サラ金業者が債務者宅への取立を行ない、同居する次女から保証書を徴求したことについて慰謝料10万円と弁護士費用3万円を認めた事例 大阪簡易裁判所 多田敏明 平成14年(ハ)第12412号 2003年(平成15年)4月9日 損害賠償請求事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 (株)新大阪ファイナンス サラ金業者が債務者宅への取立を行ない、同居する次女から保険書を徴求した行為に対して、「貸金業の規制等に関する法律21条によると、貸金業者は債権の取立てに際し、「人の私生活の平穏を害するような言動により、困惑させてはならない」との定めがあるところ、上記認定の被告岩崎の行為は、原告に対し、心理的圧 […]
ヤミ金対策法制定前の事例で、ヤミ金債権は取引の無効として契約は無効とし、及び貸付金元金は不法原因給付として返還義務はないと判断した事例 東京地方裁判所 神坂 尚 平成13年(ワ)第15549号 2001年(平成13年)9月26日 不当利得返還等請求事件 斎藤雅弘弁護士 被告業者8社 本件はヤミ金対策法の施行前の事件であるが、裁判所は「返済条件の苛烈さ並びに出資法違反の程度が極めて高いことからして、このような貸金契約(金銭消費貸借契約)は公序良俗(民法90条)に著しく反するものであり、契約自体が無効である」として、借主が業者から受領した金員から借主が業者に返した金員を差し引いた残額については不当 […]
原告が厚生労働省の教育訓練給付金制度の利用を前提にパソコン講座を受講したが選択したコースが同制度の対象外であったため、被告の具体的かつ正確な説明義務の存在と説明義務違反の事実を認め、一部賠償を命じた事例 大津地方裁判所 山口芳子 平成14年(ワ)第540号 2003年(平成15年)10月3日 損害賠償請求事件 佐口裕之弁護士 077(522)5700 (株)アビバジャパン 原告は、厚生労働省の教育訓練給付制度の利用を前提に「パソコン教室アビバ」を経営する被告(株)アビバジャパンのパソコン講座を受講したが、同講座には「予約制」と「定期制」という通学方法の区別があり、事前に「予約制」では当該制度の […]
旧商工ファンド(現SFCG)が、貸金業法43条の適用がないことを認め、請求認諾した事例 東京高等裁判所 浅生重機・及川憲夫・竹田光広 平成15年(ネ)第650号 2003年(平成15年)6月5日 和田聖仁弁護士 商工ファンド(現SFCG) 旧商工ファンドの過払い集団訴訟(原告8名。請求金額約5、209万円)について、東京地裁民事第44部合議係の滝澤孝臣裁判長(最判平成2年1月22日担当調査官)は平成14年12月26日、貸金業法17条書面要件欠缺により同法43条の適用を否定し、債務者側の請求金額の約9割(4857万円)を認容する判決を言渡した(判時1824号65頁。さいたま地判平成13年11月3 […]
サラ金の過払いによる、不当利得返還請求について、「みなし弁済」(貸金業規制法43条1項)の立証がされない限り「悪意の受益者」として、法定利息金の支払義務があるとした事例 東京地方裁判所 工藤正 平成14年(ワ)第12682号 2003年(平成15年)10月30日 不当利得返還請求事件 内藤満弁護士 (株)武富士 武富士は、過払金返還訴訟において、17、18条書面を証拠提出するなどして「みなし弁済」(貸金業規制法43条1項)の主張・立証を積極的に行うことはしていないが、ただ、「みなし弁済」の成立すると信じていたことを理由に、「悪意の受益者」(民法704条)ではないとして、訴状送達の日の翌日以前の […]
契約当初から取引履歴の開示を命じた原決定に対する抗告を棄却した事例 大阪高等裁判所 下方元子・水口雅資・高橋善久 平成15年(ラ)第876号 2003年(平成15年)9月16日 文書提出命令に対する抗告事件 兒玉修一弁護士 0744(24)5315 GEコンシューマー・クレジット(有)(レイク) 本件は、民訴法220条3号後段に基づき契約当初からの取引履歴の開示を命じた奈良地裁決定を不服として、相手方(被告)が抗告の申立を行った事案である。抗告審において抗告人は、①提訴日から10年以上前の取引履歴については、法令上保存を義務づけられていないことから廃棄してしまい現存していないこと、②そもそも本 […]
契約当初から取引履歴の開示を命じた事例 奈良地方裁判所 阿部静枝 平成15年(モ)第3355号 2003年(平成15年)7月28日 文書提出命令申立事件 兒玉修一弁護士 0744(24)5315 GEコンシューマー・クレジット(有)(レイク) 本件は、過払金の返還を求める本案事件において、申立人(原告)が、相手方(被告)に対し、契約当初からの取引履歴の任意による開示を求めたところ、相手方(被告)において、「履歴開示を求められた時点から10年以上前の取引履歴については、コンピューターのデータを抹消しており提出できない」旨主張したため、改めて文書提出命令の申立を行うに至った事案である。 決定は、申 […]
