クレジット会社等に対する合計4100万円の負債があり、そのほとんどは特定の販売店と共謀した着物等の売買の架空契約によって発生した事案について、裁判所は浪費の事実を認めながらも、販売店に利用された側面があることは否定できない等々の事由を考慮して免責決定をした事例 岡山地方裁判所 平成7年(モ)第3367号 平成8年4月5日 免責申立事件 河田英正弁護士 086(231)2885 ブティックモナミ 破産者は、呉服、洋服販売等を営むブティックモナミこと山本から両親への贈り物として着物一式を約160万円で買い、それまでの買掛金を含めて約400万円のローンを組み、その後も同様の方法で取引をして負債が増加 […]
空リースであることを知らずになした連帯保証契約について、錯誤の主張を認めた事例 仙台地方裁判所 平成5年(ワ)第110号 平成8年2月28日 リース料請求事件 千田功平弁護士 0191(21)2417 エヌイーシー商品リース株式会社 判決は、本件リース契約のような「ファイナンスリース契約においても、賃貸借契約という法形式が採用されているのであるから、賃貸借契約の要素があることを全く否定することはできず、リース業者はユーザーに対してリース物件の引渡義務を負い、リース物件の引渡がない場合には、ユーザーはリース料の支払を拒絶することができる」と判示した。しかし、「ユーザーがリース物件の引渡を受けてい […]
眺望をセールスポイントにしてリゾートマンション販売したが、同じ業者がその眺望を阻害するマンションを建設したことについて、建設業者と販売代理店に不法行為を認めた事例 横浜地方裁判所 平成6年(ワ)2855号 平成8年2月16日 損害賠償請求事件 木村保夫弁護士 045(212)1503 株式会社亀山社・伊藤忠ハウジング株式会社 亀山社の代理人伊藤忠ハウジングがマンション808号室を原告に売却したが、そのマンションの東側に眺望等を阻害する別のマンションを建てる計画が亀山社にあり、これを故意または過失により秘して販売した事実までは認められない。 しかし本件マンションのパンフレットなどによれば、「温泉 […]
変額保険が高い投資リスクがあるのに説明義務を尽くさず、適合性の原則の趣旨、断定的判断の提供にもあたるとして不法行為を認め、過失相殺6割と認定して保険会社に4割の損害賠償義務を認めた事例 東京高等裁判所 平成7年(ネ)1557号ほか 平成8年1月30日 損害賠償請求控訴事件ほか 小島延夫弁護士 富士銀行・朝日生命保険相互会社ほか 朝日生命と外務員は変額保険被害者に834万円余の支払を命じ、富士銀行と行員に対する請求を棄却した判決である。 判決は変額保険が定額保険とは著しく性格を異にし、高収益性を追求する危険性の高いものでありかつ保険契約者がその投資リスクを負い、自己責任の原則が働くことを説明すべ […]
2回目の破産宣告後免責申立で前回の免責決定の後10年以内で免責不許可事由が存在する場合であるが、破産者の債務を負担した経緯などが考慮され裁量的に免責が認められた事例 宇都宮地方裁判所足利支部 平成7年(モ)第71号(平成7年(フ)第4号) 平成8年1月26日 免責申立事件 春山典勇弁護士 0277(52)3210 浪費や詐欺的取引など免責の許否が問題となる事案について裁判所は解釈により「免責不許可事由」には該当しないとして免責を許可するのが一般的である。しかし本件では前回の免責決定確定後10年以内という不許可事由の性質上その方法は採りえず、正面から裁量による免責を認めたものである。 申立人は夫 […]
日本アムウェイ株式会社(アムウェイ)が「アムウェイ商法を告発する」と題する本の頒布禁止仮処分申立事件において、アムウェイが「マルチ(まがい)商法」にあたる取引をしているとの認定をして仮処分を認めなかった事例 東京地方裁判所 平成7年(ヨ)第2631号 平成7年12月22日 出版物頒布禁止仮処分命令申立事件 芳永克彦弁護士 03(3355)2841 日本アムウェイ株式会社 アムウェイは株式会社あっぷる出版社、著者山岡俊介、発行者北原章に対し、債務者らの発行する本の記述のなかで、その営業が「マルチ(まがい)商法である」などの、アムウェイの名誉を侵害する違法な記載があり、その出版、販売頒布を禁止する […]
