破産債権に基づく強制執行(給料差押)は、免責決定確定までの間は、適法で不当利得にはならないとしつつ、固定主義の観点からして、破産者の更正のための財産についての債権回収手段は強く保護することはできないとして強制執行を取り消した例 福井地方裁判所 1998年(平成10年)10月9日 平成10年(ヲ)第57号 差押範囲変更の申立事件 黛千恵子弁護士 0776(21)6333 ニューファイナンス株式会社 ニューファイナンス株式会社は、自己破産の同時廃止事件において、破産債権確定後、免責までの間の給料差押、免責に対する異議申立、さらには、近日、免責確定後の破産者に対し、同社からの借り入れは、悪意による不 […]
原告である被害者が、昼食に買ったマクドナルドのダブルチーズバーガーセットのオレンジジュースを飲んだところ、飲んだ人に傷害を負わせるような異物が混入していたということは、オレンジジュースが通常有すべき安全性を欠いており、製造物責任法上の「欠陥」が認められるとして、日本マクドナルド(株)に対して、損害賠償の支払いを命じた例。 名古屋地裁 1999年(平成11年)6月30日 平成10年(ワ)2443号 損害賠償請求事件 平塚雅昭弁護士052(222)1775 日本マクドナルド(株) 本件訴訟において、原告が、同僚と話しながら、マクドナルドのオレンジジュースを飲んだところ、喉にガラス破片のようなもの( […]
高齢者夫婦を狙っての訪販によるリフォームの建築請負業者に対して請負金額が不当に高いことを考慮して、差額分を払わせた事例(和解) 福岡地方裁判所小倉支部 1999年(平成11年)8月10日 平成10年(ワ)第229号 損害賠償請求事件 配川寿好弁護士 093(884)2824 西日本住設販売株式会社 1、本件は、北九州地区で以前から訪販で白蟻駆除等を市価の数倍で行なっていて、消費生活センターに苦情が絶えなかった業者に対して、同社がなした訪販による高齢者(85才)にたいする不当に高い各種のリフォーム工事の請負契約を締結したとして、その差額を賠償金として求めたものである。 2、本裁判では、この各種工 […]
貸出稟議書の文書提出命令申立却下に対する抗告審において、①原決定取消②原審に差し戻しの決定が出された例。 東京高等裁判所 1999年(平成11年)9月8日 平成11年(ラ)第87号 文書提出命令申立却下に対する抗告申立事件(八王子信用金庫会員代表訴訟文書提出命令抗告事件) 武井共夫弁護士 045(663)6933 八王子信用金庫 本決定は、「信用金庫が所持する稟議書は、これが前記趣旨で作成される内部文書であり、本来対外的利用を予定していないものであるとしても、事務処理の経過と理事等関与者の責任の所在を明らかにすることがその作成目的に含まれている以上、信用金庫自身が理事の責任を追及する資料として […]
東京の金融業者の東京簡易裁判所への訴提起に対し、民訴法17条に基づいて消費者の住所地の大阪簡易裁判所への移送を認めた事例 東京地方裁判所 1999年(平成11年)7月30日 平成11年(ソ)第38号 抗告 植田勝博弁護士 06(6362)8177 (株)エイジイエヌ 内容…本件は電話金融であり、大阪の債務者が東京の業者から振込で貸付を受けた。債務者は生活保護を受け、自己破産申立をしていた。 業者は東京簡易裁判所に訴提起をしたので、債務者が大阪簡易裁判所への移送を求めたが、これが却下されたので、債務者が抗告をした事件である。 東京地方裁判所は「基本事件は、貸金業者である相手方から抗告人(消費者) […]
霊感商法で統一教会自体が民法第709条の直接の不法行為責任を認めた奈良地裁判決の控訴審判決である。民法第709条の責任を認めず、民法第715条の使用者責任を認めた。 大阪高等裁判所 1999年(平成11年)6月29日 平成9年(ネ)第1122号 損害賠償請求事件 中川和男弁護士 0742(27)3282 統一教会 内容…霊感商法奈良地裁判決(本誌33号判例和解速報No.254)の控訴審判決である。 宗教団体に対する献金勧誘行為であっても、その目的が利益獲得等の不当な目的である場合、あるいは宗教であることを秘して勧誘し、殊更に害悪を告知して相手を不安に陥れる等して相手の自由意思を制約し、相手の財 […]
