日栄による利息天引方式の手形貸付を、それぞれが別個の貸付と見るが、利限法2条による元本充当後の超過額(過払金)は、過払金発生時の別口の貸付に法定充当されると解し、日本信用保証と日栄は一体のもので、保証料等は日栄に帰属するから貸付のみなし利息と認めるのが相当と判示 和歌山地方裁判所 礒尾正 平成11年(ワ)第371号 2000年(平成12年)11月30日 保証債務請求事件 由良登信弁護士 073(433)5551 日本信用保証(株) 本件訴訟は、日栄の貸付金1242万円を代位弁済したとする日本信用保証が、保証人3名を被告として保証債務の履行を求めた訴訟である。 日本信用保証は、①保証料・事務手数 […]
欠陥住宅訴訟で取壊し建替え補修相当損害と関連損害を含めて原告請求どおりの5774万円を認めた事例(確定) 長崎地方裁判所大村支部 島田陸史 平成10年(ワ)第78号 2000年(平成12年)12月22日 損害賠償請求事件 澤田和也弁護士 被告会社 一般建設業者 被告A 被告会社代表取締役兼本件現場担当の建設業法第26条に定める主任技術者 被告B 被告会社の従業員で同社併営の1級建築士事務所の建築士法第23条の2第1項第4項に定める管理建築士。確認申請手続の原告代理者で同手続き及び本件設計施工請負い契約上の設計及び工事監理担当者。 工事の内容 ① 目的住宅 長崎県所在 木造セメント瓦葺2階建て居 […]
日栄の取引について、日本信用保証に対する保証料等も利息とみなしたうえ、系列毎に整理された一連の貸付は一体の貸付とみなすべきであるとして、不当利得返還請求を認めた事例 大分地方裁判所 鹿島久義 平成11年(一)第636号 2000年(平成12年)10月17日 不当利得金返還等請求事件 河野聡弁護士 097(533)6543 (株)日栄 日栄との手形取引については、100%子会社である日本信用保証の保証料及び事務手数料がみなし利息に該当するか否かという論点と、利息制限法に基づく元本充当計算について、手形毎に計算すべきか、一連の取引を一体のものとして計算すべきか(手形の満期日と次の融資日が同一の手形 […]
個人年金保険の勧誘が違法だとされ、100万円の慰謝料請求が認められた事例 大阪地方裁判所 佐藤嘉彦 平成12年(ワ)第6896号 2001年(平成13年)3月15日 配当金等請求事件 河野豊弁護士 明治生命保険相互会社 1 事案の概要 昭和56年、46歳の男性自営業者である原告が、明治生命との間で個人年金保険契約を締結した。1年に28万2500円を19年間(合計536万7500円)支払えば、20年目から10年間は毎年50万円ずつ、次の5年間は毎年75万円ずつ、その次の5年間は毎年100万円ずつ、という具合に、年を経るに従って受領できる基本年金額が増え、さらに、年金原資の運用益を配当金として受領 […]
証券会社が信用リスク(期日に元利が支払われないリスク)を有する債券の購入を顧客に勧誘するに当たり、購入を決定する上で重要な判断資料となるようなリスクに関する情報を有している場合は、証券会社は顧客に対し、その情報を開示した上で、信用リスクについての説明を行うべき義務があるとした事例 東京地方裁判所 山田俊雄・土谷裕子・新崎長俊 平成11年(ワ)第2597号 2000年(平成12年)12月19日 損害賠償請求事件 桜井健夫弁護士 日興證券(株) 本件は、77歳で無職の原告(男性)が、証券会社の担当者からペレグリン債という外債の申込みを勧誘されて承諾したところ、7カ月後に発行会社が倒産したという事案 […]
仮執行宣言付給付判決に基づき強制執行がなされた後に破産免責決定が確定し、控訴審で右判決が取り消された場合、右強制執行に基づいて給付された金員の返還を求めることができるとされた事例 高松高等裁判所 井上正明・杉江佳治・佐藤明 平成12年(ツ)第8号 2001年(平成13年)2月23日 保証債務金請求事件 吉田文夫司法書士 088(622)2133 サンライフ(株) 【判決要旨】 免責決定の確定により、仮執行宣言付判決が取り消された場合、確定した免責決定に遡及効がないとしても、同判決に付された仮執行宣言が効力を失うこととなる以上、右免責を受けた者は、民事訴訟法260条2項に基づき、債権者に対して、 […]
(株)商工ファンドが貸金業規制法43条を主張して借主や保証人に対しておこなった仮差押えに対し、保全異議申立てをした結果、「被保全権利の疎明がない」として仮差押決定を取り消した事例 松江簡易裁判所 渡辺秀人 平成12年(サ)第1575・1576・1577号 2001年(平成13年)1月30日 保全異議事件 秋田智佳子弁護士 (株)商工ファンド 商工ファンドは、00年9月から貸金業規制法43条のみなし弁済主張し、保全によって借主、保証人に全額返済を目的とする保全手続をとる。 本件は、利息制限法計算によれば245万254円の過払いとなっている事案であるにもかかわらず、商工ファンド松江支店が松江簡裁に […]
