貸金業者が、17条書面、18条書面の交付の事実を個別具体的に主張立証しない場合には、そもそもみなし弁済の「適用があると認識を有していた」とすら言えず、「特段の事情」を論ずるまでもなく悪意の受益者に該当するとした事例 裁判所 東京高等裁判所第22民事部 加藤新太郎、柴田秀、加藤美枝子 判決・和解・決定日 2010年(平成22年)6月14日 事件番号 平成22年(ネ)第830号 事件名 不当利得返還請求控訴事件 業者名等 CFJ合同会社 問合先 遠州法律事務所 053(455)2266 本件は、過払い金に関して貸金業者が悪意の受益者と言えるかが一つの争点となった事案である。判決は、最判平成19年7 […]
約7年3か月の空白期間がある取引について、一連一体の取引ではないとしながら、過払金とその後の借入金との相殺による一連計算を認めた事例 裁判所 奈良簡易裁判所 西元ミヤコ 判決・和解・決定日 2010年(平成22年)11月17日 事件番号 平成22年(ハ)第1216号 事件名 不当利得返還請求事件 業者名等 アイフル(株) 問合先 嶋岡英司弁護士 0742(23)8710 原告はアイフルとの間で、平成7年7月8日から同21年7月31日まで取引を行っていた。この間、同12年4月22日に一度完済した形となり、約7年3ヶ月間の空白期間があった後、同19年7月23日に再度の借入をしたという事情がある。 […]
消費者金融業者に対する過払金返還請求訴訟において、原告が、各請求額を合算すると140万円を超える被告3名を共同被告として地方裁判所に提訴したところ、同裁判所が、被告アイフル㈱の申立てにより簡易裁判所への移送決定をしたので、これを争った事案で、最高裁が、法令違反を理由に移送決定を取消したもの 裁判所 最高裁判所第二小法廷 古田佑紀、竹内行夫、須藤正彦、千葉勝美 判決・和解・決定日 2011年(平成23年)5月18日 事件番号 平成23年(許)第4号 事件名 移送決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 業者名等 アイフル(株) 問合先 石川明子弁護士 052(220)1130 本件の基本事件 […]
SFコーポレーションが平成12年4月以降の取引履歴のみしか開示しなかった事案で、平成8年11月以降約3年5か月間取引があったこと、その間の約定利率が年39.931%以上であったこと等から、冒頭残高0計算を認めるのが相当とした 裁判所 東京地方裁判所民事第48部 品田幸男 判決・和解・決定日 2010年(平成22年)12月27日 事件番号 平成22年(ワ)第30286号 事件名 不当利得返還請求事件 業者名等 (株)SFコーポレーション 問合先 秋山直人弁護士 03(3230)1056 1 SFコーポレーションは取引履歴開示請求から10年を遡った時期以降の取引履歴しか開示しない対応を取ることが多 […]
17条書面は厳格に解釈すべきことは当然であり、「返済期間及び返済回数」は、債務者が自己の債務の内容を正確に把握し、弁済計画の参考としうる程度に一義的、具体的、明確に記載すべきことは当然であること、記載不要と解した貸金業者の判断は、恣意的で安易な判断に過ぎず、記載不要とする裁判例や行政通達があったとしても、悪意の推定を覆す特段の事情があったとは言えない 裁判所 大阪地方裁判所第13民事部 小林久起 判決・和解・決定日 2011年(平成23年)3月22日 事件番号 平成22年(ワ)第12835号 事件名 不当利得金返還請求事件 業者名等 アコム(株) 問合先 西尾剛弁護士 06(6366)0312 […]
