新車の塗装にムラがあり、フェンダーなどに傷があることなどを理由に、債務の不完全履行の解除及び損害賠償を認めた事例。 横浜簡易裁判所 平成2年(ハ)第504号 平成4年3月12日 損害賠償事件 石戸谷豊弁護士 045(212)3517 日産プリンス神奈川販売(株) 売買した自動車の特定時期は、登録手続完了日ではなく車の引渡日である。 本件は種類物契約であるから、給付した物に瑕疵があれば、給付は債務の本旨に従った履行とは言えず、不完全履行となる。本件自動車は、提供時にボンネット、トランク、屋根の部分が焼けたような色彩であった。これを明るいところで見ると、まるでツートンカラーのように見えるほどで、磨 […]
同居中の妻が判決正本等を受領した補充送達の効力について、当時受送達者(夫)との間に実質上の利害関係の対立があったとして、補充送達の効力を否定した。 大阪高等裁判所 平成2年(ネ)第936号 平成4年2月27日 土地所有権移転登記等請求控訴事件 三木俊博弁護士 惠・エイ・フーズ有限会社 原審は、控訴人(被告)欠席のまま、昭和57年5月11日被控訴人(原告)勝訴の判決を言い渡した(欠席判決)。控訴人は、原判決の送達が著しく不適法で原判決は確定していない、あるいは控訴の追完等を主張して、平成2年4月27日に控訴提起した。 本判決は、原判決正本の控訴人への送達(郵便送達)について、妻が交付を受けたと認 […]
証取法157条以下に基づいた一般投資家からの仲介申立につき、昭和23年の同法施行以来、全国で初めて大蔵省の協定案が出され、双方受諾した。約3000万円の賠償請求に対し、協定は、意思を十分確認しないまま注文を執行した、無断で買い付けた等として約1477万円の支払義務を認めたもの。 東海財務局 (※事件番号なし) 平成4年4月7日 損害賠償請求事件 岩本雅郎弁護士 052(962)3838 北村明美弁護士 大和証券(株) 証券会社担当者が、平成3年1月下旬、損を取り戻してあげると勧誘して所有株を損切りして売らせ、その後4月半ばまで無断売買を繰り返した。一般投資家代理人としては、訴訟・証券業協会の調 […]
専属的管轄合意があっても、訴訟の著しい遅滞を避けるべき公益上の必要がある場合には、民訴法31条により他の管轄裁判所に移送でき、人証予定者がいずれも富山在住者である本件では富山簡易裁判所に移送するのが相当であるとして、原判決を取り消した事例。 京都地方裁判所 平成3年(ソ)第3号 平成3年12月24日 移送申立事件 山本直俊弁護士 有限会社商工社 消費貸借契約中に専属的管轄条項があるために、貸金業者が主債務者及び連帯保証人に対し、京都簡易裁判所に訴訟を提起した。しかし、本件債務は原告富山市店に関するもので、人証は、被告らを含めて全て富山県在住者等であるため、原告らが移送申立をした。原審は、専属的 […]
野村証券株式会社松戸支店に保管を委託した株券等について、信用取引の追加保証金に充当したとの証券会社の抗弁について、信用取引の成立を否定し、右株券等の引渡請求を認めた事例。 東京地方裁判所 平成2年(ワ)第13132号 平成4年1月22日付 株券等返還請求事件 佐藤恭一弁護士 03(3567)0701 野村証券株式会社松戸支店 本件の争点は、原告は被告に対し、平成2年8月31日、帝通工の2万株の株券を信用取引により買い付けすることを依頼したか、である。 この点について、裁判所は、①原告は信用取引の危険性を認識しており、それまで信用取引を行ったことはなかったから、もし、同人が本件信用取引を承諾した […]
不正行為を繰り返していた販売店に対して通常の取引を停止していた信販会社が、販売店に対する不良債権を回収するために締結した立替払契約に基づき残金全額を被告に請求することは信義則に反するとして過失相殺の法理(民法418条)を類推適用して支払責任を9割近く減額した 東京地方裁判所 平成元年(ワ)第7929号 立替金請求事件 久保田紀昭弁護士 03(3567)2377 シャープファイナンス(株)・日本自動車販売(株) 日本自動車販売(株)が車を販売する際、代金を現金で受け取るにも関わらず、購入者に対して車代金をやすくする方法があるので書類に署名等をしてほしいと誘いをかけ、架空の立替払契約を締結させて割 […]
薬事法違反の商品を製造した製造会社とこれを違法なマルチまがい商法で販売した販売会社、及びこれらと加盟店契約をして信用供与をしていた日総信ら信販会社10社に対する損害賠償並びに債務不存在確認訴訟について和解が成立 大阪地方裁判所外 昭和61年(ワ)第2638号外 平野鷹子弁護士 06(6365)0180 日総信外 ①被告の販売していたラドン発生装置(スーパーラドン)が薬事法にいう医薬品か否か。通常はその形式や名称だけでなく標ぼうする効能効果も含めて判断されるが、放射性物質を利用するものについては昭和59年の通達により、特に効能効果に関する表示が厳しく制限され、単に健康によい旨の表現も許されていな […]
