動物病院で診療をうけたペット犬の飼い主に対し、動物病院はペット犬の手術前に必要な検査をし、治療法の説明を尽くすべき診療契約上の義務があったのに、検査をせず、説明義務を尽くさずに手術をしたため、飼い主はペットに対する治療選択に関する自己決定権を侵害されたと認定して、治療費、慰謝料、弁護士費用の支払いを動物病院に命じた事例 名古屋高等裁判所金沢支部 長門栄吉、渡邉和義、田中秀幸 2005年(平成17年)5月30日 平成15年(ネ)第330号 損害賠償請求控訴事件 公表せず 佐藤光子弁護士 03(3595)8088 本件は、ペット犬が後ろ足の関節炎で長期にわたり通院していたが、左前足に腫瘍ができ、次 […]
賃借人が差し入れた30万円の保証金(敷金)から解約時に25万円を控除して返還することとするいわゆる敷引特約は、消費者である賃借人に民法にない義務を負担させて義務を加重する契約の条項であって、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものであるから、消費者契約法10条に違反し無効であるとした事例 神戸地方裁判所 村岡泰行、三井教匡、山下隼人 2005年(平成17年)7月14日 平成16年(レ)第109号 保証金返還控訴事件 エイブル保証(株) 増田尚弁護士 06(6633)7621 阪神地域に見られる「敷引」特約は、年来、その合理性が問題とされてきた。近年、控除される割合が差し入れた保証金の5~9 […]
不当利得返還請求権の遅延損害金について、「利得者が商人であって利得物を営業のために利用し収益を上げていると解される場合には、商事法定利率年6分によるべき」とした上、(株)クレディアは「貸金業者として貸金業の営業のために不当利得金を利用して収益を上げていることは明らか」とした事例(確定) 名古屋地方裁判所 大石啓子 2005年(平成17年)6月1日 平成16年(ワ)第4884号 過払金返還等請求事件 (株)クレディア 金岡繁裕弁護士 052(682)3211 1 過払金返還訴訟における不当利得利息を、年5%とすべきか6%とすべきかが争われている。 この点、民法404条は利息附債権の法定年利率を5 […]
貸金業者との間で締結された連帯保証契約は、消費者契約法上の消費者契約に該当する。連帯保証契約における主債務者及びその支払い能力、融資金の使用目的及び弁済金の支払方法は、消費者契約法4条1項1号に定める重要な事項に該当する。 千葉地方裁判所 井上隆義 2003年(平成15年)10月29日 平成15年(レ)第38号 貸金請求控訴事件 (株)シティズ 松原徳満弁護士 03(3571)5987 本案は、事業不振に陥っていた会社が、事業資金を集めるため、金融会社担当者と意を通じて返済能力のない会社従業員を形式的な主債務者にさせると共に当該従業員に対し返済能力のある連帯保証人を捜すように指示したところ、当 […]
金融業者が年金生活者に対し、引越費用金80万円を貸し付ける際に、それ以前の銀行に対する年金担保融資の残額金115万円を精算するための資金を貸し付けたうえで、同人をして、銀行に対する年金担保融資を精算させるとともに、金250万円の年金担保融資を申し込ませたうえ、印鑑・カード・通帳を交付せしめることにより、年金担保融資金全額の取得を試みたという件につき、不法原因給付の成立が認められた事例 東京地方裁判所 藤下健 2005年(平成17年)6月7日 平成16年(ワ)第3253号 貸金返還等請求事件 公表せず 小林哲彦弁護士 048(825)0059 本件は、金融業者Xが年金担保融資金を取得する前に、年 […]
貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、特段の事情のない限り、信義則上これを開示すべき義務を負い、この義務に違反して取引履歴の開示を拒絶したときは不法行為を構成し、損害賠償が認められた事例 最高等裁判所判所第3小法廷 濱田邦夫、上田豊三、藤田宙靖、堀籠幸男 2005年(平成17年)7月19日 平成16年(受)第965号 過払金等請求上告受理申立事件 (株)キャスコ 井上元弁護士 06(6366)0636 貸金業者の取引履歴開示義務については、開示義務を認め、不開示は違法であるとして損害賠償を命じる裁判例が主流となってはいたものの、開示義務を否定する裁判例も相当数存し、高等裁判 […]
イーシステム・ジャパンの行っていたモニター商法に関し、商品の購入代金を融資した貸金業者からの貸金請求について、個品割賦あっせんに該当するとして抗弁権の接続を認め、抗弁権の接続を主張することが許されない特段の事情もないとして、契約不存在の抗弁によって請求を棄却した事例(確定) 福岡地方裁判所 秋信治也 2004年(平成16年)8月27日 平成14年(ワ)第3886号 貸金請求事件 (株)サニー 吉原洋弁護士 092(771)7431 本件はイーシステムのモニター商法に関する判決である。イーシステムは、モニター業務希望者と業務委託契約を締結する際、同人らに業務に用いる商品を預託したが、持ち逃げ防止 […]
