現実に金銭の授受がなされなかった形式的な借入人に経済上現実の授受と同一の利益の授受がない場合には、金銭消費貸借契約は本来の成立要件である「金銭の受取」すなわち要物性を欠き、効力を生じないとして、業者による貸金返還請求を棄却した事例 広島地方裁判所 矢延正平・橋本眞一 20021(平成13年)5月29日 平成11年(レ)第61号 貸金請求控訴事件 足立修一弁護士 082(211)2441 シティズ 控訴人1は、自己の雇用主の友人(実質的な借入人)が被控訴人(貸金業者)から借入をするに当たり、多額の債務を負っていて借入ができないため、雇用主の命を受けて借入の名義人となり、実質的な借入人の友人である […]
東京のヤミ金業者(都①業者)に対する不当利得返還請求事件で原告が支払った元利金全額の返還請求を認めた判決 掛川簡易裁判所 清雄策 2002年(平成14年)6月14日 平成14年(ハ)第65号 不当利得返還請求事件 小寺敬二司法書士 0547(30)4010 タカク信用こと高工春信 原告は被告からのDM勧誘により平成14年4月8日に金1万7580円借りうけた。その後返済と借り入れを繰り返し、同年4月18日までの間に計12万9530円の借入に対して金22万5000円支払った。 これについて本判決では「原告と被告との本件金銭消費貸借契約は、その約定利率が出資取締法の上限利率を超えて刑事罰の対象となる […]
日掛け業者が債務者宅に取立てに行き、債務者の長女に保証人になることを執拗に求め、また約1時間半にわたり退去しないなど、貸金業法違反の取立てが行われたことを理由として、保証契約は公序良俗に反するとして無効とし、債務者と保証人に対して慰謝料と弁護士費用を認めた事例 宮崎地方裁判所 金光健二・武田義徳・新谷祐子 2002年(平成14年)2月15日 平成12年(ワ)第235号 損害賠償請求事件 河野聡弁護士 097(533)6543 宮崎県、(株)ロイヤル信販 判決は、業者が退去要求を受けたにもかかわらず正当な理由無く約1時間30分にわたり退去しなかったものであるから刑法上の不退去罪を構成するものであ […]
日栄の取引は一連の継続取引であり、保証料等はみなし利息であるとして約586万円の不当利得金の返還を命じた事例 東京高等裁判所 鬼頭季郎・慶田康男・河村吉晃 2001年(平成13年)12月11日 平成13年(ネ)第2908号 損害賠償請求控訴事件 富田均弁護士 日本信用保証(株) 日栄事件について、裁判所は次のとおり判断した。 1 日本信用保証(日栄の保証会社)の事前求償は不法行為となる。 2 日本信用保証が取得する保証料と事務手数料は、日本信用保証の営業が日栄に依頼し、その一部門のような実状にあり、損益は100%出資している親会社日栄に還流される点などから、日栄の行う貸付について保証料等の名目 […]
先物取引の不法行為を認め、5割の過失相殺をした事例 奈良地方裁判所 樋口庄司 2002年(平成14年)3月7日 平成12年(ワ)第305号 損害賠償請求事件 相良博美弁護士 0742(24)2003 朝日ユニバーサル貿易(株) 1 本件の被害者は、公務員(公立病院勤務 調理師)であり、最終学歴は中卒、株の現物取引及び債券投資の経験はあるが、先物取引その他投機的取引経験はない。 2 朝日ユニバーサル(以下、「朝日」という)は、被害者に対して先物取引の危険性を一応説明しており、被害者も損をすることもあり得ることを認識の上委託契約を締結している。勧誘商品は当初はトウモロコシであり、エルニーニョやアメ […]
自ら貸すと称して広告し、来た顧客に対して「貸すのは密接な提携関係の別の金融業者であって、自分は保証をする」と言って、保証委託契約を結ばせ、高額の保証料を取立てる一連の流れは、暴利行為であって、公序良俗に反し、無効である、として、全額の返還請求を認めた 東京地方裁判所 大島淳司 2002年(平成14年)3月5日 平成13年(ワ)第14461号 不当利得返還請求事件 茆原正道弁護士 044(855)5414 (株)大同重機レンタル 本件は、有限会社大同重機レンタルという会社(金融業登録はしていない)が、自らが金を貸付ける金融業者であるかのような、「幸福を呼ぶ!!太っ腹特大融資」「5000万円迄即日 […]
借主2名からアイフルに対し、過払金返還請求訴訟を提起したところ、アイフルから取引明細の開示がなかったため、文書提出命令が出された事例 大阪地方裁判所 曳野久男 平成14年(モ)第2228号、同年(モ)第2521号 井上 元弁護士 06(6366)0636 アイフル(株) 借主Aは昭和63年頃から、借主Bは平成元年頃から、アイフルより借入れしていた。代理人弁護士からアイフルに対し、過去の全取引明細の開示を要求したことろ、アイフルは、借主Aについては、昭和63年4月8日から取引があることを認めながら、平成10年11月18日以降の取引明細しか開示せず、借主Bについては、平成10年5月29日以降の取引 […]
