年500%超の利息の合意をした事情の下では、貸付行為自体が出資法違反の犯罪を構成するとし、不法原因給付を理由としてヤミ金からの不当利得返還請求を否定した事例 東京高等裁判所 原田敏章、氣賀澤耕一、岡崎克彦 2005年(平成17年)8月30日 平成17年(ネ)第2586号 貸金請求控訴事件 ワイ・ツー・ケイこと森山博文 中村昌典弁護士 03(5919)0745 消費者法ニュース64号(197頁895)の控訴審判決である。 同判決は貸金業者の請求につき暴利行為・公序良俗違反無効を理由に棄却した一審判決を全て踏襲するとともに、業者側が控訴審で主張を追加した不当利得返還請求について、実質年利500%超 […]
CFJに対する文書提出について保存期間経過後と言っても、廃棄等の反証がない限り所持が推認できるとして文書提出命令を認めた事例 金沢簡易裁判所 山田倫明 2005年(平成17年)5月2日 平成16年(サ)第5845号 文書提出命令申立事件 CFJ(株) 喜成清重司法書士 076(291)2090 事案概要は、原審が「保存期間経過後約2年2カ月余以上が経過していること、申立人と法人との法律関係において、もはや所持していなければならない必要性もそう高いものでないこと、加えて、相手方は、申立人からの開示請求に対し、内部調査のうえ、所持していたとされる期間の部分については既に開示するなどしたその対応状況 […]
シティズが、貸金業規制法43条のみなし弁済を主張したが、同条を厳格に解釈すべきとし、かつ期限の利益喪失約款と但書が17条書面の要件をみたさずとこれを否定した事例 東京簡易裁判所 芹澤薫 2005年(平成17年)3月28日 平成16年(ハ)第10816号 貸金請求事件 (株)シティズ 飯田伸一弁護士 045(201)2810 本件の争点は、①法43条の解釈基準②17条書面を交付したか③返済を受けた都度、直ちに18条書面を交付したか④利息を任意に弁済したかである。 判決は、争点①につき、同条は利息制限法の例外、貸金業者の適正な運営確保に必要な制限を定める法の趣旨、違反の場合の罰則があることから、こ […]
サラ金業者が、多重債務者の債務整理を受任した司法書士から取引経過の開示を求められたにもかかわらず、これを拒絶した行為が不法行為にあたるとされ、元債務者である被控訴人(原審原告)に対する慰謝料及び司法書士費用の支払いが命じられた事例 和歌山地方裁判所 村岡寛、秋本昌彦、寺本義人 2005年(平成17年)7月5日 平成15年(レ)第1号 不当利得返還等請求控訴事件 (有)ユタカクレジット 戸井洋木司法書士 073(402)1120 本件は、サラ金業者による取引履歴不開示の違法性を認め、当方(原審原告=被控訴人)の損害賠償請求を認容した原判決に対し、サラ金業者が控訴していたものである。控訴審判決にお […]
同一の継続的消費賃借契約と評価できる契約関係の下で取引が時期を異にして存在する場合において、先行取引で既に発生している過払金については、後行取引の借入金が発生した時点で当然にその弁済に充当され、通算する扱いとなると解するのが相当である。 東京地方裁判所 水野邦夫、槐智子、早山眞一郎 2005年(平成17年)5月24日 平成15年(レ)第437号 不当利得返還請求控訴事件 GEコンシューマー・ファイナンス(株) 園山俊二弁護士 03(5784)4866 貸金業者との金銭消費賃借取引を継続し、一旦は債務を完済したものの、その後再び借入れをすることはよくある。この場合、先行取引における過払金を後行取 […]
貸金業者に対する主債務者の弁済の各支払金額とその支払日等からすれば、支払いの任意性は疑問であるから、貸金業法43条のみなし弁済の主張は認められない 千葉簡易裁判所 福嶋登 2005年(平成17年)4月25日 平成16年(特ノ)第1348号 特定調停(一般)事件 (株)シティズ 本人訴訟 シティズが主債務者に対して350万円貸し付け、申立人が連帯保証した債務について、連帯保証人がシティズを相手方として特定調停を申し立てた。主債務者の弁済について、シティズはみなし弁済の主張をしたが、月々の各支払金額や支払日等からすれば、支払いの任意性は疑問であるとして、主債務者の支払金を利息制限法を適用して充当計 […]
訪問販売業者である被告の訪問販売により、次々と浄水器等の購入、床下換気工事等の役務の提供等合計5件の契約を締結させられた高齢者である原告が、被告から交付された契約書類に記載不備があるのでクーリング・オフの期間は経過していないとして、被告会社に対して行った契約の解除に基づく不当利得返還請求が認容された事例 京都地方裁判所 中村隆次 2005年(平成17年)5月25日 平成16年(ワ)第3331号 不当利得返還等請求事件 (有)はし源 住田浩史弁護士 075(222)0011 平成16年11月改正前の特商法下の事案であるが、裁判所は、契約書面の書面不備について、「被告が原告に交付した水道管洗浄作業 […]