第1取引が約6年9か月継続した後、約1年10か月の空白期間を経て、更に第2取引が継続している事案で、取引の分断を認めた原審を覆し、形式的にはいくつもの基本契約書が存在するものの、実質的にみて1つの基本契約に基づく一連一体の取引であると判示した。また、貸主提出の多数の再現17条・18条書面によっても不十分であるとして悪意の受益者であることを認めた 裁判所 名古屋高等裁判所民事第3部 高田健一、尾立美子、上杉英司 判決・和解・決定日 2011年(平成23年)3月11日 事件番号 平成22年(ネ)第1362号 平成23年(ネ)第24号 事件名 不当利得返還請求控訴、同附帯控訴事件 業者名等 プロミス […]
原審判決(園尾隆司裁判長)は、みなし弁済の適用を受けるためには、17条、18条の規定する要件を満たす書面を交付することが要件となるが、エイワが17条の要件を満たす書面を交付していたと認めることはできないとして、エイワを悪意の受益者と認定した。本決定は、この原審判決に対するエイワの上告受理申立に対する最高裁の上告不受理決定である 裁判所 最高裁判所第一小法廷 櫻井龍子、宮川光 治、金築誠志、横田尤孝、白木勇 判決・和解・決定日 2011年(平成23年)3月3日 事件番号 平成23年(オ)第68号 平成23年(受)第93号 事件名 上告受理申立事件 業者名等 (株)エイワ 問合先 長田淳弁護士 0 […]
基本契約に基づくリボルビング方式貸付けにおいて、基本契約時及び個別貸付時に交付される各書面を併せても返済期間等の記載がない書面を交付しても、悪意推定を覆す「やむを得ない特段の事情」はないとした裁判例 裁判所 大阪地方裁判所岸和田支部 尾河吉久 判決・和解・決定日 2011年(平成23年)1月21日 事件番号 平成22年(ワ)第883号 事件名 不当利得返還請求事件 業者名等 CFJ合同会社 問合先 井上耕史弁護士 072(221)0016 不当利得返還請求事件における悪意の受益者の争点について、リボ方式を採る貸金業者は、法制定時の大蔵省通達はリボ方式の場合に返済期間等の記載を省略できると読めな […]
民法704条の「悪意の受益者」に関し、最高裁平成19年7月13日判決のいう「特段の事情」の有無は、個別具体的な事案に応じて判断すべきであって、17条書面等のサンプルが提出されたとしても直ちに上記特段の事情があるとはいえない 裁判所 高松高等裁判所第4部 小野洋一、釜元修、金澤秀樹 判決・和解・決定日 2010年(平成22年)11月30日 事件番号 平成22年(ネ)第267号 事件名 不当利得返還等請求控訴事件 業者名等 CFJ合同会社 問合先 大森景一弁護士 0880(35)4168 本件は、大手貸金業者のディックファイナンス(株)(当時)との間で継続的金銭消費貸借取引を行っていた借主が、ディ […]
17条書面に「返済期間及び返済回数」及びその算出方法の記載がない場合につき悪意の推定は覆らないとした上、その後、17条書面に準ずる書面を交付したとしても、18条書面の「当該弁済後の残存債務の額」等は従前の取引におけるみなし弁済を前提として計算された不正確なもので、かつ、悪意の推定を覆す特段の事情もないとして、結局、取引全体にわたり悪意の受益者性を肯定した事例裁判所 東京地方裁判所民事第24部 荻原弘子 判決・和解・決定日 2010年(平成22年)11月22日 事件番号 平成22年(ワ)第13875号 事件名 不当利得返還請求事件 業者名等 プロミス(株) 問合先 土屋義隆弁護士 03(3356 […]
悪意の受益者の推定を覆す特段の事情について、みなし弁済の記載要件に関する最高裁平成17年判決、及び受取証書の交付に関する最高裁平成11年判決が従前の下級審判決の流れに沿ったものであることは裁判所に職務上顕著であるとし、アイフルは貸金業法等の解釈適用についてこのような裁判例等の状況について十分に把握、検討していたはずである等として、特段の事情を否定した判決 裁判所 東京地方裁判所民事第43部 松井英隆 判決・和解・決定日 2010年(平成22年)7月28日 事件番号 平成22年(ワ)第5033号 事件名 不当利得返還請求事件 業者名等 アイフル(株)、外 問合先 星晶広弁護士 03(3546)0 […]
