敷金から退去時に一律に一定金額を控除するいわゆる敷引特約(敷金25万円中20万円を控除)は、消費者の利益を一方的に害するものであり、消費者契約法10条により無効となる 大津地方裁判所民事部 阿多麻子 平成17年ワ第701号 2006年(平成18年)6月28日 敷金返還請求事件 平尾嘉晃弁護士075(256)0224 積和不動産関西(株) 本件訴訟では、被告から、敷引金は、①賃料の前払い、②賃貸借契約更新時の更新料の免除の対価、③賃貸借契約成立の謝礼の性質があり、合理性を有する旨が主張された。 しかし、本件判決は、②③の主張にはそもそも合理性がないとして排斥し、①の主張に対しても、単に周辺の不動 […]
賃貸借契約終了時に賃借人が負う原状回復義務につき、賃借人に通常損耗の原状回復義務が認められるためにはその旨の特約が明確に合意されていることが必要と判断し、原判決を破棄した最高裁判決を受けての差戻審で和解が成立した事例 大阪高等裁判所 田中壯太、松本久、村田龍平 平成17年(ネ)第3564号 2006年(平成18年)5月18日 敷金返還請求事件 岡本英子弁護士 06(6228)1922 大阪府住宅供給公社 本件は、賃貸人が大阪府住宅供給公社の賃貸借契約において、賃借人が通常損耗の原状回復義務を負担する合意が成立していたかが争点になった事案である。 最高裁は、賃借人側の上告を受理し、通常損耗の原状 […]
ヤフーの個人情報が、不正アクセスにより漏洩した事件について、個人情報の適切な管理を怠った過失等により共同不法行為による損害賠償として、慰謝料等1人当たり6000円を認めた事例 大阪地方裁判所第11民事部 山下郁夫、横路朋生、矢野紀夫 平成16年ワ第5597号2006年(平成18年)5月19日 損害賠償請求事件 岡田崇弁護士 06(6941)6607 BBテクノロジー(株) ヤフー(株) 本件は、「Yahoo!BB」の保有する個人情報が不正アクセスにより漏洩した件について、顧客5人が、「Yahoo!BB」を共同して提供しているBBテクノロジー(株)(以下、BBTという)とヤフー(株)に対して、個 […]
貸金業者の貸金債権は、みなし弁済規定の適用の有無によって、貸金債権が認められたり、過払金返還義務を負うことになる性質のものであるから、かかる債権債務は表裏一体の関係にあり、営業譲渡がなされたときは、貸金債権にとどまらず、これに伴って生ずる過払金債務も含め貸主としての地位の譲渡を受けたというべきであって、営業譲渡前に発生していた過払金返還義務も承継する 東京高等裁判所第12民事部 房村精一、打越康雄、吉田健司 平成17年ネ第4541号 平成17年ネ第5679号 2006年(平成18年)5月17日 不当利得返還請求控訴事件附帯控訴事件 清水 聡弁護士 03(5785)0295 新洋信販(株) 本件 […]
第1回支払期日に支払いを遅滞した際、特約による残債務全額の即時支払いを請求し得たにもかかわらず直ちに一括請求する措置をとらずに分割払いを続けさせていた原告が、被告が債務整理手続に入るやいなや特約を盾に第1回支払期日の経過によって期限の利益を喪失したとして約定遅延損害利率による充当計算をもとに請求することは信義則に反し、権利を濫用するものとして許されないとした事例千葉簡易裁判所 芳田圭一 平成16年(ハ)第3037号 2006年(平成18年)4月27日 貸金請求事件 芥川彰子弁護士 03(5957)5528 (株)シティズ 本件は債務整理受任後に連帯保証債務を請求された事案である。当初シティズは […]
理髪店を営む個人事業者(店舗と住居は別)につき、電話機リース契約がクーリング・オフにより解除された旨の確認及び、リース会社及びサプライヤーは連帯して、既払いリース料全額に加え、司法書士費用等を含めた金員を解決金として支払う旨の訴訟上の和解が成立した事例 三島簡易裁判所 平成18年(ハ)第87号 2006年(平成18年)6月22日 不当利得返還等請求事件 山田茂樹司法書士 0558(74)2801 (株)エフォード、エヌ・ティ・ティ・リース(株) 第1 事案の概要 1 本件は、平成16年8月、理髪店を営む60歳代の女性(以下「原告」という)が、サプライヤー従業員に「今後、黒電話が使えなくなり、変 […]
特定調停において、貸金業者が取引履歴の全部を開示せず、民事調停法17条の調停に代わる決定が出された場合、未開示部分には既判力は及ばないとして、未開示部分の履歴に基づく過払金全額の返還を認めた例 大阪地方裁判所第12民事部 瀧華聡之 平成17年ワ第7103号 2006年(平成18年)9月13日 不当利得金返還請求事件 白木智巳弁護士 06(6366)5351 GEコンシューマー・ファイナンス(株) 事案の概要は、Aが昭和63年頃レイクと契約し、平成15年、サラ金5社を相手方として、特定調停を申し立てた。レイクは、特定調停において平成11年からの取引履歴を裁判所に提出して未だに残債務があると主張し […]