海外商品先物取引業者の営業が、顧客の犠牲において幹部らの利益を計る違法な目的の下になされていたものであり、その態様も、顧客の利益を全く無視し、顧客を食い物にするものであって、実体としては保証金名下に金員を騙取するに等しいものと評価することができ、海外商品先物取引業者として通常許される顧客獲得のための正常な勧誘行為の範囲を著しく逸脱したものとして、顧客に対する不法行為を構成するとした事案 東京地方裁判所 1999年(平成11年)5月9日 平成8年(ワ)第7993号 損害賠償請求事件 鈴木・渡辺法律事務所 株式会社エクセレント 株式会社エクセレントは海外先物取引の商品受託業務等を業とする会社であっ […]
金の現物を得ようとしていた75歳の農業男性が先物取引で約1850万円の損害を受け損害賠償訴訟を提起したところ、6割の認容判決。 前橋地裁桐生支部 1999年(平成11年)5月26日 平成9年ワ第13号 損害賠償請求事件 樋口和彦弁護士 フジチュー株式会社 理由の要旨は以下の通り。 1 不適格者勧誘とまでは断定できないが、取引者保護の姿勢に欠け、先物取引の勧誘自体が原告の意図に適するか疑問。 2 説明義務があり、これは被勧誘者の応答する態度のみに依拠するものであってはならず、また理解するための時間的余裕を置くべきで、説明義務違反がある。 3 断定的判断は認められない。 4 現時において内部規制が […]
証券会社及びその使用人は、一般の投資者を顧客として勧誘する場合、公害顧客の知識・経験・投資目的・資金力などに照らして、取引に関する適切なアドバイスを与え、適正な取引に導くべきであって、不適切に多量、頻繁な取引を勧誘してはならないという義務を負っている。 福岡地方裁判所 1998年(平成10年)8月31日 平成9年(ワ)第1918号 損害賠償請求事件 山崎吉男弁護士 高木証券株式会社 証券取引への投資は、投資者自身が自己の判断と責任のもとに行うべきものであるが、実状は、証券会社と一般投資者との間には、証券取引に関する知識、情報、経験等において格段の相違があり、一般投資者は専門家である証券会社から […]
証券会社の従業員が、ワラントの勧誘に際して、ワラントの概要を説明したものの、ワラントの価格変動の特性、権利行使期限を経過したときの効果等について十分に説明しなかった点について、説明義務を怠った過失があるとした。 名古屋地方裁判所 1998年(平成10年)2月23日 平成4年(ワ)3817号 損害賠償請求事件 浅井岩根弁護士 052(504)8030 野村証券株式会社 証券取引が投資家の自己責任で行われるべきであるということは、証券会社の行う投資勧誘がいかなるものであってもよいことを意味するものでなく、証券会社が、証券及び証券取引に関する詳細な知識と豊富な経験を有し、必要な情報の収集、分析及び評 […]
携帯電話機の販売業者の、一年間の解約制限期間内に解約した顧客に対する違約金請求が否定された事例
-大阪地方裁判所平成10年(レ)第一号違約金請求控訴事件 平成10年5月25日判決-
先物取引において、商品取引不適格者及び他人名義の取引をさせたことにつき、損害額の15%の損害賠償義務を認めた事例。 仙台高等裁判所秋田支部 1999年(平成11年)1月25日 平成9年(ネ)第65号 損害賠償・商品先物取引仕切差損金等請求控訴事件 津谷裕貴弁護士 カネツ商事株式会社 商品先物取引の仕切差損金の返還などを求めた事件であり、原判決を取消して金8,621,721円の支払を命じた判決である。 判決は、「かつて先物取引を行って多大の損失を被り、そのために事実上破産状態になり、取引終了時において仕切差損金すら支払えない状況にあった者は、その後の時間の経過により財産状況が好転し、再び自己資金 […]
信用情報センターに貸付自粛登録がなされていたにも拘らず、これを無視して貸付しに業者との間で元金の60%で和解が成立した事例。プロがミスしたというべき事件である。 那覇簡易裁判所 1999年(平成11年)5月27日 平成10年(ハ)第1269号貸金請求事件 宮里徳男司法書士 プロミス(株) 平成11年5月27日、那覇簡易裁判所において、貸金請求事件の和解が成立した。特殊なめずらしい事件であるので紹介する。 一 事件の概要 1、Aさんは結婚前からギャンブル癖があり、サラ金からの借金も度々であった。その都度、奥さんが実家等から手当てして弁済してきた。 2、平成9年10月21日、何度かの借金返済のため […]
住宅金融債権管理機構が、銀行に対して融資の紹介責任を追求していた事件で、銀行がその責任の一部を認めた和解例 東京地方裁判所 1999年(平成11年)2月1日 平成10年(ワ)第14487号、同年(ワ)第24617号 損害賠償請求事件 三木俊博弁護士 株式会社住友銀行 第一 前文 原告、被告及び補助参加人は、裁判所の強い和解勧告を受け、次の内容で和解する。 第二 和解条項 1 原告は、被告が旧住宅金融専門会社(以下「旧住専」という。)に対して、紹介した融資条件のうち、本件各訴状記載の5事案(紹介融資金額の未回収残高合計約50億円)につき、被告の法的責任を追及するため、訴訟を提起した。 加えて、原 […]
