弁護士が任意整理の通知をして支払停止をした後に銀行に振り込まれた給与に対して銀行が行った相殺を権利濫用として無効とした事例 札幌地方裁判所 平成4年(ワ)第235号 平成6年7月18日 損害賠償請求事件 市川守弘弁護士 011(281)3343 株式会社北海道拓殖銀行 (事実の概要)原告から任意整理の委任を受けた弁護士が任意整理の通知をして支払停止した後に銀行に振り込まれた給与に対して、被告銀行は原告に対する当座貸越契約にに基づく貸金債権を自働債権、給与振込後の原告の被告に対する預金債権を受働債権として相殺をした。この相殺及び一連の預金払出し拒否行為を違法として、民法709条に基づき慰謝料10 […]
原告が走行中、急に加速するなど危険な走行状態になったのは、車両に設計上の欠陥があったとして自動車メーカーなどに対し、車両代金の返還などを求めていた裁判において、原告側が実質的な勝訴的和解が成立した事例 大阪地方裁判所 平成4年(ワ)第39号 平成6年7月19日 損害賠償請求事件 関根幹雄弁護士 イタリアの自動車メーカー・他2社 1 原告は1990年7月15日頃イタリア車を走行していたところ、急に加速したり、減速したりして、極めて危険な走行状態になった。そこで、原告は販売会社に対し、「車両のどこかに欠陥がある」と考え、調査するよう依頼した。 販売会社がメーカーに依頼して調査したところ、異常走行の […]
ダイヤの透明度の等級・VS1の保証に問題があり、2重価格表示の比較対照価格に不当表示の疑いがあり、さらにクレジット未精算のまま買替えが行われた事案について、販売店が消費者に既払い金約442万円および弁護士費用約33万円並びに信販会社に未払金全額を支払う内容の和解をした事案 大阪地方裁判所 平成5年(ワ)第3323号 平成6年6月20日 損害賠償請求事件 小谷寛子弁護士 06(6361)8717 株式会社美貴 (事件の概要)Aは銀座ジュエリーマキで540万円のダイヤ指輪をクレジットで購入した。同売買には買替え保証書(1年以内に買い増しする場合、当初買い上げ価格での下取り保証)が付いていた。数日後 […]
顧客の注文と異なった種類の投資信託が買いつけられた事案で、それが無断売買であるとして預託金の返還請求が認められた事例 横浜地方裁判所 平成5年(ワ)第504号 平成6年6月15日 預り金返還請求事件 石戸谷豊弁護士 045(212)3517 野村證券株式会社 原告は、昭和63年7月に、野村證券の勧誘を受けて「ファンドアンドファンド」あるいは「年金ファンド」と呼ばれる商品を1500万円買いつけた。この商品は、エースと中期国債ファンドという2つの投資信託を組み合わせたものである。ところで、このエースには「国債型」と「株式型」があるところ、原告は当初から勧誘されていた「国債型」を申し込み、それが約定 […]
79歳の1人暮し老人に1億円を預金してくれれば毎月50万円の利子を支払うともちかけ、同金員を投資信託につぎこんだが元本割れとなった事案で、元本割れした損金の約5割を支払うことで和解が成立した事例 仙台地方裁判所 平成5年(ワ)第1782号 平成6年5月27日 損害賠償請求事件 吉岡和弘弁護士 022(214)0550 日興證券株式会社 原告はアパート賃料や銀行利子で生活を維持する、被害当時79歳の1人暮しの老人である。原告は株式投資には一切関心もなく株式取引を行った経験はない。 被告仙台支店担当者は、原告の土地売却代金1億円を「ウチに預金してはしい。毎月50万円の利息を支払う」などと称して原告 […]
中小企業の経営者で証券取引を始めて約半年後に神戸製鋼所のワラントの勧誘を受けて、3451万円で購入したが、勧誘の際ワラントの説明が不十分で証券会社の説明義務違反の違法があったとして証券会社の責任を認め、証券会社の寄与割合は2割であるとして、約760万円の損害賠償を証券会社に命じた判決 大阪地方裁判所 1994年(平成6年)9月14日 野村證券(株) この判決は、数多くのワラント取引の問題点についての争点について次のとおり判断を下した。 1 ワラントの特質と危険性 ワラントの特質等については、法律的な位置づけを踏まえて、ワラン卜発行の制度的経緯、国内での取引自主規制の変遷等も紹介しながら、ワラン […]
「ママデリカ」の商標でフランチャイズ方式で行われていた「メオン事業」は、「欺瞞的な勧誘方法で参加者を募り、資格取得金の徴収によって資金獲得を図ったうえ、実際の商品配送業務の実施を遅らせることによって『イオン事業』の実態が露呈するのを防ぐためのシステムである」と認定し、違法な事業で不法行為を構成するとした事例 岡山地方裁判所 1994年(平成6年)7月14日 (株)メオンフーズ (事案の内容)原告は、昭和58年被告会社の行う「メオン事業」の説明会に参加した。被告会社によると、メオン事業とは、日本体育大学助教援(被告A)が主催する「心と体の健康回復研究会」が協力して、食生活の改善・文明病成人病をな […]
