日賦貸金業者が主債務者死亡後に連帯保証人に対して、債務の返済をするか、新たに連帯保証人をつけるように求め、連帯保証人を仕事中監視したり、義務のない親族を違帯保証人にするよう強制したことが違法であるとして、15万円の損害賠償晴求を認めた事例(控訴後控訴取下げにより確定) 佐賀簡易裁判所 平成8年(ハ)第9号 平成8年9月26日 損害賠償請求事件 団野克己弁護士 0952(29)5036 有限会社アルタ企画 本件は、最近特に問題となっている日賦貸金業者による違法取立ての事例である。 問題の取立ては、主債務者が多重債務を原因として投身自殺をしたことから始まる。業者は、連帯保証人である原告(40代の女 […]
求人広告等で軽貨物の仕事を斡旋して高額の収入を保証するとして勧誘し、前の仕事を退職させ軽貨物自動車を購入させたにもかかわらず、仕事をほとんど斡旋しなかった業者に対し、出損金額だけでなく慰謝料の支払も命じた事例大阪地方裁判所平成6年(ワ)第11352号平成8年9月4日損害賠償請求事件松田繁三弁護士06(6311)1690全日本軽自動車連合会こと田中健原告は、長年バス運転手をした後、嘱託でトラック運転手をしていた。平成6年1月、原告は、大手企業等とタイアップして募集に応じた者に仕事を斡旋し生活の安定と高収入(売上目標45〜65万円以上)が得られるようバックアップする旨の新聞折込みの被告の求人広告を […]
先物取引業者が主婦2人に対し行った勧誘、助言、指導の行為は全体として不法行為を構成するとしたうえで、過失相殺を1人については4割、もう1人については3割5分行い、損害賠償請求を認めた事例 岡山地方裁判所倉敷支部 平成2年(ワ)第185号 平成8年7月12日 損害賠償請求事件 佐々木浩史弁護士 オリオン交易株式会社 原告らは、いずれも主婦であり、いままで先物取引の経験が全くなかった者らであった。そのような原告らが約1年間にわたり先物取引を続け、それぞれ約1000万円と約500万円の損害を蒙った事案であった。判決では、無断売買等までは認定してもらえなかったが、断定的判断の提供、異様に多い両建、さら […]
興信所の未払報酬金合計540万円余りの請求に対して、業者が行ったと主張する調査の一部について、不要あるいは過剰な調査である判断して、請求額の4割を減額して312万円余りのみ請求を認めた事例(確定) 大阪地方裁判所 平成6年(ワ)第7710号 平成8年1月18日 報酬金等請求事件(業者が原告) 藤木敏之弁護士 株式会社長山愛子調査事務所 本件は、興信所が未払いである報酬金の支払を求めて訴訟を提起した事件である。被害者は結婚を約束していた上司の尾行調査を依頼したところ、業者は2個班(通常の調査員の2倍の調査員による調査。料金も2倍)で調査したとか特殊機器を使用したとか主張して7日間の調査について合 […]
展示会大賞の大鉢のクレジットによる購入契約を口頭で合意解除したことについて、これを有効とし、訪販法のクーリングオフ、割販法の抗弁を認めた事例
―鳥取地方裁判所米子支部平成六年(ワ)第一五〇号立替金請求事件 平成7年9月5日判決(原審)、広島高等裁判所松江支部平成七年(ネ)第八六号立替金請求事件 平成8年4月24日判決(控訴審)―
破産債権による訴えにいて、上告審手続中に免責決定が確定したことにより、訴えが却下された事例
-大阪高等裁判所平成八年(ツ)第一〇号貸金請求上告事件 平成8年8月22日判決-
一時払い保険料等の融資契約と一体となった変額保険の勧誘につき、変額保険契約の錯誤無効を肯定するとともに、生命保険募集人に説明義務違反があり、銀行員による勧誘それ自体も違法であったとして、銀行と保険会社に損害賠償を命じた事例横浜地方裁判所平成5年(ワ)第3719号平成8年9月4日損害賠償等請求事件山崎健一弁護士045(662)2226横浜銀行、明治生命、明治生命保険代理社原告ら(4家族の集団訴訟である)は第1次的には各契約の無効を主張し、本判決は、原告らはいずれも「(死亡保険金で)銀行からの借入元利金の返済ができなくなることはあり得ない」と認識したために契約したと認定して、変額保険契約の錯誤無効 […]
