1 契約書面の「各回の支払金額」欄には「別紙償還表記載のとおりとします。」との記載がある場合は、償還表の交付の認定をせずに17条書面の交付があったと認めることはできない。2 貸金業者が制限超過分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には、当該貸金業者は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定される。最高裁判所第2小法廷 津野修、今井功、中川 […]
兵庫県住宅供給公社が、マンション販売の売れ残り分を、3年後に約半額の値段で再販売したことにつき、信義則に反する廉価販売であるとして過失責任を認めた事例。大阪高等裁判所第13民事部 大谷正治、髙田泰治、藤本久俊平成18年ネ第56号2007年(平成19年)4月13日損害賠償請求控訴事件児玉憲夫弁護士 06(6364)5668 兵庫県住宅供給公社マンション分譲後の値下げ販売につき、既購入者に対して損害賠償責任を認めた画期的な判決(大阪高等裁判所第13民事部平成19年4月13日)が出た。兵庫県住宅供給公社が、震災復興住宅として、平成10年10月から「マリナージュ芦屋」(平均価格3425万円)を売り出し […]
先物取引被害による損害賠償請求において、過失相殺を否定した判決。裁判所名古屋高等裁判所民事第4部 岡久幸治、戸田彰子、加島滋人平成19年ネ第152号2007年(平成19年)6月28日損害賠償請求控訴事件石川真司弁護士 052(231)5532グローバリー(株) 被害者は取引開始当時29歳でトラック運転手の男性であり、勧誘当時既に消費者金融からの借入れがあったにもかかわらず、外務員が「借りてでもやる価値がある」などと更に借入れを行わせて取引を開始させ、結果、273万2380円の損害を被ったという事案である。本判決は、まず、原審では認められなかった①断定的判断の提供及び②仕切り拒否ないし回避につき […]
新築建売住宅につき不同沈下が判明したため、購入から約5年後に契約解除・代金返還・損害賠償で4420万円を請求して提訴し、被告からの居住利益控除等の主張を排除して、購入代金3170万円を上回る和解金3900万円で和解した事案。 京都地方裁判所第3民事部 下馬場直志 平成17年ワ第93号 2007年(平成19年)6月27日 損害賠償等請求事件 神崎哲弁護士 075(211)6700 業者名 公表せず 本件建物は00年購入の木造2階建住宅で、床傾斜や建具開閉不良等の不具合が発生・拡大したため、当職は04年9月に受任し、若干の交渉後、05年1月に提訴した。 審理では、①地盤沈下の発生機序、②居住利益控 […]
基礎(設計図書違反、基礎底盤のかぶり厚さの不足等)、軸組の欠陥(筋交い量の不足、筋交いの取り付けがない柱と横架材の緊結の欠如)等原告が主張した瑕疵のほぼすべてを認めて、請負人の瑕疵担保責任、基礎工事請負業者および建築士(監理放棄)の不法行為責任を肯定した事例。 仙台地方裁判所第2民事部 中丸隆 平成14年ワ第984号 平成15年ワ第171号 2006年(平成18年)8月9日 請負代金請求事件 損害賠償請求事件 齋藤拓生弁護士 022(213)8491 (有)福建築、外 本件は、自宅新築工事請負契約を締結した原告が、基礎(設計図書違反、基礎底盤のかぶり厚さの不足等)、軸組の欠陥(筋交い量の不足、 […]
消費者契約法・敷金賃貸借契約終了時に、敷金の一部を返還しない敷引特約が付されている事案で、この特約が消費者契約法10条により無効になることを認めた。当該敷引特約は、敷金として差し入れた35万円のうち、契約終了時に5万円のみ返還する旨の特約であった。確定。京都地方裁判所第2民事部 山下寛、森里紀之、衣斐瑞穂平成18年レ第79号2007年(平成19年)4月20日敷金返還請求控訴事件木内哲郎弁護士075(257)1546大和リビング(株) 1 1審の木津簡裁が、礼金を払う場合と敷引特約がある場合とを比較して前者のほうが賃借人にとって有利であるとは考えにくいとして、賃借人の請求を棄却した(平成18年1 […]
本件は、鉄骨造2階建ての理髪店併用住宅(請負代金建物3347万円)について、外壁の多数のひび割れと雨漏り等の不具合の原因が、鉄骨接合の瑕疵、溶接の瑕疵(契約書添付の小規模鉄骨構造標準図違反及び契約図書違反等)によるものであり、現場での補修が著しく困難であるから建て替えを要するとして、建て替え費用、営業損失、慰謝料など、合計金4955万円を請求した事案である。大分地方裁判所民事第2部 関美都子平成14年ワ第491号2005年(平成17年)8月4日損害賠償等請求事件河野聡弁護士 097(533)6543大分バス(株) 1級建築士の意見書に基づいて主張・立証を進めていたが、裁判所が建築業者申請による […]