NTTのダイヤルQ2事業は電気通信事業法に違反する無認可事業として、形式違法性の疑いがあるなどの理由により、NTTのダイヤルQ2通話料14万1799円の請求控訴を棄却した事例 大阪高等裁判所 1994年(平成6年)8月10日 NTT 大阪地方裁判所平成5年3月22日付判決(本誌16号、判例和解速報№100・23頁、特集12)の控訴審判決である。 大阪高等裁判所の右判決(本判法は、①Q2情報料債務の不存在を求める確認の利益があるか否か、②加入権者はQ2情報料の支払義務を負うか、③NTTは加入者に対してQ2通話料を請求できるか、④NTTのQ2通話料の請求が認められないときに、加入者は加入電話を適正 […]
家庭用カビ取り剤による健康被害について被害者の請求を一部(70万円)認めていた一審判決を取り消し、「不法行為に基づく損害賠償の根拠とし得るほどの健康被害を受けたと認めることはできない」と判断して原告の請求を全面的にしりぞけた事例(上告)東京高等裁判所 1994年(平成6年)7月6日 ジョンソン(株) 噴霧式家庭用カビ取り剤「カビキラー」の使用により気管支炎等の健康被害を被った主婦がメーカーに対して製造物責任を追及した事件について、1審判決(東京地方裁判所)は被害者の請求を一部(70万円)認めていた。これに対して原告被告双方控訴していた。 控訴裁判所は、「原告がカビキラーを使うたびに咳が出、焼け […]
違法な利息を定めた公正証書の作成につき、公証人の過失を認めた釧路地裁平成5年5月25日判決(本誌20号34頁)の控訴審判決(同号39頁) 札幌高等裁判所 1994年(平成6年)5月31日 共同組合北見専門店会、国、司法書士 (判旨)審査義務の範囲について、「公証人は公証人法および同法施行規則において、公正証書作成にあたり作成嘱託が本人の意思に基づくものか、原因となる法律行為が有効であるかなど、一定の事項、範囲について審査する義務を負っているのであるが、積極的な調査権限についての定めを置いていないこれらの規定の上からは、この審査は基本的には形式的審査の眼度に止まるべきものと解される……しかし、形 […]
統一協会の信者らに先祖の因縁トーク等を用いて献金を強要されたことについて、信者らの「献身」や「万物復帰」という教義の実践であること等に基づいて統一協会に使用者責任を認め、献金相当額と慰謝料・弁護士費用の支払を命じた判決 福岡地方裁判所 1994年(平成6年)5月27日 世界基督教統一神霊協会 被害者のA女・B女はともに典型的な霊感商法の被害者であり、A女は絵画・仏像・印鑑・献金等で約4300万円の被害を受け、B女は印鑑・献金・貸金等の名目で約750万円の被害を受けた。 このうち物品被害については事前の交渉で解決し、貸金被害についても訴訟中に分割返済で終了した。結局A女の3000万円の献金とB女 […]
貸金業規制法13条および割賦販売法42条の3の過剰与信の禁止規定は訓示規定と解されているが、本判決は、これに違反する程度が著しい場合には、信義則を適用して業者の請求を一部無効とすると判示した事例 釧路簡易裁判所 1994年(平成6年)3月16日 (株)オリエントコーポレーション 本件は、平成2年2月から平成4年10月にかけて、原告((株)オリエントコーポレーシヨン)が支払能力のない主婦である被告に対し、5契約、合計200万円以上の貸付および立替払等の与信を行い、その残額を請求した事件。 本判決は、返済能力調査の方法について、年間収入から返済可能な金額を把握するためには、少なくとも手取り収入の調 […]
割賦金の支払を1回でも怠った場合に当然に期限の利益を失うとの約款がある場合に、債務者の弁済が期日から遅れがちになっていたという事案で、債権者が弁済を異議なく受領していたことなどを認定して、期限の利益の喪失を認めなかった事例(確定) 岡山地方裁判所 平成6年(ワ)第142号 1994/2/28 求償金請求事件 河田英正弁護士 086(231)2885 中銀カード株式会社 (事案の概要)20歳の会社員Aが、中国銀行の行員の勧誘により、「300,000円までは貸越が受けられる」カードと理解して、カードローンミニ契約およびバンクカード会員契約を結んでバンクカードの交付を受けた。Aは、200,000円の […]
