1つの金銭消費貸借基本契約のもとでの貸借が一旦完済により終了した後、再び同じ基本契約に基づき再開された場合に、貸金業者が途中の完済前の取引履歴は廃棄したと主張しているにもかかわらず、基本契約当初からの取引履歴について文書提出命令が出された事例 大分地方裁判所 須田啓之 2002年(平成14年)7月1日 平成4年(ワ)第87号 文書提出命令申立事件 河野聡弁護士 097(533)6543 アイフル(株) 当事者は、1992年1月21日にアイフルとの間で金100万円の金銭消費貸借基本契約を締結し、反復継続して金銭貸借をしていたが、1997年9月に一旦完済した。その後1998年2月から再び同じ基本契 […]
出資法第5条の定める利率の約83倍にもあたるヤミ金融業者の約定は強行法規に違反し、借主の窮迫ないし無思慮に乗じて暴利を貪ることを目的とした反社会的行為であることは明らかであって、消費貸借契約自体が公序良俗に反し、無効であるというべきであ る 右京簡易裁判所 川元正雄 2002年(平成14年)11月19日 平成14年(ハ)第179号、平成14年(ハ)第223号 貸金本訴請求事件、不当利得返還反訴請求事件 由良尚文弁護士 谷口博司 ヤミ金融業者が、利息3日に5000円との約定で、金3万円(天引5000円、金2万5000円)を貸し付けた事案につき、裁判所は、利息契約のみならず、消費貸借契約自体が公序 […]
給与所得者手続申立後、開始決定前に、公正証書により給与債権の差押命令を申し立てたサラ金業者に対して、不法行為責任を認め、慰謝料30万円の支払義務を認定した判例 札幌地方裁判所 坂井 満 2002年(平成14年)9月26日 平成14年(ワ)第1136号 慰謝料請求事件 高橋剛弁護士 011(281)6181 アクセスこと井上明雄 原告は、相当額の負債を抱えて支払い不能に陥り、給与所得者等再生手続開始申立をすることとし、原告代理人から各債権者に受任通知を発した。ところが、貸金業者である被告は、右受任通知受領後直ちに原告を債務者とする公正証書の送達手続きをとり、再生手続申立後、開始決定前に原告の勤務 […]
任意整理において利息制限法による引き直し計算による残元本の一括返済を提案したのに対し、業者が独自の計算に基づき訴訟提起した行為が不法行為にあたるとして、貸金債権と慰謝料との相殺を認めた判決 大阪簡易裁判所 松本澄清 2002年(平成14年)9月4日 平成14年(ハ)第2830号 貸金請求事件 亀井尚也弁護士 078(361)9494 (株)日電社 多重債務の任意整理を受任した弁護士が、利息制限法による引き直し計算後の残元本4万5438円の一括返済を提案したのに対し、原告は7万2000円でないと応じないと回答し、被告代理人がそのような不合理な金額での和解を拒んだところ、6万5696円プラス遅延損 […]
商工ファンドの貸し付けにつき、同社が交付した書面は貸金業規制法17条、18条の要件を満たさないとして、同法43条のみなし弁済を否定した事例 札幌高等裁判所 山崎健二・笠井勝彦・森邦明 2002年(平成14年)11月20日 平成13年(ネ)第318号 過払金請求控訴事件 竹之内洋人弁護士 011(222)2922 (株)商工ファンド 本判決は、まずみなし弁済規定の解釈姿勢として、原則は利息制限法超過利息の無効にあることを確認し、さらに平成2年最判の示す貸金業法の趣旨を確認している。その上で17条書面要件を検討し、契約内容が明確になるような体裁で法定記載事項が漏れなく記載されなくてはならず、複数の […]
不当利得返還請求事件で、平成元年からの業務帳簿の提出命令を申立てたのに対し、被告による3年間の保存義務しかないので帳簿は破棄した旨の主張を、被告は他の借主には帳簿を開示していると認定、又、裁判所に対する提出義務は別であるとして、取引当初からの帳簿の提出を命じた 松江簡易裁判所 西田政博 2002年(平成14年)11月20日 平成14年(サ)第1325号 文書提出命令申立事件 縄 彰司法書士 0859(31)3645 アイフル(株) 借主Aは、平成元年6月20日アイフルから金員を借り入れ、営業元帳の記録に基づき過払金返還請求の訴えを提起するとともに、文書提出命令の申し立てをした。アイフルは、みな […]
不当利得返還請求事件で、取引当初からの業務帳簿の提出命令を申立てたのに対し、貸金業法、同規則は3年間の保存義務しかない旨の被告の主張を、業務帳簿は、法律関係文書であり、保存義務と、裁判所に対する提出義務は別であるとして、取引当初からの業務帳簿の提出を命じた 米子簡易裁判所 長野慶一郎 2002年(平成14年)8月23日 平成14年(サ)第248号 文書提出命令申立事件 縄 彰司法書士 0859(31)3645 アイフル(株) 借主Aは平成6年6月29日アイフルから金10万円を借入れたが、取引資料不足のため、アイフルに対し取引開始日以降の全取引明細の開示を求めたところ、アイフルは平成6年6月29 […]
