大学医学部専門の学習塾(被告)において講習を受けていた受講生(原告)が、申し込んでいた同塾の①冬期講習を冬期講習開始前に、②年間模擬試験を中途で、それぞれ解約して、冬期講習受講料全額と模擬試験の未実施分受講料の返還を求め、認められた事例 東京地方裁判所民事第24部 齊木教朗 平成15年ワ第10908号 2003年(平成15年)9月16日 授業料返還等請求事件 岩田修弁護士 03(5501)3641 被告は、パンフレット等の記載を根拠に、学習塾と受講生との間には講習等の受講契約を取り消すことは出来ない合意が成立しており、解除は認められないと主張し、原告は、講習等の受講契約は準委任契約でありいつで […]
1 借換えの際作成する貸金業法17条の書面には、従前の貸付金の元本、利息等ごとにその残額を記載しなければならず、貸金業者がその記載のない書面を借主に交付しても、みなし弁済の適用を受けられない。 2 貸金業法18条書面等の交付がないため、みなし弁済の適用要件がないのに、貸金業者がこれを無視して、みなし弁済の適用がある場合の貸金の残高及び弁済金の充当関係を表示した書面を借主に交付しても、その書面は、貸金業法18条の書面に該当しない。 東京高等裁判所 淺生重機、及川憲夫、竹田光広 平成15年ネ第3063号 2004年(平成16年)3月16日 不当利得返還等本訴、同反訴請求控訴 宮本督弁護士 03(5 […]
最高裁判決・イッコーのみなし弁済について43条の適用を否定した事例 最高裁第2小法廷 滝井繁男、福田博、北川弘治、津野修 平成16年オ第424号、平成16年受第425号 2004年(平成16年)7月9日 貸金等請求事件 和田聖仁弁護士 03(5366)3871 (株)イッコー 本件は商工ローン大手の(株)イッコーのみなし弁済の適用が争点となっていたところ、第1審の前橋地裁判決は、ほとんど債務者側の請求を認めました。これに対し、第2審の東京高裁判決は、みなし弁済の適用を認め、逆に債務者側敗訴の逆転判決を言い渡しました。本件は、第2審が東京高裁第4民事部、上告審が最高裁第2小法廷と、SFCGの最高 […]
顧客と日興コーディアル証券との取引のうち、1年間の取引について過当取引で違法であるとして、その間の損失額のうち4割の額(約2800万円について支払いを命じた(6割過失相殺)。 東京地方裁判所 西謙2、鈴木昭洋、神谷厚穀 平成10年ワ第23862号 2003年(平成15年)12月22日 損害賠償請求事件 栗原浩弁護士 03(5296)2251 日興コーディアル証券(株)(旧商号日興證券(株)) 被告日興コーディアル証券と長い取引のあった原告が転換社債等の損失の回復を図るため、次第に被告会社の担当者の勧誘に応じて株式等のリスク性の高い商品の取引を開始し、結局1億4400万円の損失を蒙った事案である […]
県に対し、契約準備段階における注意義務違反を認めた事例 仙台地方裁判所第2民事部 田村幸一、清水知恵子、能登謙太郎 平成14年ワ第456号 2003年(平成15年)12月15日 損害賠償請求事件 千葉晃平弁護士 022(214)0550 宮城県 宮城県が、A氏に対し「漁民ら念願の漁港道路が必要」「地形等からA氏の自宅用地がなければ道路が出来ない」「是非地元の活性化のため譲って欲しい」等と懇願し、A氏に断腸の想いで実家を手放す決断をさせ、買収補償費を書面で提示する等した上、家財道具一切を含め建物全体を撤去し更地にするよう求め、A氏にそのための各作業を行わせてきたところ、一転して「国の事業見直しの […]
支給された厚生年金のみから構成される預金の差押は、申立人が当該年金及び生活保護以外に収入、資産を有しないことから、厚生年金保険法41条1項の趣旨に反し、差押を取り消した事例 東京地方裁判所 竹尾信道 平成15年ヲ第3672号 2004年(平成16年)1月28日 差押え禁止債権の範囲変更(取消)申立事件 豊﨑寿昌弁護士 03(5566)6371 (株)アーク年金 相手方は年金生活者相手に貸金を行う業者であり、申立人に貸付を行う際、申立人から年金送金先口座の通帳及びキャッシュカードを交付させて、実質的に違法に年金を担保に貸付・返済受領を行っていた。 申立人が債務整理を依頼した弁護士が受任通知を送付 […]
特定商取引法の特定継続役務提供契約における中途解約金の精算に当たり、経時によるポイントのみなし使用およびポイント購入時のポイント単価とは異なる単価による精算は違法との主張を認めた事例 東京地方裁判所 原敏雄 平成15年ワ第24336号 2004年(平成16年)7月13日 損害賠償請求事件 杉浦幸彦弁護士 03(3582)4306 (株)ノヴァ 依頼者は、71万8200円で購入した600ポイントのうち138ポイントを消化したところで、ノヴァに対し解約を申し出たところ、ノヴァは25万5834円の精算金を支払いたいと提案してきた。当方は、内容証明郵便、電話等で精算金を増額するよう求めたが、ノヴァは一 […]
