①預金払戻請求書に記載された鶴の字の偏の部分は、「ウ冠」と「ナ」と「隹」が組み合わさったようになっており、誤字と思われること、②本件口座では窓口での払戻はなく、過去3年間では10万円を超える払戻すらなかったこと、③払戻請求額は残高105万円のほぼ全額である100万円であること、④払戻請求者はやや猫背で深く帽子をかぶっていたことからすれば、払戻請求者に権限がないと疑うべき特別の事情がある。 大阪高等裁判所 松山恒昭、小原卓雄、吉岡真一 2005年(平成17年)11月29日 平成17年(ネ)第1154号 預金払戻請求控訴事件 大阪信用金庫 今井孝直弁護士 06(6362)5801 本判決は、無権限 […]
本件においては、払戻請求者の持参した印鑑による印影と登録印の印影は完全に一致しているとはいえない。また、本件では、被告の不正引出防止に関する注意についての職員についての教育、システムの整備が不十分であり、その結果窓口担当者も不十分な印影照合、本人確認しか行うことができなかったから、払戻には過失がある。 名古屋地方裁判所岡崎支部 大石啓子 2005年(平成17年)3月24日 平成16年(ワ)第76号 預金払戻請求事件 碧海信用金庫 高橋直紹弁護士 052(954)0345 本判決は、無権限者への預金払戻について、払戻請求者に正当な受領権限を有しないのではないかと疑念を抱かせるべき特段の事情のない […]
1、①開店直後、②500万円、預金の97%、③口座開設後の初めての払戻請求であった以上、身分証明書の提示を求める等して払戻権限の有無を確認すべきであった、との原判決の判断は相当である。2、①直前に1000円の入金があったこと、②口座開設支店から離れた支店での請求であったこと、③500万円、預金の約99%の請求であったこと、④払戻請求者は、500万円の現金を収納する鞄等を持参していなかった以上、身分証明書の提示を求める等して払戻権限の有無を確認すべきであった、との原判決の判断は相当である。 東京高等裁判所 根本眞、持本健司、片野格好 2005年(平成17年)5月25日 平成17年(ネ)第564号 […]
以下の事実のもとでは、預金払戻に際して担当者は身分証明書の提示を求める等して払戻権限の確認をするべきである。事例1「①開店直後の請求、②金額は500万円、預金の97%相当額、③口座開設後の初めての払戻請求であった」。事例2「①払戻請求の直前に1000円の入金があり、②口座開設支店から離れた支店での請求であり、③金額は500万円、預金の99%相当額で、④払戻請求者は、500万円の現金を収納する鞄等を持参していなかった」 東京地方裁判所 坂井満、佐藤重憲、芝田由平 2004年(平成16年)12月24日 平成14年(ワ)第26794号 預金払戻等請求事件 (株)茨城銀行、(株)奈良銀行 関口正人弁護 […]
①払戻請求額が430万円で払戻当時の支払可能残高の約97%であったこと、②普段はキャッシュカードでの取引が通常であり、かつ、10万円を超える出金もなかったこと、③払戻担当者は、本件預金口座が原告の父親によって開設され、日常的にも同人が来店し、預金通帳を管理していることを認識しながら、別人に払戻しをした、という事情のもとでは、払戻請求者は、身分証明書の提示を求める等して預金払戻権限の有無を確認するべきであった。 大阪地方裁判所 瀧華聡之 2005年(平成17年)9月21日 平成16年(ワ)第1788号 預金払戻請求事件 近畿産業信用組 今井孝直弁護士 06(6362)5801 本判決は、無権限者 […]
破産免責が確定した破産者に対して、住宅ローンの保証保険会社が二重契約による年金融資は20%の自己資本基準を詐称した詐欺だとして損害賠償を求めた件につき、悪意による詐欺の意思がないとされた。 津地方裁判所 水谷正俊 2005年(平成17年)10月25日 平成16年(ワ)第141号 損害賠償請求事件 日本興亜損害保険(株) 村田正人弁護士 059(226)0451 日本興亜損害保険(株)が、住宅販売会社と破産者を相手取り、住宅ローン保証保険契約につき共謀して二重契約書を作成し「20%自己資金基準」を潜脱した年金融資を受けたのは詐欺であるとして、双方に損害賠償を求めた裁判である。判決は、住宅販売会社 […]
年金担保融資が公序良俗違反として無効とされ、また、このような融資方法及び業者が行った仮差押えの違法が認められ、業者に対する損害賠償請求が認められた事例 大阪簡易裁判所 増田輝夫 2005年(平成17年)10月7日 平成17年(ハ)第6187号、平成17年(ハ)第8133号 貸金請求事件、損害賠償反訴請求事件 ゆとり 久岡英樹弁護士 06(6365)1808 本件は、貸金業者から平成15年6月28日から同17年3月10日まで、年金担保で融資を受けていた高齢者(79歳、女性)に対し、貸金請求訴訟が提起された事例である。貸金業者は、同年4月15日、女性の年金が振り込まれる銀行口座に対して仮差押えもし […]
