証券会社及びその使用人は、一般の投資者を顧客として勧誘する場合、公害顧客の知識・経験・投資目的・資金力などに照らして、取引に関する適切なアドバイスを与え、適正な取引に導くべきであって、不適切に多量、頻繁な取引を勧誘してはならないという義務を負っている。 福岡地方裁判所 1998年(平成10年)8月31日 平成9年(ワ)第1918号 損害賠償請求事件 山崎吉男弁護士 高木証券株式会社 証券取引への投資は、投資者自身が自己の判断と責任のもとに行うべきものであるが、実状は、証券会社と一般投資者との間には、証券取引に関する知識、情報、経験等において格段の相違があり、一般投資者は専門家である証券会社から […]
証券会社の従業員が、ワラントの勧誘に際して、ワラントの概要を説明したものの、ワラントの価格変動の特性、権利行使期限を経過したときの効果等について十分に説明しなかった点について、説明義務を怠った過失があるとした。 名古屋地方裁判所 1998年(平成10年)2月23日 平成4年(ワ)3817号 損害賠償請求事件 浅井岩根弁護士 052(504)8030 野村証券株式会社 証券取引が投資家の自己責任で行われるべきであるということは、証券会社の行う投資勧誘がいかなるものであってもよいことを意味するものでなく、証券会社が、証券及び証券取引に関する詳細な知識と豊富な経験を有し、必要な情報の収集、分析及び評 […]
携帯電話機の販売業者の、一年間の解約制限期間内に解約した顧客に対する違約金請求が否定された事例
-大阪地方裁判所平成10年(レ)第一号違約金請求控訴事件 平成10年5月25日判決-
先物取引において、商品取引不適格者及び他人名義の取引をさせたことにつき、損害額の15%の損害賠償義務を認めた事例。 仙台高等裁判所秋田支部 1999年(平成11年)1月25日 平成9年(ネ)第65号 損害賠償・商品先物取引仕切差損金等請求控訴事件 津谷裕貴弁護士 カネツ商事株式会社 商品先物取引の仕切差損金の返還などを求めた事件であり、原判決を取消して金8,621,721円の支払を命じた判決である。 判決は、「かつて先物取引を行って多大の損失を被り、そのために事実上破産状態になり、取引終了時において仕切差損金すら支払えない状況にあった者は、その後の時間の経過により財産状況が好転し、再び自己資金 […]
信用情報センターに貸付自粛登録がなされていたにも拘らず、これを無視して貸付しに業者との間で元金の60%で和解が成立した事例。プロがミスしたというべき事件である。 那覇簡易裁判所 1999年(平成11年)5月27日 平成10年(ハ)第1269号貸金請求事件 宮里徳男司法書士 プロミス(株) 平成11年5月27日、那覇簡易裁判所において、貸金請求事件の和解が成立した。特殊なめずらしい事件であるので紹介する。 一 事件の概要 1、Aさんは結婚前からギャンブル癖があり、サラ金からの借金も度々であった。その都度、奥さんが実家等から手当てして弁済してきた。 2、平成9年10月21日、何度かの借金返済のため […]
住宅金融債権管理機構が、銀行に対して融資の紹介責任を追求していた事件で、銀行がその責任の一部を認めた和解例 東京地方裁判所 1999年(平成11年)2月1日 平成10年(ワ)第14487号、同年(ワ)第24617号 損害賠償請求事件 三木俊博弁護士 株式会社住友銀行 第一 前文 原告、被告及び補助参加人は、裁判所の強い和解勧告を受け、次の内容で和解する。 第二 和解条項 1 原告は、被告が旧住宅金融専門会社(以下「旧住専」という。)に対して、紹介した融資条件のうち、本件各訴状記載の5事案(紹介融資金額の未回収残高合計約50億円)につき、被告の法的責任を追及するため、訴訟を提起した。 加えて、原 […]
原告は早稲田大学卒で不動産賃貸業を営み、大和証券以外にも野村、岡3の各証券会社において現物株式のみならず信用取引の経験もある。 東京地方裁判所 1999年(平成11年)3月11日 平成7年(ワ)第10334号 損害賠償請求事件 田中清治弁護士 03(3470)5890 大和證券・ユニバーサル証券(株) 原告は大和証券の特定の担当者に取引を一任していたところ、当該担当者がユニバーサル証券に出向し、ワラント部長になったことを契機に不動産取引で得た約12億円を預託してなおも一任取引を継続したところ、平成2年3月1日から同月14日までの短期間に十数銘柄のワラントを代金6億円以上で買付けするなど、預託金 […]