いわゆる家具リースの契約をもってするヤミ金について、契約は公序良俗に反して無効であり、慰謝料40万円の支払いを命じた事例 佐賀簡易裁判所 尾形恭孝 2002年(平成14年)11月18日 平成14年(ハ)第52号 損害賠償請求事件 平山泰士郎弁護士 0952(22)5312 ダイワこと池尻条治 1 事案の概要 主婦である原告からの借金申込みに応じ、A及びBの2名が家に来て、家具を見て回ったうえで原告に8万円を交付し、原告が家具担保の借金のつもりで半月毎1万1500円の8回払い(計9万2000円)の契約書にサインをしたところ、実際には家具リースの契約書面であったため(Aが原告から家具を買い取り、そ […]
日栄の貸付について日本信用保証の保証料等は「みなし利息」として利息の支払いとみなし、利息制限法を超える利息分は他の貸付への弁済に充当されるとした事例 東京高等裁判所 淺生重機・及川憲夫・原 敏雄 2002年(平成14年)6月27日 平成13年(ネ)第4976号 過払金返還等請求控訴事件 長谷川進弁護士 025(523)1515 (株)日栄 ① 日本信用保証株式会社に対して支払った保証料等は、利息制限法3条の『みなし利息』に該当する。 ② 業者主張の103個の貸付取引につき、1つの継続した取引の借換ないし期限の延長と認められるもの毎にグループ分けし、12個の貸付取引とその借換であるとした。 ③ […]
着物販売業者の営業所において着物を購入したが、着物の販売目的を告げずに来訪させているので、訪問販売法上の特定顧客に該当し、契約書に「商品の引き渡し時期」の記載がないので、クーリング・オフの権利行使期間は進行せず、クーリング・オフにより契約は解除された 名古屋地方裁判所 武藤真紀子 2002年(平成14年)7月4日 平成13年(ワ)第2891号 債務不存在確認等請求事件 石塚徹弁護士 052(819)5177 (株)セントラルファイナンス、(株)クォーク 本件は、原告が、着物販売業者から、その営業所において着物を購入して、信販会社との間で立替払契約を締結し、その契約時から約2カ月半以上経過後にク […]
日栄の貸付について、日本信用保証の保証料は利息とみなし、過払金の充当は日栄の期限の利益を考慮せず、全ての貸付について1本として充当することとした事例 札幌高等裁判所 山崎健二・笠井勝彦・森邦明 2002年(平成14年)10月25日 平成13年(ネ)第250号、平成14年(ネ)第259号 不当利得金等請求控訴事件、附帯控訴事件 荻野一郎弁護士 (株)日栄 本件の不当利得返還事件の争点は、①貸付の個数②日本信用保証の保証料等を利息とみなすか③過払金の充当方法である。本高裁判決は、①については、貸主から借主に対し消費可能な金銭の供与があったか否かを基準とすべきであるとして、個別に貸付が成立していると […]
日掛金融業者の連行、裸の写真を撮る、業者事務所で取立などの取立行為に対し、約100万円余の慰謝料などを認めた事例 神戸地方裁判所 水野有子 2002年(平成14年)10月25日 平成13年(ワ)第2230号 損害賠償請求事件 吉井正明弁護士 078(371)0171 (株)光実業、(株)協同開発、シフト開発 債務者は、平成13年7月31日に代理人に債務整理を依頼し、代理人は債権者各社に受任通知を発送した。その通知後、光実業と協同開発が債務者に対し取立を行ったので、代理人は両社に警告文を発した。同年9月5日午前11時30分に債務者が勤務先のタクシー会社に退社の挨拶に赴いたところ、たまたま光実業の […]
家財道具を買い上げてリースする業者の行為を貸金と認定し、利息に相当するリース料の利率が超高金利であるとして、契約は公序良俗違反で無効、不法原因給付として元本の返還義務をも否定した事例(確定) 京都簡易裁判所 吉久雄 2002年(平成14年)11月5日 平成13年(少コ)第306号(本訴)、平成14年(ハ)第10057号(反訴) 売買代金本訴請求事件(本訴)、損害賠償反訴請求事件(反訴) 加藤進一郎弁護士 075(257)1546 レンタルワールドこと谷川俊一 判決は、家財道具を全く移動させずに自宅に設置した売却前の状態のまま従前通り使用させたこと、業者がチラシをもって主婦等を対象に広く融資の勧 […]