原告は早稲田大学卒で不動産賃貸業を営み、大和証券以外にも野村、岡3の各証券会社において現物株式のみならず信用取引の経験もある。 東京地方裁判所 1999年(平成11年)3月11日 平成7年(ワ)第10334号 損害賠償請求事件 田中清治弁護士 03(3470)5890 大和證券・ユニバーサル証券(株) 原告は大和証券の特定の担当者に取引を一任していたところ、当該担当者がユニバーサル証券に出向し、ワラント部長になったことを契機に不動産取引で得た約12億円を預託してなおも一任取引を継続したところ、平成2年3月1日から同月14日までの短期間に十数銘柄のワラントを代金6億円以上で買付けするなど、預託金 […]
免責手続中にされた強制執行(給与差押)は不法行為(など)との主張を棄却したが、判決書にて破産手続の問題を惹起していることを認め、破産手続と免責手続を一体とする法律が早期に制定されることを望むと付記した判決。(大阪免責差押事件) 大阪地方裁判所 1999年(平成11年)5月17日 平成8年(ワ)第13246号 免責事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 (株)エル(旧商号レイク)、(株)ダイホー 免責手続中の強制執行につき、最高裁平成2年3月20日判決はこれを認める判決をした。 右判決の原審は、免責の効果は「破産手続による配当を除いて責任を免れる」との規定と、破産者の更生のための法である […]
ゴルフクラブの預託金について、理事会の決議や事情変更の主張を退けて預託金の返還請求を認めた事例。 大阪高等裁判所 1998年(平成10年)12月17日 平成10年(ネ)2909号 ゴルフ預託金返還請求事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 ダイヤモンドリゾート 業者は、①預託金は「会則には、天災地変、その他不可抗力の事態が生じた場合、理事会の承認を得て預託金の据置期間を延長することができるとの規定が設けられており、現在のような未曾有の不況が続き、本件クラブ会員権を含むゴルフ会員権価格が大幅に下落し、しかも本件クラブ会員の半数が据置期間を経過しており、控訴人は、右会員らから預託金返還請求 […]
いわゆる霊視の被害につき宗教法人及び僧侶に対し、損害賠償を認めた控訴審判決。 大阪高等裁判所 1999年(平成11年)4月15日 平成10年(ネ)第1005号、第1941号 損害賠償請求事件 植田勝博弁護士06(6362)8177 (宗)本覚寺(宗)明覚寺他 霊能師による霊視鑑定をうたい文句にした、いわゆる霊視商法については、全国で被害者が発生し各地で訴訟が提起された。そのうち判決がなされたのは、大阪地裁事件(本誌35号判例和解速報271)だけであり、本件はその控訴審判決である。 右原審で被害者の損害のうち、慰謝料を除く財産的損害及び弁護士費用の全額を認めたが、本判決はそれを維持して控訴を棄却 […]
ココ山岡から5年後買い戻し特約付でダイヤネックレスを購入した者の父親に対し、信販会社が保証人ではないのに保証人として1回督促をし、さらにココ山岡被害対策弁護団から督促しないよう申し入れた後も1回督促した行為について、不法行為にあたるとし、購入者及び父親からの慰謝料請求全額(それぞれ50万円)が認容された事例。 札幌地方裁判所 1999年(平成11年)3月24日 平成10年(ワ)第526号 慰謝料請求事件 荻野一郎弁護士 東京総合信用(株) 原告X1は平成8年10月5日、被告とのクレジット契約によりココ山岡から5年後買戻特約付きでダイヤネックレスを購入したが、同社の破産により、5年後買戻の履行が […]
免責について、賭博遊興を理由に不許可とした原決定を取消して免責した事例。 東京高等裁判所 1998年(平成10年)9月3日 平成9年(ラ)第2121号 免責抗告事件 宇都宮健児弁護士 03(3571)6051 「抗告人は、その収入を省みることなく競馬に耽溺し、その結果多大な借金を負うに至ったものであるが、平成7年11月以降は競馬を一切やめている旨述べていること、抗告人は、破産裁判所の勧告に従い、僅かの勤労収入の中から積立を行い、勧告額の約半額の積立を行って債権者に配当していること、抗告人は現在職に就いて勤労に励んでいることは、いずれも前記認定のとおりである。 そして、抗告人の本件免責申立てにつ […]