不動産の売買において、隣人の特異な言動について売主及び仲介業者に説明義務があることを認め、説明しなかったことを理由に不動産の価額の20%相当額の損害賠償を命じた事例 大阪高等裁判所 平成15年ネ第3590号 2004年(平成16年)12月2日 損害賠償請求事件 藤原精吾弁護士 078(382)0121 東急リバブル(株) 本件は、一戸建て中古住宅の買主が、本件住宅は隣人とのトラブルによって居住の用に耐えないとして、売主及びその仲介業者に対して説明義務に違反するとして損害賠償を求めた事件である。 第1審は、買主の請求を棄却したが、控訴審は原判決を変更し、買主の損害賠償を認めた。 本判決は、売主の […]
自己破産手続をする旨の受任通知を弁護士が送付した直後、京都簡裁に貸金請求訴訟を提起されたので、債務者の住居地である松山簡裁に移送申立をしたところ、移送申立が認められ、サラ金業者が抗告したものの抗告も棄却された事例 京都地方裁判所 葛井久雄、田中義則、蛭川明彦 平成15年ソ第8号 2003年(平成15年)4月22日 移送決定に対する抗告事件 野垣康之弁護士 089(913)1266 (株)ワールド 本件は、自己破産手続をする旨の受任通知を弁護士が送付した直後、(株)ワールドから遠隔の京都簡易裁判所に貸金請求訴訟を起こされた事件につき、被告の住所地である松山簡易裁判所に移送を申し立てたところ、移送 […]
京都簡易裁判所 西村恭一 平成15年サ第7号 2003年(平成15年)2月25日 移送申立事件 野垣康之弁護士 089(913)1266 (株)ワールド
任意整理で一旦は和解した事案について、和解の前提となった取引開始日よりも以前から取引が行われており、そのデータを債権者が保有していたことが後日判明し、和解の無効を前提として、過払金の返還と損害賠償を求めた事例 浜松簡易裁判所 平成16年ハ第641号 2004年(平成16年)11月4日 不当利得返還等請求事件 古橋清二司法書士 053(458)1551 アイフル(株) アイフルとの任意整理事案において、アイフルは、取引開始額や当初残高に不自然さがない(過去の取引の存在を窺うことができない)平成9年からの取引経過を開示したので、これを前提に、相互に債権債務のないことを確認する和解を締結した。 とこ […]
ATM貸付によるご利用明細書は貸金業規制法17条の要件を満たした書面とはいえず、同法43条のみなし弁済が否定された事例 東大阪簡易裁判所 松本澄清 平成16年ハ第509号 2004年(平成16年)10月15日 不当利得返還請求事件 佐賀和美司法書士 072(840)1411 三洋信販(株) 被告は、原告に対し、金銭消費貸借基本契約及び本件各貸付をしたとき、貸金業規制法17条にあたる契約書面を毎回交付したと主張しました。それに対して、原告は利率、返済の方式、返済期間、返済回数等の記載がないので、同法の書面が交付されていないと主張しました。 この争点について、東大阪簡裁は、カードご利用明細書のうち […]
前納学納金返還訴訟につき、「受験者の心理状態に乗じて、多額の学納金を納付させ、これを返還しない扱いにすることにより、本大学の収入を増加させて財政状況の改善に資することを企図して本件不返還特約を締結したものと推認せざるを得ないのであって、まさに控訴人の『窮迫に乗じた』ものと評価せざるを得ないもの」として暴利行為に該当すると判断した事例 大阪高等裁判所 井垣敏生、高山浩平、神山隆 平成15年ネ第3707号 2004年(平成16年)9月10日 学納金返還請求控訴事件 松丸正弁護士 072(232)5188 大阪医科大学 ①消費者契約法の適用のない平成13年度入試以前における前納学納金不返還特約が、公 […]
本件は、本誌の第60号128頁及び202頁に掲載された事件について、業者の抗告を大阪地裁が棄却した事例である。抗告審である大阪地裁も、原審である東大阪簡易裁判所と同様の判断により、本事案を棄却した。 大阪地方裁判所 川神裕、山田明、一原友彦 平成16年ソ第25号 2004年(平成16年)7月9日 移送却下決定に対する即時抗告事件 堀泰夫司法書士 06(6872)3400 三和ファイナンス(株) 抗告人は、理由書において、本件合意は専属的管轄の合意であるところ、基本事件を東大阪簡易裁判所において審理することによる抗告人の不利益を避け、当事者間の衡平を図るためには、基本事件を東京地方裁判所に移送す […]