向かい玉による取引は委託者の信頼を裏切る違法性(背任罪類似の違法性)があることなどを理由に8割の賠償を命じた事例 名古屋地方裁判所 筏津順子・武藤真紀子・鈴木進介 平成8年(ワ)第271号 2003年(平成15年)4月18日 損害賠償請求事件 岩本雅郎弁護士 052(962)3838 (株)アイメックス 向かい玉による取引は委託者の信頼を裏切る違法性(背任罪類似の違法性)があるとした判決が出された。判決の要点は次の通りである。 「委託者の信頼を裏切る違法性について 本件において、被告会社は恒常的に自己玉を向い玉として建てており、被告会社が客殺しの体質を有することを強く推認できること…。 そうだ […]
実質年利1892%という出資法に定める利率を著しく超える高金利による利益を目的として締結された金銭消費貸借契約は、高金利部分だけでなく契約自体が公序良俗に違反するというべきであって、係る契約による貸付は不法原因給付となり、貸主は貸金返還請求をすることはできない。 東京簡易裁判所 濱田康樹 平成14年(ハ)第1994号 2002年(平成14年)4月9日 債務不存在確認請求事件 清水聡弁護士 ビッグエレファントこと高橋大造 本判決は、既に2年近く前に出された判決であるが、同時期に得たいくつかの欠席判決と比較すると、貸主である相手方が答弁書を提出し、交付した金員のみの返還を求めたにもかかわらず、著し […]
銀行届出印によく似た別の印鑑と普通預金通帳とが盗まれ、平成14年7月、それを利用した犯人に対して、印影が異なるにもかかわらず普通預金410万円が過誤払いされた事案で、銀行の過失を認めた。 横浜地方裁判所 平成14年(ワ)第3256号 2003年(平成15年)9月26日 預金払戻請求事件 喜多英博弁護士 045(664)5291 りそな銀行 本判決は、まず「特段の事情なき限り印影の平面照合で足りる」とする従来の判例基準につき、かつては印鑑や通帳の盗難や銀行印の偽造は極めて例外的であったから免責基準としてバランスがとれていたと述べた。続いて、遅くとも平成11年ころにはピッキング窃盗など従来なかった […]
合通帳と銀行届出印が盗まれ、平成14年2月、それを利用した犯人に対して、払戻請求書の住所欄に誤記があったにもかかわらず普通預金250万円と定期預金1500万円が過誤払いされた事案で、定期預金につき銀行の過失を認めた。 横浜地方裁判所 平成14年(ワ)第2246号 2003年(平成15年)7月17日 預金払戻請求事件 喜多英博弁護士 045(664)5291 東京三菱銀行 本件では、いずれの払戻請求書の住所欄にも「十間坂」を「十間町」とする誤記があった。「十間坂」は当該支店の隣町であった。 しかし、普通預金払戻の際には住所は確認せず、印影照合のみで払い戻し、その数十分後の定期預金払戻の際には住所 […]
トヨタタウンエース(ディーゼル車、平成2年初年度登録)のファンベルトが回転軸から脱輪し、ブレーキに不具合が生じたことにより衝突事故が発生したと認め、事故2ヵ月前の定期点検においてファンベルトの劣化を見逃した点検ミスがあったとして、トヨタカローラ岡山(株)の債務不履行責任を認めた。トヨタ自動車(株)の不法行為責任は否定。 広島高等裁判所 前川鉄郎・辻川昭・岩坪朗彦 平成13年(ネ)第22号 2003年(平成15年)7月3日 損害賠償請求控訴事件 東隆司弁護士 086(222)4113 トヨタ自動車(株)・トヨタカローラ岡山(株) 本件は、トヨタタウンエース(ディーゼル車、初年度登録平成2年)のフ […]
EB債(他社株転換特約付社債)被害の初の勝訴判決であり、表面的なリスクの存在だけでなく商品構造に起因するリスクの内容と程度を理解させるべき義務が認められた裁判例(控訴) 大阪地方裁判所 森宏司・真辺朋子・安木進 平成14年(ワ)第5106号 2003年(平成15年)11月4日 損害賠償請求事件 田端聡弁護士 06(6314)0039 三菱証券(株) (旧・国際証券(株)) EB債は、1998年の店頭デリバティブ解禁以降に販売されるようになった新商品であり、「確定高利回りの社債」という衣をまといつつ、対象株式が予め定められた株価を下回れば、現金の返還に代えて下落した株券が交付されるというリスクが […]