見本工事商法について、クレジット契約の名義貸しを承諾した被害者に信販会社に対する抗弁の接続を認め、かつ、事件発覚後販売店との間で割賦金の支払を分担する内容の和解を締結していても、和解の経緯に照らし、割賦法30条の4の適用は排斥されないとした事例 名古屋高等裁判所 平成7年(ネ)第106号、190号 平成8年8月29日 立替金等反訴請求各控訴事件 伊藤誠基弁護士 0592(26)0451 ジャックス 事案は、カーポート、テラスの訪問販売会社のセールスマンが、商品を購入すれば、一部の商品をモデル工事として無償にすると勧誘し、これに応じた被害者が、2年後ジャックスから無償であるはずの商品代金の請求を […]
エステ業者から美顔、痩身、脱毛等のサービスの代金の支払を求められたが、契約内容が公序良俗に反するとして争った結果、妥当な内容に変更する和解が成立するに至った事例。 福井地方裁判所 平成7年(ワ)第118号 平成8年8月22日 売掛金等請求事件 佐藤辰也弁護士 0776(27)0288 (株)カルテロード 原告(エステ業者)はエステサービスの代金を消費者に全額前払いさせプリペイドカードを発行していた。被告(消費者)はエステ業者のところで痩身、脱毛、美顔のエステサービスを受けていたが、効果がないこと、脱毛の施術が痛くて我慢できないとして途中でエステサロンに通わないようになり、脱毛、美顔のクレジット […]
破産債権による貸金請求の上告審の手続段階で、免責が確定したことにより、原判決を取り消して訴を却下した事例。 大阪高等裁判所 平成8年(ツ)第10号 平成8年8月22日 貸金請求上告事件 若松芳也弁護士 075(256)0525 セイブ四条店(被上告人) 本判決は、金融業者の破産債権による貸金返還請求事件の訴について、上告審の手続中に免責決定が確定したことにより、債権が消滅(自然債務説もある)したことを理由に、原判決を取り消して訴の利益を欠くとして訴を却下し、併せて原判決の仮執行宣言によりなされた動産執行の配当金の返還を命じたものである。 詳しくは本号重要判例抄録にて判決文全文の紹介を参照された […]
変額保険およびその保険料の支払のための融資契約締結の際、これを積極的に勧誘した銀行の支店長および保険の代理店の代表者らが変額保険の危険性を告げなかったとして、要素の錯誤により各契約を無効とし、その払い込んだ保険料の支払と借入のため設定した抵当権の抹消を命じた事例。 東京地方裁判所 平成5年(ワ)第24611号 平成8年7月30日 損害賠償等請求事件 栗原浩弁護士 (株)千葉銀行、日本生命保険相互会社、他2社 本件は尋常小学校を卒業後、農業に従事してきた当時68歳の男性(原告)が、銀行の支店長から変額保険の勧誘を受けて、6億円を銀行から借り入れ保険会社3社に対し合計約5億8000万円の保険料を払 […]
信販会社の教材セットと手数料85万9740円の請求に対し、販売業者の説明内容による消費者の理解(教師用指導書をメインとする教材)と商品の内容(消費者の理解したものは含まない)に錯誤があって、消費者には重大な過失がないとして控訴を棄却した事例。 京都地方裁判所 平成7年(レ)第32号 平成8年7月18日 立替金請求控訴事件 相良博美弁護士 控訴 (株)ジャックス 本号No.220の判決の控訴事件である。原審に比べて事実を詳しく認定し併せて錯誤における重大な過失の有無を検討して控訴を棄却した。 被控訴人は、本件売買の目的物ある本件教材には、市販されていない教師用指導書と同内容の教材が含まれるもので […]
債務者は差押金を供託し、その後債務者は、免責を得て請求異議の訴えと併せて強制執行の停止の申立をした。結局配当が実施される前であったので、免責の効果により業者は差押金の弁済を受けられなかった事例。 大阪高等裁判所 平成8年(ネ)第1213号 平成8年7月17日 請求異議控訴事件 吉井正明弁護士 078(371)0171 (有)大丸商事 業者は債務者の財産を差押したが、債務者は差押金全額を供託した。その配当実施前に免責が確定したので、供託金への執行力が消失したことを認めて業者の権利を否定した控訴審判決である。 業者は、配当実施前に免責が確定しても、この強制執行は業者1人だけだから配当手続きではなく […]