高額なモニター料を支払うとして、クレジットで高額な寝具を買わせた被害につき、裁判所が寝具の適正対価を認定して、これを前提に一部クレジットの請求を棄却した事例 神戸地方裁判所姫路支部 島田清次郎・正木きよみ・柴田誠 2002年(平成14年)3月29日 (本訴)平成12年(ワ)57号、462号、671号、平成13年(ワ)第541号、(反訴)平成14年(ワ)第48号、49号、50号 (本訴)取立禁止請求事件(反訴)立替金請求事件 土井裕明弁護士 (株)オリエントコーポレーション 株式会社ダンシング(ダンシング)は、平成9年8月ころより、モニター募集と抱き合わせに健康寝具を販売する商売(モニター商法) […]
日栄の取引は個別の手形取引ではなく、一連の取引であり、保証料等は公序良俗に反するなどとして、利息制限法による金利計算をした事例 福岡地方裁判所小倉支部 中嶋功 2002年(平成14年)2月27日 平成13年(ワ)第1299号、平成13年(ワ)第1300号、平成13年(ワ)第1301号、平成13年(ワ)第1375号 保証債務金請求事件 牧野聡弁護士 (株)日栄 本件も、平成13年10月10日判決と同じ中嶋裁判官の判決です。事案は、日本信用保証が連帯保証人に対して保証債務の履行を請求したものです。 判決では、従来の同裁判官による判決をさらに進め、一連充当計算を行った上で、日栄からの債権者にも期限の […]
変額保険の未解約の事例で、生命保険会社に対して、説明義務違反に基づく損害賠償(損益相殺して約1億円)と慰藉料(600万円)を認め、3割の過失相殺をした上、弁護士費用400万円を加えた約8000万円の損害賠償を認容した事案 横浜地方裁判所 岡光民雄・窪木稔・村上誠子 2002年(平成14年)2月13日 平成6年(ワ)第1949号の1 損害賠償等請求事件 石戸谷豊弁護士 045(212)3517 明治生命保険 最高裁平成12年3月17日判決は、変額保険が未解約の場合に保険契約者としての地位を保有していることを理由に損害が発生したとは言えないと判示した原審大阪高裁平成8年4月25日判決を是認した。 […]
兵庫県下の零細事業者7社が(株)日栄に対して過払金等の返還を求めた集団訴訟の判決 神戸地方裁判所 前坂光雄・永田眞理・窪田俊秀 2002年(平成14年)4月15日 平成12年(ワ)第449号 不当利得等返還請求事件 辰巳裕規弁護士 (株)日栄・日本信用保証(株) 日栄と日本信用保証の一体性を認め、日本信用保証名義の保証料等は利息制限法3条のみなし利息にあたること、各貸付は別口であるが、利息制限法超過分は別口であっても法定充当されることを認めた。もっとも利息制限法2条の形式的な解釈により、業者の期限の利益を結果的に肯定しているに等しい計算方法を採用した結果、請求金額総額5543万2588円及び返 […]
①泰道の会員獲得行為(集金システム)が違法で、元会員らからの損害賠償請求が認められた事例②法人格濫用の法理により、傘下の全被告法人に対し、その設立時期や傘下に入った時期を問わず、全原告との関係で、全責任を認めた事例 佐賀地方裁判所 亀川清長・早川真一・橋本修 2002年(平成14年)2月15日 平成8年(ワ)第246号、平成9年(ワ)第232号 損害賠償請求事件 辻 泰弘弁護士 0952(22)7424 泰道 泰道(泰道自体は法人登記されていない)は、1986年頃から活動を始めた団体で、「手かざしで人の体の診断や治療をする能力(「生命の作用」という)は、泰道に入会して学習することにより万人が習 […]
利息制限法の計算によって過払い状態となっている債権を貸金業者間に債権譲渡を行った場合、債務者が異議を留めない承諾をしても、信義則に反する等特段の事情のない限り、債務者は債権譲受人に対して債権消滅を主張できる 加古川簡易裁判所 近藤壽夫 2002年(平成14年)4月9日 平成13年(ハ)第187号 不当利得返還請求事件 林明仁司法書士 0794(24)5665 ハッピークレジット(株) 【判決の概要】 本件は、貸金業者が債権譲渡を行い、債務者が異議を留めない承諾をした場合、当該債権の返還義務を負担したといえるかについて争われた事案。 原告の主張は、①異議を留めない承諾について、何ら説明せず、署名 […]
