17年)5月27日 不当利得返還請求控訴事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 U―SHINファイナンスこと福岡久治 前記№1101の控訴審である。 判決は、「…控訴人ユーシンフ […]
キンショーこと金原の貸付を、ユーシンファイナンスこと福岡が引き継いだが、挨拶状は社名変更と営業所移転の文言等を理由に、ユーシンファイナンスは全取引について商法28条による営業譲受人の義務を負うとした事例 京都地方裁判所福知山支部 久末裕子 平成15年ワ第92号 2004年(平成16年)9月22日 不当利得返還請求事件 井上利博司法書士 0773(22)1320 ユーシンファイナンスこと福岡久治 判決は、「商法28条は、商号を続用しない場合においても、営業譲受人が営業譲渡人の営業上の債務を引き受ける旨を特に広告したときは、債権者に対して実際には債務引受契約その他の債務負担行為をしなかったとしても […]
トライト(新ハッピークレジット)が、旧ハッピークレジットから営業譲渡によって契約上の地位の譲渡を受けた際、既発生の債権債務をも一体として契約上の地位を譲り受けたものと解するのが相当である。貸主の地位の譲受人が、過払金返還請求債務を切り離して譲渡を受けるには、これを切り離すことに対する債務者の承認等、特別の理由が必要であると解される。 大阪高等裁判所第1民事部 横田勝年、梅津和宏、植屋伸一 平成18年ネ第1008号 平成18年ネ第1009号 2006年(平成18年)8月29日 損害賠償等請求控訴事件 損害賠償等請求附帯控訴事件 蔭山文夫弁護士 0799(25)3564 トライト(株) 「貸金業者 […]
GEコンシューマーファイナンス(新レイク)が、旧レイクから営業譲渡を受けた際、過払金返還債務を承継していない旨を主張することは信義則上許されないとした。約定計算にもとづく完済後、2年半を経過した時点で再び借入れを始めた場合についても、前の取引と後の取引を一連のものとして引き直し計算がなされた。 東京地方裁判所民事25部 藤下健 平成14年ワ第20440号 2006年(平成18年)9月27日 過払金返還等請求事件 付岡 透弁護士03(5919)4665 GEコンシューマー(新レイク)ファイナンス(株)旧レイクに対し債務を完済して、過払い状態にあった借主が、旧レイクから新レイクへの営業譲渡後、新レ […]
保証料の名目で出資法の上限利率を遥かに上回る利息を徴収した貸金業者及び保証業者に共同不法行為が成立するとした事例。右の保証料が出資法上のみなし利息に該当するとされた事例。借主が貸付にあたり受け取った金員は不法原因給付であり、民法708条の趣旨に照らし、損益相殺により損害から差し引くのは相当でないとされた事例。業者による取立が使用者責任に基づく不法行為であるとされた事例 大阪地方裁判所第19民事部 角隆博、大森直哉、岩田絵理子 平成18年レ第46号、第84号 2006年(平成18年)8月30日 損害賠償請求控訴事件 同附帯控訴事件 上 将倫弁護士 06(6222)2031 ライズこと植松俊之、関 […]
ヤミ金業者の行為は、貸金業法や出資法を全く無視した無法な貸付と回収で不法行為に当たり、ヤミ金業者から債務者が貸金として受領した金員については保護に値しないとし、債務者がヤミ金業者に支払った全額を損害賠償金として支払うようヤミ金業者に命じた札幌高等裁判所の判決を支持した 最高裁判所第3小法廷 堀籠幸男、濱田邦夫、上田豊三、藤田宙靖 平成17年オ第966号 平成17年(受)第1109号 2006年(平成18年)3月7日 不当利得返還、貸金請求事件 吉原美智世弁護士 011(622)7963 (有)ゴーリキ 1 本件では、①ヤミ金の貸付、回収の行為が不法行為に当たるか、②債務者がヤミ金から受領した金 […]
