債権者(原告・反訴被告)が消滅時効後に行った債務者(被告・反訴原告)に対する取立行為について、社会的相当性を欠いた不適切な請求であるとして、反訴原告の慰藉料請求と弁護士費用請求を認めた事例(被告は控訴している) 札幌簡易裁判所 布谷靖裕 本訴平成17年(ハ)第22551号 反訴平成18年(ハ)第401号 2006年(平成18年)9月7日 貸金請求事件(本訴) 損害賠償請求事件 馬場政道弁護士 011(281)0868 (株)スターオフファイナンス 昭和60年頃に破産決定がなされた被告(免責決定は得ていない)が、その後20年経過した平成16年12月以降、原告から書面による請求、電報や不在中に自宅 […]
①「特定顧客の誘引方法」にいう「販売目的を告げずに」とは、販売以外の目的を告げた場合のほか、本来の目的たる商品以外のものを告げた場合も含む。②特定商取引法5条の法定書面は、商品の販売価格について、その商品ごとの価格を記載しなければ、要件を充足しない 大阪地方裁判所第8民事部 奥野寿則 平成17年(ワ)第9711号 2006年(平成18年)6月29日 立替金請求事件 万代佳世弁護士 06(6204)0207 (株)アプラス 平成13年に、若い女性からの電話勧誘で呼び出されて販売店(株式会社ヴィンク)の営業所に赴いた男性(当時21歳)が、ダイヤモンドと絵画を購入する契約をし、アプラスから立替払いを […]
クレジット会社の立替金請求において、高額な価格設定に合理的な理由が認められないことなどから販売業者が第3者による欺罔の意図を知っていたと推認して、第3者による詐欺の被害者である買主からの抗弁権接続(割賦販売法30条の4第1項)が認められ、請求が棄却された事例 東京高等裁判所第7民事部 横山匡輝、石井忠雄、相澤眞木 平成17年(ネ)第6050号 2006年(平成18年)4月6日(確定) 立替金請求控訴事件 森川 清弁護士 03(6913)4650 (株)オリエントコーポレーション 本件は、欺罔者が、雇う意思がないにもかかわらず、求職者(65歳)に就職の条件としてバイクを購入するよう求めて、クレジ […]
原告からの過払金返還請求に対し、被告が各論点につき争ったが、原告の請求額全額を認めた判決。司法書士支援による本人訴訟 大阪地方裁判所堺支部第1民事部 川畑公美 平成17年(ワ)第1329号 2006年(平成18年)8月23日 不当利得返還請求事件 関井正博司法書士 072(469)3033 (株)ロプロ 争点と判断。 ① 手形貸付毎に個別の貸付か、1連1体の1個の貸付か、貸付毎の個別計算か、1連1体の充当計算か。(判断)実質的に1連1体の貸付。よって、1連1体のものとして充当計算。 ② 貸付金に対する利息は、貸付毎に利息制限法を適用するか、複数の貸付を総合して適用するか。(判断)1律15%適用 […]
①過払金返還請求権に対する利息に対し商事法定利率年6分を適用した事例。②破産・免責決定確定後の過払金の請求は信義誠実の原則に反しないとした事例 東大阪簡易裁判所 中島嘉昭 平成18年(ハ)第459号 2006年(平成18年)7月13日 不当利得金返還請求事件 滝川あおい司法書士 0729(81)5281 (有)ますめ 過払金返還請求権に対する利息は、被告の過払金返還債務が貸金業者による貸し付けと弁済の受領という商行為に起因するものであって商行為により生じた債務に準ずるものであること、被告は貸金業者であり、原告からの受領金をその営業のために使用したものと推認されることから、商事法定利率である年6 […]
無職の主婦に、宝飾品の購入を執拗に勧め、3回にわたり、合計約200万円のクレジットを組ませた件について、クレジット会社が、契約を合意解約し既払金全額を返還することを認めた事例 仙台地方裁判所 伊澤文子 平成18年(ワ)第110号同第553号 2006年(平成18年)6月30日 立替金請求事件・損害賠償求事件 小野寺友宏弁護士 022(266)4664 (株)セントラルファイナンス 無職の主婦が、ダイヤモンドリング等の宝飾品の購入を執拗に勧められ、3回にわたり、合計約200万円のクレジットを組ませられた。 クレジット代金は、夫の障害年金(筋ジストロフィーで歩行等が困難)から支払うことが契約書に明 […]
過払金返還請求訴訟において、被告であるクレディアの静岡簡易裁判所への移送申立を却下した裁判 和歌山簡易裁判所 森兼清 平成18年サ第225号 2006年(平成18年)6月21日 移送申立事件 戸井洋木司法書士 073(402)1120 (株)クレディア クレディアは過払金の返還請求に対し、静岡地方(簡易)裁判所への移送を申し立てることを常としている。本案についてはほとんど争いがないような場合であっても移送申立をするのは、訴訟を引き伸ばすことによって交渉を有利に進めんとするねらいに基づくものである。すなわち、クレディアの移送申立は、過払金を早期に返還させて債務整理を急がなければならない多重債務者 […]