サラ金の取り立てが職場になされたことを理由に解雇された社員の解雇を無効として給与を支払えとの仮処分の申し立てを認めた事例 東京地方裁判所 鈴木昭洋 2002年(平成14年)9月2日 平成14年(ヨ)第21116号 地位保全等仮処分命令申立事件 釜井英法弁護士 03(5951)6077 (株)清和光学製作所 サラ金等の請求が職場になされて、解雇などの不利益を受けることが少なくない。貸金業法ガイドライン(旧大蔵省銀行局長通達)ではこのような取立行為を禁止している。 本件は、サラ金等の取立が職場にあったために解雇された人が、解雇無効を訴えた事件である。 本判決「取立ては債権者が借金の抜本的な解決を図 […]
多重債務者から10万円で車を買い取った上でリースしていた業者に対し、車の代金と支払ったリース料の差額245,000円の返還を求め、全額認容された事案 岸和田簡易裁判所 立脇一美 2002年(平成14年)12月10日 平成14年(ハ)第59号(本訴)、平成14年(ハ)第161号(反訴) 不当利得返還等請求事件(本訴)、動産引渡等請求事件(反訴) 半田みどり弁護士 0724(38)7734 (有)オートリース 被告は街頭に「乗ったまま 車で資金」との看板を出していたが、原告(無職の多重債務者)は、それを見て車を担保にお金が借りられると思い、被告と車の売買契約とリース契約を締結し、代金10万円を受け […]
ヤミ金業者の貸金につき、金銭消費貸借契約が公序良俗に反して無効であるとし、不法行為に基づいて弁済金全額と弁護士費用の損害賠償義務を認めた事例 札幌簡易裁判所 粱井啓 2002年(平成12年)9月13日 平成12年(ハ)第3412号 不当利得金返還等請求事件 吉原美智世弁護士 011(622)7963 シティクレジットこと小野寺大輔 裁判所は「本件利息約定は、これを年利に換算すると1541パーセント強という途方もない高利となるのであって、前記いわゆる(平成12年6月1日改正前の)出資法第5条2項に定める閏年における制限利率40.1136パーセントの実に38倍余に達するのである。このような約定が強 […]
倒産被害者を救済すると騙して救済団への入会金を交付させた行為につき騙取金のほか、慰謝料50万円などの損害賠償を認めた事例 東京地方裁判所 水野邦夫 2002年(平成14年)10月4日 平成14年(ワ)第8988号 宇都宮健児弁護士 03(3571)6051 (株)ビアン・シュール 業者従業員が「英会話教材の会社ALE(エール)が倒産した。放っておくと会員登録が譲渡され、200万円から300万円を請求される可能性がある」と言われて、会場にくるように勧誘され、業者がALEの被害を救済するところであるとして、入会を勧め、84万円の支払いをさせた。 判決は、被害者の取られた84万円のほか、慰謝料50万 […]
チケット金融(後払い販売)につき、弱者に高利で貸金を行うもので公序良俗に反して無効とした事例 堺簡易裁判所 鶴川 義人 2002年(平成14年)9月19日 平成14年(少コ)第38号 売買代金請求事件 堀泰夫司法書士 チケット・ベスト堺店こと塩瀧信也 判決は、「業者は、顧客が阪神高速券購入後どのように利用するか自由であり、阪神高速券販売後の顧客の行動を拘束できるものではないと供述するが、原告の営業所と同一の場所において、被告は、5万円の阪神高速券を3万8000円に即換金し、1週間後に売買代金5万円を支払うことになっていたことに徴すれば、本件の実質は、阪神高速券売買の名目の下に行われた弱者に対す […]
ヤミ金融(月6・25割、年750%)の利息約定が暴利行為として公序良俗に反するとし、受取額と支払額の差額を不当利得として認容した事例 東京地方裁判所 浅井憲 2002年(平成14年)9月30日 平成14年(ワ)第4049号 不当利得返還等請求事件 中村昌典弁護士 03(5919)0745 さくら開発 ヤミ金融に対するいわゆる「差額説」、すなわち受取額と支払額の差額を不当利得として請求可能とする見解に基づき(受領額にかかわらず債務者が支払った金額全額を請求しうるとする「全額説」との対比による名称)不当利得請求訴訟をしたところ、1社が本人訴訟で応訴した事例。ヤミ金融業者は、「借用書」や「元帳」(い […]
取引明細を全部開示せず、平成11年からの取引として特定調停が成立し、金48万3千円を分割で支払う旨の調停が一度は成立したが、2度目の特定調停と任意整理をして、平成7年からの概算をして過払となったためゼロ和解した事例 熊本簡易裁判所 倉成一己 2002年(平成14年)9月17日 平成14年(特ノ)第1685号 特定調停申立事件 加藤修弁護士 096(320)8555 (株)しんわ 依頼者は、平成13年9月頃、第1回の特定調停を申し立てた。うち4件については取引が長かったため、取引履歴の開示を求めたが、いずれも不完全な履歴しか出さないまま調停が成立していた。本件については、約48万3000円を1万 […]