武富士に対する過払金返還請求訴訟において、武富士が唯一争点として争った過払金に対する法定利息の利率について、武富士の「年5%」の主張を排斥して「年6%」と判断した事例 唐津簡易裁判所 武野康代 平成17年ハ第321号 2006年(平成18年)5月24日 不当利得返還等請求事件 辻 泰弘弁護士 0952(22)7424 (株)武富士 サラ金大手の武富士に対して、過払金返還請求訴訟を提起したところ、武富士は他の争点は一切争わず、過払金に対する利率について「年5%」と主張したが、判決は、この争点に正面から答える形で「年6%」と判示した。 判決理由では、不当利得返還請求権が利得者の利得を損失者に返還さ […]
中越地震後の復旧工事において、無意味、不必要な工事を行った上、契約金額を上回る請求を行った業者に対し、債務不存在及び損害賠償請求を認めた事例 新潟地方裁判所長岡支部 惣脇美奈子 平成17年ワ第158号 2006年(平成18年)4月28日 債務不存在確認等請求事件 平哲也弁護士 025(233)4115 (株)会津 外1名 本件は、先の中越地震後の復旧工事において、不安に陥っている被災者に対して、業者が無意味、過大な工事を行い、契約金額以上の請求を行ったという事案である。原告は、代金をほぼ全額支払った後、職場へのファックス送付、自宅へ張り紙等をされ、過大な請求をされた(約400万円)。震災当時、 […]
日掛業者に対する貸金について、別会社の信用保証が付されていた場合でも、信用保証契約が形骸化していること、貸主と保証会社が一体化していること、利息と保証料を合わせた額が高率である場合には、利息制限法のみなし利息と解することができるとした高裁段階での初めての判決 広島高等裁判所第4部 草野芳郎、山本和人、山口浩司 平成17年ネ第325号 2006年(平成18年)2月16日 不当利得返還請求控訴事件 板根富規弁護士 082(224)2345 (有)コスモ商事(有)クレスト 本判決は、債務者が信用保証会社に支払った保証料について、利息制限法3条のみなし利息に該当する旨の判決を言い渡した、高裁段階で初め […]
敷引特約は消費者契約法10条に違反し、特約全体が無効として、敷引額全額の返還を認めた 木津簡易裁判所 根本正彦 平成17年ハ第170号 2006年(平成18年)4月28日 敷金返還請求事件 長谷川聡司法書士 0774(62)4255 積和不動産関西(株) 敷金35万円、敷引き30万円の契約で5万円の返還を受け、残額30万円を返還請求した事件。居住期間は2年9ヶ月。判決理由として 1、賃貸人・賃借人間は情報力・交渉力において必ずしも対等とは言えない。賃借人が対等な立場で契約を締結し、条項の削除を要求する事は事実上困難。 2、民法上、賃料以上の金銭的負担を負わせる明文規定は無い。更新料及び謝礼金を […]
原告が、老後資金の運用を証券会社に託するに当り、予め、もし、被告勧奨によって購入・保有する投資信託(3種類)の評価額の下落額が投資総額の10%を超える危険が生じた場合には、その投資信託(前同)を一旦売却する方針を伝え、被告もこれを認識認容していた以上、下落額が投資総額の10%を超えたにもかかわらず、その旨の連絡を怠ったことは、信義則上の「危険連絡義務違反」に当たる 大阪高等裁判所第5民事部 大和陽一郎、菊池徹、細島秀勝 平成17年ネ第1985号 2006年(平成18年)3月30日 損害賠償請求控訴事件 原告は、自己が短命と考えて早期退職した後、遺される妻がその老後を安心して暮すことを支え得るよ […]
SFCGの貸付金の根保証人9人について根保証は不成立ないし公序良俗違反で無効であるとし、内6人は債務が存在しないとされ、他の3人は個別保証の枠内で有効とされた事例 長野地方裁判所民事部 桂木正樹 平成14年ワ第127号 平成17年ワ第57号 2006年(平成18年)3月10日 請求異議申立事件 保証債務履行反訴請求事件 中島嘉尚弁護士 0263(32)3455 (株)FCG 1、本件事案は、SFCG(旧商工ファンド、以下、商工ファンドという)が地方の村の食品加工工場を主債務者として、平成8年9月から平成11年7月までの間に、約3400万円の貸付残金となる貸付(利息制限法による計算前の残額)を行 […]