欺瞞的なシロアリ駆除の営業による被害について、既払金の他被告株式会社ファスコムは、本件解決金として300万円を原告に支払うとの和解事例 大阪地方裁判所岸和田支部 光吉恵子 平成16年ワ第253号 2006年(平成18年)4月5日 不当利得返還等請求事件 小谷隆幸弁護士06(6363)3328 (株)ファスコム(株)クオーク 原告は大正14年6月27日生まれの女性で、1人暮らしをしていた。平成13年頃から平成15年にかけてシロアリ駆除業者株式会社ファスコムから、「床下無料点検に来ました」と言われて床下に入ることを許諾したところ、床下から、ファスコム担当者がボロボロになった木を原告に見せ「床下の木 […]
債権者(原告・反訴被告)が消滅時効後に行った債務者(被告・反訴原告)に対する取立行為について、社会的相当性を欠いた不適切な請求であるとして、反訴原告の慰藉料請求と弁護士費用請求を認めた事例(被告は控訴している) 札幌簡易裁判所 布谷靖裕 本訴平成17年(ハ)第22551号 反訴平成18年(ハ)第401号 2006年(平成18年)9月7日 貸金請求事件(本訴) 損害賠償請求事件 馬場政道弁護士 011(281)0868 (株)スターオフファイナンス 昭和60年頃に破産決定がなされた被告(免責決定は得ていない)が、その後20年経過した平成16年12月以降、原告から書面による請求、電報や不在中に自宅 […]
①「特定顧客の誘引方法」にいう「販売目的を告げずに」とは、販売以外の目的を告げた場合のほか、本来の目的たる商品以外のものを告げた場合も含む。②特定商取引法5条の法定書面は、商品の販売価格について、その商品ごとの価格を記載しなければ、要件を充足しない 大阪地方裁判所第8民事部 奥野寿則 平成17年(ワ)第9711号 2006年(平成18年)6月29日 立替金請求事件 万代佳世弁護士 06(6204)0207 (株)アプラス 平成13年に、若い女性からの電話勧誘で呼び出されて販売店(株式会社ヴィンク)の営業所に赴いた男性(当時21歳)が、ダイヤモンドと絵画を購入する契約をし、アプラスから立替払いを […]
クレジット会社の立替金請求において、高額な価格設定に合理的な理由が認められないことなどから販売業者が第3者による欺罔の意図を知っていたと推認して、第3者による詐欺の被害者である買主からの抗弁権接続(割賦販売法30条の4第1項)が認められ、請求が棄却された事例 東京高等裁判所第7民事部 横山匡輝、石井忠雄、相澤眞木 平成17年(ネ)第6050号 2006年(平成18年)4月6日(確定) 立替金請求控訴事件 森川 清弁護士 03(6913)4650 (株)オリエントコーポレーション 本件は、欺罔者が、雇う意思がないにもかかわらず、求職者(65歳)に就職の条件としてバイクを購入するよう求めて、クレジ […]
原告からの過払金返還請求に対し、被告が各論点につき争ったが、原告の請求額全額を認めた判決。司法書士支援による本人訴訟 大阪地方裁判所堺支部第1民事部 川畑公美 平成17年(ワ)第1329号 2006年(平成18年)8月23日 不当利得返還請求事件 関井正博司法書士 072(469)3033 (株)ロプロ 争点と判断。 ① 手形貸付毎に個別の貸付か、1連1体の1個の貸付か、貸付毎の個別計算か、1連1体の充当計算か。(判断)実質的に1連1体の貸付。よって、1連1体のものとして充当計算。 ② 貸付金に対する利息は、貸付毎に利息制限法を適用するか、複数の貸付を総合して適用するか。(判断)1律15%適用 […]
①過払金返還請求権に対する利息に対し商事法定利率年6分を適用した事例。②破産・免責決定確定後の過払金の請求は信義誠実の原則に反しないとした事例 東大阪簡易裁判所 中島嘉昭 平成18年(ハ)第459号 2006年(平成18年)7月13日 不当利得金返還請求事件 滝川あおい司法書士 0729(81)5281 (有)ますめ 過払金返還請求権に対する利息は、被告の過払金返還債務が貸金業者による貸し付けと弁済の受領という商行為に起因するものであって商行為により生じた債務に準ずるものであること、被告は貸金業者であり、原告からの受領金をその営業のために使用したものと推認されることから、商事法定利率である年6 […]
