全取引履歴不開示について不法行為に基づく損害賠償が認められた事例。 東大阪簡易裁判所 松本登清 2005年(平成17年)12月16日 平成17年(ハ)第507号 不当利得返還等請求事件 ポケットカード(株) 堀泰夫司法書士 06(6872)3400 本件は、訴外で原告が被告にらして、本件提訴前から5回も履匹開示を請求したが、被告は4回目に一部履歴の開示に応じただけのため、原告は、被告に対して、推定計算に基づいて、本件を提訴しました。 本訴第1回の口頭弁論期日においても、被告は、一部履歴を全然履歴であると主張しました。その後、原告の申出に基づき裁判所が文書提出命令を発令してからも、被告は以前に提 […]
登録貸金業者が、貸付にあたり、契約時に根拠のない天引を行いながら、そのまま名目貸付額に対する出資法上限金利の徴求を行い、契約書の切り返し毎に、期間中の利息についても、そのまま残債務に計上した上で、再び名目貸付額との間の差額のみを貸し渡したにもかかわらず、その日に名目貸付があったかのように仮装したため、出資法違反の金利が契約書切り返し毎に拡大していく事案。 京都地方裁判所宮津支部 久保井恵子 2005年(平成17年)11月30日 平成17年(ワ)第5号(本訴)/平成17年(ワ)第36号(反訴) 不当利得返還請求事件(本訴)/貸金請求事件(反訴) 三井信用こと千原成浩 京都寺町法律事務所 075( […]
取引履歴不開示について不法行為に基づく損害賠償が認められた事例。 東大阪簡易裁判所 鶴川義人 2005年(平成17年)11月15日 平成17年(ハ)第279号 不当利得返還等請求事件 アイフル(株) 堀泰夫司法書士 06(6872)3400 原告は推定計算で不当利得返還等請求訴訟を提起しました。しかし、被告は訴訟の2回目の期日において、取引履歴をすべて開示しました。原告がそれに基づいて計算したところ、13万6000円程度の債務が残ったため、訴えの変更をして損害賠償請求額20万円・司法書士費用4万円を訴額に追加した事件です。ちなみに、被告は、残債務について反訴を提起することなく本件は終結しました […]
たとえ債務者の記憶と消費者金融が保管する実際の取引の記録が異なっていても、消費者金融が金融庁の定めるガイドラインに違反して、全取引履歴の開示を拒否した場合、その行為自体が違法であり、不法行為を構成すると判断し、損害賠償を認めた事例。 羽曳野簡易裁判所 藤本英尊 2006年(平成18年)1月6日 平成17年(ハ)第130号 損害賠償請求事件 アイフル(株) 星野貴成司法書士 06(6722)5551 本事案は、原告が特定調停まで行って業者に全取引履歴の開示を迫ったが、業者が特定調停においても直近3年分の取引履歴しか開示しないため、原告は特定調停の中立を取り下げ、直近3年以前の銀行の振込明細書(1 […]
債務整理受任後、途中からの取引履歴しか開示してこなかった貸金業者に対し、推測計算に基づいて過払金請求訴訟を提起した事件(提起後に全部開示)で、原審(旭川地方裁判所紋別支部)が不当利得金返還請求権の利息の利率について年5分と判断したのを変更し、年6分の割合によるのが相当とした。また、取引履歴の不開示について慰謝料30万円、弁護士費用12万2621円を認めた。 札幌高等裁判所第3民事部 伊藤紘基、北澤晶、石橋俊一 2005年(平成17年)12月8日 平成17年(ネ)第199号、平成17年(ネ)第254号 不当利得返還等請求控訴事件、同附帯控訴事件 (株)クレディア 亀井真紀弁護士 03(3780) […]
貸付の際に生活保護費が振り込まれる口座の預金通帳等を預かり、債務者の生活保護費を引き出し、弁済に充てていた貸金業者に対し、慰謝料等を請求した事件で、解決金を支払う訴訟上の和解が成立した事例。 宇治簡易裁判所 川田治善 2005年(平成17年)12月13日 平成17年(ハ)第213号 損害賠償等請求事件 ローンズパール 小阪正人司法書士 0774(38)2428 貸金業者が債務者の生活保護費受給口座の預金通帳、届出印章及びキャッシュカードを預かり、毎月の生活保護費を業者が引き出し、弁済に充てたうえ、残合金を債務者へ振込送金していた事件で、貸金業規制法第20条の2(公的給付に係る預金通帳等の保管等 […]
トライト(株)が旧ハッピークレジット時代の消費者金融取引についても一連計算により過払い金返還義務を負う、等の判断をした判決。 尾鷲簡易裁判所 島戸真 2005年(平成17年)12月7日 平成17年(ハ)第34号 不当利得返還等請求事件 トライト(株) 熊野ひまわり基金法律事務所 0597(88)2100 【取引経過不開示。いわゆるゼロ開始の一部開示】原告の旧ハッピークレジットからの借入れ及び弁済については、開示当初の貸付残高が0円とされていゐことを含め、原告の主張が認められました。 【商号譲渡の際の支店における免責登記の必要性】本店の所在地において登記すべき事項は、特別の定めがない限り支店の所 […]