営業譲渡契約書の中にあるオークス時代の不当利得返還債務については責任を負わないという条項は、一般消費者の利益を一方的に害する不公正なものだから、その条項を盾に過払い金返還請求を拒むことは信義に反し許されない。 大阪高等裁判所第6民事部 渡邊安一、松本清隆、川口泰司 平成18年ネ第2779号、第3300号 2007年(平成19年)4月17日 不当利得等返還請求控訴事件 武藤信一弁護士 06(6411)0766 新洋信販(株) 新洋信販に対して取引履歴の開示を請求したところ、「オークスから営業譲渡を受けた債権である。その営業譲渡契約書には不当利得返還債務を承継しないとの特約がある」として営業譲渡以 […]
現役の行政書士が、元路上生活者の名義を冒用して同人の年金を掠取していたケースで、年金折半に関する合意を公序良俗違反無効とし、不法行為の成立を認めて、実損に加えて慰謝料および約2割相当の弁護士費用の支払いを命じた事例。 大阪地方裁判所第3民事部 石井寛明、飯淵健司、堀一策 平成18年ワ第5368号 2007年(平成19年)5月11日 損害賠償等請求事件 三浦直樹弁護士 06(4800)3277 中山義治(行政書士) 被告は、行政書士としての専門知識や経験を利用し、路上生活者だった原告に対して生活上の援助を行うとの口実の下、同人の名義を意のままに利用できる状態にした上で、同人の年金を生涯にわたって […]
被告が犯罪行為である出資法違反の貸付を行っていたことは明らかであり、債務者と被告の人的関係及び債務者が高利を認識していたとの事情を考慮しても、本件貸付は暴利行為として公序良俗に反し無効であるとし、原告の請求を認めた。長崎地方裁判所平戸支部 竹村昭彦平成17年ワ第5号2007年(平成19年)3月23日抵当権設定登記抹消登記手続請求事件松尾法律事務所 0955(74)5051業者名等 公表しない 本件は、息子の貸金債務の物上保証人になっている原告が、その貸主であり抵当権者でもある被告に対し、利息制限法に基づく引き直し計算よると被担保債権は既に消滅している、本件貸付は月1割から2割の利息で貸し付けた […]
利息制限法の充当利息制限法の制限超過部分を元本に充当し過払金が発生した場合には、当該過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当として過払金発生後の新貸付金へ過払金充当を認めた事例。裁判所最高裁判所第1小法廷 横尾和子、甲斐中辰夫、泉徳治、才口千晴平成18年(受)1534号2007年(平成19年)7月19日不当利得返還請求事件茆原洋子弁護士 044(855)5414(株)エイワ 利息制限法の制限超過部分が元本に充当された結果過払金が発生し、その後に新たな貸付けに係る債務が発生した場合であっても、当該過払金は新たな貸付けに係る債務に充当されるものと解 […]
1 弁済の遅滞を理由とする遅延損害金の支払義務の不発生 2 個々の過払金の充当までの間の利息の発生 3 悪意の受益者 4 貸付元金についての利息の初日不発生(利息計算としては初日不算入) 多治見簡易裁判所 中西健市 平成19年ハ第85号 2007年(平成19年)7月9日 不当利得返還請求事件 金沢治彦司法書士 052(911)4438 (株)ドリームユース 本件は、原告・被告間において、同一基本契約に基づいてされる1つの弁済について生じた過払金は、同一基本契約に基づいて、その弁済により後にされる貸付けにより生ずる貸金返還債務に充当されるか否かの判断につき、最高裁平成19年2月13日判決及び平成 […]
販売契約の目的が履行されていないにもかかわらず、クレジット会社が同契約に関する立替払契約に基づき、立替金の請求及び受領し続けた行為が不法行為であるとして損害賠償及び司法書士費用の支払いを求めたところ、解決金名目ではあるが、クレジット会社から既払い金の一部を返還する和解が成立した事例。 沼津簡易裁判所 岡田洋佑 平成18年ハ第667号 2007年(平成19年)7月25日 損害賠償請求事件 赤松茂司法書士 055(933)0922 (株)オリエントコーポレーション 販売店が原告とカーポート設置契約をしたところ、当該カーポートの設置をしないまま、クレジット会社からの立替金を受領した。原告が、クレジッ […]
