4条の「勧誘」には、パンフレットが入ることを前提に、当該パンフレットが仲裁手続の全般にわたり当事者同席のうえで行われることを一般人に誤認させるものとは認められないとして棄却した。 京都簡易裁判所 平成13年(少コ)第155号 2002年(平成14年)10月30日 仲裁申立費用返還請求事件 京都弁護士会 被告発行の仲裁センターのパンフレットを見て、仲裁手続きは当事者双方と仲裁人の3者が同席して行われるものと誤信した結果仲裁手続きの申立をしたものが、被告発行のパンフレットには仲裁は3者同席でやるものと誤信させる絵が描いてあり、これは消費者契約法の4条1項の重要事項についての事実と異なる事項を告げる […]
3カ月後の月謝の値上げを告げなかったことが「不利益事実の不告知」に該当するとして取消しを認めた。 神戸簡易裁判所 平成13年ハ第2302号 2002年(平成14年)3月12日 入所金等返還請求事件 (株)劇団東俳 俳優等の養成所に入所した歌手志望の原告が、入所式直後に被告の養成システムが原告の考えていたものとは違うとして退所を申し出、入所に際して納入した諸経費の返還を求めていた事案である。 判決は、月謝の要否並びに値上げの有無・値上げの時期及び額は契約の基本的要素であり契約の中でも重要な位置を占めており、これは一般消費者にとって契約を結ぶか否かについての判断に通常影響を及ぼすものにあたるとした […]
遅延損害金の率を法第9条2項により14.6%に制限することとした。(欠席判決) 札幌簡易裁判所 平成13年ハ第5333号 2001年(平成13年)11月29日 和解金請求事件 貸金業者 貸金業者が消費者に対して平成11年2月26日貸し付けた20万円の残債務金について、消費者契約法施行後の平成13年6月12日、「元金15万円、支払い方法同一3年7月から同一5年12月まで毎月15日限り金5000円ずつの分割払いとし、遅延損害金を年26.28%とする」和解契約を締結したところ、約定による2回の支払い遅滞があったとして貸金業者が消費者に対し、残元金と約定遅延損害金を請求する訴訟を提起した。 被告である […]
【事例1】ヤミ金融業者に対して、300万円の損害賠償請求権を被保全権利とする仮差押決定が無担保で認められた事例 【事例2】ヤミ金融業者との間で、事実関係を認めて謝罪し、損害賠償金300万円を支払う旨の和解が成立した事例 盛岡地方裁判所 平成16年ヨ第34号・平成16年ヨ第35号 2004年(平成16年)4月28日・5月20日 債権仮差押命令申立事件 田岡直博弁護士 (株)イレブンこと小俣圭 債権者は岩手弁護士会所属の弁護士であり、いわゆる公設事務所の所長である。債務者は東京都渋谷区に事業所を有する、いわゆるヤミ金融業者である。 【事例1】は、債権者事務所に対する度重なる迷惑電話、弁護士の受任通 […]
宝飾品は主観的かつ相対的な価値判断によって価格設定がされるため、同種商品を他の事業者がいかなる価格で販売しているかにつき、ことさら誤認させることに関連し、小売価格が消費者契約法4条1項1号の不実の告知の対象に該当するとして、原判決を覆し契約取消しを認めた事例 大阪高等裁判所 井上正明・中村哲・久保田浩史 平成15年ネ第2237号 2004年(平成16年)4月22日 立替金請求控訴事件 片岡成弘弁護士 (株)オリエントコーポレーション TVでも宣伝している有名な販売店へ主婦が出かけ、信販会社の立替払いを利用して、小粒のダイヤモンドを多数配置した金製台のファッションリング1個を29万円で購入した。 […]
業務帳簿が破棄された期間中の取引経過を僅かな資料で再現した過払金額を認定し、破産免責後の過払金請求が禁反言に反することはないとした事例 東京地方裁判所 小島浩 平成13年ワ第11377号 2003年(平成15年)5月21日 不当利得返還請求事件 内藤満弁護士 アエル(株) 東京3弁護士会の有志弁護士が主導をして原告31名がアエル(旧日立信販。但、会社更生手続開始前)に対し、過払金総額3009万4662円余の返還を求めたミニ集団訴訟である(端数を除いてほぼ全部認容)。 この事例では業務帳簿が破棄された期間中の取引経過をどのように確定するかが問題であり、この判決では、原告の手元に僅かに残されていた […]
GE(旧レイク)の「みなし弁済」の抗弁、破産免責後の過払金請求が権利の濫用に当たるという反論を何れも否定した事例 東京高等裁判所 平成14年ネ第5612号(原審 東京地方裁判所平成13年ワ第26080号) 2003年(平成15年)4月14日 不当利得返還等請求控訴事件 内藤満弁護士 ジー・イー・コンシューマー・クレジット(株) GE(旧レイク)に対する過払金訴訟の控訴審判決であり、GEの「みなし弁済」(貸金業規制法43条1項)の主張を店頭取引に関する立証がないことを理由に排斥し、破産免責後の過払金請求が権利の濫用に当たるという主張も「同時破産廃止によって破産宣告と同時に破産手続が終了した以上、 […]