形式的には別会社である貸金業者と保証会社が、実質的に密接不可分な存立関係であるとき、保証会社が受け取る保証料等はみなし利息と解するのが相当とされた事例 鳥取簡易裁判所 佐藤洋一 平成17年(ハ)第287号 2006年(平成18年)3月24日 不当利得返還請求事件 本郷貴大司法書士 0857(25)5776 (株)エンプラザ 貸金業者である被告と訴外保証会社とは以前、登記上、本店所在地が同じであったこと及び設立当時は役員が重なっていたことが、被告提出の証拠書類から明らかであった(平成16年4月27日神戸地裁尼崎支部判決・平成15年ワ第1226号請求異議等請求事件)。また、保証委託契約締結とそれに […]
借入金の完済後しばらくしてから再度借入した場合、第1取引による過払金返還請求権の消滅時効の起算点は、第1取引の最終取引日よりスタートし、第2取引が過払金返還請求権の消滅時効の完成前になされた場合には、第1取引による過払金は、第2取引における借入金と即時対当額で相殺される。期限の利益喪失約款が付されている場合において、原告が支払を遅滞したとしても当然に支払期日までの利息と遅延損害金が生じるものではないとした事例 札幌地方裁判所民事第1部 今井和桂子 平成17年(ワ)第2044号 2006年(平成18年)5月19日 不当利得返還等請求事件 橋場弘之弁護士 011(272)7779 (株)ローンズス […]
公的年金のみが入金される銀行預金口座の差押えによって取立てられた金銭について、差押命令が取消された場合、取立てられた金銭は法律上の原因に基づかない利得であるとし、その返還請求を認めた事例(確定) 松戸簡易裁判所 石崎博喜 平成17年(ハ)第561号 2005年(平成17年)11月11日 不当利得返還請求事件 玉ノ井雄一司法書士 01586(4)3020 (有)チェリー 本件は、生活保護受給者が年金のみが入金される銀行預金口座の差押えを受けたため、債権差押命令の取消しを求めたところ、差押えの取消決定がなされ(本誌64号判決速報907号参照)、同決定が確定したため、差押えにより取立てられた金銭は不 […]
民事調停法17条の調停にかわる決定(現在の特定調停。本件事件当時の債務弁済協定調停)について、裁判上の和解と同一の効力、すなわち制限的既判力があるものとして、要素の錯誤等の実体法上の瑕疵が認められる場合には、当事者は再審によらずに当該決定の無効を主張することができるものと判示した。そして、本件でも、要素の錯誤を認め、過払いであるにもかかわらず支払いの内容の取り決めをした債務弁済協定を錯誤無効とした 和歌山地方裁判所新宮支部 鈴木義和 平成17年(ワ)第34号 2006年(平成18年)5月25日 不当利得返還等請求事件 池田慶子弁護士 03(3518)4767 アコム(株) 論点は多岐にわたりま […]
自動車が海中に水没する事故が発生したが、保険会社が車両保険に基づく保険金の支払いを拒絶した事案について、車両保険金を請求する者は、事故の発生が被保険者の意思に基づかないものであることについて主張、立証すべき責任を負わないとして、原判決を破棄し、免責事由の有無について審理をさせるため、原審に差し戻した判決 最高等裁判所第一小法廷 横尾和子、甲斐中辰夫、泉徳治、島田仁郎、才口千晴 2006年(平成18年)6月1日 平成17年(受)第1206号 損害賠償請求事件 あいおい損害保険(株) 林成凱弁護士 075(222)0208 上告人は、シボレーキャンピン`グ車(車両保険金額245万円)を所有していた […]
No.1057の文書提出命令に対する抗告許可申立事件について、抗告を許可しないとした決定 名古屋高等裁判所民事第2部 熊田士朗、川添利賢、多見谷寿郎 2004年(平成16年)9月29日 平成16年(ラ許)第24号 保険金請求事件 非公表 青木重臣弁護士 052(202)0910 (No.1057とNo.1058共通の解説) No.1057及びNo.1058は、本橋No.1050の事案を本案とする文書提出命令と、これに対する抗告許可申立て事件であり、便宜上一括して解説する。 原告は、本件事故に関して、保険会社の依頼を受けた調査会社及び調査員が調査結果を被告に報告したメモ書き等の文書一切(以下「本 […]
