貸金業者の過剰融資について、過失相殺の法理を類推して遅延損害金の請求を否定し、貸金残額の支払いを求める限度でのみ請求を認否した事例 大分簡易裁判所 平成9年(ハ)844号事件 平成10年2月6日 貸金請求事件 河野聡弁護士 097(533)6543 ディックファイナンス(株) 被告は20代の男性会社員であるが、本件の貸付を受ける際に既に4社から合計540万円の借入があり、2社合計250万円の連帯保証人となっていた。年収は186万円で月額手取りは13万円程度だったが、支払額は既に月10万円を超えていた。被告は、借入申込みにあたり、既往借入額を1件30万円と記載し、所得も年収300万円と虚偽の記載 […]
原告銀行からの貸金請求に対し、銀行の顧客(被告)に対する預金払戻拒絶が不法行為に当たるとして、相殺の抗弁を主張し、認められた事例 山形地方裁判所 平成6年(ワ)299号・300号・301号 平成9年11月5日 貸金請求事件 小野寺友宏弁護士 022(266)4664 (株)山形しあわせ銀行 原告銀行は、被告のメインバンクであったが、被告の事実上の倒産に伴い、被告およびその連帯保証人に対し貸付金の返還を求める訴訟を提起した。これに対し、被告は次のような相殺の抗弁を主張して支払を拒んだ。すなわち、被告は、販売用のコピー機購入代金に当てる目的で、銀行から信用保証協会の保証のもと、600万円の融資を受 […]
欠陥住宅製造者と名義貸建築士に対し、土地・建物分譲代金をはるかに上回る賠償責任を認めた事例 大阪地方裁判所 平成8年(ワ)第2267号事件 平成10年7月29日 損害賠償請求事件 澤田和也弁護士 (株)ビーバーハウス、日新建設(株)、川瀬設計事務所 〈事案の概要〉 平成元年2月に奈良県生駒市で土地建物とも代金4250万円で買い受けられた2階建木造軸組住宅の擁壁・基礎・軸組躯体に著しい手抜き欠陥があり、大きく建物が不等沈下し、結局建物を取り壊し擁壁からやり直さなければ安全性を回復し得ないとして、この建物を製造した建設会社と、設計をして確認申請手続の代理をしたが、工事監理については単なる名義貸しを […]
顧客が委託した商品先物取引の内容および結果並びに預託した金銭の処理について、商品先物取引業者は、その都度売買報告書や残高照合通知書等の報告書類を送付していても、取引終了後、顧客の請求があれば、あらためて一括して書面により報告する義務があると認めた事例 名古屋地方裁判所 平成9年(ワ)第1613号 1998年9月18日 帳簿閲覧請求事件 森田茂弁護士 052(211)2236 豊商事(株) 本件訴訟は、原告が、商品先物取引における損害賠償請求の準備として、業者に委託者別先物取引勘定元帳および委託者別委託証拠金現在高帳の写しを要求したところ拒否されたため、裁判によりこれら法定帳簿類の閲覧謄写等を求 […]
外貨建ワラントの勧誘2月、株式に比べ値動きが激しいという程度の説明はしたが、株価が下がったときの価格変動やマイナスパリティのワラントの特質を理解できるような説明を怠ったとして、損害賠償請求を認めた事例(過失相殺4割) 浦和地方裁判所 平成8年(ワ)第2230号 平成10年7月21日 損害賠償金支払請求事件 池本誠司弁護士 048(839)0611 マイナスパリティのワラントの勧誘について、説明義務の内容をより具体的に要求した裁判例(東京高判平成8年11月27日判時1587号72頁)の流れに沿う事例である。 原告は、小規模な建設会社を経営し、宅地建物取引主任の資格を有するものであり、個人的に10 […]
コンビューターのリースについて、本件コンピューターには当初予測不可能な瑕疵があり、販売会社の右瑕疵への対応が不適切として、リース会社の瑕疵担保免責特約の主張は信義則上許されないとし、残リース料の請求を認めなかった事例 名古屋簡易裁判所 平成9年(ハ)第3167号 平成10年7月3日 リース料請求事件 栗山知弁護士 三洋電気クレジット(株) 原告(リース会社)は、被告(歯科医)とコンピューターのリース契約をし、右契約と同時に、非行は原告に対し、理由の如何を問わず物件の瑕疵を主張しないとうい特約(瑕疵担保免責特約)が記載された「リース物件借受証」を交付した。本件コンピューターの販売株式会社は、被告 […]
