原告から取引履歴開示請求があった当時、被告は容易に開示できる状態にあったにもかかわらず、4か月以上取引履歴を開示せず放置した行為を不法行為と認定した事例 堺簡易裁判所 西村恭一 平成19年ハ第628号 2007年(平成19年)10月1日 不当利得返還等請求事件 森川恵介司法書士 072(286)1420 フクホー(株) 再三、取引履歴の開示を求めたにもかかわらず、被告は一切開示しなかった。原告が財務局に行政指導を求めた結果、受任後4ヶ月を経て、ようやく取引履歴を開示した。その後、引き直し計算の結果をもとに過払金返還請求をしたが、何の回答も得られなかったので、不法行為による損害賠償請求も併せて訴 […]
電話機(複合機)のリース契約の料金請求裁判において、宗教法人である被告は営利を目的としない宗教法人であり、営業のため又は営業として取引を行う事は通常あり得ない事等を理由にクーリング・オフを認め、請求を棄却した事例広島地方裁判所民事第3部 能勢顯男平成18年ワ第1165号2007年(平成19年)7月20日リース料請求事件加納雄二弁護士三洋電機クレジット(株) 本件は、電話機器(複合機)のリース契約について、リース会社(三洋電機クレジット)が、借り主である宗教法人A寺に対し、リース料残額全額(期限の利益喪失による)の支払を求めた事案である。本件では、被告が特商法によるクーリング・オフを主張し、原告 […]
商業帳簿の保存期間は、商法によって10年と定められている。保存期間を経過しないで商業帳簿を破棄することは違法であり、民訴法第224条2項の証明妨害に該当するので民訴法第224条3項を適用して相手方(反訴原告)の主張を真実と認める。本庄簡易裁判所 堤幸正平成18年ハ第23号平成18年ハ第70号2007年(平成19年)6月14日貸金返還請求事件不当利得返還請求反訴事件市村隆治司法書士 0493(62)6907(株)オリエントコーポレーション 事実の概要は、①第1取引、A(反訴原告)は、平成6年12月2日頃、(反訴被告)株式会社オリエントコーポレーションから、アドオン方式によって金165万2100円 […]
「取引の過程で過払金が発生し、その後に新たな貸付がなされた場合、借主は、過払金が発生した時点ではその存在を認識していないのが通常であるから、新たな貸付がなされた都度借主に相殺の意思表示を求めることは、借主にとって酷であり、そのようなことを借主に期待することはできない」として、過払金がその後発生した貸金に当然には充当されず、相殺の意思表示がない限り併存するという、CFJの主張を排斥した事例。 松山地方裁判所西条支部 末吉幹和 平成18年ワ第271号 2007年(平成19年)5月31日 不当利得返還請求事件問合先 菅陽一弁護士 0897(37)3045 CFJ(株) 借主は、旧アイク、旧ディック( […]
被告の提供するCADの受講契約が、特定継続的役務の「パソコンの操作に関する知識や技術の教授」に該当するとして、クーリング・オフや中途解約が可能であるとし、過去の受講経過を踏まえて既払の授業料のほぼ半額の返還を認めた和解。 大阪地方裁判所第3民事部 井川真志 平成17年ワ第10808号 2007年(平成19年)9月13日 不当利得返還請求事件 森田泰久弁護士 06(6344)5198 (有)オフィスキャド学院新大阪校 被告の提供するCADの受講契約が、特定継続的役務の「パソコンの操作に関する知識や技術の教授」に該当するかどうかが争われた。 事業者側の主張は、CADの受講契約は、建築設計図面、積算 […]
年金収入しかなく軽度の認知症の傾向にある女性に、クレジットで次々と3件のリフォーム契約を締結させた件で、3件目の契約について、クレジット会社が請求金額の約98%を免除する内容の訴訟上の和解が成立した事例。 仙台地方裁判所第1民事部 千葉直人 平成18年レ第4号 2007年(平成19年)8月23日 立替金請求控訴事件 小野寺友宏弁護士 022(266)4664 (株)ジャックス 無職で年金しか収入がない60代の女性(収入額は、2カ月に1回約24万円・軽度の認知症の傾向にある)に対し、リフォーム業者が、訪問販売で、3度にわたりクレジット契約を締結させた(クレジット総額約880万円、毎月の支払額約6 […]
事実上の一任売買において顧客適合性に著しく反する(過大な危険を伴う)取引を行って社会的相当性を欠く場合には「違法な一任売買」に該当する。 裁判所大阪地方裁判所第3民事部 石井寛明、井川真志、松浪聖一 平成16年ワ第8758号 2007年(平成19年)7月30日 事件名 損害賠償請求事件 問合先 三木俊博弁護士 岡三証券(株)藤井寺支店 投資家属性は有職寡婦(高卒)。問題期間は平成8年1月~同14年11月約7年間(担当社員代わらず)。問題行為は①仕手株勧誘②投信乗換③外国株勧誘。損害額は約2000万円(亡夫遺産株の大半を喪失)。 投資家は亡夫の遺産株(有名銘柄が大半)を受け継いだだけ。それ以前に […]