①立替払金請求事件について、加盟店が名義を借用するに際し、クレジット会社も名義人の妻、名義人の母から電話確認の承諾を得ても、「日常家事に関する法律行為に」にはあたらないため名義人に責任はない。 ②名義を冒用された者が十分事情を説明しているのに、クレジット会社が画一的に文書を送り訴訟を提起し、二重基礎にまで至ったのは不当であるが、「著しく相当生(ママ)を欠く違法なものとは言えない。 大阪地方裁判所 平成2年(ワ)第6928号外 木村達也弁護士 06(6222)2031 国内信販株式会社・中川デンキ萱島店 ①原告の担当者と被告Mの母親との間でショッピングクレジット申込の内容及び保証人に関する事項に […]
民法の和解の確定効が認められるのは、両当事者間において争いをやめる目的となった事項で、本件では債権の存否または金額についてではなく支払方法等についてのみ和解が成立したとして、利息制限法に従う利息計算により和解当時債務が存在しないにもかかわらず作成された公正証書に基づく強制執行は許されないとした事例 奈良地方裁判所 昭和63年(ワ)第300号 請求異議等請求事件 東幸生弁護士06(6362)1757 業者名などは不明 民法696条によって、和解の確定効が認められるのは両当事者間において争いをやめる目的となった事項に限られる。本件の和解契約において争いをやめる目的となった事項は、本件債権の存否ない […]
名義貸しの事案において「専門家対素人」の取引においては専門家たる業者が必要にして十分な契約内容の伝達をし、その理解を得た上で契約関係に入ることが要求されるとしたうえでその義務を尽くしていないときは、契約上の責任としての契約締結上の過失を理由として立替払契約を解除することができるとして購入者の支払責任を否定した。 釧路簡易裁判所 平成元年(ハ)第1092号 立替金等請求事件 今瞭美弁護士 0154(42)7722 (株)ジャックス・青山呉服こと青山松則 契約締結段階における原告の明示義務・告知義務違反の過失について ①呉服のように契約成立時から納品時までの間に一定の時間的な感覚がある商品の場合に […]
金融業者(オリコ)の担当者が就業先を知っていたが、裁判所からの照会に対して「就業先不明」との回答をしたことは過失があるが、裁判所の書記官がそれを信用したことは過失がない 東京地方裁判所 平成元年(ワ)第9486号 損害賠償請求事件 宇都宮法律事務所 03(3571)6051 国・オリエントコーポレーション 原告(釧路)は身に覚えのない契約について札幌簡裁で訴訟を起こされたが、訴訟の継続を全く知らない間に判決が確定 オリコの過失について オリエントコーポレーションは、就業先を知っていたのに「就業先不明」との回答を裁判所にしたが、原告の勤務先を調査確認するには一挙手一投足の労で可能であり、「調査担 […]
先物取引業者の勧誘行為等が不法行為に該当し、建て玉を手仕舞いして差損金を請求するのは信義に反し、また顧客からの委託証拠金返還請求に対し顧客の過失を斟酌するのは相当でないとした。 大阪高等裁判所 本訴 昭和63年(ネ)2473号 反訴 同年(ネ)3529号 清算金本訴請求控訴事件・同反訴請求控訴事件 松重君予弁護士 078(341)2393 岡藤商事株式会社 第1審原告(業者)の下記の行為が一体として不法行為を成立すると認定 ①勧誘行為については不当勧誘(無差別電話勧誘)、断定的判断の提供 ②受託行為については、新規委託者保護義務違反、両建の勧誘、建玉制限違反の委託勧誘、証拠金規定違反等、商品取 […]
フランチャイザーである被告が、客観性・正確性に問題のある市場調査の結果を過度に強調し、加入の可否についての適切な判断を困難にするおそれの強い情報を提供したとしてフランチャイジーの請求を容認した事例。 京都地方裁判所 昭和63年(ワ)第1808号 反訴・平成元年(ワ)第453号 平成3年10月1日 損害賠償請求本訴事件 売掛代金等請求反訴事件 高見澤昭弁護士 進々堂製パン株式会社 フランチャイズ契約を結んでパン屋を開店したものの、勧誘時告知された予想売上を大幅に下回る売上しかなく、開店後わずか三か月足らずで倒産した者がフランチャイザーである被告に対して契約締結上の過失、独禁法違反を理由に投下資本 […]