保証契約時に主債務者の破綻状態を知らずになした保証契約の錯誤無効を認めた控訴審判決に対し本件上告を棄却する。本件を上告審として受理しない。 最高等裁判所第二小法廷 中川了滋、滝井繁男、津野修、今井功、古田佑紀 2005年(平成17年)12月16日 平成17年(才)第1784号、平成17年(受)第2075号 保証債務履行請求事件 浜松信用金庫 岡島順治弁護士 053(450)3383 消費者法ニュース65号判例速報No.951で紹介した東京高裁平成17年8月10日判決の上告審決定です。上告棄却理由は、「民事訴訟法312条1項、2項に規定する事由に該当しない」。上告不受理の理由については、「民事訴 […]
賃貸借契約終了時に賃借人が負う原状回復義務につき、賃借物件の損耗の発生が本質上当然に予定されている賃貸借契約において通常損耗の原状回復義務を負わせることは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるとし、同義務が認められるためには、その旨の特約が明確に合意されていることが必要として、合意成立の要件を示した事例。 最高等裁判所第二小法廷 中川了滋、滝井繁男、津野修、今井功、古田佑紀 2005年(平成17年)12月16日 平成16年(受)第1573号 敷金返還請求事件 大阪府住宅供給公社 岡本英子弁護士 06(6228)1922 本件は、賃貸人が大阪府住宅供給公社の賃貸借契約において、賃借人が通 […]
留学等斡旋サービスにおけるトラブルについて業者の責任を認めた事例。 東京地方裁判所 大垣貴靖(第一審・双方控訴)/東京高等裁判所 原田敏章、氣賀澤耕一、渡部勇次(第二審・確定) 2005年(平成17年)4月12日(第一審)/2005年(平成17年)9月15日(第二審) 平成15年(ワ)第3868号(第一審)/平成17年(ネ)第2725号(第二審) 損害賠償請求事件(第一審)/損害賠償請求控訴事件(第二審) インターナショナル・インターンシップ・プログラムス、(株)海外研修サービス 志知俊秀弁護士 03(3509)6794 留学等斡旋サービスとは、留学や海外での語学研修、海外インターンシップ、ワ […]
札幌地方裁判所 本件は、悪徳業者が、判断能力の減退した被害者(79歳)に対し、床下に灯油漏れ等の事実がないのに、これをあるように告げて、不必要かつ高額な請負工事契約を繰り返し締結させたという事案であり、代金支払済みの契約については、これを不法行為とし、悪徳業者に対し、工事代金相当額及び慰謝料等の損害賠償を命じ(本訴)(合計603万4000円)、代金未払いの契約については、詐欺取消の主張を認め、悪徳業者からの工事代金請求を退けた(反訴)。 2005年(平成17年)11月17日 平成16年(ワ)2374号。平成16年(ワ)第2560号 (株)ワールド(旧商号「(株)北海道下水保安協会」) 大崎康二 […]
請負契約に基づく瑕疵担保責任が債務の本旨に従った履行の実現をも趣旨とする制度であることに照らすと、補修は、これにより注文者が契約で合意されたとおりの性質を有する建物を取得できる内容とすべきであって、補修の結果、構造や意匠などの点に重大な変更を及ぼすことは認められない。除斥期間短縮の合意は有効であるが、容易に判明しない瑕疵が期間経過後に初めて発見されたような場合にはその適用はない。 静岡地方裁判所沼津支部 永井崇志、大野博隆 2005年(平成17年)4月27日 平成2年(ワ)第397号、平成9年(ワ)第27号 請負代金請求事件、損害賠償請求反訴事件 殖産住宅相互(株) 河合敏男弁護士 03(53 […]
外国為替証拠金取引業者が、架空の取引を事後的に後付けして損失が生じた外観を作出したうえ、和解書に署名押印しなければ精算金を返還しないとして和解書を徴求したという被害事案について、直接間接に関与した取締役らの責任を肯定した事例。 東京地方裁判所 春名茂 2006年(平成18年)1月24日 平成17年(ワ)第8901号 損害賠償等請求事件 公表せず 荒井哲朗弁護士 03(3501)3600 事案の特徴は、被害者が取引を止めると申し出たとたんその2ケ月ほど前に建てた取引によって損が出ていることを突然告げられ、そのような取引が記載された報告書が送付されてきたという、「取引の後付け」事案である点と、取引 […]