融資の時点で破綻状態にある債務者のために保証人になろうとする者は存在しないというべきであるから、保証契約の時点で主債務者がこのような意味での破綻状態にないことは、保証しようとする者の動機として、一般に、黙示的に表示されているものと解するのが相当である。 東京高等裁判所 石川善則、井上繁規、河野泰義 2005年(平成17年)8月10日 平成17年(ネ)第144号 保証債務履行請求控訴事件 浜松信用金庫 岡島順治弁護士 053(450)3383 事件の概要 この事件は、平成10年のときの小渕内閣主導の信用保証協会による特別信用保証枠を実施された金融安定化融資に絡む事件で、制度要綱上、無担保無保証で […]
出資法上のみなし利息を収受したうえで、遅延損害金の利率を年29・2%とする契約は出資法5条2項に違反して締結された貸付けに係る契約であるとして、みなし弁済を否定するとともに、貸金業法43条所定の義務を遵守せずに、利息制限法超過の利息を収受する行為は不法行為に当たるとした事例 神戸地方裁判所 下野恭裕、三井教匡、山下隼人 2005年(平成17年)8月25日 平成16年(レ)第97号 損害賠償等請求控訴事件 (株)シティズ 蔭山文夫弁護士 0799(25)3564 貸金業法43条2項3号は、出資法5条2項に反して締結された消費貸借契約に基づく支払については、みなし弁済が成立しない旨定めている。出資 […]
毎月の返済額については、約定の最低額以上であればあとは債務者の任意の決定に任せるという内容の契約であるから、契約時に交付する17条書面に「返済期間」「返済回数」を記載することは不可能であるとの貸金業者の主張を排斥し、そのような内容の契約であっても「返済期間」「返済回数」の記載は可能であり、その記載がない書面では法43条の適用要件の一つである17条書面の交付は認められないと判示した事例 名古屋高等裁判所 青山邦夫、坪井宣幸、田邊浩典 2004年(平成16年)12月8日 平成16年(ネ)第610号 不当利得返還請求控訴事件 トモエコーポレーション 三上理弁護士 03(3571)6051 貸金業者( […]
青森地方裁判所 齊木教朗、伊澤文子、石井芳朗 2005年(平成17年)6月28日 平成17年(レ)第2号 保証債務請求控訴事件 (有)三洋信販 花田勝彦弁護士 0173(38)1511 本件1は、貸金業者甲(原告、控訴人)が、主債務者とともに、乙(被告、披控訴人)に対し根連帯保証契約に基づき保証債務の履行を求め提訴及び控訴した事案であり、甲と乙との間に根連帯保証契約が成立したかどうかが争点となったが、原審・控訴審ともに同契約の成立を否定して甲の請求を棄却し、控訴も棄却した(確定)。控訴審は、甲の社員が乙に対し根連帯保証契約であることを明確には説明しなかった事実、貸付金額を偽って説明した事実、さ […]
貸金業者の不当な手段による貸付け、事実と相違する貸付け条件の勧誘・説明の事実を裁判所が認定して、根連帯保証契約の成立を認めず、貸金業者の同契約に基づく保証債務請求を棄却した事例 青森地方裁判所 齊木教朗、伊澤文子、石井芳朗 2005年(平成17年)6月28日 平成17年(レ)第22号 保証債務請求控訴事件 (有)三洋信販 花田勝彦弁護士 0173(38)1511 本件1は、貸金業者甲(原告、控訴人)が、主債務者とともに、乙(被告、披控訴人)に対し根連帯保証契約に基づき保証債務の履行を求め提訴及び控訴した事案であり、甲と乙との間に根連帯保証契約が成立したかどうかが争点となったが、原審・控訴審とも […]
布団のモニター商法において、布団売買契約とモニター契約の一体性を認め、信販会社の抗弁対抗が信義則違反であるとの主張を排斥し、布団売買契約の詐欺取消による無効を信販会社に対抗できるとした事例 広島地方裁判所 橋本良成、木村哲彦 2005年(平成17年)2月10日 平成11年(ワ)第887号外 損害賠償請求事件 (株)JNグリーンショップ 戸田慶吾弁護士 082(228)3637 (株)JNグリーンショップは、信販加盟店2社の信用を利用して、ダンシング類似の布団モニター商法を行っていたが、平成11年2月ころ経営破綻した。被害者数は広島を中心に25都道府県で約1900人、契約額は約7億8000万円に […]