ダイヤルQ2について、情報料も通話料も電話加入者に支払義務がなくまた、すでに支払ったダイヤルQ2料金はNTTより加入者へ不当利得として返還を命じた事例 札幌地方裁判所 平成4年(ワ)第461号・平成4年(ワ)第1773号 平成7年12月21日 債務不存在確認請求事件 高橋剛弁護士 NTT 本件は、いわゆるダイヤルQ2札幌事件である。判決は、Q2情報料については(情報業者(IP)ではない)、NTTに対する訴えの利益を認め、契約はIPと利用者で成立するもので、加入者は関与していないので請求できないとした。電話サービス契約約款162条ないし164条はNTTがIPに代わって回収することを規定しているも […]
生活費名目で、別居直後の夫が、無断で妻を連帯債務者としてした20万円の借金について、日常家事債務の連帯責任を認めた横浜簡易裁判所の原判決を取り消して、これを否定し、業者の貸金返還請求を棄却した事例 横浜地方裁判所 平成7年(レ)第34号 平成7年12月14日 貸金請求控訴事件 星野秀紀弁護士 クレジットミヤコこと池田次郎 事案の概要は、平成6年8月頃から夫の両親と同居していた夫婦と3人の子どもの家族が、夫が生活費を渡さず、借金が多く、両親との喧嘩も絶えないので、妻が3人の子どもを連れて10月23日頃別居したところ、夫が11月7日にサラ金業者から20万円を生活費名目で借り、妻の名前を無断で連帯債 […]
外国語教育と高度の幼児教育を行うことを約して園児を募集した新設の私設幼稚園について、入園契約の債務不履行があるとして契約解除を認めた事例 浦和地方裁判所 平成5年(ワ)第1224号外 平成7年12月12日 預託金返還請求事件 池本誠司弁護士 048(839)0611 レーシー国際幼稚舎 新設の被告幼稚園は、外国人講師をおいて自然に英語に親しめるようにする、従来の幼稚園より高いレベルの幼児教育を行う、希望に応じて専門科目の教育も行うなどと強調して園児を募集し、平成5年4月初めに78名が入園した。ところが実際は、外国人講師は5人の予定が2人しかおらず、クラス担任は幼児教育の経験者がほとんどおらず、 […]
先物取引の勧誘が違法であるとして約2868万円の損害賠償を認めた事例(過失相殺4割) 東京地方裁判所 平成5年(ワ)第1240号 平成7年12月5日 損害賠償請求事件 安彦和子弁護士 宝フューチャーズ株式会社ほか2名(外務員) 先物取引業者が「米国大豆を200枚買うと間違いない。860万円儲かる」などと虚偽の断定的判断を提供して勧誘し、説明書類を交付したのは取引開始後で書類の内容も説明しなかった。 取引開始後追証を出せば損を免れるとの説明でさらに追加して証拠金を出し、両建取引がされ、さらに小豆取引を従来の取引の追証を免れるために有効な方法であるとの説明を受けて行った。 その後、原告は業者に騙さ […]
①サラ金債権者が正確な金銭消費貸借契約を特定できないために、一定期間内の借用証明書一切および帳簿一切の文書提出命令を求め、認められた事例②貸金業規制法の法定の保存期間を経過した帳簿は破棄されたとの被告の主張に対して、破棄の事実を認められないとして提出命令を出した事例 富山地方裁判所高岡支部 平成7年(モ)第257号 平成7年11月9日 文書提出命令申立事件 松山秀樹弁護士 078(371)0171 三県商事株式会社 原告は、原告と被告との金銭消費貸借は昭和55年4月15日から平成5年10月28日までの間継続し、原告はその間利息制限法を超過する利息を支払い続けたから、被告主張の貸付金はすべて弁済 […]
信販業者の立替払金請求に対し、展示会大賞の大鉢は割販法の指定商品にあたり、書面によらない「口頭の」クーリングオフを認めた事例 鳥取地方裁判所米子支部 平成6年(ワ)第150号 平成7年9月5日 立替金請求事件 高橋敬幸弁護士 0859(34)1996 西日本信販株式会社 展示会の大賞の大鉢も割販法の「定型的な条件で販売する商品」で政令の「屋内装飾品」にあたる。 作者や作品の個性があっても、購入者の注文によって作成されたものやその注文で仕入れたものなど特殊なものは格別、代替性がないことをもって指定商品にならないことはない。 消費者保護を旨とする割販法によって購入することの予想される商品には規制を […]
国内公設先物取引において勧誘から取引終了までの一連の行為に不法行為が成立することを認めた最高裁判決
―最高裁判所平成三年(オ)第二二0号損害賠償請求事件・平成7年7月4日第三小法廷判決―
免責に対する異議申立がされたが、浪費や虚偽申告の借入れがあるものの、平均的な破産者の浪費であり業者の調査能力や貸付の状況などを考慮して裁量免責とした事例 神戸地方裁判所尼崎支部 平成7年(モ)第2168号 平成8年3月11日 免責申立事件 尼崎あすひらく会(植田勝博弁護士) 06(6362)8177 株式会社レイク 破産者の免責に対し、レイクより、すでに支払不能であるにもかかわらず、年収230万円、既借入額100万円との虚偽申告により借入をしたことは、破産法366条の9第2号にあたるとの理由、および18万円の月給のうち返済に10万円充てていたなら負債が減るはずなのに、負債が増えたことは浪費にあ […]