顧客が先物取引業者の勧誘を受け、商品先物取引を行い、合計3659万2655円の損失が生じたことについて、業者外務員の勧誘には適合性原則違反等の違法事由があるとして、不法行為に基づく損害賠償請求を行った。裁判所は、適合性原則違反等の違法行為の存在を認め損害賠償を肯定した。損害賠償額について、業者外務員の違法行為の悪質さ等から、一般顧客がそのような違法行為を強くはねつけ損害の発生・拡大を食い止めることなどほとんど不可能である等として、過失相殺をせず、顧客の損失額全額の賠償を命じた 神戸地方裁判所第6民事部 橋詰均、宮端謙一、大藪和男事 平成16年ワ第1478号 2006年(平成18年)5月12日 […]
ロプロの利息制限法の適用利率を手形毎に18%とする計算を採用せず、総債務につき適用利率を算出し、過払後の貸付にも過払金が充当されるとし、貸付日と返済日の2重の利息の取得を許さず、振込料は実際の利用することが可能な貸付額ではないとし、利息制限法を超過する貸付けであることを知っているので悪意と認定し、民法704条の損害金を6%と認定し、取引経過不開示により30万円の損害賠償を認定した 東京地方裁判所民事第4部 槐智子 平成17年ワ第11617号 2006年(平成18年)4月12日 不当利得返還請求事件 茆原洋子弁護士 044(855)5414 (株)ロプロ ロプロが今でも主張している各争点に対して […]
破産宣告を受けた地方公務員が退職した場合に、退職金支給機関が破産者に対して支払うべき退職金から破産者の破産債権者(市町村職員共済組合)に対する貸金債務を控除してこれを破産債権者に払い込んだ場合、その払込みは破産者の任意の弁済であるということはできないとして、破産債権者の払込金の受領は法律上の原因はなく、破産債権者は破産者に対し払込金相当額を不当利得として返還すべきとした。 最高裁判所第2小法廷 津野修、滝井繁男、今井功、中川了滋、古田佑紀 平成17年(受)第1344号 2006年(平成18年)1月23日不当利得返還請求事件 篠原健弁護士 088(652)8030 徳島県市町村職員共済組合 本件 […]
いったん完済し、過払金が発生した後、約9年9ヶ月の間隔を空けて再度借入れを行った場合に、それらを一連の契約に基づく取引と認め、原告の通算計算の主張を認めた。また、被告の取引履歴の小出しの開示・昭和63年5月9日より前の取引履歴を開示しない点が貸金業者の取引履歴開示義務に反するもので、不法行為を構成するとして、被告に20万円の慰謝料の支払を命じた 京都地方裁判所福知山支部 野村明弘 平成17年ワ第46号 2006年(平成18年)3月8日 不当利得返還請求事件 村越仁元司法書士 090(3628)8591 CFJ(株) 本件では、被告は昭和63年5月9日より前の取引履歴は所持していないとして開示し […]
商品取引員のような専門的知識を有する受任者は善管注意義務の1内容として委任事務の処理に関して委任者である顧客から不適当な指示があった場合には指示内容の変更を求める等の適切な措置を採るべき義務がある(我妻・債権各論・中巻2・670頁以下、673頁参照)。商品取引員は顧客に対して不適切な手法による取引を勧誘ないし受託してはならない注意義務を負っている。「両建て」「両建て的取引」は顧客が十分に理解して行うものでない限り、原則として不適切な取引方法である。過失相殺は認めないとした事例 大阪高等裁判所第6民事部 矢延正平、川口泰司、田中一彦 平成17年ネ第1999号 2006年(平成18年)3月17日 […]