取引履歴を示す文書の不存在が相当程度客観的に推認できるなどの特段の事情のない限り、その文書の廃棄を主張する者(相手方)が、その文書の事実を具体的に主張疎明すべきであるとして、昭和60年以降の業務帳簿等の文書の提出を命じた事例 東京地方裁判所 鳥居俊一 平成15年(モ)第1581号(基本事件・平成14年(ワ)第22511号) 2003年(平成15年)9月16日 文書提出命令申立事件 園山俊二弁護士 03(5367)1390 GEコンシューマー・クレジット(有)(GEコンシューマー・ファイナンス(株)) GEコンシューマー・ファイナンス(株)(「GE」)に対して、多重債務者の債務整理を受任した弁護 […]
販売店が立替金を不正に取得する目的で、客である被告に虚偽の事実を告げ誤信させて契約書に署名捺印させた場合は、立替払契約締結の意思表示を認めることはできない。 福岡地方裁判所 川崎聡子 平成15年(ワ)第980号 2003年(平成15年)10月31日 立替金請求事件 岡小夜子弁護士 092(751)7888 (株)オリエントコーポレーション 原告は、被告が販売店で購入した呉服等の代金について原告に分割返済することを約して立替払いを依頼し、原告が立替金を交付したのに、被告が期限に割賦金の支払いを怠ったとして本件訴えを提起した。被告は、契約書ではないと誤信させられて署名したもので、商品を購入していな […]
販売店が立替金を不正に取得する目的で、客である被告に虚偽の事実を告げ誤信させて契約書に署名捺印させた場合は、立替払契約締結の意思表示を認めることはできない。 福岡地方裁判所 川崎聡子 平成15年(ワ)第979号 2003年(平成15年)10月31日 立替金請求事件 岡小夜子弁護士 092(751)7888 (株)オリエントコーポレーション 原告は、被告が販売店で購入した呉服等の代金について原告に分割返済することを約して立替払いを依頼し、原告が立替金を交付したのに、被告が期限に割賦金の支払いを怠ったとして本件訴えを提起した。被告は、契約書ではないと誤信させられて署名したもので、商品を購入していな […]
効果の期待できない「節電器」をクレジットで購入した者が、販売店の詐欺等を理由に、信販会社に対して支払拒絶を求める訴訟を提起するべく準備中に、信販会社から信用情報への登録可能性を示唆された場合において、当該信販会社は、事故情報の登録申請をしてはいけない(仮処分決定)。 神戸地方裁判所 安原清藏 平成15年(ヨ)第255号 2003年(平成15年)9月3日 信用情報登録申請禁止仮処分命令申立事件 藤原唯人弁護士 078(331)5627 (株)アイディック (株)アイディックは、効果の期待できない「節電器」を、事業主をターゲットにして組織的に販売し、クレジット制度を利用して全国に被害者を発生させて […]
対日栄(ロプロ)の平成15年7月18日最高裁判決後、はじめて東京高等裁判所で出された判決である。過払金の充当方法については、最高裁の判断を引用しつつ、具体的な計算方法としては、一連一体計算を採用した原審を維持した。 東京高等裁判所 根本眞・濱野惺・竹内努 平成15年(ネ)第2004号 2003年(平成15年)8月27日 貸金等請求本訴・同反訴請求控訴事件 陶山嘉代弁護士 043(224)7366 (株)ロプロ 平成15年7月18日に日栄(現ロプロ)に対する最高裁第2小法廷で判決が出された。上記判決は、①超過利息の支払いによる元本充当は、利息天引であっても後払いと同様に、支払時に即時に行われるべ […]
布団小売業者の架空クレジット事案につき、目的商品の同種性、比較的短期間の多数口、多額の取引であること、支払能力等を考慮し、信販会社の調査義務を肯定し、信義則を理由に8割の減額を認めた事例 大阪地方裁判所 佐賀義史 平成14年(ワ)第13354号 2003年(平成15年)10月29日 立替金等請求事件 宮本平一弁護士 0773(23)2911 アプラス(株) 本件は、京都府北部の布団小売業者が、従前取引先であった顧客(主として高齢の無職女性でクレジット利用経験も乏しい)に対し、名前を貸してほしいと申し出て、資金繰りのため他人のクレジット名義を使用し、業者は中途までの割賦金を支払ったものの結局行方 […]
(株)日栄と日本信用保証との一体性、保証料等のみなし利息性、手形の切替と取引の一体性を肯定し、又不当利得額の計算につき、基本手形毎の系列計算と過払金の相互充当を認めた第1審判決に対する(株)日栄の控訴を棄却した高裁判決についての(株)日栄の上告受理申立及び上告申立に対し、これを棄却した。 最高裁判所第2小法廷 梶谷玄・福田博・北川弘治・亀山継夫・滝井繁男 平成14年(オ)第1894号 2003年(平成15年)9月12日 不当利得返還請求上告事件 宮本平一弁護士 0773(23)2911 (株)日栄(現ロプロ) 本件は、(株)日栄(現ロプロ)を相手にした過払金の不当利得返還訴訟の最高裁決定である […]