年金担保被害の事例で、年金担保貸付行為の不法行為性を認め、また、取引途中で同族会社間での営業の移行がなされた点につき、移行前の会社の行為と移行後の会社の行為とを一連一体のものと評価し、共同不法行為を認定した裁判例 大阪地方裁判所 小西義博、梅本幸作、大黒淳子 2005年(平成17年)10月6日 平成15年(ワ)第12082号、平成16年(ワ)第6500号 不当利得金返還請求事件 (株)ゆかり、播磨信販(株) 山田治彦弁護士 06(6360)2031 貸金業者が債務者の年金証書、年金受給口座の通帳等を取り上げ、年金受給口座から年金を引き落として返済を受けるという年金担保被害の事例である。 裁判所 […]
年金担保被害の事例で、原審が年金担保設定行為と金銭貸付行為とを別個の行為として貸金行為の不法行為性を否定したのに対し、これらを不可分一体の行為として、全体について不法行為性を認めた裁判例 大阪高等裁判所 横田勝年、植屋伸一、末永雅之 2005年(平成17年)9月30日 平成16年(ネ)第3027号 損害賠償請求控訴事件 ファミリーローン(株)、ファミリークレジット(株) 山田治彦弁護士 06(6360)2031 貸金業者が債務者の年金証書及び年金受給口座の通帳を取り上げ、年金受給口座から自動送金で返済を受けるという年金担保被害の事例である。 原審は、年金担保設定行為と金銭貸付行為とを別個の行為 […]
年金担保業者の会社の不法行為の他、会社代表者の不法行為も認め、会社と連帯して同額の損害賠償額の支払を命じた事例 大阪高等裁判所 竹中省吾、竹中邦夫、矢田廣高 2005年(平成17年)10月19日 平成17年(ネ)第1289号、平成16年(ワ)第11525号 損害賠償請求控訴事件 (株)エスエス 植田勝博弁護士 06(6362)8177 裁判所は、「被控訴人阪田は、被控訴人会社設立の中心的な人物であったところ、被控訴人会社設立後代表取締役に就任し、十数年にわたり代表取締役を務め、代表取締役退任後も、取締役の地位に留まり、被控訴人会社の事実上の経営者として経営方針を自ら決定するなど、経営に関与して […]
年金担保取引について、取引をした会社だけではなく、代表者個人についても民法709条の不法行為であるとして、会社との共同不法行為者として連帯して損害賠償の責任を負うとした事例 大阪高等裁判所 武田和博、松山文彦、鈴木和典 2005年(平成17年)9月30日 平成17年(ネ)第939号、平成16年(ワ)第4210号 損害賠償請求控訴事件 (株)エスエス 植田勝博弁護士 06(6362)8177 年金担保取引は不法行為として業者会社と代表者個人が連帯責任を負うとした事例。 一審大阪地裁は、会社の責任として、業者の取得年金から資金額を差引いた額、約354万円と慰謝料30万円、弁護士費用38万円の支払を […]
GEへの過払金請求訴訟で、第1の取引と第2の取引との間、7年以上全く取引が無いが、第1取引の過払金を第2取引の貸付に充当した判決。なお、みなし弁済も否定し、悪意利息は年6分が認められている。 前橋地方裁判所太田支部 菅原崇 2005年(平成17年)9月9日 平成16年(ワ)第158号 不当利得返還請求事件 GEコンシューマー・ファイナンス(株) 斎藤匠弁護士 0276(30)2345 1 GEへの不当利得請求訴訟で、第1取引(昭和60年7月8日か.ら平成元年3月2日)と第2の取引(平成8年5月2日から平成14年3月4日)との間、7年以上全く取引の無い事案で、第1取引の過払全を第2取引の貸付に充 […]
特定商取引法の特定継続役務提供契約における中途解約金の精算に関し、ポイント購入時のポイント単価とは異なる単価により精算するとの特約は違法と判示した事例 東京地方裁判所 2005年(平成17年)9月26日 平成16年(ワ)第21128号 授業料返還請求事件 NOVA 杉浦幸彦弁護士 03(3350)5955 NOVAは、購入時の単価ではなく、消化したポイント数に対応する単価を適用するとの約款上の精算特約等を根拠に、原告が期待した金額を大きく下回る精算金しか支払おうとせず、原告の了承が得られないと見るや、順次増額した案を提示して事の終息をはかろうとしたが、原告は、NOVAの提示顕やこのようなNOV […]
