割烹料亭が調理したイシガキダイ料理を客が食したところ、これに含まれていたシガテラ毒素を原因とする食中毒に罹患した事案の控訴審において、一審同様、当該調理行為が製造物責任法上の「加工」に、当該イシガキダイ料理が同法上の「欠陥」に該当するとして同法の適用を認めた上で、開発危険の抗弁による免責は認めず、損害賠償を認容した事例 東京高等裁判所 根本眞、持本健司、小宮山茂樹 2005年(平成17年)1月26日 平成15年(ネ)第313号、第1487号 損害賠償請求控訴・附帯控訴事件 千葉県勝浦市所在の割烹料亭 無津呂幸憲弁護士 03(3503)0921 本件は、割烹料亭でイシガキダイ料理を食した客8名が […]
白アリ駆除のための床下調湿剤の販売において、「床下の湿気がひどく白アリが湧くかもしれない」という販売員の説明は、虚偽であり不法行為となる旨判断した事例 大阪地方裁判所 鈴木幸男 2005年(平成17年)2月16日 平成16年(ワ)第9663号 不当利得返還請求事件 セイフティーライフ(株) 国府泰道弁護士 06(6365)9182 本件は、高齢の女性が、排水管を低廉で洗浄するという業者に排水管の清掃を依頼した際に、当該業者から床下が湿気ておりシロアリがわくかもしれないと言われて、床下調湿剤や床下換気扇の設置工事の契約をした。ところが、契約者の女性は死亡し、相続人である子らが、不法行為による損害 […]
基礎スラブの鉄筋のかぶり厚につき、日本建築学会の文献等を引用して、施工誤差を考慮したスラブ厚さを確保しなければならないなどとした上で、建売住宅の売主兼施工業者及び建築士の不法行為責任を認めて、慰謝料を含む損害の賠償を命じた事例 名古屋地方裁判所 渡辺修明、河野正実、並河浩二 2005年(平成17年)3月31日 平成14年(ワ)第1836号・平成14年(ワ)第2372号 本訴:損害賠償請求事件、反訴:負担金等請求事件 (株)N(仮名) 石川真司弁護士 052(231)5532 本件は、建売住宅(平成9年建築)を購入した消費者が、建物基礎等の欠陥(かぶり厚不足、配筋不足等)を理由として、建売業者及 […]
年800%という利息の合意をした事情の下では、消費貸借契約自体が暴利行為として公序良俗に反し無効であるとして、ヤミ金融からの請求を棄却した事例(平成15年9月1日の改正貸金業規制法施行前の事案) 東京地方裁判所 間部泰 2005年(平成17年)3月25日 平成16年(ワ)第2798号 貸金請求事件 ワイ・ツー・ケイこと森山博文 中村昌典弁護士 03(5919)0745 会社の資金繰りのためにヤミ金業者(都一)から10日で2割超の高利(天引)で借り受けた事案であるが、当該業者が、年29・2%で貸し付けたなど主張し、当初より弁護士を代理人として選任して貸金請求訴訟を提訴してきた事案である。 当該業 […]
過払金の返還請求において、契約番号による取引開始日を認定し債務者の記憶による推定履歴を真実と認め、過払金の利率を過払となった後より6%を認め、取引不開示による慰謝料を10万円の限度で認めた事例 宮崎地方裁判所 細野敦 2005年(平成17年)3月1日 平成15年(ワ)第553号 不当利得返還請求事件 三洋信販(株) 小林孝志弁護士 0985(62)2317 本件は、いわゆる過払金の返還を求めたが、業者が全ての取引を開示しようとせず、訴訟に至ってもなお不誠実な対応を繰り返しており、取引不開示の慰謝料を併せ請求した事案である。 争点は、①原告と被告の間で行われた平成5年以前の取引経過、②被告の悪意 […]
最高部で200cmの擁壁の建築につき、CP型枠ブロックというブロックを用いて施工した事案。同ブロックは建設大臣が認定した、擁壁にかわりうるブロックであるが、そのために仕様が細かく定められているところ、本件ではそれらの仕様を全く満たしていなかった。判決は、仕様書が要求する水準の施工をすることが契約内容となっていたことを認定し、契約代金を大きく上回る建替費用相当額の損害賠償を認めた。 京都地方裁判所 山下寛、衣斐瑞穂、梶浦義嗣 2005年(平成17年)2月24日 平成15年(ワ)第1339号 損害賠償請求事件 積水ハウス(株) 加藤進一郎弁護士 075(257)1546 (1) 損害論 代金660 […]
建物賃貸借契約書に、保証金45万円の内解約引金40万円との条項がある事案で、解約引金40万円の内、金36万円を返還する内容で和解が成立した事例 伏見簡易裁判所 原田彰 2005年(平成17年)3月1日 平成16年(少コ)第28号 保証金返還請求事件 寺内奈緒司法書士 0774(23)1647 本件は、契約後約8カ月で賃料不払いを理由に賃貸人から契約を解除され、依頼者は、約定に従い保証金5万円の返還を受けていた事案です。なお、不払い賃料については保証会社との間で弁済に関する合意が成立していました。 当方が、消費者契約法9条及び10条違反を理由に解約引条項について無効の主張をしたのに対し、賃貸人は […]