無職の主婦に、宝飾品の購入を執拗に勧め、3回にわたり、合計約200万円のクレジットを組ませた件について、クレジット会社が、契約を合意解約し既払金全額を返還することを認めた事例 仙台地方裁判所 伊澤文子 平成18年(ワ)第110号同第553号 2006年(平成18年)6月30日 立替金請求事件・損害賠償求事件 小野寺友宏弁護士 022(266)4664 (株)セントラルファイナンス 無職の主婦が、ダイヤモンドリング等の宝飾品の購入を執拗に勧められ、3回にわたり、合計約200万円のクレジットを組ませられた。 クレジット代金は、夫の障害年金(筋ジストロフィーで歩行等が困難)から支払うことが契約書に明 […]
過払金返還請求訴訟において、被告であるクレディアの静岡簡易裁判所への移送申立を却下した裁判 和歌山簡易裁判所 森兼清 平成18年サ第225号 2006年(平成18年)6月21日 移送申立事件 戸井洋木司法書士 073(402)1120 (株)クレディア クレディアは過払金の返還請求に対し、静岡地方(簡易)裁判所への移送を申し立てることを常としている。本案についてはほとんど争いがないような場合であっても移送申立をするのは、訴訟を引き伸ばすことによって交渉を有利に進めんとするねらいに基づくものである。すなわち、クレディアの移送申立は、過払金を早期に返還させて債務整理を急がなければならない多重債務者 […]
形式的には別会社である貸金業者と保証会社が、実質的に密接不可分な存立関係であるとき、保証会社が受け取る保証料等はみなし利息と解するのが相当とされた事例 鳥取簡易裁判所 佐藤洋一 平成17年(ハ)第287号 2006年(平成18年)3月24日 不当利得返還請求事件 本郷貴大司法書士 0857(25)5776 (株)エンプラザ 貸金業者である被告と訴外保証会社とは以前、登記上、本店所在地が同じであったこと及び設立当時は役員が重なっていたことが、被告提出の証拠書類から明らかであった(平成16年4月27日神戸地裁尼崎支部判決・平成15年ワ第1226号請求異議等請求事件)。また、保証委託契約締結とそれに […]
借入金の完済後しばらくしてから再度借入した場合、第1取引による過払金返還請求権の消滅時効の起算点は、第1取引の最終取引日よりスタートし、第2取引が過払金返還請求権の消滅時効の完成前になされた場合には、第1取引による過払金は、第2取引における借入金と即時対当額で相殺される。期限の利益喪失約款が付されている場合において、原告が支払を遅滞したとしても当然に支払期日までの利息と遅延損害金が生じるものではないとした事例 札幌地方裁判所民事第1部 今井和桂子 平成17年(ワ)第2044号 2006年(平成18年)5月19日 不当利得返還等請求事件 橋場弘之弁護士 011(272)7779 (株)ローンズス […]
公的年金のみが入金される銀行預金口座の差押えによって取立てられた金銭について、差押命令が取消された場合、取立てられた金銭は法律上の原因に基づかない利得であるとし、その返還請求を認めた事例(確定) 松戸簡易裁判所 石崎博喜 平成17年(ハ)第561号 2005年(平成17年)11月11日 不当利得返還請求事件 玉ノ井雄一司法書士 01586(4)3020 (有)チェリー 本件は、生活保護受給者が年金のみが入金される銀行預金口座の差押えを受けたため、債権差押命令の取消しを求めたところ、差押えの取消決定がなされ(本誌64号判決速報907号参照)、同決定が確定したため、差押えにより取立てられた金銭は不 […]
民事調停法17条の調停にかわる決定(現在の特定調停。本件事件当時の債務弁済協定調停)について、裁判上の和解と同一の効力、すなわち制限的既判力があるものとして、要素の錯誤等の実体法上の瑕疵が認められる場合には、当事者は再審によらずに当該決定の無効を主張することができるものと判示した。そして、本件でも、要素の錯誤を認め、過払いであるにもかかわらず支払いの内容の取り決めをした債務弁済協定を錯誤無効とした 和歌山地方裁判所新宮支部 鈴木義和 平成17年(ワ)第34号 2006年(平成18年)5月25日 不当利得返還等請求事件 池田慶子弁護士 03(3518)4767 アコム(株) 論点は多岐にわたりま […]
自動車が海中に水没する事故が発生したが、保険会社が車両保険に基づく保険金の支払いを拒絶した事案について、車両保険金を請求する者は、事故の発生が被保険者の意思に基づかないものであることについて主張、立証すべき責任を負わないとして、原判決を破棄し、免責事由の有無について審理をさせるため、原審に差し戻した判決 最高等裁判所第一小法廷 横尾和子、甲斐中辰夫、泉徳治、島田仁郎、才口千晴 2006年(平成18年)6月1日 平成17年(受)第1206号 損害賠償請求事件 あいおい損害保険(株) 林成凱弁護士 075(222)0208 上告人は、シボレーキャンピン`グ車(車両保険金額245万円)を所有していた […]