破産者のギャンブルを理由とする免責不許可の決定に対する抗告事件で、免責不許可事由が存するが裁量による免責をして、原決定を取り消した事案。 東京高等裁判所 平成2年(ラ)第670号 平成3年1月30日 免責不許可決定に対する抗告事件(原審・東京地方裁判所平成2年(モ)第1593号) 茨木茂弁護士 抗告人が昭和59年ころ、競輪競馬に年間100万円から150万円を費消していたことは、破産法第366条の9第1号、375条第1号に該当するが、抗告人が破産に至った主たる負債は、昭和58年に自宅を購入した際の住宅ローンによる債務であること、その債務の支払い困難になったのは、抗告人の生活が乱れたことがその一因 […]
先物取引の経験は無いが、証券取引の経験はある会社員(元サラ金業者)が国内商品先物取引に誘い込まれ損害を蒙った事件につき、実損害の80%を回復した和解 京都地方裁判所 昭和62年(ワ)第1233号 平成3年8月9日 損害賠償請求事件 三木俊博弁護士 東京ゼネラル(商品取引員) 原告は50歳の京都のホテル授業員(ボイラー管理が中心業務)。以前、零細規模のサラ金業をしていたこともある。株式現物取引の経験はあったが、株式信用取引や商品先物取引の経験はない。東京ゼネラル(合併前の旧商号、近畿ゼネラル)の当初の外務員は投機性の不告知等の不当勧誘によって原告を誘い込み、必要以上の預託金を預り受けて、次々と無 […]
アクアラングの空気残量計の設計上の欠陥を認定して、右欠陥により減圧症に羅患した原告に対し、右残量計を輸入販売した被告の売買契約の不完全履行に基づく損害賠償責任を認めた事例。 鹿児島地方裁判所 昭和56年(ワ)第690号 平成3年6月28日 損害賠償請求事件 松村仲之助弁護士 日本アクアラング株式会社 本件空気残量計は、水深34メートルの水中で正常に作動しない設計上の欠陥があり、このため原告は減圧症に罹患したと認定できる。そして、空気残量計は潜水者の安全な潜水を確保するための命綱ともいうべきものであり、仮にも空気残量計に、設計上の欠陥があってはならないものであるから、被告が原告に対し、前示売買契 […]
クロレラ購入者と販売店との間の売買契約が錯誤で無効である場合、購入者は割賦販売法30条の4を理由に信販会社の請求を拒めるが、同法について既払代金の請求はできない 福岡地方裁判所 小倉支部 平成12年(ワ)第254号、反訴同年(ワ)第856号 平成3年7月19日 立替金請求事件、反訴 不当利益返還請求事件 田村一巳弁護士 093(592)2493 日本総合信用株式会社 購入者(被告、反訴原告)は、リューマチの持病で苦しんでいたが、日本健食株式会が、新聞の折り込み広告にクロレラがこんな慢性病に薬効があるなど宣伝したため購入を申し込んだところ、同社社員の訪問を受け、クロレラの薬効について力説された。 […]
建築施工業者に対して、右業者が施行した建築した建物を転得した買主から不法行為責任の追及が認められた事例。 大阪地方裁判所 昭和60年(ワ)863号 平成3年6月28日 損害賠償請求事件 澤田和也弁護士 高杉開発株式会社 株式会社サンライズホームなど 本件建物は原告が被告Aから購入したものであり、被告Bはその前所有者、被告Cは本件建物を建築し敷地とともに被告Bに売却したものである。 本件建物については、 (1)建物の基礎(盛り土部分)構造上の欠陥がある(建築基準法施行令38条1項違反)(2)軸組構造について ①火打材及び振れ止めの欠落及び火打材の接合部の緊結不良 ②筋かいの緊結不良及び筋かいを入 […]
商品先物取引業者の勧誘方法等に違法性を認めたうえ、顧客にも損害を拡大した過失があるとして、5割の過失相殺を認めた事例。 大阪地方裁判所 昭和61年(ワ)第10321号 平成3年5月15日(控訴中) 損害賠償請求事件 櫛田寛一弁護士 洸陽フューチャーズ株式会社など 商品先物取引が商品価格のわずかな変動によっても高率の損害が発生し、かつ価格の変動要因は複雑でそれを予想することは極めて困難であり、また売買手数料も高率であることから、この種の取引が極めて投機性が高く危険なものであるので、商品取引員は一般大衆を勧誘する際には、この種取引の危険性を十分に理解させ、過大取引を避け、顧客が危険性を自覚したうえ […]
あて名書き内職による被害を受けた主婦ら19名に対し(有)三友が総額100万円の和解金(実損害合計は256,930円)の支払いに応じた事例。 名古屋地方裁判所 平成元年(ワ)第1959号 平成3年6月14日 損害賠償請求事件 荻原典子弁護士 052(211)2236 有限会社三友 本件あて名書き内職は、(有)三友が「最低でも月収5万円」「一通あたり10円支給」「名簿無料貸与と切手にて送料全額支給」「今後の収入のことを思えば今回必要な費用などわずかな出費」などといった内容の折り込み広告を出し、通信販売カタログを送る内職を募集。右広告を見て、あて名を書くだけで1通あたり10円の労賃が得られると思った […]