①文書提出命令に従わず、残高無視計算を真実と推定した②10年以上前に発生した過払金もその後借入れがある場合時効消滅しないことを認めた事例 名古屋地方裁判所一宮支部 關紅亜礼 2004年(平成16年)10月14日 平成15年(ワ)第515号 不当利得返還請求事件 (株)セントラルファイナンス 瀧康暢弁護士 0586(26)6266 消費者法ニュース61号判例速報797で、報告した文書提出命令事件の本案の判決である。 セントラルファイナンスは、結局、文書提出命令に従わず10年以上の取引履歴を開示しなかった。裁判所は、セントラルファイナンスとの取引履歴につき、原告の主張する残高を無視(0円と)した取 […]
期限の利益喪失条項が不明確・不正確で不当な契約条項であり、このような不当な条項が存在する契約書面は貸金業法17条の要件を満たしたものといえない。 東京簡易裁判所 山本正名 平成16年ハ第11333号 2005年(平成17年)2月3日 貸金請求事件 石川哲央弁護士 03(3226)6110 (株)シティズ 賃借人は、マンション等の使用の対価として賃料を支払っているのであり、これとは別に使用によって当然に生じる損耗の回復費用を負担させられるのは使用の対価の二重取りである。 同判決は、まず、上記条項が公序良俗違反か否かにつき、上記のとおり二重の負担となること、住宅金融公庫法では同法の禁止する「不当な […]
年金担保の営業を不法行為とし、取得した年金から貸付金として交付した金額の差額を損害金とし、併せて慰謝料30万円と弁護士費用38万円の損害賠償を認めた事例 大阪地方裁判所 森宏司 平成16年ワ第4210号 2005年(平成17年)3月3日 損害賠償等請求事件 植田勝博弁護士 06(6362)1877 (株)エスエス 取引は、平成8年から平成12年まで、業者が年金証書だけでなく、年金受給口座を新たに作り、受給年金は業者が全て取り、被害者には2か月に1回、年金の支給日に年金の半額程度を貸付として渡していた。 被害者は、病院へも行けず、電話の停止や水光熱料金も滞納し、家賃も不払いで建物の明渡訴訟もされ […]
障害年金受給者が連帯保証人になるに際して、債権者が年金受給口座の預金通帳等を預かった場合に、形式的には連帯保証人であるが実態は年金担保であるとし、年金担保が公序良俗に反して無効であることを理由に連帯保証契約を無効とした事例 大阪簡易裁判所 和田義夫 平成15年ハ第15211号 2005年(平成17年)1月17日 貸金請求事件 山田治彦弁護士 礪山博己 難病のため障害年金を受給している妻が、夫の債務について債権者の求めにより連帯保証契約を締結した際、債権者が、夫から、妻の年金受給口座の預金通帳・キャッシュカード・印鑑などを預かった。その後、夫が破産したため、債権者が妻に対し、保証債務の履行を求め […]
ロプロ(日栄)の不当利得金は、まず、他の債務に充当され、他の債務が無いときは、その後に発生する新たな貸付があるときは、これに充当して相殺される。また、金利を初日不算入した事例(ロプロの取引は個別取引としている)。 大阪地方裁判所 瀧華聡之 平成13年ワ第3787号 2005年(平成17年)2月25日 約束手形引渡等請求事件 植田勝博弁護士 06(6362)1877 (株)ロプロ ロプロ(日栄)の訴訟は全国でなされ、平成15年7月18日の最高裁判決によって、利息制限法を超える不当利得金は直ちに残る他の債務に充当され、業者の期限の利益は認めず、また、現実に交付された金策について利息制限法の金利が発 […]
シティズの取引は、期限の利益喪失約款により、任意な弁済とは認められないとして、貸金業法43条の適用を否定し、利息制限法により不当利得の返還をみとめた事例 大阪高等裁判所 小田耕治 平成15年ネ第1960号 2005年(平成17年)3月24日 貸金・不当利得返還等請求控訴事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 (株)シティズ シティズについては利息制限法を超える金利を取る営業をし、裁判所においては、貸金業規正法43条のみなし弁済を認める判決が続いた。しかし、シティズの金融は、貸金業規正法の趣旨に反する点が少なくなく、シティズの訴訟が多数起こされている。 本判決は、「貸金業規正法43条1項 […]
