0代半ばの男性投資家が、証券外務員の勧誘で3銘柄の投資信託を購入した際及び同外務員の主導で株式取引を開始した際、投資金額の10%の値下がりがあった場合には、連絡を受けて売却などの方策を取ると申出ていたにもかかわらず、証券外務員がその連絡を怠ったとして(信義則上の危険連絡義務違反)、値下がり損失の損害賠償を認めた事例(過失相殺あり)。 大阪地方裁判所 佐賀義央 2005年(平成17年)6月1日 平成16年(ワ)第2469号 証券取引損害賠償請求事件 日本アジア証券 三木俊博弁護士 06(6365)9181 素人投資家である50代半ばの早期退職男性が、(自分の寿命は長くないと思って)、妻の老後生活 […]
55歳の独身女性が、銀行金利より有利な「商品ファンド」を用いた「おとり勧誘」によって、商品先物取引に引き込まれた後、約8カ月の間に、約1億2000万円を投資して7650万円の損失を被った事件において、その違法行為を「新規委託者保護義務違反」に集約させた上で、2割の過失相殺を行って(弁護士費用を含め)6730万円の支払を認容した事例 大阪地方裁判所 塚本伊平、金子隆雄、杉本敏彦 2005年(平成17年)6月16日 平成16年(ワ)第1844号 商品取引(先物取引)損害賠償請求事件 岡藤商事 三木俊博弁護士 06(6365)9181 被害者は55歳の独身女性。母親と2人暮しで、その老後生活の安定の […]
平成5年築の建売住宅について、基礎底盤の高さ不足及びコンクリートかぶり厚さ不足等の欠陥があることを認定し、建物本体を基礎上部から持ち上げ、既存基礎を解体し布基礎を再施工する補修費用等の損害賠償を認めた事例 仙台地方裁判所石巻支部 髙橋伸幸 2005年(平成17年)3月24日 平成14年(ワ)第○号 損害賠償請求事件 公表せず 鈴木覚弁護士 022(216)6770 本件訴訟は、平成5年に被告から購入した建売住宅につき、当該建物に構造性能、対候性能及び仕上げ、空間性能に欠陥があることが平成13年に建築士の調査により判明したことから、瑕疵担保責任、不法行為責任に基づき、建物の補修費用、引越費用、調 […]
人事権の行使において法的保護に値する内部告発を理由に不利益に取り扱うことは、公序良俗に反するものであり、従業員は正当な内部告発をしたことによっては、配置、異動、担当職務の決定及び人事考課、昇格等について他の従業員と差別的処遇を受けることがないという期待的利益を有するものといえるから、人事権の裁量の範囲を逸脱する違法なものである。 富山地方裁判所 永野圧彦、剱持淳子、三輪篤志 2005年(平成17年)2月23日 平成14年(ワ)第17号 損害賠償金等請求事件 トナミ運輸(株) 山田博弁護士 076(420)1212 大手運輸会社である被告の従業員である原告が、被告が他の同業者との間で認可運賃枠内 […]
契約者をペンション経営者とするインターネット広告掲載申込契約において、契約締結後13日後にキャンセルしたところ、約款に基づき70パーセントのキャンセル料を請求されたという事案につき、合意不成立が認定され請求が棄却された事例 富山簡易裁判所 大西守 2005年(平成17年)9月7日 平成17年(少コ)第48号 キャンセル料請求事件 公表せず 山田茂樹司法書士 0558(74)2801 (1) 本件は、インターネット広告掲載申込である「Yahoo!電話帳&クーポン」申込契約のキャンセル料支払の合意に基づき、キャンセル料及び遅延損害金の支払いを求めた事案である。 (2) 原告は、契約書面にキャンセル […]
元支店長(ブロック長を含む)6名の武富士に対する未払残業代金及び不法行為に対する慰謝料請求に対し、武富士が合計で5000万円を支払うとの和解であり、内容としては、平日の残業代金と休日については警備会社の記録があるものについては、未払の残業代が全額支払われた事例 大阪地方裁判所 髙松宏之 2005年(平成17年)2月3日 平成15年(ワ)第5927号、13247号 未払賃金等請求事件 (株)武富士 尾川雅清弁護士 06(6364)1133 平成15年6月13日に武富士元社員が未払賃金等請求訴訟を全国一斉(仙台、東京、大阪、福岡)に提起したが、その大阪の事件であり、6名の原告が未払賃金請求をし、う […]
特定商取引法の特定継続役務提供契約における中途解約金の精算に関し、ポイント購入時のポイント単価とは異なる単価により精算するとの特約は違法と判示された事例 東京高等裁判所 雛形要松、都築弘、中島肇 2005年(平成17年)7月20日 平成17年(ネ)第1333号 解約精算金請求控訴事件 (株)ノヴァ 杉浦幸彦弁護士 03(3432)6722 NOVAは、購入時の単価ではなく、消化したポイント数に対応する単価を適用するとの約款上の精算特約を根拠に、生徒が期待した金額を大きく下回る精算金しか支払おうとしなかった。そこで、本件訴訟を提起したところ、東京地方裁判所は、当職の請求を全面的に認容する平成17 […]