敷引特約が消費者契約法10条に違反するとして、その一部を無効と判断する判決を言い渡した事例 大阪地方裁判所 横山光雄 2005年(平成17年)4月20日 平成16年(ワ)第10347号 敷金返還請求事件 公表せず 増田尚弁護士 06(6633)7621 1 事案の概要 賃借人は、2003(平成15)年6月、大阪市浪速区に所在するマンションの1室につき、家賃月7万円(共益費月1万円)、賃借期間2年との内容で賃借し、夫婦2名で、約11カ月間居住していました。 この賃貸借契約には、保証金(敷金)として50万円を差し入れることになっていましたが、解約時には、いわゆる敷引として40万円を控除して、残余の […]
書類取付けによる不動産奪取を図ったSFCG子会社が、権利証がなかったために所有権移転登記が実現できなかった不動産物件につき処分禁止の仮処分をかけていたところ、物件所有者相続人の異議申立が認められ、取消されたので保全抗告を申し立てた事件であるが、東京高等裁判所でも、書類等につき偽造だということを含めた更に詳しい事実認定をして、抗告申立を棄却した事例 東京高等裁判所 大喜多啓光、園部秀穂、河野清孝 2005年(平成17年)4月8日 平成16年(ラ)第1684号 不動産仮処分命令取消決定に対する保全抗告事件 (株)ティー・アンド・エー 茆原正道弁護士 044(855)5414 1 事件の概要 本件は […]
武富士の時効にかかった債権の請求に基づいて、債務者が一部分割で支払っていた件について、債権の時効消滅を認めた事例 大阪簡易裁判所 安井 毅 2005年(平成17年)3月25日 平成16年(ハ)第11539号 貸金請求事件 (株)武富士 山田治彦弁護士 06(6362)8177 本件は、平成7年12月を最後に放置された債権について、武富士から「一括返済が、できなければ給与の差押をする。差押されたくなかったら分割で支払え」と言われた債務者が平成15年2月18日から分割払いをした事案である。 裁判所は、専門的知識を含め圧倒的に優位の立場にある貸金業者である債権者においては、消滅時効の完成の事実を告知 […]
中学教材の多量販売・マンスリークリア方式について抗弁対抗を認めた事例 神戸地方裁判所姫路支部 2005年(平成17年)3月15日 第1事件・平成15年(ワ)第758号、第2事件・平成16年(ワ)第311号 立替払金請求 第1事件・オリエントコーポレーション・第2事件・(株)第一出版 山﨑省吾弁護士 0792(84)9100 教材の多量販売についての地方裁判所判例である。 本件は、「学習内容の指導を電話で行うので塾や家庭教師よりも費用が安くなる」などと称して、小学生の親に、中学3年分の教材を108万円で、クレジット販売した事案である。 第1事件は、信販会社からの立替払金請求に対して、消費者からの […]
取引経過開示のため、文書提出命令が出された事例 鳥取簡易裁判所 佐藤洋一 2004年(平成16年)8月27日 平成16年(特ノ)第384号 特定調停事件 アイフル(株) 岸田和久弁護士 0857(29)6990 決 定 申立人 A 申立人代理人弁護士 岸田 和久 同 大田原俊輔 相手方 アイフル(株) 上記当事者間の平成16年(特ノ)第384号特定調停事件について、職権により次のとおり決定する。 主 文 相手方は、調停手続の適正な処理のため、平成16年9月13日までに、申立人A(生年月日、昭和○○年○月○○日生)に関する下記の各書類を提出すること。 記 1 申立人に対する商業帳簿〔当初からの貸 […]
悪性の右乳癌を発症した原告に「どんなに大きい腫瘍でも完全に治せる」と断言し、治療費を騙し取り、適正な治療の機会を奪った被告に対し、不法行為の成立を認め約1220万円の損害賠償金の支払を命じた事例 仙台地方裁判所 畑中芳子、中丸隆、佐藤隆幸 2005年(平成17年)6月27日 平成16年(ワ)第579号 損害賠償求事件 気光治療院こと秋元繁 小野寺友宏弁護士 022(266)4664 被告は、医師免許がないにも関わらず「癌治療の気光治療院」と称して「短期間での癌の完全治療」を謳ったホームページを開設している者である。 原告(40歳代の女性)は、病院で「悪性の右乳癌、頚部リンパ節転移」と診断され、 […]