業者が譲渡担保の約定を理由に債務者の住居を占拠した行為について、不法な自力救済を理由に慰謝料50万円と賃料相当損害金を認めた事例 大阪地方裁判所 平成9年(ネ)第2463号 平成10年4月22日 損害賠償請求事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 株式会社オリエンタルワイドクレジット、テンショウこと天野哲林 債務者は、事業者を相手とする街金等の負債を払えず、被告業者が債務者の自宅のカギを付け替えて占拠をした。債務者は家族と共に友人宅や実家に転居を重ねた。 業者は債権を他に譲渡したため、債務者は譲渡業者とその経営者、債権の譲受業者に対して、慰謝料100万円と家屋の明渡、家屋の不法占拠によ […]
金融機関の当座貸越契約と保証委託契約(貸越極度額30万円)を妻が夫に無断で行った場合、両契約と当座貸越契約の基づく借入行為は、夫婦の日常火事に関する法律行為ではなく、表見代理の成立する正当理由もない、とした事例 大阪地方裁判所 平成9年(ワ)第1920号 平成10年1月26日 求償債権請求事件 小倉真樹弁護士 0742(27)3282 近畿しんきんクレジットサービス・補助参加人奈良信用金庫 本件は、家計を任されていた妻が、公共料金支払口座のある金融機関(補助参加人)の当該貸越契約と原告の保証委託契約を夫名義で行い(貸越極度額30万円)、またこの当座貸越契約に基づき借り入れも行ったところ、25万 […]
商品取引員は、信義則上、相手方の具体的理解力に対応した十分な説明をすべきで、この説明義務を履行しなかった場合は不法行為になるとし、説明義務違反と断定的判断の提供を認定し、過失相殺5割の認容判決をした事例 東京高等裁判所 平成9年(ネ)第1510号 平成9年12月10日 損害賠償請求控訴事件 樋口和彦弁護士 027(235)0110 株式会社新日本商品 委託者は取引開始時68歳の年金生活者であり、妻から相続した株を有しているが、先物・株取引の経験はない。 本判決は、一般論として不適格者を勧誘してはならない信義則上の義務を認め、この義務に反したときは不法行為を構成するとするが、本事案では委託者が自 […]
いわゆる名義貸による立替払契約に関し、信販会社の立替金請求を割賦販売法30条の4を適用して棄却した1審判決を維持したうえ、さらに、裁判前に販売会社との間で立替金をほぼ折半して負担する旨の和解をした顧客に対する立替金請求についても割賦販売法30条の4を適用して棄却した事例 名古屋高等裁判所 平成7年(ネ)第106号・第190号 平成8年8月29日 立替等反訴請求各控訴事件 向山富雄弁護士 0593(53)6576 株式会社ジャックス 本件は、エクステリア商品の販売会社の販売員が三重県下新興住宅団地の住民に対し、「モデル工事なので無償です」等と甘言を弄し、カーポート・テラス等のエクステリア商品を訪 […]
年金福祉事業団の窓口の年金福祉協会の低利住宅ローンにつき、協会が業者に融資金を振り込んだ後、業者が倒産し、融資金が借主に支払われなかったことについて、協会と借主の間で、債権を54〜59・9に減額して和解した事例 大阪地方裁判所 平成4年(ワ)第2407号・第3819号 平成8年10月25日 融資金返還請求申請事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 社団法人関西年金福祉協会 年金福祉事業団法により設立された年金福祉事業団の融資窓口として各地に設立されたうちの1つの、社団法人関西年金福祉協会(以下、協会)が、厚生年金の被保険者に融資をする制度が、業者に悪用されて多くの被害者を発生された事件 […]
自動車の販売店の従業員が成績を上げるために消費者との間に架空の自動車購入ローン契約書を作成したことは虚偽表示で無無効であり、その無効は割販法30条の4の抗弁にあたるとして業者の主張を認めなかった事例 大阪簡易裁判所 平成9年(ハ)第8542号 平成10年6月8日 立替金請求事件 吉田計之弁護士 06(6366)0781 日本総合信用株式会社 消費者は新規に自動車を購入するにあたって、所有していた自動車を下取りに出すとともに、残金166万円の現金を支払った。消費者は、販売店従業員から「成績を上げるために、ローンの支払いは会社で処理するのでローン申込書に署名してほしい」と言われて申込書に署名した。 […]