設計者、施工者及び工事監理者は、契約関係にない居住者に対する関係でも建物の基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負い、この義務を怠ったために居住者らの生命、身体及び財産を侵害した場合は、これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負う。最高裁判所第2小法廷 今井功、津野修、中川了滋、古田佑紀平成17年(受)第702号2007年(平成19年)7月6日損害賠償請求上告受理申立事件幸田雅弘弁護士 092(641)2007菅組(株)住報一級建築士事務所 本誌73号158頁論文参照。 判決PDF 平成17年(受)第702号損害賠償請求上告受理申立事件 判決当事者の表示 別紙 […]
期限の利益喪失後も長期間、多数回にわたって多額の弁済を受け続けること等により期限の利益の喪失を宥恕し再度期限の利益を与えたとして、シティズの貸金請求本訴を棄却し不当利得返還請求反訴を認容した原判決を維持した事例。東京高等裁判所第8民事部 原田敏章、氣賀澤耕一、渡部勇次平成18年ネ第4441号平成18年ネ第4993号2007年(平成19年)3月8日事件名貸金請求・損害賠償等反訴請求控訴事件、附帯控訴事件ベル法律事務所03(5957)5528(株)シティズ本件では、期限の利益喪失後に支払われた金員の充当計算を行うに当たり、利息制限法4条の規定する賠償額の予定についての制限利率を適用するか、又は同法 […]
第1取引と第2取引の空白期間が約1年、第2取引と第3取引の空白期間が約5ヶ月ある取引について、各基本契約における契約番号並びにカード番号は異なるが、これらは一連の取引であり、通算計算をするのが相当とした。大阪簡易裁判所 中川雅章平成19年ハ第3805号2007年(平成19年)7月18日不当利得返還請求事件森岡章江司法書士 06(6223)1888(株)キャスコ 本件は、(株)キャスコに対して過払金返還請求訴訟を提起したところ、(株)キャスコは、旧取引と新取引との期間が、相当期間経過していること、契約番号並びにカード番号が異なること、各基本契約取引の完済時に包括契約を解除し、包括契約に係る基本契 […]
貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められないときは、当該貸金業者は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定される。最高裁判所第3小法廷 堀籠幸男、藤田宙靖、那須弘平、田原睦夫、近藤崇晴平成18年(受)第1666号2007年(平成19年)7月17日不当利得金返還請求事件井上元弁護士(株)オリエントコーポレーション 債務者が貸金業者に対し […]
貸金業者は、「みなし弁済」(貸金業規制法43条1項)の適用がない場合には、…適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。最高裁判所第2小法廷 今井功、津野修、中川了滋、古田佑紀平成18年(受)第276号2007年(平成19年)7月13日不当利得返還上告事件内藤満弁護士 03(3563)5222(株)エイワ 過払金について、発生時点から法定利息を加算することは、下級審判決ではむし […]
1 契約書面の「各回の支払金額」欄には「別紙償還表記載のとおりとします。」との記載がある場合は、償還表の交付の認定をせずに17条書面の交付があったと認めることはできない。2 貸金業者が制限超過分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められない場合には、当該貸金業者は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるときでない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定される。最高裁判所第2小法廷 津野修、今井功、中川 […]