利息制限法充当計算において、社会的にみて一連の取引と言いがたい貸付相互間において、過払いが生じた段階で別口の債権が存在しない場合、その後3カ月以上も経過した貸付には過払金は当然には充当されない 大阪高等裁判所 平成15年ネ第3600号 2004年(平成16年)4月20日 連帯保証債務履行請求事件 椛島敏雅弁護士 092(554)7110 (株)イッコー この判決は、「社会的に見て一連の取引と言い難い…」とする事実認定も誤っているが、最高裁平成15年7月18日判決を歪めた不当判決である。過払金発生時に他の債務が存在する場合に充当され、存在せず後に債務が発生した場合には充当されないというのは、極め […]
信販会社に対して10年を超える取引経過の開示を命じた事例 名古屋地方裁判所 關紅亜礼 平成16年モ第19号 2004年(平成16年)6月30日 文書提出命令申立事件 瀧康暢弁護士 0586(26)6266 (株)セントラルファイナンス 信販会社は、ほとんど全てが10年以上の取引経過を開示しない。 その理由は様々であるが、セントラルファイナンスについては、弁論期日において、10年を超える取引経過を所持していることを認め、調書に記載させた。すなわちセントラルファイナンスは「文書提出命令の対象文書は存在する」と述べたことが記載された。 セントラルファイナンスに対して各地で過払金請求がなされているが、 […]
本件は、株式会社長栄が作成する建物賃貸借契約の中の、通常使用に伴う損耗・自然損耗をも賃借人負担とする原状回復特約を、消費者の利益を一方的に害するものと認定し消費者契約法10条により無効と判断した事例 京都地方裁判所 第1民事部 福井美枝 平成15年ワ第2138号 2004年(平成16年)6月11日 敷金返還請求事件 平尾嘉晃弁護士 075(256)0224 省略 株式会社長栄の作成する契約書は、特約のすぐ横に、特約の意味を一読し理解した旨の記載をし、そこに賃借人の署名押印を求め、さらに、別途原状回復特約に関する説明書に賃借人の署名押印を求め、特約に対する説明義務を果たしたかのような体裁がとられ […]
サラ金取引経過非開示に対して損害賠償を認め、取引の中断も含め一連の取引であると認めた事例 名古屋地方裁判所 岡田治 平成15年ワ第79号 2004年(平成16年)4月28日 損害賠償等請求事件 山田克己弁護士 052(221)0092 ライオンズリース(株) 1 本判決は、取引履歴開示義務を認め、その義務違反を理由として損害賠償請求を認めたものです。ただ、本判決は、破産、個人再生及び任意整理のうちどの手続きをするかを判断するためには取引履歴が必要という理由から開示義務を認めたものなので、この判決からすると、これから介入通知を出すときは、「任意整理、個人再生あるいは破産」と書いて出した方がよいよ […]
易学受講契約につき、退去妨害による取消と「運勢や将来の生活状態」につき断定的判断がされたことをもって取消を認めた 神戸地方裁判所尼崎支部 平成13年ワ第874号・平成14年ワ第470号 2003年(平成15年)10月24日 不当利得返還請求事件 判決は易学受講契約につき、法4条3項2号の「当該消費者を退去させないこと」とは、物理的なものであると心理的なものであるとを問わず、当該消費者の退去を困難にさせた場合を意味すると解した。そして、消費者がバッグを肩にかけて、「そしたら」と言いながら、席を立とうとしたにもかかわらず、事業者が厳しい口調で「ちよっと待ちなさい」「貴女のために時間を取っているのだ […]
路上で声を掛けられ絵画展示場に連れて行かれた事案で退去妨害(4条3項2号)を理由としてクレジット契約自体の取消を認め、かつ取消権の時効の起算点を契約から2カ月後に認定した。 東京簡易裁判所 平成14年ハ第85680号 2003年(平成15年)5月14日 立替金請求事件 契約者は展示場において自分が家出中であり、定職を有しないことや絵画には興味がないことを繰り返し話したにもかかわらず、担当者はこれらを無視して勧誘を続けた。担当者は支払額等契約条件等について説明しないまま、収入についても月収27万円と虚偽記載をさせた。以上の事実を前提に、判決は、担当者は「退去させない」旨告げたわけではないが担当者 […]