約定利息を支払わなければ、期限の利益を喪失すると記載されている契約書面は、虚偽を記載したというべきであるから、貸金業法17条1項の要件を満たしたものとはいえない。 山口簡易裁判所 徳丸哲夫 平成15年ハ第406号、第411号 2004年(平成16年)3月25日 貸金等請求事件・不当利得返還請求事件 吉元徹也弁護士 083(923)6456 (株)シティズ 本判決は、「契約書面に利息制限法の制限利率を超える利息。損害金の約定利率を記載すること自体は許されるが、約定利息の支払いを期限の利益喪失事由とする期限の利益喪失約款が契約証書及び交付書面に記載されている場合には、単に約定利息、損害金利率が記載 […]
①入学金については返却の義務なし②授業料、施設利用費等入学金を除く学納金については、平成14年3月31日までに入学辞退した者に対しては返却すべきだが、同年4月1日以降に契約を解除した者については返却する必要ない。 大阪地方裁判所 村岡寛、小堀悟、小川暁 平成14年ワ第6380号、第9634号 2004年(平成16年)3月5日 学納金返還請求事件 中西啓弁護士 同志社大学、同志社女子大学 平成14年度の同志社大学または同志社女子大学の入学試験を受験し合格したものの志望順位の高い他の大学に進学したため、両大学の運営母体である学校法人同志社に対して両大学に納めた入学金・授業料等の学納金の返却を求めて […]
貸金業規制法・ガイドラインの趣旨、利息制限法及び判例法理、公共の利益につながる任意整理の必要性などから、貸金業者に信義則上の開示義務を認め、違反した業者に対し、慰謝料・弁護士費用の支払を命じた事例 大阪地方裁判所 中嶋功 平成16年ワ第1252号 2004年(平成16年)5月19日 不当利得返還等請求事件 西田広一弁護士 06(6316)8365 (株)キャスコ 本件は、任意整理を行う弁護士の要求にも拘わらず取引履歴を提出しないばかりか取引履歴の開示義務がないとの主張を記載した定型の文書を送付してきていた(株)キャスコに対して、推計計算による過払金返還を求めると共に取引履歴開示義務違反の不法行 […]
貸金業者日東リースが、内職商法業者と提携して、金銭消費貸借契約書を用いて貸付金を消費者の口座に送金する形式で、事実上クレジット業務に参入している事案について、割賦販売法の書面記載不備を認め、クーリング・オフによる解約・債務免除を認めた和解事例(裁判外の和解による訴訟取下) 東京簡易裁判所 平成15年ハ第98531号 2004年(平成16年)6月8日 貸金請求事件 池本誠司弁護士 048(839)0611 日東リース(株) 内職商法業者(日本健康流通協会)が、消費者に対し、電話勧誘の方法で、チラシ配りで収入が得られると称して商品を販売し、商品売買契約書と日東リースのローン申込書を一緒に送付し、消 […]
システムバス工事未施工のまま業者(三和住設)が倒産したので、クレジットの支払いを拒絶したところ、契約締結時の電話確認に際し、業者に誤導されて「工事は終わった」と応答した点を捉えて、禁反言に該当し信義則上抗弁対抗は認められないと判断した事例 東京高等裁判所 平成15年ネ第1749号 2004年(平成16年)5月27日 立替金請求控訴事件 池本誠司弁護士 048(839)0611 (株)オリエントコーポレーション リフォーム業者である三和住設の勧誘員が、「リフォームローンの低利借り換えで、利息の負担が安くなるので、リフォーム工事をしよう。銀行融資手続きには時間がかかるため、工事代金の集金代行として […]
廃棄したと強弁する被告に対し、契約当初からの取引履歴の提出を命じた事例 出雲簡易裁判所 西前行雄 平成15年サ第1182号 2004年(平成16年)6月22日 文書提出命令申立事件 余村博樹司法書士 0852(85)2052 三洋信販(株) 被告は、九州に本社を置くサラ金であるが、準消費貸借を繰り返し、相手方代理人や裁判所によって時期は異なるものの、基本的に契約当初からの開示には応じない。訴訟においても「廃棄した」と強弁することで、場合によっては利限法の潜脱が図れることを熟知しており、狡猾である(実際にこのような判断がなされる場合があることは誠に残念である)。これが、利限法の強行法規性はじめ、 […]