免責手続中にされた強制執行(給与差押)は不法行為(など)との主張を棄却したが、判決書にて破産手続の問題を惹起していることを認め、破産手続と免責手続を一体とする法律が早期に制定されることを望むと付記した判決。(大阪免責差押事件) 大阪地方裁判所 1999年(平成11年)5月17日 平成8年(ワ)第13246号 免責事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 (株)エル(旧商号レイク)、(株)ダイホー 免責手続中の強制執行につき、最高裁平成2年3月20日判決はこれを認める判決をした。 右判決の原審は、免責の効果は「破産手続による配当を除いて責任を免れる」との規定と、破産者の更生のための法である […]
ゴルフクラブの預託金について、理事会の決議や事情変更の主張を退けて預託金の返還請求を認めた事例。 大阪高等裁判所 1998年(平成10年)12月17日 平成10年(ネ)2909号 ゴルフ預託金返還請求事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 ダイヤモンドリゾート 業者は、①預託金は「会則には、天災地変、その他不可抗力の事態が生じた場合、理事会の承認を得て預託金の据置期間を延長することができるとの規定が設けられており、現在のような未曾有の不況が続き、本件クラブ会員権を含むゴルフ会員権価格が大幅に下落し、しかも本件クラブ会員の半数が据置期間を経過しており、控訴人は、右会員らから預託金返還請求 […]
いわゆる霊視の被害につき宗教法人及び僧侶に対し、損害賠償を認めた控訴審判決。 大阪高等裁判所 1999年(平成11年)4月15日 平成10年(ネ)第1005号、第1941号 損害賠償請求事件 植田勝博弁護士06(6362)8177 (宗)本覚寺(宗)明覚寺他 霊能師による霊視鑑定をうたい文句にした、いわゆる霊視商法については、全国で被害者が発生し各地で訴訟が提起された。そのうち判決がなされたのは、大阪地裁事件(本誌35号判例和解速報271)だけであり、本件はその控訴審判決である。 右原審で被害者の損害のうち、慰謝料を除く財産的損害及び弁護士費用の全額を認めたが、本判決はそれを維持して控訴を棄却 […]
ココ山岡から5年後買い戻し特約付でダイヤネックレスを購入した者の父親に対し、信販会社が保証人ではないのに保証人として1回督促をし、さらにココ山岡被害対策弁護団から督促しないよう申し入れた後も1回督促した行為について、不法行為にあたるとし、購入者及び父親からの慰謝料請求全額(それぞれ50万円)が認容された事例。 札幌地方裁判所 1999年(平成11年)3月24日 平成10年(ワ)第526号 慰謝料請求事件 荻野一郎弁護士 東京総合信用(株) 原告X1は平成8年10月5日、被告とのクレジット契約によりココ山岡から5年後買戻特約付きでダイヤネックレスを購入したが、同社の破産により、5年後買戻の履行が […]
免責について、賭博遊興を理由に不許可とした原決定を取消して免責した事例。 東京高等裁判所 1998年(平成10年)9月3日 平成9年(ラ)第2121号 免責抗告事件 宇都宮健児弁護士 03(3571)6051 「抗告人は、その収入を省みることなく競馬に耽溺し、その結果多大な借金を負うに至ったものであるが、平成7年11月以降は競馬を一切やめている旨述べていること、抗告人は、破産裁判所の勧告に従い、僅かの勤労収入の中から積立を行い、勧告額の約半額の積立を行って債権者に配当していること、抗告人は現在職に就いて勤労に励んでいることは、いずれも前記認定のとおりである。 そして、抗告人の本件免責申立てにつ […]
多数回にわたるクレジットの名義貸人の責任を認め、信販会社は販売会社を自らの手足として業務をしているとして過失相殺をし4割の負担を命じた事例。 大阪地方裁判所 1999年(平成11年)1月28日 平成10年(ワ)第2122号 平成9年(ワ)第8720号債務不存在確認請求事件における反訴請求事件 稲波英治弁護士 06(6365)1173 セントラルファイナンス 呉服販売会社「なかにし」の従業員から被害者が名義を貸してほしいと頼まれて、クレジット契約書に契約者として3回にわたり自署した件について、名義を貸した者は、事情も知らず利益も出ていないものの、3度にわたり購入意思がないのに契約書に自署したこと […]