割賦金の支払を1回でも怠った場合に当然に期限の利益を失うとの約款がある場合に、債務者の弁済が期日から遅れがちになっていたという事案で、債権者が弁済を異議なく受領していたことなどを認定して、期限の利益の喪失を認めなかった事例(確定) 大阪簡易裁判所 平成5年(ハ)第7461号 平成5年1月25日 貸金請求事件 谷英樹弁護士 和晃商事こと春山光子 被告は、1991年9月20日、原告から金300,000円の貸付を受けたが、その際の約定には、毎月15日限り利息と任意の元金を支払う、毎月の割賦金の支払を1回でも怠った場合に当然に期限の利益を失う、との定めがあった。 被告は3回目までは期日までに支払をして […]
マンション敷地上の駐車場専用使用権分譲の代金として分譲会社が受領してい金員について、マンション管理組合から分譲会杜に対する返還請求を認めた事例 マンションの共有敷地上に特定の区分所有者のために駐車場専用使用権を有効に設定し得ることについては、最高裁昭和56年1月30日判決がある。本件では、土地付マンション分譲につき、分譲会社がその敷地上に駐車場専用使用権を設定分譲して、その代金を受領したケースにおいて、その帰属先が争点となった事案である。 福岡地方裁判所小倉支部 平成2年(ワ)第987号 平成6年2月1日 駐車場専用使用権分譲代金返還等詩求事件 金弘正則弁護士 093(581)7861 山内興 […]
期限の利益喪失約款によって期限の利益を失った後も「従来どおりの約定で支払うこととし、2、12日の遅延は宥恕する」旨の新たな合意の成立を認めて、利率は年1割8分に制限されるとした判決 大阪簡易裁判所 平成5年(ハ)第8699号 平成5年12月20日 債務不存在確認等請求事件 養父知美弁護士 サラローンますめ 平成2年3月30日の支払を怠った事実は当事者間に争いがないから、同日の経過によって特約により当然に期限の利益を失い、被告としては残元金の一括返済と利息より高率の遅延損害金の支払を請求できることになるが、他方被告において期限を猶予し期限徒過後も原告に元本の利用を許し、元本利用の対価である利息の […]
ゴルフ場の経営母体がゴルフ場施設を第三者の譲渡し、その取得者が同施設で別のゴルフクラブを開設し旧会員の地位を否認してきたのに対して、商法26条(商号を続用する営業譲渡人の責任)の準用により、旧会員が新ゴルフクラブの会員であることの地位確認を求めた事例 大阪地方裁判所 平成4年(ワ)第8401号 平成6年3月31日 ゴルフクラブ会員権等存在確認請求事件 国府泰道弁護士 湯の郷観光開発株式会社 ゴルフ場の経営会社の全株式が譲渡担保に供せられ、担保権者が、その実行により全株式を確定的に取得した。そして、旧経営会社を休眠させ、新たに湯の郷観光開発株式会社を設立し、「湯の郷カントリークラブ」の経営に当ら […]
販売店に対する信販会社の管理責任を実質的に認めた。販売店と顧客との間の売買契約が架空取引であることを認定したうえで、顧客がこのことに関して積極的に関与したわけではないとし、売買契約の通謀虚偽表示による無効を信販会社に対抗しうるとした判例 岡山地方裁判所 平成4年(ワ)第562号 平成6年3月17日 立替金請求事件 河田英正弁護士 086(231)2885 株式会社ジャックス等 被告は販売店から商晶を買っていたが、途中から販売店の勧めで実際の売買とは一致しない信販会社を利用をするようになった。販売店が信販会社から受け取る金銭のうち売買の裏付けがない金銭については販売店が運転資金などに利用し、その […]
日賦貸金業の脱法行為に対し、出資法の特例である109.5%の金利は徴収できない、として、利息制限法所定金利で計算して生じた過払金の返還請求を認容した判決 神戸地方裁判所尼崎支部 平成5年(ワ)第476号 平成6年3月7日 過払金返還請求事件 木村達也弁護士 ジャパンファイナンス 金業者が年40.004%の金利規制を脱法するため、日賦貸金業の届出をして、109.5%(日歩30銭)の高利を取る動きがある。 本件は、出資法附則9項に基づく届出をした貸金業者が喫茶店経営者に500,000円から1,000,000円を10回にわたって日歩30銭で貸し付けた。その返済方法は、原告の懇願により、被告が原告の指 […]
国内公設(金)に関する先物取引被害に関し、全面的な勝訴(過失相殺なし、慰謝料、弁護士費用を認める) 判決 岡山地方裁判所 昭和63年(ワ)第728号 平成6年4月28日(控訴) 損害賠償請求事件 河田英正弁護士 086(231)2885 第一商品株式会社 被告従業員らは、原告が退職金等により今後生計を維持してゆく予定の老人で、商品取引所の受託業務に関する取引所指示事項にいう取引参入不適格者である疑いがあり、その意思も金の現物を購入するだけで、先物取引について全く無知であり、説明しても十分理解できていないことを認識しながら、原告に対し、金の現物を購入するための書類と称して、金の先物取引を開始する […]