①少額訴訟制度を利用した出会い系サイト架空請求を棄却し、慰謝料請求反訴請求を認めた判決(原告欠席判決)と、②調査会社に対する慰謝料請求を認めた事例(公示送達) 東京地方裁判所 ①清水克久/②小島法夫 ①2005年(平成17年)3月22日/②2005年(平成17年)7月25日 ①平成16年(ワ)第16044号・平成16年(ワ)第19911号/②平成16年(ワ)第20255号 ①本訴損害賠償等請求事件、反訴損害賠償請求事件/②損害賠償請求事件 ①CGVグループこと日高大介/②中央リサーチこと大西洋 瀬戸和宏弁護士 03(5269)2051 出会い系サイトの架空請求につき、東京都品川区在住の男性が、 […]
動物病院で診療をうけたペット犬の飼い主に対し、動物病院はペット犬の手術前に必要な検査をし、治療法の説明を尽くすべき診療契約上の義務があったのに、検査をせず、説明義務を尽くさずに手術をしたため、飼い主はペットに対する治療選択に関する自己決定権を侵害されたと認定して、治療費、慰謝料、弁護士費用の支払いを動物病院に命じた事例 名古屋高等裁判所金沢支部 長門栄吉、渡邉和義、田中秀幸 2005年(平成17年)5月30日 平成15年(ネ)第330号 損害賠償請求控訴事件 公表せず 佐藤光子弁護士 03(3595)8088 本件は、ペット犬が後ろ足の関節炎で長期にわたり通院していたが、左前足に腫瘍ができ、次 […]
賃借人が差し入れた30万円の保証金(敷金)から解約時に25万円を控除して返還することとするいわゆる敷引特約は、消費者である賃借人に民法にない義務を負担させて義務を加重する契約の条項であって、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものであるから、消費者契約法10条に違反し無効であるとした事例 神戸地方裁判所 村岡泰行、三井教匡、山下隼人 2005年(平成17年)7月14日 平成16年(レ)第109号 保証金返還控訴事件 エイブル保証(株) 増田尚弁護士 06(6633)7621 阪神地域に見られる「敷引」特約は、年来、その合理性が問題とされてきた。近年、控除される割合が差し入れた保証金の5~9 […]
不当利得返還請求権の遅延損害金について、「利得者が商人であって利得物を営業のために利用し収益を上げていると解される場合には、商事法定利率年6分によるべき」とした上、(株)クレディアは「貸金業者として貸金業の営業のために不当利得金を利用して収益を上げていることは明らか」とした事例(確定) 名古屋地方裁判所 大石啓子 2005年(平成17年)6月1日 平成16年(ワ)第4884号 過払金返還等請求事件 (株)クレディア 金岡繁裕弁護士 052(682)3211 1 過払金返還訴訟における不当利得利息を、年5%とすべきか6%とすべきかが争われている。 この点、民法404条は利息附債権の法定年利率を5 […]
貸金業者との間で締結された連帯保証契約は、消費者契約法上の消費者契約に該当する。連帯保証契約における主債務者及びその支払い能力、融資金の使用目的及び弁済金の支払方法は、消費者契約法4条1項1号に定める重要な事項に該当する。 千葉地方裁判所 井上隆義 2003年(平成15年)10月29日 平成15年(レ)第38号 貸金請求控訴事件 (株)シティズ 松原徳満弁護士 03(3571)5987 本案は、事業不振に陥っていた会社が、事業資金を集めるため、金融会社担当者と意を通じて返済能力のない会社従業員を形式的な主債務者にさせると共に当該従業員に対し返済能力のある連帯保証人を捜すように指示したところ、当 […]
金融業者が年金生活者に対し、引越費用金80万円を貸し付ける際に、それ以前の銀行に対する年金担保融資の残額金115万円を精算するための資金を貸し付けたうえで、同人をして、銀行に対する年金担保融資を精算させるとともに、金250万円の年金担保融資を申し込ませたうえ、印鑑・カード・通帳を交付せしめることにより、年金担保融資金全額の取得を試みたという件につき、不法原因給付の成立が認められた事例 東京地方裁判所 藤下健 2005年(平成17年)6月7日 平成16年(ワ)第3253号 貸金返還等請求事件 公表せず 小林哲彦弁護士 048(825)0059 本件は、金融業者Xが年金担保融資金を取得する前に、年 […]
貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、特段の事情のない限り、信義則上これを開示すべき義務を負い、この義務に違反して取引履歴の開示を拒絶したときは不法行為を構成し、損害賠償が認められた事例 最高等裁判所判所第3小法廷 濱田邦夫、上田豊三、藤田宙靖、堀籠幸男 2005年(平成17年)7月19日 平成16年(受)第965号 過払金等請求上告受理申立事件 (株)キャスコ 井上元弁護士 06(6366)0636 貸金業者の取引履歴開示義務については、開示義務を認め、不開示は違法であるとして損害賠償を命じる裁判例が主流となってはいたものの、開示義務を否定する裁判例も相当数存し、高等裁判 […]
イーシステム・ジャパンの行っていたモニター商法に関し、商品の購入代金を融資した貸金業者からの貸金請求について、個品割賦あっせんに該当するとして抗弁権の接続を認め、抗弁権の接続を主張することが許されない特段の事情もないとして、契約不存在の抗弁によって請求を棄却した事例(確定) 福岡地方裁判所 秋信治也 2004年(平成16年)8月27日 平成14年(ワ)第3886号 貸金請求事件 (株)サニー 吉原洋弁護士 092(771)7431 本件はイーシステムのモニター商法に関する判決である。イーシステムは、モニター業務希望者と業務委託契約を締結する際、同人らに業務に用いる商品を預託したが、持ち逃げ防止 […]
敷引特約が消費者契約法10条に違反するとして、その一部を無効と判断する判決を言い渡した事例 大阪地方裁判所 横山光雄 2005年(平成17年)4月20日 平成16年(ワ)第10347号 敷金返還請求事件 公表せず 増田尚弁護士 06(6633)7621 1 事案の概要 賃借人は、2003(平成15)年6月、大阪市浪速区に所在するマンションの1室につき、家賃月7万円(共益費月1万円)、賃借期間2年との内容で賃借し、夫婦2名で、約11カ月間居住していました。 この賃貸借契約には、保証金(敷金)として50万円を差し入れることになっていましたが、解約時には、いわゆる敷引として40万円を控除して、残余の […]
書類取付けによる不動産奪取を図ったSFCG子会社が、権利証がなかったために所有権移転登記が実現できなかった不動産物件につき処分禁止の仮処分をかけていたところ、物件所有者相続人の異議申立が認められ、取消されたので保全抗告を申し立てた事件であるが、東京高等裁判所でも、書類等につき偽造だということを含めた更に詳しい事実認定をして、抗告申立を棄却した事例 東京高等裁判所 大喜多啓光、園部秀穂、河野清孝 2005年(平成17年)4月8日 平成16年(ラ)第1684号 不動産仮処分命令取消決定に対する保全抗告事件 (株)ティー・アンド・エー 茆原正道弁護士 044(855)5414 1 事件の概要 本件は […]
武富士の時効にかかった債権の請求に基づいて、債務者が一部分割で支払っていた件について、債権の時効消滅を認めた事例 大阪簡易裁判所 安井 毅 2005年(平成17年)3月25日 平成16年(ハ)第11539号 貸金請求事件 (株)武富士 山田治彦弁護士 06(6362)8177 本件は、平成7年12月を最後に放置された債権について、武富士から「一括返済が、できなければ給与の差押をする。差押されたくなかったら分割で支払え」と言われた債務者が平成15年2月18日から分割払いをした事案である。 裁判所は、専門的知識を含め圧倒的に優位の立場にある貸金業者である債権者においては、消滅時効の完成の事実を告知 […]
中学教材の多量販売・マンスリークリア方式について抗弁対抗を認めた事例 神戸地方裁判所姫路支部 2005年(平成17年)3月15日 第1事件・平成15年(ワ)第758号、第2事件・平成16年(ワ)第311号 立替払金請求 第1事件・オリエントコーポレーション・第2事件・(株)第一出版 山﨑省吾弁護士 0792(84)9100 教材の多量販売についての地方裁判所判例である。 本件は、「学習内容の指導を電話で行うので塾や家庭教師よりも費用が安くなる」などと称して、小学生の親に、中学3年分の教材を108万円で、クレジット販売した事案である。 第1事件は、信販会社からの立替払金請求に対して、消費者からの […]
取引経過開示のため、文書提出命令が出された事例 鳥取簡易裁判所 佐藤洋一 2004年(平成16年)8月27日 平成16年(特ノ)第384号 特定調停事件 アイフル(株) 岸田和久弁護士 0857(29)6990 決 定 申立人 A 申立人代理人弁護士 岸田 和久 同 大田原俊輔 相手方 アイフル(株) 上記当事者間の平成16年(特ノ)第384号特定調停事件について、職権により次のとおり決定する。 主 文 相手方は、調停手続の適正な処理のため、平成16年9月13日までに、申立人A(生年月日、昭和○○年○月○○日生)に関する下記の各書類を提出すること。 記 1 申立人に対する商業帳簿〔当初からの貸 […]