被控訴人らが執筆、掲載した雑誌「週刊金曜日」の連載記事について、これらは控訴人の社会的評価を低下させ、名誉・信用を毀損するものであるが、各記事はいずれも公共の事実に関する記事で、専ら公益を図る目的で執筆、掲載されたものであり、かつ、14ある記述のうち9ないし10の記述については真実と認められ、残りの記述についても、被控訴人らが真実と信じたことに相当な理由があるとして、原審同様、ジャーナリスト、雑誌社側が全面勝訴した事例 東京高等裁判所 岩井俊、及川憲夫、竹田光広 平成16年ネ第5412号 2005年(平成17年)2月24日 損害賠償請求事件 好川久治弁護士 03(3501)8822 (株)武富 […]
原告の立替金請求に対し、被告らが割賦販売法30条の4により、錯誤の抗弁を対抗できると判示するとともに、原告の信義則違反との再抗弁に対して、背信的事情は認められないと判断してこれを排斥した事例 名古屋地方裁判所 西尾進 平成13年ワ第2408号 外45件 2005年(平成17年)3月9日 立替金請求事件 舟橋直昭弁護士 052(212)4662 クオーク 本件は2日間の展示会で、原告と被告ら52名との間で締結したクレジット契約に基づく立替金請求の事案である(関与したクレジット会社はクオーク、国内信販外計5社、被害総額1億3000万円以上、因みに別件国内信販の請求に対しても棄却判決が下されている) […]
誇大広告によって多重債務者を勧誘し「コンサルタント契約」と称して債務整理業務を行った整理屋に対して、司法書士法・弁護士法等に違反することを認定し、整理屋と提携し名義を貸与した司法書士に対しては司法書士法違反・会則違反に該当するとした上で、業務提携による両者の行為を共同不法行為と認定した事例 大阪簡易裁判所 平成16年ハ第8046号 2005年(平成17年)3月17日 損害賠償請求事件 前川一彦司法書士 06(6966)9877 梅田あさがおの会 (1) 本件は、大阪司法書士会の会員有志でつくる「整理屋提携問題研究会」の司法書士代理人12名で担当した案件である。スポーツ新聞等に、「支払い方法を見 […]
敷金返還請求訴訟において、賃貸人に有利な特約条項を「賃貸人に対しその義務の内容について説明がなされて、賃借人がその義務を十分に理解し、自由な意思に基づいた同意をしたことが必要である」として契約締結の時点で賃借人の意思を欠き無効とした事例 千葉簡易裁判所 伊藤みさ子 平成16年(少コ)第77号 2005年(平成17年)3月1日 敷金等返還請求事件 沖邦彦司法書士 043(273)9688 個人名のため開示しない 本件は、賃借人が本件賃貸借物件を退去後賃貸人に敷金の返還を求め訴訟を提起したところ、賃貸人に有利な賃貸借契約書の特約条項の有効性が争点になった事案である。 本賃貸借契約書には、明渡しの時 […]
ヤミ金融の貸金契約が民法90条違反により無効となり、借主が返還義務 を負わないとされた事例 市川簡易裁判所 中川隆司 平成16年ハ第810号 2005年(平成17年)2月14日 貸金請求事件 石鍋毅弁護士 03(3234)6181 ウインズこと野口敏和 債務者が貸主から名目額5万円(実質4万9000円 1000円は手数料)を月30%の割合で借りた(債務者は一度も返済していない)事例で、借主控分も含めてを3枚綴りの契約書を自分宛に全て返信させており、控分につき返送の必要のないことを明示しなかったこと及び原告の尋問結果から本件貸付契約の利率が契約書に記載のある年29.2%ではなく、月30%年360 […]
原爆手当担保の業者に対し、手当を受領していたにもかかわらず、帳簿には該当する返済処理の記載がないことにつき、被爆者援護法を潜脱するとともに借主の意思に反するとして、業者に不法行為責任を認めた事例 広島地方裁判所 能勢顯男 平成14年ワ第1225号 2005年(平成17年)2月24日 不当利得返還請求事件 長井貴義弁護士 082(223)3786 (有)丸美商事 丸美商事は、まともな契約書も領収書も作らず、さらには被爆者健康管理手当(原爆手当)を担保にとる業者です。原告は2名で、1名は原爆手当を拒保にとられていました。 訴状では、原告らは20年は取引があるところ、丸美との契約は右の事情から公序良 […]
専属的合意管轄の合意があっても、合意管轄裁判所である東京簡易裁判所に移送したのでは、交通事情、経済力の格差、本案事件の内容等と照らして、当事者間の衝平を害する事情があると認められる上、相手方が専属的合意管轄の訴訟上の意味内容を十分理解した上で、この合意に至ったとする事情もうかがわれないとして、移送申立却下をした原審を維持した 山形地方裁判所 畑中芳子、小林直樹、坂本康博 平成16年ソ第1号 2004年(平成16年)11月10日 移送申立却下決定に対する即時抗告事件 海野寛康弁護士 0234(26)0858 (株)三和ファイナンス 本件は、取引経過については素直に開示して来たので、利限法の利率に […]