担当者の判断で9カ月弱の期間に株式の信用取引を33回行い、投入資金に対する手数料比率が年率3割を超えたケースで、裁判所は一任売買と過当売買という認定をし、これらの行為が不法行為となることを前提に損害額の6割にあたる金1455万円の損害賠償額を和解案として提示し、双方が受諾した事例 東京地方裁判所 平成4年(ワ)第15059号 平成8年2月16日 寄託物返還等請求事件 桜井健夫弁護士 勧角証券株式会社、勧角ファイナンス株式会社 本件は、無職の40代の男性が、証券会社の担当者に勧められて株式の信用取引を始めたところ、当初の取引を除き担当者の判断で9カ月弱の期間に株式の信用取引が33回(買い、売りを […]
従業員が無断で会社社長の個人名義の電話でダイヤルQ2を利用した事案において、ダイヤルQ2利用時のダイヤル通話料(通話料・消費税)支払債務について、約款118条により誰がダイヤルQ2を利用したとしても加入契約者が支払わなければならないとしたうえで、本件事案においてはNTTが加入契約者に通話料の支払を求めることは信義則上許されないとして、債務の不存在を確認した事例 広島高等裁判所岡山支部 平成6年(ネ)第147号 平成8年1月30日 債務不存在確認請求控訴事件 森川雅弘弁護士 086(224)9337 NTT株式会社 本件は、会社社長がNTTに対して情報提供料および通話料の債務不存在の確認を求めた […]
破産終結後、免責確定前までになされた債権差押でも、右強制執行による弁済未了の間にその債務名義の執行力が排除された場合には、その債務名義に基づく強制執行の継続は許されないとした事例 神戸地方裁判所 平成7年(ワ)第923号 平成8年1月29日 請求異議事件 吉井正明弁護士 078(371)0171 有限会社大丸商事 本件は、被告が破産終結後に債権表を債務名義として、原告の給料債権に対し強制執行をしてきたものである。破産終結が平成7年4月24日、被告が債権差押命令を得たのが同年5月15日、免責決定が同年6月9日にでたが、被告が即時抗告し、右即時抗告が7月5日に棄却されたので、官報の掲載公告が7月1 […]
テレビ、冷蔵庫、洗濯機、タンスについて文化的で最低限度の生活を営むうえで必要であるとして、差押を取り消した事例 札幌地方裁判所 平成8年(ヲ)第29号 平成8年1月29日 差押禁止動産の範囲変更申立事件 市川守弘弁護士 011(281)3343 株式会社ジャックス 相手方は申立人を債務者とする立替金請求事件の判決に基づいて家財道具(カラーテレビ、冷蔵庫、電子レンジ、タンス等計9点、評価額3万2000円)の差押をした。 申立人夫婦と次男は破産申立準備中であり、また、申立人夫婦は聴覚障害者であった。 本件は、差押執行の立会人が、聴覚障害者である申立人の妻で、執行官が身分証明書の提示等もしなかったた […]
生徒らと予備校との間に、入学契約が締結されたところ、予備校の実態が、入学案内等における事前の表示、説明と相違し、これが債務不履行に該当するとして、予備校に対して、学費相当額、慰謝料および弁護士費用の損害賠償を命じた事例 大阪高等裁判所・最高裁判所 平成5年(ネ)第337号・平成7年(オ)第1141号 1995/9/29・1996/1/26 損害賠償等請求事件 村上久徳弁護士 阪大予備校 本判決は、大阪地方裁判所昭和62年(ワ)第4340号、同63年(ワ)第4360号事件に対する控訴審判決並びに上告審判決である。いずれも、1審原告(被控訴人、被上告人)の請求をほぼ認容したものである。ちなみに、1 […]
債務者が期限の利益を放棄して返済期限前に元金残額を返済しようとする場合でも、約定期限までの(未経過期間の)利息を返済する旨の特約(早期完済特約)条項は、例文に過ぎず、また信義誠実の原則に照らして不当な約款であり、公序良俗に反して無効であるとし、右特約に基づき受領した利息を不当利得として返還を命じた事例 大阪高等裁判所 平成7年(ネ)第1874号 平成8年1月23日 不当利得金返還請求控訴事件(原審京都地方裁判所) 浅岡美恵、菱田基和代弁護士 075(211)2774 京都証券信販株式会社 本件の債務者Yは、証券会社ないし信販会社と紛らわしい名称の不動産担保に貸付を行うサラ金業者で、年15%程度 […]