被告の本店所在地を管轄裁判所とする合意は、単に付加的合意管轄を定めたにすぎないと解すべきであり、本来の法定管轄を排除する効力があるとまでは言えない。また、当庁で審理することで、訴訟が著しく遅滞するとは言えないし、当事者間の衡平を害するとも言えないので、民事訴訟法17条に基づき移送する理由もない。 大阪簡易裁判所 堤 秀起 平成16年サ第10853号 2004年(平成16年)10月12日 移送申立事件 久岡英樹弁護士 06(6365)1808 三和ファイナンス(株) サラ金に対する過払金請求を大阪簡易裁判所に提起したところ、被告から契約書に貸主の本店所在地を管轄する裁判所を管轄裁判所とすることに […]
SFCGが利息制限法上過払いとなっているのに連帯保証人の預金口座を公正証書によって差押えたことが不法行為に該当するとして、損害賠償責任を認めた事例 大分地方裁判所 龍岡俊文 平成15年ワ第482号 2004年(平成16年)10月22日 不当利得返還等請求事件 河野聡弁護士 097(533)6543 (株)SFCG SFCGが、利息制限法で計算すると31万円余り過払いとなっているにもかかわらず、生花店を経営する連帯保証人の銀行預金口座を差押え、52万円余りの支払いを得た事例で、主債務者が31万円余りの過払い金返還請求、連帯保証人が52万円余りの過払い金返還請求と30万円の慰謝料請求をした事案であ […]
アイフルが訴訟手続に不誠実な対応などをしたことに対して、慰謝料請求などを求めて、アイフルが賠償金を全額認諾した事例 大阪簡易裁判所 柏森正雄 平成15年ハ第16704号 2004年(平成16年)5月20日 債務不存在確認ならびに慰謝料等請求事件 山元康市弁護士 06(6364)4866 アイフル(株) 本件は、天蓋孤独の老病人の債務整理事件(扶助事件、債権者は全2社、1社は利息制限法残金20数万円を調停の場で放棄済み)において、アイフルが利息制限法による残金3963円の回収に固執し、正当な理由なく調停不出頭、具体案の提示もしないという非協力的な態度を固持するなど非道卑劣な取立て回収の業務遂行方 […]
本件は東京3弁護士会の法律相談担当者が平成12年5月に提訴した原告44名のアコム(株)に対するミニ集団訴訟の第1審判決である 東京地方裁判所 平成12年ワ第9365号・平成12年ワ第18069号 2004年(平成16年)11月29日 不当利得返還請求事件(第1事件)(第2事件) 内藤満弁護士 03(3563)5222 アコム(株) 争点は多岐にわたるが幾分でも先例的な価値がある部分をピックアップすると、以下のとおりである。 ①本件では、過払金訴訟前に当時の代理人(弁護士)が和解を成立させている案件がいくつか見られ、アコムからは和解の確定効や信義則違反が主張された。 非弁提携(弁護士法27条・7 […]
年金を担保とする高利金融の取引は不法行為であるとして、取引当初からの業者が取得した年金から貸付交付金を差引いた残額を損害金とし、慰謝料、弁護士費用の支払いを命じた事例 大阪高等裁判所 岡部崇明 平成16年ネ第1041号 2004年(平成16年)9月9日 損害賠償請求控訴事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 (株)大阪ローン 原審大阪地裁判決(平成14年ワ第8424号 本誌59号44頁)で、年金担保取引は不法行為と認めたが、控訴審の本判決は、その不法行為は取引当初の昭和63年まで遡り、業者の取得した年金から貸付金を差し引いた額を損害金とし、これに慰謝料30万円と弁護士費用60万円の支払 […]
国内先物事件について、被害者の過失を認めず、業者に損害金、慰謝料、弁護士費用の支払いを命じた事例 大阪高等裁判所 岩井 俊 平成16年ネ第814号 2004年(平成16年)8月31日 損害賠償請求控訴事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 光陽トラスト(株) 本判決は原審大阪地裁で被害者に過失はないのに判決(本誌59号102頁)の控訴審で、判決は業者の従業員の不法行為であるとし、業者従業員らが、従業員石田及び従業員赤井において、共同して、断定的判断の提供により、先物取引の初心者である被害者に対し、過大で不適合な取引を開始させ、従業員高見が、これを前提として、断定的判断の提供により被害者 […]
最高裁は、原審の大阪高裁判決を破棄し、差し戻した。その後大阪高裁は、平成16年8月25日、「営業の譲受後遅滞なく本件クラブの会員による本件ゴルフ場の施設の優先的利用を拒否した等の事情がなく、その他特段の事情に該当する事実が存することを認めるに足りる証拠はない」旨判示し、控訴棄却の判決を出し、譲受人が上告・上告受理申立をしなかったことから、ゴルフ場元会員権者の勝訴が確定した 最高裁第2小法廷 平成14年受第399号 2004年(平成16年)2月20日 預託金返還請求事件 山口直樹弁護士 089(933)2757 (株)ギャラック ゴルフ場の預託金返還問題は、バブル経済崩壊後、大きな社会問題となっ […]
