貸金業法19条やガイドラインの趣旨等に鑑み、債務者が貸金業者に対し任意整理目的を明示して必要な範囲で過去の取引履歴の開示を請求したときは、貸金業者としてこれに応じ速やかに開示することが信義則上期待されているとして信義則上の取引履歴開示義務を認めた事例 大阪高等裁判所 松山恒昭 平成16年ネ第1956号 2004年(平成16年)12月15日 不当利得返還請求等控訴事件 西田広一弁護士 06(6316)8365 (株)キャスコ 1 判決要約 貸金業法19条やガイドラインの趣旨、多重債務者や国民全体にとっての任意整理の必要性、そのための取引履歴開示の必要性・重資性に鑑み、債務者が貸金業者に対し任意整 […]
貸付金について制限利率により計算した場合の元利金を超過することになったときは、貸金業者は、貸金業法43条1項所定の要件を具備すること等、制限利率を超過する利息を受領する法的権原があると信じるについて合理的で相当な特段の事情のない限りは、悪意の受益者であると推認するのが相当である。 名古屋高等裁判所金沢支部 長門栄吉、渡邉和義、田中秀幸 平成16年ネ第154号 2004年(平成16年)10月20日 不当利得返還請求控訴事件 皆川容徳司法書士 076(240)7733 CFJ(株) 本件は、CFJに対する過払金返還請求事件の平成16年5月19日金沢地方裁判所判決に対して、被告CFJが控訴した事件に […]
大手貸金業者である被告は、利息制限法に精通し、約定利息が利息制限法に違反していることも知悉していたと推認できるから、制限超過利息を順次元本に充当すると、やがて元本が零になり、過払金が生じることを知りながら、制限超過利息を受領してきたというべきであるから、被告は悪意の受益者である。 金沢地方裁判所 井戸謙一 平成16年ワ第46号 2004年(平成16年)5月19日 不当利得返還請求事件 皆川容徳司法書士 076(240)7733 CFJ(株) 1 悪意の受益者 被告は、過払い金について、被告が悪意の受益者であるというためには、過払い金が生じた時点で、利息契約が無効、取消あるいは解除されたことにつ […]
債権譲渡、合併を重ねてきたサラ金業者について取引の同一性を認めたうえで取引当初からの履歴開示を求める文書提出命令を命じた事例 和歌山地方裁判所 村岡寛 平成17年ソ第1号 2005年(平成17年)3月8日 文書提出命令申立事件 新川眞一司法書士 0724(44)9931 (有)ユタカクレジット 本件は、被告ほか数件の業者より貸付を受けていた主債務者たる原告が、小規模個人再生申立をなしたところ、被告が、最終の切替後の取引履歴を前提に貸金請求の本訴を起こしたことに対し、初回からの取引を前提にすれば債務はなく、逆に過払いになると主張して原告が不当利得返還請求と併せて履歴不開示による慰謝料請求の反訴請 […]
弁護士、司法書士の資格を有しない者が、多重債務者を勧誘し、特定調停の申立をするように勧めて金利計算料名目の金員を取得した行為につき、弁護士法等に違反するものであって不法行為に該当し、支払金全額及び司法書士費用の損害を認めた事例 大阪簡易裁判所 柏森正雄 平成16年ハ第8045号 2005年(平成17年)2月17日 損害賠償請求事件 前田勝範司法書士 06(6316)8651 コーワ電算こと田村学 昨今、大阪において、弁護士等の資格を有しないで、広告により広く多重債務者を勧誘し、「支払いがストップする」「借入がゼロになるかも」と言って、特定調停の申立をするように勧めて申立をさせ、そのサポート等の […]
違法取り立てを繰り返していたいわゆるヤミ金43業者に対して、その取り立て行為が家庭崩壊につながったものと、その因果関係を認めた上で合計600万円の損害賠償請求を認容した事例 さいたま地方裁判所 平成15年ワ第927号 2004年(平成16年)11月19日 損害賠償請求事件 溝呂木雄浩弁護士 03(3505)3661 ユウキプランこと天野勇樹 外42名 本判決は、違法取り立てを理由として、ヤミ金43業者に連帯して600万円の慰謝料の支払を命じたものです。 この裁判は、平成14年9月に妻(64歳)が約150件のヤミ金から借りてしまい。これらのヤミ金の過酷な取立が原因で絶望をした夫(原告76歳)が妻 […]