債務者の債務を巡る事件を特定調停事件の手続によって解決することが相当であると認められるとともに、差押命令に基づく強制執行の停止をしなければ、特定調停事件の円滑な進行を妨げるおそれがあると認めるのが相当である 福岡地方裁判所 中山弘幸・野島秀夫・佃浩介 平成12年(ソ)第9号 2000年(平成12年)7月21日 民事執行手続停止却下決定に対する即時抗告事件 吉田奈津子弁護士 三洋電機クレジット(株) 債務者には、8名の債権者に対して、総額約1400万円の債務があった。債務者は、49才で調理師として給料手取り約36万円の収入があり、その中から約16万円を、毎月債権者に対して支払っていた。ところが、 […]
日栄に対し、調停前の事前措置により手形の処分禁止命令を得て、調停により、将来利息なしの5年間の分割払いを認めさせた事例 静岡簡易裁判所 川合靖夫 平成12年(ノ)502号 2001年(平成13年)2月28日 債務不存在確認調停事件 小澤吉徳司法書士 054(282)6505 (株)日栄 申立人は、額面1200万程度の手形・小切手を日栄に対して振り出しており、平成8年より同社と継続的に取引をしていた。取引を一本とみなし、保証料などの一切を利息として計算すると数10万円の過払いとなっていたため、債務不存在という主張をした。 申立人には、仮処分のための保証金の用意が困難であったため、調停を選択した。 […]
商工ローン業者に対する過払金返還請求について、保証料はみなし利息であり、過払金発生の都度元金に充当されたが、債権者の期限の利益を認めたため、結果として過払金が元金に充当されないで累積し、最後に元金と相殺されるやり方と同一になった事例 東京地方裁判所 菊池洋一 平成11年(ワ)第13538号 2000年(平成12年)10月31日 不当利得請求事件 松山満芳弁護士 (株)日栄 本件は、主債務者である訴外会社の連帯保証人2名が、日栄の厳しい取立を受けて800万円を支払わされたため、原告となって、過払金の返還を求めたものである。 争点は、①日本信用保証の保証料がみなし利息であるか②過払金を発生の都度元 […]
変額保険で銀行の責任を認めた事例(過失相殺7割)。被告銀行が顧客を被告保険に紹介し、「…保険会社外務員と共同して保険契約及び融資契約を勧誘し、あるいは勧誘員に対し勧誘のためのアドバイスをするなどの関与を積極的に行った場合には、その過程で、保険会社の勧誘員の説明内容を正して補足させ、あるいは、自らそれを補足して、当該顧客に誤解が生じないように是正すべき信義則上の説明義務を負う 大阪地方裁判所 外村茂 平成10年(ワ)8358号 2000年(平成12年)12月22日 損害賠償請求等 村本武志弁護士 明治生命・東京三菱銀行 事件の概要 1 原告は、本件契約当時72歳(現在82歳)の会社役員であり、平 […]
いわゆる特定売買は、顧客の損益と業者の損益が相反するため、顧客にとってリスクの高い取引であり、チェックシステムやMMTはそのようなその危険性に鑑み特定売買の比率を押さえようとする行政規制であるが、これら規制の全廃は委託者保護を否定する趣旨に出るものではなく、取引経緯全体から見て特定売買の頻度や手数料の占める割外があまりに高く、社会的相当性を逸脱したものと認められる場合には、違法の評価を受ける 大阪地方裁判所 金岡裕久 平成11年(ワ)第6845号、6830号 2000年(平成12年)11月28日 損害賠償請求等事件 村本武志弁護士 朝日ユニバーサル貿易(株) 1 被告がその内部基準として新規委 […]
貸金業法17条書面は原則として1通でなければならず、例外的に複数の書面による場合には、同条1項所定の事項が他のいかなる書面によって補完されるのかが明確である必要がある 東京高等裁判所 淺井重機・西島幸夫・原敏雄 平成12年(ネ)第5097号 2001年(平成13年)1月25日 不当利得返還請求事件 齋藤雅弘弁護士 03(3265)2771 ユニオントレード(株) 本件は、貸金業法43条のみなし弁済規定の適用が争われた事件であり、業者が貸付に際して交付した「金銭消費貸借契約証書」の記載だけでは同法17条1項所定の事項の記載が欠けている事案であった。業者は契約書以外に「返済表」及び「『ご案内』と題 […]