サラ金の取引経過非開示に対して慰謝料10万円弁護士費用2万円を認めた事例 東京簡易裁判所 下平善昭 2001年(平成13年)12月18日 平成13年(ハ)第539号 不当利得返還等請求事件 大川雅弘弁護士 03(5690)1092 アエル(株)(旧日立信販(株)) 被告金融業者に対して、原告債務者が、不当利得に基づき過払金の返還を請求するとともに、原告の委任を受けた原告代理人が、原告と被告との間の全取引についての開示を請求したところ、被告は、過去3年間分の取引を開示したのみで、全取引経過の開示請求を拒否し、原告は本件訴訟を提起した。被告は、原・被告間の取引開始日は平成3年8月1日であり、過払金 […]
根保証の範囲を信義則上契約時の新規貸付額に限定した事例 長崎地方裁判所 川久保政徳 2002年(平成14年)3月28日 平成12年(ワ)第530号 保証債務履行請求事件 原 章夫弁護士 095(820)2500 (株)商工ファンド 保証人である被告は、主債務者から300万円の借入れの保証との説明を受け、それを了解して、原告店舗に出向き、20分ほどの間に多数の書面に署名・押印した。その際、限度額600万円、既存債務300万円等の記載を求められたので、被告がその意味を尋ねたが、商工ファンド担当者はその意味を明確に説明せず、保証人はそのとき借り入れた300万円の保証と思い、言われるままに署名・押印し […]
日栄の貸付につき、取引が一連のものであり、また、日本信用保証の保証料等がみなし利息であるとして、借主の日栄に対する不当利得返還請求を認め、保証債務を認めた事例 宇都宮地方裁判所足利支部 大島哲雄 2001年(平成13年)5月30日 平成12年(ワ)第218号、平成13年(ワ)第51号 過払金返還本訴請求事件、貸金反訴請求反訴事件 榊原利幸弁護士 (株)日栄 判決は、「原告らの本件利息制限法違反の取引に関しては、強行法規としての利息制限法の適用によって、法的に有効に存在する債務に対する利息制限法による経過利息の計算と、現金交付額、弁済額を元にした計算が正しい計算方法というべきである。そうすると、 […]
利息制限法上の利息に引き直せば、過払いとなっているのに、約定利息で残元金が残っていると商工ファンドが主張し、根抵当権設定仮登記の抹消を拒否した事案である。また、公正証書作成が、平成12年7月であり、平成11年12月の商工ファンド社長の国会での尋問、平成12年4月の商工ファンド従業員逮捕(有印私文書偽造・貸金業規制法違反)、同年5月の起訴、同年8月の判決といった商工ファンドの営業実態が社会問題となっていた時期でのものである。他の商工ファンド被害者との関係で早期解決が必要なため、他の事件と同日に和解した 宮崎地方裁判所 金光健二・新谷祐子 2002年(平成14年)3月26日 平成13年(ワ)第31 […]
信用取引について①一任取引②適合性の原則違反③過当取引。これらが全体として不法行為にあたるとした 東京高等裁判所 奥山興悦・杉山正己・山崎まさよ 2001年(平成13年)11月29日 平成13年(ネ)第362号 損害賠償請求控訴事件 河本和子弁護士 043(224)7366 みずほインベスターズ証券(株)(旧勧角証券(株)) 東京高裁で、信用取引について、1審判決を覆し、一任取引、適合性の原則違反、過当取引により全体を不法行為に当たるとして勝訴判決(東京高裁平成13年(ネ)362号) 東京高裁で、信用取引について、1審の敗訴判決(千葉地裁佐倉支部平成10年(ワ)第229号)を覆し、一任取引、適 […]
要旨 差押債権が、債務者に対する厚生年金給付が社会保険庁より振り込まれたものと認められる場合に、厚生年金給付が厚生年金保険法上の差押禁止債権であることを理由として、債権差押命令を取り消した事例 裁判所 横浜地方裁判所 田中治 判決日 2001年(平成13年)5月9日 事件番号 平成13年(ヲ)第111号 事件名 差押禁止債権の範囲変更申立事件 問合せ先 大川雅弘弁護士 業者名 (株)オーエスファクター 解説 (事案) 申立人は無職であり、厚生年金給付として2カ月に1回、偶数月の15日に、金378,982円を受給しており、同じく厚生年金給付として2カ月に1回、偶数月の15日に、金143,383円 […]
要旨 日栄の継続的取引について借主の保証料等もみなし利息であるとして貸金業法43条の適用を否定し、不当利得金の返還を認めた事例 裁判所 大阪地方裁判所 山下郁夫・青木亮・小泉満理子 判決日 2002年(平成14年)2月21日 事件番号 平成12年(ワ)第6667号(甲事件)、同年(ワ)第10356号(乙事件) 事件名 不当利得金返還等請求事件(甲事件)、求償債権請求事件(乙事件) 問合せ先 井上元弁護士 業者名 (株)日栄 解説 判例和解速報No.530と同旨の判断によって、借主に不当利得返還を認めた。 (判決文は本誌27頁に全文掲載)