信販会社の教材セットと手数料85万9740円の請求に対し、販売業者の説明内容による消費者の認識と商品の内容に錯誤があるとして請求を棄却した事例。 京都簡易裁判所 平成7年(ハ)第146号 平成7年9月26日 立替金請求事件 相良博美弁護士 原告(株)ジャックス 信販会社の、教材セット62万8000円の立替金と分割手数料23万6740円の合計より申込金5000を差し引いた85万9740円の支払請求事件である。判決は次のとおり事実を認定し信販株式会社の請求を斥けた。 加盟店の業者営業員は訪問をして教材のサンプルを示し、教材は「答えが載っている、お母さんでもすぐに先生になれる本です」、「教師の指導書 […]
アトピー性皮膚炎が治るとの説明を受け、エステサロンに通ったがかえってひどくなり、退職を余儀なくされたのは被告の施術の方法、および説明の過誤によるものとして訴え、和解金として金20万円の支払いを受けた事例。 福井簡易裁判所 平成5年(ハ)第277号 平成7年6月9日 損害賠償請求事件 佐藤辰弥弁護士 0776(27)0288 みるくるーむ(エステ業者)・シーベヌ化粧品 事案は消費者がアトピーが治るとの説明を受けてエステサロンの美顔術を受けたところ、接触皮膚炎になったとして、エステ業者およびこれを指導する化粧品会社に対し、治療費、慰謝料、休業保証として合計金128万8940円を請求する裁判を起こし […]
株式購入資金融資の根保証について融資信販会社に説明義務等を尽くさなかったことを理由に保証人範囲を8割縮減した事例
―名古屋高等裁判所金沢支部平成六年(ネ)第一〇九号、同年(ネ)第一二四号貸金等請求控訴事件・平成7年3月2日判決-
消費者信用(電話キャッシング) いわゆる「電話キャッシング」の業態について、過剰貸付けの防止を目的とする貸金業規制法13条およびこれに基づく通達の趣旨に反する事態を招きかねず、同法のその余の規定の趣旨が没却されかねないところであって、同法に基づく行政処分や刑罰権の発動ないし行政指導の必要性が検討されなければならないと指摘した事例 福岡高等裁判所 平成8年(ツ)第1号 平成8年5月29日 貸金請求上告事件 河野聡弁護士 0975(33)6543 関西クレジット株式会社 最近、中堅サラ金のほとんどが「電話キャッシング」の業態を採用し、簡便な借入を強調して大々的に広告がなされている。電話キャッシング […]
いわゆる「車金融」の実質は車両を担保とした譲渡担保契約であるとし、業者が担保たる車両によって債権の回収を得たときは精算義務が存在するとして、顧客の不当利得返還請求を認容した事例 大分簡易裁判所 平成7年(ハ)1177号 平成8年5月21日 不当利得返還請求事件 河野聡弁護士 0975(33)6543 西南 「車金融」は、実質的には自動車を担保とした貸付であるが、形式的には売買契約書(買戻特約付売買契約)を作成し、車両は借主にリースとして利用させ、業者は毎月リース料名目で支払を受けるという業態である。業者はあくまで車両の売買であり、支払はリース料だと強弁して、出資法を越える高金利を実質的に取得し […]
包括根保証については、保証人の責任が過酷にならないよう、保証契約が締結されるに至った事情、債権者と主債務者との取引の態様・経過、取引にあたっての債権者の債権確保のための注意義務の程度、その他の事情を斟酌して、信義側に照らし、合理的な範囲に保証人の責任を制限するのが相当であるとして、原告の保証債務の履行請求を棄却した事例 神戸地方裁判所 平成5年(ワ)2154号 平成8年4月24日 詐害行為取消請求事件 大野康平弁護士 06(6365)5551 播州信用金庫 被告の元夫Tは、平成3年8月13日、原告に対し、信用金庫取引約定に基づきH(Tのいとこ)が原告に負担する現在および将来の債務について連帯保 […]
業者は購入者宅を訪問して立替払契約で商品を販売し、購入者は同業者より1年内にも商品を購入しているが、クーリングオフで前の契約が消滅しているときは、クーリングオフの除外規定にあたらず、本件クーリングオフは有効とした事例 広島高等裁判所松江支部 平成7年(ネ)第86号 平成8年4月24日 立替金請求控訴事件 高橋敬幸弁護士 0859(34)1996 西日本信販株式会社 本誌本号203番の控訴審判決である。 業者は、購入者宅を訪問して本件販売立替払いをしているのは(割販法のほか)訪販法にあたり、購入者は本件販売の1年内にクレジットでの商品購入をしたので訪販法10条2項2号、施工令6条2号により訪販法 […]