宝石貴金属の販売会社従業員から訪問販売により、ダイヤルース(ダイヤの石)とプラチナリングを購入した消費者(被告)が、信販会社(原告)と立替払い契約を締結したところ、特定商取引法4条書面の交付を受けていないとして(商品の引渡時期等の記載がない)、クーリングオフ期間を経過してなされた解除の意思表示が有効とされ、解除は割販法30条の4により信販会社に対抗できるとされた事例 札幌地方裁判所 原啓一郎 2005年(平成17年)4月28日 平成15年(ワ)第2219号 平成16年(ワ)第1704号 立替金請求事件 日本信販(株)、(株)アプラス、(株)ジェム・アーク 八幡敬一弁護士 011(272)777 […]
宝石貴金属の販売会社従業員から、展示会場へ連れ出された消費者(被告)が、帰宅したい旨告げたにもかかわらず勧誘を続けられたため、困惑してネックレスを購入し、信販会社(原告)と立替払い契約を締結したことにつき、消費者契約法4条3項2号(退去妨害による契約の取消)により立替払い契約の取消を認めた事例 札幌地方裁判所 氏本厚司 2005年(平成17年)3月17日 平成15年(ワ)第2657号 立替金請求事件 (株)オリエントコーポレーション、(株)ジェム・アーク 八幡敬一弁護士 011(272)7776 被告は、高齢の女性(当時81才)であるところ、宝石貴金属の販売会社(原告補助参加人)の従業員から、 […]
信販会社が事前にカード利用代金明細書を送付した上で自動振込がされていても、振込による弁済の都度、直ちに18条書面を交付しなければ貸金業規制法43条の適用はできないとして、原告の過払金返還請求を認めた事例 名古屋簡易裁判所 黒瀬久忠 2005年(平成17年)4月27日 平成17年(ハ)第415号 不当利得返還請求事件 (株)名古屋カード 天野勲司法書士 052(853)0409 被告は(株)名古屋銀行系列の信販会社である。本件の被告は原告に対し、毎月10日の振替日の約2週間前にカード利用代金明細書を送付し、原告は(株)名古屋銀行の口座から自動振替の方法により弁済をしていた。被告は、このように事前 […]
①月収約16万円の債務者に約350万円を年利28%で貸付することは、過剰貸付に当たる。②多重債務者に対して、利息制限法による引直しの説明をせずに債務一本化をなすことは、借主の無知に付け込み、自らのみが債権者となり、高利の利息から多額の利益を得ようとするもので違法性が強度である。③「無保証人」等の虚偽の広告は違法。以上より強度の違法性故に貸付は公序良俗違反で無効。貸付金について、不当利得も成立しない。 名古屋地方裁判所 渡辺修明 2005年(平成17年)5月24日 平成14年(ワ)第2398号の8 損害賠償請求事件 (株)日立ファイナンス 服部誠至弁護士 052(955)6621 本判決は、債務 […]
破産・免責後の不当利得返還請求の是非(肯定) 京都地方裁判所 中村隆次 平成17年(ワ)第254号 2005年(平成17年)4月18日 不当利得返還請求事件 プロミス(株) 功刀正彦弁護士 075(222)7090 事案の概略 弁護士の受任通知及び取引履歴の開示請求に対し、プロミスがこれを無視したが、契約の日付が平成7年であったため、平成16年現在において不当利得が発生している可能性が高いという補足を添えて、京都地裁に破産中立を行った。 裁判の争点 破産を申し立てて、債権者に名前を記載しておきながら、一方では不当利得の返還請求を行うのは禁反言ではないか。 免責決定を受けたことで、例えみなし弁済 […]
シティズの地方裁判所から簡易裁判所への移送申立に対し、そのほとんどがシティズの主張を認めて事件は簡易裁判所に移送されているところ、本件は、裁判所の合理的裁量に委ねられているとして、シティズの抗告を棄却して地方裁判所の管轄とした事例 大阪高等裁判所 大谷正治、高田泰治、藤本久俊 2005年(平成17年)6月7日 平成17年(ラ)第294号 移送申立却下決定に対する抗告事件 (株)シティズ 水谷英二司法書士 052(916)5080 シティズは、過払金返還請求訴訟が地方裁判所に提起された場合に、簡易裁判所における専属的合意管轄があることを理由に、すべて簡易裁判所に移送申立を行っており、そのほとんど […]
免責確定後の取立行為は社会的相当性を欠く違法行為であり、免責後回収額全額につき、損害賠償を認めた事例 大阪高等裁判所 井垣敏生、高山浩平、神山隆一 2005年(平成17年)5月26日 平成17年(ネ)第750号 損害賠償請求控訴事件 宮竹商事こと竹内建夫 由良尚文弁護士 0772(20)1122 本件は、貸金業者(個人)が貸付に際し、「ワシは破産を認めない」などと言い含めて貸付を行い、債務者が破産免責をした後も、免責確定後、「破産は認めない言うてたやろ。払え」などと迫り、債務者から合計金101万9000円を取り立てた行為につき、債務者から同額の損害賠償請求を求めた事案である。 原審の京都地方裁 […]