破産者に関する裁判は、破産手続が同時廃止となった場合であっても、民訴法125条(破産法改正と同時に削除され、同様の規定が破産法44条に設けられた)により、破産廃止決定が確定するに至るまで訴訟手続が中断するとして、中断中に口頭弁論期日を開いた原審の手続違法を認めた控訴審判決 大阪地方裁判所 塚本伊平 平成15年レ第37号 2003年(平成15年)3月20日 貸金請求控訴事件 川村暢生弁護士 075(221)8606 誉々(株) 控訴人はサラ企業者から京都簡裁に貸金請求訴訟を起こされていたが、並行して京都地裁に自己破産を申立て、平成14年11月7日午後5時に破産宣告・同時廃止決定を受け、同月21日 […]
貸金業法43条1項の「みなし弁済」適用要件について判示したもので、内閣府令15条2項の規定にもかかわらず、契約年月日に代えて契約番号を記載した受取証書では、法43条1項のみなし弁済の要件は充たさないとした事例 東京簡易裁判所 平成16年ハ52149号 2004年(平成16年)10月25日 貸金請求事件 須藤博弁護士 028(600)6777 (株)シティズ 貸金業者シティズに関し、契約年月日に代えて契約番号を記載した受取証書を交付した場合について、貸金業法43条1項の「みなし弁済」を否定した判決である。 判決は、「厳格解釈」の立場から、「法43条1項2号、法18条1項は何らの除外事由を設けてい […]
貸金業法43条1項の「みなし弁済」適用要件について判示したもので、内閣府令15条2項の規定にもかかわらず、契約年月日に代えて契約番号を記載した受取証書では、法43条1項のみなし弁済の要件は充たさないとした事例 東京簡易裁判所 松田雅人 平成16年ハ52147号 2004年(平成16年)10月25日 貸金請求事件 須藤博弁護士 028(600)6777 (株)シティズ 貸金業者シティズに関し、契約年月日に代えて契約番号を記載した受取証書を交付した場合について、貸金業法43条1項の「みなし弁済」を否定した判決である。 判決は、「厳格解釈」の立場から、「法43条1項2号、法18条1項は何らの除外事由 […]
①業者が判決の直前に被害者本人と直接接触して徴求した「訴え取下げ同意書」を有効と見ることは訴訟上の信義則に反し、正義に反するとして訴え取下げの効果を否定した事例、②訴え提起前の和解合意の効力を否定した例、③オプション取引の適格性を否定し過失相殺をすることなく賠償請求を認容した事例 東京地方裁判所 平成15年ワ第20170号 2005年(平成17年)2月24日 損害賠償請求事件 荒井哲朗弁護士 03(3501)3600 オービット・キャピタル・マネジメント(株)外1名 豊田商事の残党が運営する海外先物オプション受託を業とすると称する業者及びその代表者に対して損害賠償を命じた事例である。被告会社の […]
過払返還請求訴訟に公正証書による差押がなされたことに対し、保証人7名が商工ファンドと大島社長に対し、総額1430万円の慰謝料を求めた事件で、10月18日請求を認諾した。 仙台地方裁判所 田村幸一 平成15年ワ第1390号 2004年(平成16年)10月18日 損害賠償請求事件 新里宏二弁護士 022(263)3191 商工ファンド(SFCG) 1 商工ファンド認諾 商工ローン大手の商工ファンド(現SFCG)から、公正証書による違法な差押で精神的苦痛等を受けたとして、保証人7名が同社と大島健伸社長に1430万円の慰謝料を求めていた事件で、同社らは昨年10月18日、仙台地方裁判所において請求を認諾 […]
いわゆる武富士盗聴事件に関し、東京地方裁判所刑事第10部は、電気通信事業法違反(盗聴)等の罪により、武井保雄前会長に対し懲役3年・執行猶予4年、武富士に対しては、罰金100万円の有罪判決を言渡した事例 東京地方裁判所 青柳勤、松田俊哉、森川佳奈 平成15年(特ワ)第7521号、平成16年(特ワ)第166号、平成16年(刑ワ)第1137号 2004年(平成16年)11月17日 電気通信事業法違反(盗聴)、名誉毀損 宇都宮健児弁護士 03(3571)6051 武井保雄、(株)武富士 判決は、「武井前会長は、会社の財力に物を言わせ、社内での圧倒的な地位を利用し、武富士に都合の悪い記事の背後関係等を探 […]
大和都市管財被害事件にかかり、抵当証券発行目的のためゴルフ場を鑑定した不動産鑑定士に対して、数%程度の配当しか受けられないこととなった抵当証券(モーゲージ)購入者が原告となって、不動産鑑定士らの鑑定過誤(水増し鑑定)責任を追及し、各1億円ずつの損害賠償を求めた訴訟である。 東京地方裁判所 野山宏、野村高広、出口亜衣子 平成14年ワ第26249号 2005年(平成17年)1月31日 損害賠償請求事件 中村昌典弁護士 03(5919)0745 大和都市管財 本件は、大和都市管財被害事件の関連事件である。抵当証券発行目的のためにゴルフ場を鑑定した不動産鑑定士に対して、数%程度の配当しか受けられないこ […]