第一審判決と同旨。但し、慰謝料請求は全面的に棄却された。 東京高等裁判所 根本眞、片野悟好、小宮山茂樹 2005年(平成17年)4月27日 平成16年(ネ)第4939号 損害賠償請求控訴事件 気光治療院こと秋元繁 永井義人 03(3350)5955 第一審と同じ。但し、治療費用言291万9000円全額の返還を受ければその損害は回復できたとして、これに加えて慰謝料を別途認めることは相当ではないと判断し、第一審で認められた全100万円の慰謝料請求は否定された。弁護士費用も金20万円に減額された。 尚、被告は詐欺罪で逮捕され、平成17年10月末日現在、勾留中である。 判例速報No.918参照。
「多発性骨髄腫」というガンに罹患していた原告に対する被告の「遠赤外線エネルギーを患者の体内に取り入れ」「それを気エネルギーに変換することで血行を促し」「免疫機能や体力を回復する」という「独特な」考え方に基づく「画期的な癌治療法(被告治療法)」を施すという原、被告間の契約は、原告の自由な判断乃至意思決定のもとに行なわれたということは到底できず、詐欺的乃至公序良俗違反のものと判断するべきものであるとして、治療費相当額金291万9000円のほか、慰謝料として金100万円の懲罰的賠償、弁護士費用39万円の支払を命じた事例 東京地方裁判所八王子支部 園部秀穂 2004年(平成16年)9月13日 平成15 […]
宗教法人法の華三法行の代表役員福永法源らが「天声」「足裏診断」等の手法により修行代等として金員の交付を受けた行為について、①被害者は錯誤状態に陥っていた、②教団創設の経緯、足裏診断開始の経緯や診断の実態、修行参加勧誘システム等の事実からすれば、故意及び共謀があった、③憲法20条1項の信教の自由の限界を逸脱し司法判断の対象となる、として詐欺罪の成立を認め、福永に対し懲役11年、責任役員に対し同4年の実刑に処した事例 東京地方裁判所 青柳勤、野原俊郎、森川佳奈 2005年(平成17年)8月1日 平成12年(わ)第1689号、第2001号、第2275号 詐欺被告事件 福永法源ほか(宗教法人法の華三法 […]
食品添加物として未承認のエトキシキンの含まれた健康食品の販売については不完全履行であり、購入者が飲用消費していて返還できないとしても完全履行できない販売主(売主)には代金を賠償する責任がある。 大阪高等裁判所民事第9部 枡田幸三 2005年(平成17年)10月14日 平成17年(ネ)第432号 損害賠償請求事件 サントリーショッピングクラブ、サントリー 井上善雄弁護士 06(6202)5050 平成17年10月14日大阪高裁民事9部(桝田幸三裁判長)は、サントリーの健康食品(未承認食品添加物エトキシキン入りのアスタキサンチンを含むイチヨウ葉やブルーベリーの錠剤)をめぐる事件(平成17年1月2日 […]
加害業者の預金の差押えについて、銀行の支店を特定せず預金口座を一括仮差押えした事例 岡山地方裁判所 野々上友之 2004年(平成16年)12月16日 平成16年(ヨ)第223号 債権仮差押命令申立事件 公表しない 首藤和司弁護士 06(231)3535 1 本件は、外国為替証拠金取引を標榜する業者が、株取引の経験さえない専業主婦に対し、「豪ドルを買えば必ず儲かる。100万円出せば毎月3万3000円、1000万円出せば毎月33万円の利益が上がる」などと執拗に勧誘し、外国為替証拠金取引に仮託して前後4回にわたり総額756万7000円を支払わせたとの事案である。 2 この業者については、実体がよくわ […]
おれおれ詐欺の口座名義人である「加害者」(犯人)は、編されてお金を振り込んだ「被害者」に対して、振り込まれた被害金245万3000円を全額支払えという判決を言い渡した。これを受けて、被害者は、振り込み先の銀行に対して、預金債権を差押えて(強制執行)、全額、これを回収することに成功した。 長野地方裁判所松本支部 2004年(平成16年)12月9日 平成16年(ワ)第220号 損害賠償請求事件 公表しない 山内道生弁護士 0263(36)1672 訴状の公示送達による「欠席判決」なので、事件の手口、内容を紹介するに止める。 当事者のうち、おれおれ詐欺の加害者は東京に住む実在の人物で、その所在は行方 […]
ATMによる貸付けおよび返済が繰り返された事案において、ATM明細書の一部が提出されていないとき、その未提出部分については、当該書面が交付されたと断定することはできず、みなし弁済の適用は認められない。みなし弁済の適用がない部分についても、みなし弁済の適用があり、その効果が発生するとの前提での弁済充当の内容を記載した不正確なATM明細書では、18条書面の交付があったものとすることはできない。 さいたま地方裁判所 2005年(平成17年)8月31日 平成16年(レ)第61号 不当利得返還等請求控訴事件 アコム(株) 三上理弁護士 03(3571)6051 ATMによる貸付けおよび返済が繰り返された […]