日経平均225株式指数オプション取引を行った投資家が、証券会社外務員の勧誘には、適合性原則遵守義務違反、説明義務違反等の違法事由があるとして不法行為に基づく損害賠償請求を行ったところ、高等裁判所はロールオーバーの取引手法に説明義務違反、指導助言義務違反があったとして、京都地方裁判所の請求棄却判決を変更し、損害賠償義務を認めた。過失相殺8割。確定。 大阪高等裁判所 竹中省吾、竹中邦夫、矢田廣高 2005年(平成17年)12月21日 平成16年(ネ)第2072号 損害賠償請求控訴事件 岡三証券(株) 木内哲郎弁護士 075(257)1546 本判決は、オプション取引についての平成17年7月14日最 […]
分譲マンション販売業者がペットの飼育の可否について十分な説明をしていなかった行為は不法行為に該当する。 福岡高等裁判所第5民事部 中山弘幸、岩木宰、伊丹恭 2005年(平成17年)12月13日 平成17年(ネ)第679号 損害賠償請求控訴事件 (株)三栄都市 河野聡弁護士 097(533)6543 マンション分譲販売業者が、当初契約した購入者には犬猫等のペットの飼育は禁止していると説明し、一定時期以後に契約した購入者にはペットの飼育が可能であると説明していたが、業者の用意していた管理規約案にはペット飼育禁止の記載はなく、後に管理組合で決定されることになっていた。住民間でペット飼育が問題になった […]
①受益者が商人である場合には、過払金返還請求権に対する利息に商事法定利率年6分が適用される。②免責決定後の不当利得金返還請求について、禁反言に反するとまで言えずまた、免責制度の趣旨や信義則に反するともいえない(確定)。 東大阪簡易裁判所 松本登清 2006年(平成18年)1月27日 平成17年(ハ)1164号 アイフル(株) 滝川あおい司法書士 0729(81)5281 本件は、免責決定が確定した債務者による過払金返還請求事件であるが、主な争点は、①悪意の受益者の負うべき利息支払い義務についての利率について商事法定利率が適用されるか、②免責決定後の不当利得金返還請求が禁反言等に反するか、の2点 […]
「保証料」名目での暴利行為は出資法を潜脱するもので、公序良俗に違反して金銭消費貸借契約そのものが無効。貸金業者と保証業者の行為は共同不法行為に該当する。また、貸金業者の貸付は不法原因給付にあたる。 佐野簡易裁判所 畑山明則 2006年(平成18年)1月27日 平成17年(ハ)第88号 損害賠償請求事件 ライズこと植松俊三、関西信用保証こと濵本信和・西村秀樹 関井正博司法書士 0724(69)3033 現在、保証料自体に上限金利の規制がないため、形式的に保証業者を介在させて保証委託契約を締結させ、保証科名目で暴利を貪る手口での貸付が増加している。日掛業者が契約の助り替えの度毎に保証料を徴収すぷケ […]
原告自らが締結している「過払い金債権を放棄する」との和解契約書の効力を、強行法規である利息制限法に反する契約であり、信義則に照らして無効であると判示した事例。 向日町簡易裁判所 廣畑了 2005年(平成17年)11月25日 平成17年(ハ)第65号、平成17年(ハ)第107号 不当利得返還請求事件、貸金請求反訴事件 ウエストファイナンス(平成17年6月2日廃業届提出、現在は債権回収業務のみ行っている。個人名は開示しない) 稲垣裕二司法書士 075(381)1508 本件は、被告から「過払い金債権を放棄する」との文言ある和解契約書が証拠として提出され、その和解契約書の効力の有無につき、争った事案 […]
金融業者が、債務者の代理人の司法書士及び調停委員会の各取引履歴開示要求に応ぜず、債務者の調停取り下げを知るや、司法書士が代理人を辞したものと即断して、支払督促を申し立てたため、債務者は支払督促に対する異議を申し立て応訴するを余儀なくされたことについて、金融業者に、過払いの事実を隠蔽する意図が明らかであり、債務者に対する不法行為が成立するとして、過払い額の2割強の慰謝料の支払いを命じた事例。 一関簡易裁判所 穴澤成巳 2005年(平成17年)5月10日 平成16年(ハ)第190号(本訴平成16年(ハ)第164、165号) 貸金請求、不当利得返還請求反訴事件 岩手商工(株) 加藤勝彦司法書士 01 […]
(株)シティズが361万円を貸し付けるにあたり、連帯保証人となった者が連帯保証契約の結果を正しく認識し、これに基づいて正しく意思決定を行なう精神能力を有していなかったとして、保証契約を無効としたものである。 小倉簡易裁判所 深津洋 2005年(平成17年)11月24日 平成16年(ハ)第2187号 貸金請求事件 (株)シティズ 配川寿好弁護士 093(884)2824 1 (株)シティズは、事業者に金400万円の貸付を行ない、その際、精神障害者の者を連帯保証人とし、事業者が支払不能となったので、連帯保証人である精神障害者に対して、保証債務の請求をしてきた事案である。 2 連帯保証人は、知人であ […]