シティズの取引において、銀行送金による弁済確認日の翌営業日に受取証書を普通郵便で発送した場合、確認日に受取証書の発送を不可能とする事情がないから、18条書面を弁済の直後に交付したとは言えないとして、43条1項の適用を否定した。 横浜地方裁判所 松田 清 平成15年ワ第4887号・平成16年ワ第1068号 2004年(平成16年)8月26日 貸金請求事件(本訴)不当利得返還請求事件(反訴) 根本稠弁護士 045(681)0063 (株)シティズ 本件は、シティズの債務者及び連帯保証人に対する貸金請求訴訟と、債務者が利息制限法の制限利率により計算した過払金返還請求の反訴を提起した事案である。 シテ […]
サラ金業者の取引経過について、金銭消費貸借取引に関する事項を記載した商業帳簿、または、これに変わる書類及び顧客カードの提出を命じた事例、及びその抗告審の業者の抗告を棄却した決定事例 東京地方裁判所 飯野里朗 平成15年ワ第14373号 2004年(平成16年)7月6日 文書提出命令申立事件 山本清一弁護士 03(3263)1477 貸金業法19条によれば、貸金業者は、その業務に関する帳簿に、債務者ごとに貸付けの契約について契約年月日、貸付けの金額、受領金額等の取引履歴を記載することを義務づけられているから、上記取引履歴が記載された業務帳簿又はこれに代わる書面(電磁的記録を含む。以下「業務帳簿等 […]
平成15年7月18日の最高裁判決の考え方を前提にして、当事者の合理的意思解釈により、全体として1個の債務と見る考え方と同一の方法による充当を認めた事例 神戸地方裁判所姫路支部 池上尚子 平成15年ワ第945号 2004年(平成16年)8月31日 不当利得返還請求事件 石井宏治弁護士 0792(82)7067 (株)ロプロ 債務者が債権者から複数回借入をしている場合、平成15年7月18日の最高裁判決によると、債務者の債権者に対する弁済金は①当該債務の制限利息、②当該債務の元本、③他の債務の制限利息、④他の債務の元本の順番で充当されることになる。これに対して、全体として1個の債務と見る考え方による […]
貸金業法施行規則15条2項の規定(「契約番号」をもって契約の表示に代える)が、貸金業法18条1項の趣旨に反し、その委任の範囲を超えた違法なものであるとして、同規定に基づく記載がなされた原告の受取証書の18条書面性を否定した事例 千葉地方裁判所 佐久間政和 平成16年ワ第76号 2004年(平成16年)5月24日 貸金請求事件 坂下裕一弁護士 048(866)7770 (株)シティズ 原告より貸付を受けていた主債務者に関し、小規模個人再生の申立をなしたところ、主債務者及び連帯保証人に対し原告より貸金請求訴訟が提起され、これに応訴したもの。 ご多分に漏れず、原告が分割和解等の余地(利息制限法引き直 […]
サラ金業者が、弁護士からの内容証明郵便の受取拒絶後に、3カ月間に3回に渡って督促のハガキを出し続けた行為について、慰謝料として25万円を支払う旨の和解が発生した事例 福岡地方裁判所小倉支部 高橋亮介 平成15年ワ第478号 2004年(平成16年)4月12日 損害賠償請求事件 配川寿好弁護士 092(884)2824 北九興銀(有) 1、業者は、従来から免責を受けた債権や、消滅時効にかかっている債権について、執拗に督促を続けていたものであるが、今回、平成元年3月に破産免責を受け、しかも、消滅時効にかかっている債権について、依頼者に支払督促の電話をしてきたので、代理人において内容証明郵便を出した […]
自動販売機のもうかります商法について、会社役員の不法行為責任を認めた事例 津地方裁判所 甲事件平成13年ワ第56号、乙事件平成13年ワ第299号 2003年(平成15年)12月24日 損害賠償請求事件 村田正人弁護士 059(226)0451 ビッグベアー 自動販売機をセールスするに際し、中途解約ができないリース契約を利用させようとしながら、「売れなければいつでも解約して引き取る」あるいは、ハンバーガーの賞味期限が3~4日のものであるのに、「賞味期間は8日間である」などといって虚偽の事実を述べたことが、詐欺あるいは不実の情報を積極的に告知したものとして、会社の不法行為責任を認めた名古屋地方裁判 […]