入居の長短にかかわらず一律に保証金を差し引くこととなる敷引特約は、民法等他の関連法規の適用による場合に比し、消費者利益を一方的に害する条項であり、法第10条により無効であるとし、敷金の返還を命じた。 大阪簡易裁判所 平成15年(少コ)第261号 2003年(平成15年)10月16日 敷金返還請求事件 シグマジャパン(株) 判決は一般的に、敷引契約が直ちに公序良俗に違反し、あるいは信義則に反して賃借人の利益を一方的に害するものであるとはいえないとした上で、本件契約締結に際し、その趣旨や内容は明示されておらず、口頭での説明もなかったこと、入居期間は約6か月にすぎず、原告の責めに帰すべき損傷はなく、 […]
法施行後の授業料を返還しないとの特約は同法に違反するとして返還を命じた。しかし、入学金については「入学資格を得た対価」として返還義務を否定した。 大阪地方裁判所 平成14年ワ第6377号 2003年(平成15年)10月16日 学納金返還請求事件 高木吉朗弁護士 (学)大阪薬科大学 本判決は、(1)学納金の性質に関して、入学金部分の性質については、「大学に入学し得る地位を取得することの対価として受験生から大学側に納入されるもの(入学権利金)」と判断して、「入学金の納入は、入学金納入者がその大学に入学し得る地位を取得したことによってその目的を達成したもの」であると捉え、入学金部分についての返還は認 […]
4条の「勧誘」には、パンフレットが入ることを前提に、当該パンフレットが仲裁手続の全般にわたり当事者同席のうえで行われることを一般人に誤認させるものとは認められないとして棄却した。 京都簡易裁判所 平成13年(少コ)第155号 2002年(平成14年)10月30日 仲裁申立費用返還請求事件 京都弁護士会 被告発行の仲裁センターのパンフレットを見て、仲裁手続きは当事者双方と仲裁人の3者が同席して行われるものと誤信した結果仲裁手続きの申立をしたものが、被告発行のパンフレットには仲裁は3者同席でやるものと誤信させる絵が描いてあり、これは消費者契約法の4条1項の重要事項についての事実と異なる事項を告げる […]
3カ月後の月謝の値上げを告げなかったことが「不利益事実の不告知」に該当するとして取消しを認めた。 神戸簡易裁判所 平成13年ハ第2302号 2002年(平成14年)3月12日 入所金等返還請求事件 (株)劇団東俳 俳優等の養成所に入所した歌手志望の原告が、入所式直後に被告の養成システムが原告の考えていたものとは違うとして退所を申し出、入所に際して納入した諸経費の返還を求めていた事案である。 判決は、月謝の要否並びに値上げの有無・値上げの時期及び額は契約の基本的要素であり契約の中でも重要な位置を占めており、これは一般消費者にとって契約を結ぶか否かについての判断に通常影響を及ぼすものにあたるとした […]
遅延損害金の率を法第9条2項により14.6%に制限することとした。(欠席判決) 札幌簡易裁判所 平成13年ハ第5333号 2001年(平成13年)11月29日 和解金請求事件 貸金業者 貸金業者が消費者に対して平成11年2月26日貸し付けた20万円の残債務金について、消費者契約法施行後の平成13年6月12日、「元金15万円、支払い方法同一3年7月から同一5年12月まで毎月15日限り金5000円ずつの分割払いとし、遅延損害金を年26.28%とする」和解契約を締結したところ、約定による2回の支払い遅滞があったとして貸金業者が消費者に対し、残元金と約定遅延損害金を請求する訴訟を提起した。 被告である […]
【事例1】ヤミ金融業者に対して、300万円の損害賠償請求権を被保全権利とする仮差押決定が無担保で認められた事例 【事例2】ヤミ金融業者との間で、事実関係を認めて謝罪し、損害賠償金300万円を支払う旨の和解が成立した事例 盛岡地方裁判所 平成16年ヨ第34号・平成16年ヨ第35号 2004年(平成16年)4月28日・5月20日 債権仮差押命令申立事件 田岡直博弁護士 (株)イレブンこと小俣圭 債権者は岩手弁護士会所属の弁護士であり、いわゆる公設事務所の所長である。債務者は東京都渋谷区に事業所を有する、いわゆるヤミ金融業者である。 【事例1】は、債権者事務所に対する度重なる迷惑電話、弁護士の受任通 […]
宝飾品は主観的かつ相対的な価値判断によって価格設定がされるため、同種商品を他の事業者がいかなる価格で販売しているかにつき、ことさら誤認させることに関連し、小売価格が消費者契約法4条1項1号の不実の告知の対象に該当するとして、原判決を覆し契約取消しを認めた事例 大阪高等裁判所 井上正明・中村哲・久保田浩史 平成15年ネ第2237号 2004年(平成16年)4月22日 立替金請求控訴事件 片岡成弘弁護士 (株)オリエントコーポレーション TVでも宣伝している有名な販売店へ主婦が出かけ、信販会社の立替払いを利用して、小粒のダイヤモンドを多数配置した金製台のファッションリング1個を29万円で購入した。 […]