貸金業者の預金貯金口座に振込によって支払がなされたときに、貸金業法一八条一項の受取証書を直ちに債務者に交付しなければ、貸金業法四三条一項の適用を受けられないとした事例
-最高裁平成八年(オ)第二五〇号請求異議等事件・平成11年1月21日判決-
名義を冒用された者からの債務不存在確認請求が認められた事例。 大阪簡易裁判所 平成9年(ハ)第4072号 1997年(平成9年)12月17日 債務不存在確認請求事件 滝川あおい司法書士0729(81)5281 ハッピークレジット㈱ 裁判所は、本件契約が原告の作成した契約書等と認めることができず、原告の元同僚が業者との間で契約書を締結したと推認されるとして、原告の業者に対する債務不存在を認めたものである。 判決PDF
貸金業者からの借金について、貸金業法43条にあたらないとして不当利得金として原告の1人に約548万円、別の原告に約25万円と担保の抵当権の登記抹消を認めた事例。 金沢地方裁判所 平成9年(ワ)第365号 1998年(平成10年)3月20日 不当利得返還等請求事件 酒井紳一弁護士 ㈱シーアール・ホーム 貸金業法17条の趣旨は、契約の内容を明らかにし、当事者間の紛争を防止することにあるから、同条は、「いつ、誰が、誰に対し、金いくらを、どのような条件で貸し付けたか」という契約の基本的条項を明らかにした契約書面の交付を要求しているものと解される。元金一括払いの場合にも、利息については、元金とともに一括 […]
日本人向けにカナダにおいて航空免許取得のための教習を実施する会社が、顧客に対する勧誘等に際し、説明義務違反があり、また適切かつ誠実に教習を行うべき義務に違反したとして債務不履行又は不法行為によって、損害賠償責任を負うとした事例 大阪高等裁判所 平成8年(ネ)第2710号 1998年(平成10年)6月12日 損害賠償請求控訴事件 村本武志弁護士 ㈱パシフィック・インターナショナル・アカデミー 日本人向けに海外においてヘリコプターの免許取得のための教習を実施する被控訴人会社の従業員が、顧客である控訴人に対し、カナダでの教習の契約について説明をするに際し「追加費用が不要、完全パック料金等の記載があり […]
証券会社とその取締役に対する共同不法行為に基づく損害賠償請求を、義務履行地または不法行為地の裁判籍として大阪地裁に提起したことに対して、被告(相手方)住所地である東京地裁への移送申立を容認した原決定を、民訴法17条所定の移送要件があるとは認められないとして、取り消した決定 大阪高等裁判所 平成10年(ラ)950号 1998年(平成10年)12月8日移送決定に対する抗告事件 山崎敏彦弁護士06(6365)8503 山一証券株式会社 山一証券及びその取締役に対して、顧客らが、共同不法行為に基づく損害賠償請求をを求めた基本事件において、義務履行地または不法行為地の土地管轄として大阪地裁に提訴したが、 […]
本件は、ワラント取引により損害を被った原告が、証券会社及び担当営業マンに対し無断売買、説明義務違反等を理由に損害賠償を請求した事案である 最高裁判所 平成10年(オ)第388号 1998年(平成10年)12月18日 損害賠償請求事件 小野寺友宏弁護士 022(266)4664 野村證券㈱ 原告は海産物の小売・加工販売商店を経営しており、過去約10年にわたり、被告との間で国債、投資信託、株式等の取引をしていたが、大半は投資信託等リスクのあまり大きくない証券の取引であった。原告は、その取引のほとんど全てを妻に委ねていたが、妻も証券取引について深い知識もなく、大手証券会社である被告を信頼し、いわゆる […]
貸金業者Xが債務者Bの債権回収に際し、Bの母親Yに保証を迫った事案に関し、約9万円の保証債務の成立が否定される(本訴)とともにXに対する10万円の慰謝料が認められた(反訴)。その理由の前文は次のとおり。 福岡簡易裁判所 平成10年(ハ)第476号 1998年(平成10年)4月15日 貸金等請求事件 浦田秀徳弁護士092(925)4119 (有)アートクレジット Aは既に弁済期を徒遇した債権の行使のため無職無収入でかつ病弱な被告のものを突然訪れてその保証を迫ったものであって、債権行使の方法としては許容されるべき範囲を逸脱した違法なものであり、被告の平穏な生活を営む権利侵害したものとしてその損害を […]