弁護士が任意整理を受任しサラ金会社に対し弁済案(東京3会の基準に基づく利息制限法に引き直した金額に将来性利息をつけないで分割弁済する)を提示したところ、サラ金会社が弁済案を拒否し高松簡易裁判所に訴訟を提起した事案について、松山簡裁への移送を認めた 高松簡易裁判所 脇定義 平成12年(サ)第1789号 2000年(平成12年)12月1日 野垣康之弁護士089(913)1266 サンライフ(株) 本件は、弁護士が任意整理を受任しサラ金会社に対し弁済案(東京3会の基準に基づく利息制限法に引き直した金額に将来性利息をつけないで分割弁済する)を提示したところ、サラ金会社が任意弁済案を拒否し金銭消費貸借契 […]
日本エル・シー・エーのフランチャイズ商法を違法と認めた事例 東京地方裁判所 川勝隆之・坪井宣幸・澤村智子 平成6年(ワ)第16421号外 2000年(平成12年)6月30日 損害賠償請求事件 瀬戸和宏弁護士 03(3265)2771 (株)日本エル・シー・エー 京都に本店を置く(株)日本エル・シー・エー(以下、日本LCAといいます)が、経営コンサルタントとして独立開業或いは業務の強化・拡大をめざす中小企業診断士、社会保険労務士或いは既に経営コンサルタントを開業している者らに対し、日本LCAのフランチャイズシステムに加盟すれば、営業拠点を紹介する、優秀なスーパーバイザーによるサポート体制が整備さ […]
債権譲渡を受けた特定承継人も、譲渡人が契約の際締結した管轄合意の効力を受けるとした事例。専属的合意管轄がある場合であっても、合意管轄裁判所に移送した場合には訴訟の著しい遅滞を生じるおそれがあり又は当事者間の衡平に反する結果となると認められるときには、移送しないものとすることができると一般論を述べた後、本件では右事情が認められないとした事例 大阪地方裁判所 山下寛・大竹昭彦・渡部五郎 平成12年(ソ)第20号 2000年(平成12年)12月18日 移送決定に対する即時抗告事件 森弘典弁護士 052(262)7061 (株)オー・シー・エス 本件は、業者から大阪簡易裁判所に貸金請求の訴訟を提起され […]
クレジット会社の請求事件。管轄を東京簡裁から債務者の住所地の豊中簡裁に移送した事例 東京簡易裁判所 岩田和壽 平成12年(ハ)第12306号 2001年(平成13年)2月14日 貸金等請求事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 安田ユニオンクレジット(株) 債務者はクレジット会社に不当利得金返還請求訴訟を提起した(大阪簡易裁判所)。クレジット会社は約款に基いて東京簡易裁判所に貸金の請求をした(本件訴)。 債務者は管轄について次の主張をした。今国的ないし広域の営業活動がなされる消費者事件は、営業活動がなされた消費者の住所地を管轄裁判所とするべきである。 業者の一方的な管轄約款は適用される […]
金融機関の貸出稟議書等について文書提出命令を認めた原決定が維持された事例 大阪高等裁判所 松尾政行・熊谷絢子・坂倉充信 平成12年(ラ)第385号 2001年(平成13年)2月15日 中嶋弘弁護士 06(6365)9181 整理回収機構 1 本件は、整理回収機構が木津信から貸金債権を譲り受け、その支払を求めて提訴した本案事件に関連して、被告(借り手側)が貸付稟議書等の文書提出を求めた事案である。 2 稟議書の文書提出命令については、最高裁平成11年決定があるが、本件では、申立人(被告・借り手側)が、木津信が破綻したために整理回収機構が稟議書を所持するに至ったこと、稟議書を提出しても木津信は営業 […]
新規委託者保護義務違反、無断取引・仕切拒否、過当取引の違法行為を認定した上、それら諸行為の態様が悪質であるとして、公平の観点から、過失相殺を行わなかった事例 大阪地方裁判所 2000年(平成12年)11月30日 平成10年(ワ)第9486号 損害賠償請求事件 三木俊博弁護士 日光商品 ① 被害者は兵庫県但馬地方の男性会社員(45才)。商品先物取引では新規委託者。平成8年12月に営業社員の勧誘を受けて、商品先物取引を開始。以後、平成9年8月6日に全ての売買取引を終了するまで(約8カ月間)、3商品・4取引所で売買回数274回にわたる取引を行い、売買利益4840万円を上げたが、被告が取得した手数料が […]
債務者の商工ローン業者に対する利息制限法所定の金利を超える過払いがあるとして、不当利得返還請求を求めた件につき、1審判決を取消して、債務者の業者に対する不当利得金約337万円の返還を認めた事例 東京高等裁判所 2000年(平成12年)7月24日 平成11年(ネ)2030号 不当利得等請求控訴事件 茆原洋子弁護士 044(855)5414 (株)イッコー 本件についての判断事項は数点にわたる。詳細については本誌にて全文紹介する。 その判断事項は次の通りである。 利息天引きの場合には、利息制限法2条が適用される。これについては債務者が利息として任意に支払ったということは困難であり、貸金業法43条は […]