SFCGのした請負代金債権の差押えにつき、期限の利益を喪失していない等の違法差押であると争った請求異議事件で、SFCGが和解金30万円を支払うことで訴訟上の和解が成立した事例 広島地方裁判所 曳野久男 2005年(平成17年)6月17日 平成15年(ワ)第2021号 損害賠償請求事件 (株)SFCG 戸田慶吾弁護士 082(228)3637 SFCGは、主債務者らが平成15年11月5日の支払を怠ったとして、公正証書に基づき、原告(連帯保証人)の請負代金請求権を差し押えた。ところが、実際は、前日の11月4日に、約定支払額を上回る支払をしていた(ただし、制限利率で再計算しても残債務が残っている)。 […]
ヤミ金業実行者に対して携帯電話を提供した者に対する損害賠償請求事件で、被告らの無資力を考慮しながらも、幇助犯としての責任を認めて損害金の一部を支払うこととした和解例 札幌地方裁判所 栗原保 2005年(平成17年)4月28日 平成16年(ワ)第1348号 損害賠償請求事件 野村某こと野口貴久 野村某こと岩本勝利 山崎俊彦弁護士 011(271)5951 本件は、かねてから銀行預金口座と共にヤミ金や振り込め詐欺など不法行為に常用されてきた携帯電話の提供者に対する民事責任を認めさせた和解事例である。携帯電話不正使用については、従前取締法規がなく(今年5月に特別法が成立・施行された)、民暴鳥取大会で […]
控訴人(41歳の主婦)が、外国為替証拠金取引会社の担当者(大阪支社長)に次々と無断売買をされた、という事件で、被控訴人には横浜の高橋理一郎弁護士、澤田久代弁護士らがついて全面的に争ったが、無断売買が最終的に認められ、日本デリックスに対して無断売買による損失分約4900万円の支払が命じられた事件である。同社の他の事件では悪性立証(手数料稼ぎ事案、組織的無断売買事案)として是非活用頂きたい。 大阪高等裁判所 大谷種臣、三木昌之、島村雅之 2004年(平成16年)10月29日 平成16年(ネ)第1686号 清算金請求控訴事件 日本デリックス(株) 山﨑敏彦弁護士 06(6365)8565 1 一審で […]
7月28日、千葉地方裁判所(小林正裁判長)は大手フランチャイズが作成した工事請負契約書を消費者契約法違反と断じる判決を言い渡した。住宅業界に関する消費者契約法違反事件としては、初めての判決である。 千葉地方裁判所 小林正、佐久間政和、鎌形史子 2004年(平成16年)7月28日 平成14年(ワ)第1550号 違約金等請求事件 公表せず 秋野卓生弁護士 03(5212)3931 事案は、ある施主が大手フランチャイズに加盟する工務店との間で工事請負契約を締結したが、その直後に契約解除に至ったケースである。 工務店は工事請負契約書に「施主の都合で契約を解除するときは工務店に対し請負代金額の20%に相 […]
武富士の従業員の会社規則違反について、武富士にノルマ達成の過度の圧力があったとして、従業員の責任について武富士に9割の過失相殺があるとした事例 東京地方裁判所 水野邦夫、齋木利夫、早山眞一郎 2005年(平成17年)7月12日 平成14年(ワ)第12613号 平成16年(ワ)第7099号 引受債務請求事件、同反訴請求事件 (株)武富士 中野和子弁護士 03(3511)9790 判決では、過失相殺ないし信義則による損害額の制限を行い、①支店長による働きかけがあったこと、②支店長に対する営業成績を挙げることについての相当な圧力があったこと、③社員に対するノルマ達成についての過度な圧力があったことを […]
大阪市バス運転手が4度に渡って車椅子利用の身体障害者の乗降時介助を拒否した事案について、説明義務違反を理由に慰謝料請求を一部認容した事例(双方控訴せず・確定)。 大阪地方裁判所 岡原剛 2005(平成17年)6月17日 平成16年(ワ)第1261号 損害賠償請求事件 大阪市 村井潤弁護士 06(6136)8807 両下肢機能障害で障害者手帳1種2級の身体障害者である原告は、当時大阪市バスを用いなければ遠方に出かけることが困難な地域に居住していたが、普通車両且つワンマン(車掌なし)の市バス運転手から、降車時の介助を拒否されたのを皮切りに、乗車拒否・車椅子に対する暴言等を受けたとして、大阪市に対し […]
プロミスとの取引で、一度完済し、その835日後に借入れをした事案で、完済前の契約と再借入れの契約が別個の独立した契約であるとしながらも、継続的消費貸借契約における当事者の合理的意思解釈、公平の観点から当然充当を認めた事例 名古屋地方裁判所一宮支部 新井紅亜礼 2005年(平成17年)9月5日 平成15年(ワ)第337号 不当利得等返還請求事件 プロミス(株) 瀧康暢弁護士 0586(26)6266 1 事件の概要 92年11月に借入れて、98年8月に一括弁済し、その後835日後に再度借入れた事案。 プロミスは、第2借入れについては、みなし弁済を主張し、17・18条書面を全部提出した。 2 争点 […]