自動車の盗難保険金請求事件において、保険会社が事故調査を行った結果を記載した文書を提出するよう命じた文書提出命令 名古屋地方裁判所民事第7部 長谷川恭弘 2004年(平成16年)5月11日 平成16年(モ)第67号 保険金請求事件 非公表 青木重臣弁護士 052(202)0910 (No.1057とNo.1058共通の解説) No.1057及びNo.1058は、本橋No.1050の事案を本案とする文書提出命令と、これに対する抗告許可申立て事件であり、便宜上一括して解説する。 原告は、本件事故に関して、保険会社の依頼を受けた調査会社及び調査員が調査結果を被告に報告したメモ書き等の文書一切(以下「 […]
イモビライザー付きボルボセダン(購入価格275万円)の盗難について、偶然の事故ではないとの農協の主張を退け、購入時の時価相当額(約185万円)の支払いを命じた事件 大阪地方裁判所堺支部第1民事部 宮本初美 2005年(平成17年)12月2日 平成16年(ワ)第1196号 保険金請求事件 大阪和泉農業協同組合 村木茂弁護士 06(6361)5532 原告は、平成18年2月5日、ボルボセダンS90を駐車場で盗まれ、共済金(275万円)の支払いを保険会社に求めた。 保険会社は、以下の理由で、偶然の事故にはあたらないとして、支払いを拒否した。①原告の職業について、調査員に対する説明と本人尋問の供述とで […]
スキー場駐車場で、夜間、何者かに線傷(自動車の周囲に1本ないし2本)をつけられた被害について、保険会社が、偶然の事故ではないとして修理費用(60万7343円)の支払いを拒んだ事件で、事故の偶然性の立証責任に言及することなく、偶然の事故であることを認めたが、修理費用については約40万円だけを認めた事件 大阪地方裁判所第7民事部 廣谷章雄 2006年(平成18年)4月26日 平成17年(ワ)第4370号 保険金請求事件 非公表 高橋正人弁護士 06(6362)4167 原告は、平成16年3月14日午前1時30分ころ、スキー場の駐車場に本件自動車を駐め、ナイタースキーをして、午前6時過ぎに自動車に戻 […]
ビュイック(平成6年新車登録)が平成13年12月15日に盗まれ、3日後に窓ガラス等が割られ、車内に消火剤が撒かれた状態で発見された事故について、虚偽の盗難自己申告であるとして、修理費用相当額の保険金支払いを拒絶した保険会社に対して、保険金の支払いを命じた事案 大阪地方裁判所堺支部第2民事部 佐藤明 2003年(平成15年)7月30日 平成14年(ワ)1104号 保険金請求事件 東京海上火災保険(株) 成見暁子弁護士 06(6773)6921 原告は、要旨記載の通りの被害に遭い、修理費用見込額(181万円)の内、車両保険金額170万円を請求した。 保険会社は、本件被害は、以下の理由から、原告の自 […]
イモビライザー付きメルセデスベンツが盗難されたが、保険会社が車両保険に基づく保険金の支払いを拒絶した事案について、偶然性の立証責任を保険請求者側にあるとしながら、警察への被害届出とその後車両が発見されていないという外形的事情があれば、偶然性が一応推認されるとした上で、これを覆す事情が認められない限り、偶然のものと認めるとの一般論を示した上で、原告の請求を棄却した原審判決を破棄し、原告の請求を認めた事案 大阪高等裁判所第6民事部 矢延正平、川口泰司、田中一彦 2006年(平成18年)1月27日 平成17年(ネ)第1727号 保険金請求控訴事件 日本興亜損害保険(株) 赤星正美弁護士 06(641 […]
自動車運転中に電柱に激突して死亡した者について、借金・事故の態様等から、自殺が疑われるとして、遺族に対する傷害保険金の支払いを拒絶した保険会社に対して、保険金の支払いを命じ、弁護士費用の支払いは認めなかった事案(同事故に対するほぼ同一の事件をNo.1051にて紹介しています) 大分地方裁判所民事第一部 2006年(平成18年)3月31日 平成16年(ワ)第470号 保険金請求事件 ザ・ロンドン・アッシュアランスおよびアメリカン・ホーム・アシュアランス・カンパニー 古庄玄知弁護士 097(532)0744 (No.1051とNo.1052共通の解説) 右の2件は、同一の事故で同一人物が死亡したこ […]
自動車運転中に電柱に激突して死亡した者について、借金・事故の態様等から、自殺が疑われるとして、遺族に対する傷害保険金の支払いを拒絶した保険会社に対して、保険金の支払いを命じ、弁護士費用の支払いは認めなかった事案(同事故に対するほぼ同一の事件をNo.1052にて紹介しています) 大分地方裁判所民事第2部 細野なおみ 2006年(平成18年)3月15日 平成16年(ワ)第469号 保険金請求事件 チューリッヒ・インシュアランス・カンパニー 古庄玄知弁護士 097(532)0744 (No.1051とNo.1052共通の解説) 右の2件は、同一の事故で同一人物が死亡したことに基づく保険金請求事件であ […]