特定調停において、申立人が分割で残債務を支払う調停に代わる決定が確定した後、特定調停の錯誤無効により過払金を容認した事案。浜松簡易裁判所 明石聖平成19年ハ第149号2007年(平成19年)7月11日不当利得返還請求事件内田勝善司法書士 053(437)8116(株)ワールド 本件は、申立人が自ら特定調停の申し立てをし、分割で残債務を支払う旨の調停に代わる決定が成立し確定したが、司法書士の取引履歴開示請求により、相手方が調停成立時に裁判所に提出した取引履歴以前の取引が判明し、それに基づく過払金の返還を求めた事案である。原告は、被告が調停に提出した取引履歴は途中開示であり、調停期日において、既に […]
合意管轄と取引不開示 債務不存在確認の訴えとしては借主の現在の住所地に管轄が認められない場合であっても、貸金業者の一部取引不開示を理由として慰謝料請求する形で請求拡張をした場合には、合意管轄の約定があったとしても、契約後の新たな侵害行為に基づく損害賠償請求として借主の現在の住所地に管轄が認められる、とされた事例(原審・抗告審とも同様)。 福岡高等裁判所宮崎支部 横山秀憲、一木泰造、林潤 平成19年ラ第28号 2007年(平成19年)5月30日 移送申立て却下決定に対する即時抗告事件 向和典弁護士 099(247)3531 (株)シティズ 1.事案の概要 ⑴ 当時福岡県糟屋郡在住の債務者Aがサラ […]
連帯保証人は、自分が連帯保証人になる以前の貸金業者と主債務者との取引履歴についても開示請求ができ、その開示請求が濫用にわたるなど特段の理由がない限り、開示拒否は違法として損害賠償を認めた事案。大阪高等裁判所第5民事部 大和陽一郎、菊池徹、一谷好文平成19年ネ第549号2007年(平成19年)6月8日損害賠償、貸金請求控訴事件畑純一弁護士 073(433)2241(株)ジャストナウコーポレーション 原告の知人(K)は被告貸金業者から借金をしていたが、途中から連帯保証人となった。その後、Kは破産したため、原告は保証債務を支払い続け、ついに完済した。その後、今度は原告が借主となって貸金業者から借金を […]
第1の取引の最終日(昭和63年1月13日)から第2の取引開始日(平成9年7月11日)まで、「9年6カ月」の空白期間がある場合でも、一連取引と認めた事例。 相模原簡易裁判所 行田 豊平成18年ハ第773号2007年(平成19年)5月10日不当利得返還請求事件小林正明司法書士 042(751)3331アコム(株) 主な争点は、「過払金の充当関係(一連の取引)」、「消滅時効」等であり、判決内容は以下のとおりである。尚、被告から控訴期間満了前に、「5月末日迄の金利(年5%)」を含めて支払う旨の連絡があり、判決は確定した。過払金の充当関係について⑴ 認定事実① カードローン基本契約(第10条・契約期間は […]
自動継続定期預金契約における預金払戻請求権の消滅時効は、自動継続の取扱いがされることのなくなった満期日が到来した時から進行するとした事例最高裁判所第1小法廷 涌井紀夫、横尾和子、甲斐中辰夫、泉徳治、才口千晴平成17年(受)第1519号2007年(平成19年)6月7日預金返還請求事件柴田信夫弁護士 06(6365)5119(株)みなと銀行自動継続定期預金契約について「自動継続定期預金契約は、預金契約の当事者双方が、満期日が自動的に更新されることに意義を認めて締結するものであることは、その内容に照らして明らかであり、預金者が継続停止の申出をするか否かは、預金契約上、預金者の自由にゆだねられた行為と […]
利息制限法違反の過払金は、弁済当時存在する他の借入金債務に充当することはもとより、弁済当時他の借入金債務が存在しないときでもその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるとして、過払金発生後に発生した債務に充当した事例最高裁判所第1小法廷 甲斐中辰夫、横尾和子、泉徳治、才口千晴、涌井紀夫平成18年(受)第1887号2007年(平成19年)6月7日損害賠償等請求事件長谷川栄治弁護士 082(502)0770(株)オリエントコーポレーション 利息制限法違反の取引によって過払金が発生した後に新たに発生した金銭貸付について、利息制限法による充当について、「本件各基本契約は、同契約に基づ […]
保険自動車盗難事件において、保険事故が被保険者の意思に基づいて発生したことは保険会社が免責事由として主張立証すべき事項であるとしつつ、請求原因としての「盗難」の要件事実は、「被保険者の占有する自動車が被保険者主張の場所に置かれていたこと」と「被保険者以外の者がその場所から被保険自動車を持ち去ったこと」であるとした事案 最高裁判所第1小法廷 平成17年(受)第1841号 2007年(平成19年)4月23日 保険金等請求事件 小谷英男弁護士 三井住友海上火災保険(株) 原告(上告人)は、自動車修理業を営んでおり、大破した三菱パジェロを無償で譲り受け、自ら修理をして使用していた。 平成14年5月22 […]