悪意の受益者と認定した上で、過払い発生後の貸付について受益者利息を先に充当することを認めた事例 松江簡易裁判所 秋田智子 平成15年ハ第383号 2004年(平成16年)4月23日 不当利得返還等請求事件 余村博樹司法書士 0852(85)2052 山陰信販(株) 包括的金銭消費貸借契約においては、1回払いやリボルビング払いなど複数の取引があったとしても、これらを別個の取引と解することはできず、利息制限法超過利息の支払は他の債務に充当されるとして、過払い金の時効消滅の主張を排斥した。また、いわゆる「完済」については、取引相互の時間差をもって、取引を分断することはできず、殊に過払いが生じているこ […]
東京高裁は、説明義務違反を理由に各住戸あたり165万円の慰謝料等の支払を命じた原審の判断を維持した 東京高等裁判所 大内俊身 平成15年ネ第1405号(原審・平成15年ワ21193号) 2003年(平成15年)12月18日 損害賠償請求控訴事件 懸俊介弁護士 03(5545)8075 都市基盤整備公団(旧住宅・都市整備公団) 本誌187頁解説文掲載
家具リース業者の商法(家財道具を購入するとともに、これを賃貸して賃料名目に高利をとる商法)につき、実質的には利息制限法の規制を免れるために売買及び賃貸借を仮装した金銭消費貸借であり、暴利行為であり公序良俗に違反し無効だとした事例 広島地方裁判所 能勢顯男 平成15年ワ第312号平成15年ワ第1543号 2004年(平成16年)4月15日 不当利得返還請求事件 長井貴義弁護士 082(223)3786 ミドリヤこと藤重宏 原告(2名、女性)は、被告の広告(タウンページに先日まで「商品はそのまま「使用OK!」で」「買取後の使用もリース料金だけでOK!」などという広告が出ていた)を見て借入を申し込ん […]
貸金業法第17条書面の要件(原則1枚の書面、返済期間等の記載)、支払の任意性について 東大阪簡易裁判所 松本澄清 本訴平成15年ハ第1143号、反訴平成16年ハ第176号 2004年(平成16年)6月4日 本訴不当利得返還請求事件、反訴貸金請求事件 堀泰夫司法書士 アコム(株) 1 被告が貸金業法17条の書面の要件を満たしていると主張したのに対し、裁判所は、主に以下の2つの理由からそれを否定し、同法43条のみなし弁済を認めませんでした。 (1)17条書面は、原則1通の書面による。例外的に複数の書面による場合も、それらが補完しあって、債務者が了解できる状況での交付を要する(東京高判平成13年1月 […]
合意管轄に基づく移送申立を却下した事例 東大阪簡易裁判所 松本澄清 平成15年サ第342号 2004年(平成16年)6月8日 移送申立事件 堀泰夫司法書士 三和ファイナンス(株) 原告は被告に対して、不当利得返還請求訴訟を提訴し、東京に本店を置く被告は、契約書に合意管轄として東京地方裁・東京簡裁を定めているので、それに基づき東京地裁に移送申立を行った事件です。 本件契約書には、「この金銭貸借に関する訴訟又は調停の必要を生じた場合には、貸主の本店所在地を管轄する裁判所を管轄裁判所とすることに合意します」と規定されています。これに対し、裁判所は、専属的合意管轄と解するには、合意対象裁判所が専属的で […]
取引履歴を記載した帳簿の提出義務があると判断した文書提出命令 大阪地方裁判所 飛澤知行 平成15年モ第8179号 2004年(平成16年)3月12日 文書提出命令申立事件 佐賀和美司法書士 CFJ(株) 貸金業法19条で備え付けを義務づけられている帳簿は、申立人と相手方との金銭消費貸借契約という法律関係について作成された文書ということができるから、相手方は、当該帳簿を民事訴訟法220条3号後段に基づく提出義務があるとしています。 相手方は、貸金業法19条に定められた帳簿の保存期間等に鑑み、提出すべき帳簿の範囲を最終弁済期日から3年間の範囲に限定されるべきであると主張しています。しかし、裁判所は […]
SFCGの取引について、期限前返済ができるか否かの記載がない場合は17条書面交付の要件が認められないとし、また受取証書の作成が3~7日後で発送はその2~4日後である場合には、18条書面を弁済の直後に交付したとは言えないとして、43条1項の適用を否定した。 福岡高等裁判所第3民事部 小林克已裁判長 平成15年ネ第998号 2004年(平成16年)6月17日 債務不存在確認請求控訴事件 河野聡弁護士 097(533)6543 (株)SFCG 本件は、SFCG(商工ファンド)について、最高裁第2小法廷2004年2月20日判決以降に初めて出された高裁判決である。 2件の債務者及び保証人について、利息制 […]