兵庫県住宅供給公社が、マンション販売の売れ残り分を、3年後に約半額の値段で再販売したことにつき、信義則に反する廉価販売であるとして過失責任を認めた事例。大阪高等裁判所第13民事部 大谷正治、髙田泰治、藤本久俊平成18年ネ第56号2007年(平成19年)4月13日損害賠償請求控訴事件児玉憲夫弁護士 06(6364)5668 兵庫県住宅供給公社マンション分譲後の値下げ販売につき、既購入者に対して損害賠償責任を認めた画期的な判決(大阪高等裁判所第13民事部平成19年4月13日)が出た。兵庫県住宅供給公社が、震災復興住宅として、平成10年10月から「マリナージュ芦屋」(平均価格3425万円)を売り出し […]
先物取引被害による損害賠償請求において、過失相殺を否定した判決。裁判所名古屋高等裁判所民事第4部 岡久幸治、戸田彰子、加島滋人平成19年ネ第152号2007年(平成19年)6月28日損害賠償請求控訴事件石川真司弁護士 052(231)5532グローバリー(株) 被害者は取引開始当時29歳でトラック運転手の男性であり、勧誘当時既に消費者金融からの借入れがあったにもかかわらず、外務員が「借りてでもやる価値がある」などと更に借入れを行わせて取引を開始させ、結果、273万2380円の損害を被ったという事案である。本判決は、まず、原審では認められなかった①断定的判断の提供及び②仕切り拒否ないし回避につき […]
新築建売住宅につき不同沈下が判明したため、購入から約5年後に契約解除・代金返還・損害賠償で4420万円を請求して提訴し、被告からの居住利益控除等の主張を排除して、購入代金3170万円を上回る和解金3900万円で和解した事案。 京都地方裁判所第3民事部 下馬場直志 平成17年ワ第93号 2007年(平成19年)6月27日 損害賠償等請求事件 神崎哲弁護士 075(211)6700 業者名 公表せず 本件建物は00年購入の木造2階建住宅で、床傾斜や建具開閉不良等の不具合が発生・拡大したため、当職は04年9月に受任し、若干の交渉後、05年1月に提訴した。 審理では、①地盤沈下の発生機序、②居住利益控 […]
基礎(設計図書違反、基礎底盤のかぶり厚さの不足等)、軸組の欠陥(筋交い量の不足、筋交いの取り付けがない柱と横架材の緊結の欠如)等原告が主張した瑕疵のほぼすべてを認めて、請負人の瑕疵担保責任、基礎工事請負業者および建築士(監理放棄)の不法行為責任を肯定した事例。 仙台地方裁判所第2民事部 中丸隆 平成14年ワ第984号 平成15年ワ第171号 2006年(平成18年)8月9日 請負代金請求事件 損害賠償請求事件 齋藤拓生弁護士 022(213)8491 (有)福建築、外 本件は、自宅新築工事請負契約を締結した原告が、基礎(設計図書違反、基礎底盤のかぶり厚さの不足等)、軸組の欠陥(筋交い量の不足、 […]
消費者契約法・敷金賃貸借契約終了時に、敷金の一部を返還しない敷引特約が付されている事案で、この特約が消費者契約法10条により無効になることを認めた。当該敷引特約は、敷金として差し入れた35万円のうち、契約終了時に5万円のみ返還する旨の特約であった。確定。京都地方裁判所第2民事部 山下寛、森里紀之、衣斐瑞穂平成18年レ第79号2007年(平成19年)4月20日敷金返還請求控訴事件木内哲郎弁護士075(257)1546大和リビング(株) 1 1審の木津簡裁が、礼金を払う場合と敷引特約がある場合とを比較して前者のほうが賃借人にとって有利であるとは考えにくいとして、賃借人の請求を棄却した(平成18年1 […]
本件は、鉄骨造2階建ての理髪店併用住宅(請負代金建物3347万円)について、外壁の多数のひび割れと雨漏り等の不具合の原因が、鉄骨接合の瑕疵、溶接の瑕疵(契約書添付の小規模鉄骨構造標準図違反及び契約図書違反等)によるものであり、現場での補修が著しく困難であるから建て替えを要するとして、建て替え費用、営業損失、慰謝料など、合計金4955万円を請求した事案である。大分地方裁判所民事第2部 関美都子平成14年ワ第491号2005年(平成17年)8月4日損害賠償等請求事件河野聡弁護士 097(533)6543大分バス(株) 1級建築士の意見書に基づいて主張・立証を進めていたが、裁判所が建築業者申請による […]
営業譲渡契約書の中にあるオークス時代の不当利得返還債務については責任を負わないという条項は、一般消費者の利益を一方的に害する不公正なものだから、その条項を盾に過払い金返還請求を拒むことは信義に反し許されない。 大阪高等裁判所第6民事部 渡邊安一、松本清隆、川口泰司 平成18年ネ第2779号、第3300号 2007年(平成19年)4月17日 不当利得等返還請求控訴事件 武藤信一弁護士 06(6411)0766 新洋信販(株) 新洋信販に対して取引履歴の開示を請求したところ、「オークスから営業譲渡を受けた債権である。その営業譲渡契約書には不当利得返還債務を承継しないとの特約がある」として営業譲渡以 […]