子ども英会話講師養成講座の受講契約は、準委任契約にあたる。被告が受領した費用について一切返還しない特約があるのは、民法651条1項の解約の自由を排除するものなので、原告である消費者の利益を一方的に害する条項として、消費者契約法10条により無効である。本件受講契約の解約を認め、被告に受講料全額の返還を命じた事例 東大阪簡易裁判所 中島嘉昭 平成16年ハ第608号 2005年(平成17年)1月27日 受講料等返還請求事件 堀泰夫司法書士 06(6872)3400 子ども学び協会 本事例の争点の1つめは、子供英会話講師養成講座の受講契約について、原告の契約解除は有効であるかという点である。 この点に […]
サントリーが製造・通販した健康食品(アスタキサンチン+ブルーベリーや同イチョウ葉の錠剤)に食品添加物無認可のエトキシキンが含まれたものを回収する騒動があったが、サントリーらが既に呑んだものについては代金返還に応じないので、慰謝料と共に請求した件で、SSCに全代金の返還は命じたが慰謝料は認めなかった。 大阪地方裁判所 宮武 康 平成15年ワ第3166、3583号 2005年(平成17年)1月12日 損害賠償請求事件 井上善雄弁護士 06(6202)5050 サントリー(株)、(株)サントリー・ショッピング・クラブ(SSC) 健康食品は薬のように厳しい許認可手続はないが、健康回復・維持に役立つと宣 […]
いわゆる調停屋と言われる、弁護士等の資格を有しないものが行う特定調停申立のサポート業務は、弁護士法・司法書士法違反と認定され、調停屋との報酬の合意は公序良俗違反にあたり無効とし、その報酬の取立てに対して慰謝料請求が認められた事例 大阪簡易裁判所 柏森正雄 平成16年ハ第8047号 2004年(平成16年)12月9日 慰謝料等請求事件 下室克秀司法書士 06(6624)2290 エクセルプランナーこと吉田一 被告は、弁護士等の資格を有していていないにもかかわらず、「取立てストップ」「借金が0円になります」等と記載された広告をして多重債務者を集め、特定調停申立のサポートをし、その対価として法外な報 […]
本判決は、任意性につき具体的な事実についての立証責任を貸し主に要求したうえで、具体的主張立証がないとし、18条書面の控え及び領収書郵送控えのみによって適法な18条書面の交付を証明するものではないとして、貸金業の規制等に関する法律43条の適用を認めなかった。 静岡簡易裁判所 植松敏彦 平成16年ハ第336号 2004年(平成16年)10月25日 貸金請求事件 小澤吉徳司法書士 054(282)6505 (株)シティズ 本件は、貸金業規制法43条の主張をし、貸金請求訴訟を起こしたシティズに対して、43条の不適用を争った事案である。 任意性につき具体的な事実についての立証責任を貸し主に要求したうえで […]
貸金業者の貸金請求事件について、本店・営業所所在地の裁判所を管轄裁判所とする文書による合意があっても、「当事者間の衡平を図るため」、債務者所在地の管轄裁判所に移送した事例 大阪高等裁判所 下方元子 平成15年ラ第1107号 2004年(平成16年)1月9日 移送決定に対する抗告事件 菊地一二弁護士 0266(23)2270 レタスカード(株) 京都に本社のある金融業者(株)レタスカード(以下レタスカードという)は、長野県飯田市在住の債務者との金銭消費貸借契約締結の際に、契約書を債務者に郵送し返送させるという方法で契約をしました。契約書には、レタスカードの本店・営業所を管轄裁判所とする合意の条項 […]
京都地方裁判所 古谷恭一郎 平成15年モ第1652号 2003年(平成15年)10月20日 移送申立事件 菊地一二弁護士 0266(23)2270 レタスカード(株) No.853参照。
ロプロ最高裁判決(第1小法廷 平成15年9月11日)の差戻審で、福岡高裁は、平成16年11月12日に一連の計算方法を採用した判決を下す。 福岡高等裁判所 簑田孝行 平成15年ワ第752号 2004年(平成16年)11月12日 不当利得返還等請求控訴事件 椛島敏雅弁護士 092(554)7110 (株)ロプロ ロプロ(旧日栄)の、利息制限法を巡る争点(過払金の充当の有無、保証料のみなし利息性)について、最高裁判所は、平成15年7月18日に第2小法廷・平成15年9月11日に第1小法廷・平成15年9月16日に第3小法廷が、そろってそれを肯定する判決を下しましが、過払金を充当する場合の計算方法について […]