貸金業者の専属的合意管轄の主張を排斥し、東京地方裁判所から債務者の住所地の管轄裁判所である津地方裁判所松阪支部に移送決定した事例 東京地方裁判所 平成9年(モ)第3593号 平成9年5月27日 貸金請求事件 伊藤誠基弁護士 059(226)0451 日本百貨通信販売株式会社 本件は、日本百貨通信販売(株)の代表者個人が東京地裁に3重県松阪市在住の債務者に対して提起した貸金請求事件における債務者からの移送申立事件である。この代表者は、地方在住の債務者相手に、借用書に記載の専属的管轄合意の定めを盾に東京地裁や東京簡裁に訴えを提起することで有名で、本件でも自らが別件で獲得した債務者側からの移送申立に […]
破産債権による給付訴訟の上告審の手続中に、免責決定がされたことを理由に訴えを却下した上告審判決に対して特別上告がされ、これが棄却された事例
-最高裁平成八年(テ)第三〇号貸金請求上告事件 平成9年3月14日判決-
情報誌発行者が、広告中の電話番号の誤記による間違い電話の被害者に対し、責任を負うとした事例
-最高裁平成七年(オ)第二八九号損害賠償請求上告事件 平成10年3月12日判決-
マインドコントロールによる違法な勧誘・教化行為により入教して貴重な青春を奪われ、霊感商法など違法行為への従事等を強制された元信者らの人格権および財産権侵害の不法行為に基づく損害賠償責任を否定した事例 名古屋地方裁判所 平成2年(ワ)第1496号ほか 平成10年3月26日 「青春を返せ」名古屋訴訟 小関敏光弁護士 052(961)3071 世界基督教統一神霊協会 事件の概要 本件は、原告A、原告B、原告C、原告D、原告E、原告Fが、いわゆるマインド・コントロールによる違法な勧誘、教化行為により被告に入教して約1年ないし6年間にわたり貴重な青春を奪われ、霊感商法や偽装募金などの違法行為への従事、無 […]
訪問販売法10条2項2号、政令7条3号の解釈に関し、年2回以上の取引のある顧客にクーリング・オフを認めた事例 長崎地方裁判所 平成8年(ワ)第115号 平成10年3月18日 債務不存在確認等請求事件 熊谷悟郎弁護士 095−822−5795 フランスベット販売(株)、オリエントコーポレーション国内販売(株) 訪問販売法10条2項、政令7条3号を形式的に解釈すれば、年間2回以上の訪問販売に応じている顧客については、「継続的取引関係にある顧客」として、同法4条ないし7条の適用が除外されるから、クーリング・オフができないということになる。 現に業者は、そのような対応を行ってきているばかりか、クーリン […]
その他 情報誌の誤った広告電話番号の掲載について、出版社も広告会社と連帯して責任を負うとの上告審判決 最高裁判所 平成7年(オ)第289号 平成10年3月12日 損害賠償請求上告事件 大深忠延弁護士 ぴあ(株)、(株)サプライ 判例速報No.267の上告事件である。 重要判例抄録(21頁)にて全文を紹介している。 判決PDF
その他 所謂霊視商法が違法な詐欺行為と認定され、損害賠償責任が認められた事例 大阪地方裁判所 平成8年(ク)第8045号 平成10年2月27日 損害賠償請求事件 木村哲彦弁護士 本覚寺グループ 本覚寺グループにより引き起こされたいわゆる霊視商法による被害者救済のため、現在東京、大阪など全国各地で、訴訟が続いていますが、その先陣を切って、平成9年2月27日、大阪地裁で判決が言い渡されました。判決内容は、財産的損害については、弁護士費用(財産的損害の1割)も含め、過失相殺せずに全額請求を認容するもので、弁護団の全面勝訴と言ってもいいものです。なお、弁護団では、慰謝料として、財産的損害の1割に相当す […]
カード会社のカード利用代金請求訴訟で、カードを紛失した第三者により不正使用されたという被告カード会員の主張を認め、原告カード会社の請求を棄却した事例 東京簡易裁判所 平成9年(ハ)第10090号 1998年(平成10年)2月24日 立替金請求事件 宇都宮健児弁護士 03(3571)6051 ㈱ダイエーオーエムシー 本件は、カード入れを紛失した被告(カード会員)が、警察署に原告(カード会社)のOMCカードの紛失届を提出し、原告に対してもその旨の連絡をしていたにもかかわらず、カードの利用があった加盟店の会員が写真確認により被告がカード利用者に間違いないと証言したとして、被告の主張に全く耳を貸さず原 […]