破産免責を得た者が後に破産当時存在した過払金返還請求を行ったケースにつき、破産者が過払金返還請求権を行使を否定する法的根拠はなく、貸金業者が過払請求されないと信頼したとしても保護に値せず、当時取引履歴を開示しないのが一般的で借主に過払の認識はなく免責後に過払金を請求する意図で隠匿していたとは認められない等から、請求は信義則に反せず権利濫用とはならないとした例 裁判所 福岡高等裁判所宮崎支部 横山秀憲、川﨑聡子、空閑直樹 判決・和解・決定日 2010年(平成22年)12月22日 事件番号 平成22年(ネ)第191号 事件名 過払金返還等請求控訴事件 業者名等 (株)オリエントコーポレーション 問 […]
地裁に提起した被告複数の共同訴訟について、アイフルの、自己に対する請求額は140万円を超えないとする簡裁への移送申立につき、民訴法7条ただし書きが適用される結果、同法9条の適用はないため、事物管轄は地裁にはなく簡裁にあるとしながら、悪意の受益者該当性の審理には慎重な判断が求められ、同法16条2項により地裁で審理するのが相当として、移送申立を却下した決定 裁判所 名古屋地方裁判所民事第4部 渡部美佳 判決・和解・決定日2010年(平成22年)12月17日 事件番号 平成22年(モ)第844号 事件名 移送申立事件 業者名等 アイフル(株) 問合先 鈴木岳弘弁護士 052(935)1900 本件は […]
アイフルの無担保ローン→不動産担保ローン同日切替(以下、単に「借換え」と言います)についての勝訴判決第2弾です。「借換え」前後の契約条件の差異は、融資枠を拡大するために担保を徴求したことから生じる形式的なものであって、「借換え」とは実質的には単なる「貸し増し」ですので、無担保ローンの過払金を不動産担保ローンの借入金に充当するのは当然といえます 裁判所 佐賀地方裁判所武雄支部 木村哲彦 判決・和解・決定日 2010年(平成22年)9月9日 事件番号 平成22年(ワ)第49号 事件名 不当利得返還等請求事件 業者名等 アイフル(株) 問合先 福田大志弁護士 0954(27)8056 判決は、一連計 […]
無担保ローンでの借入返済を継続した後、不動産担保ローンに切り替えて以後返済を継続した事案について、無担保ローン完済時に発生した過払金は、不動産担保ローンの借入には充当されないとのアイフルの主張を排斥し、両取引は事実上1個の連続した貸付取引であるとして、無担保ローン完済時の過払金が不動産担保ローンの借入に充当される旨の合意の存在を認定し、両取引の一連計算を認めた判決 裁判所 東京地方裁判所民事第48部 賴晋一 判決・和解・決定日 2010年(平成22年)8月25日 事件番号 平成22年(ワ)第510号 事件名 不当利得返還請求事件 業者名等 アイフル(株) 問合先 村上一也弁護士 03(3341 […]
貸金業者が貸金債権を一括して他の貸金業者に譲渡する旨の合意をした場合において、譲渡業者の有する資産のうち何が譲渡の対象であるかは、上記合意の内容いかんによるというべきであり、それが営業譲渡の性質を有するときであっても、貸主と譲渡業者との間の金銭消費貸借取引にかかる契約上の地位が譲受業者に当然に移転すると解することはできない 裁判所 最高裁判所第三小法廷 大谷剛彦、那須弘平、田原睦夫、岡部喜代子 判決・和解・決定日 2011年(平成23年)3月22日 事件番号 平成22年(受)第1238号 平成22年(オ)第1187号 事件名 過払金返還等請求事件 業者名等 CFJ合同会社 問合先 服部誠至弁護 […]
銀行によるノックイン型投資信託の勧誘・販売について、一審判決が8割認容であったのに対し、9割認容を前提とした和解が成立した事例 裁判所 大阪高等裁判所第2民事部 三木素子 判決・和解・決定日 2010年(平成22年)12月22日 事件番号 平成22年(ネ)第2798号 事件名 預金返還等請求控訴事件 業者名等 (株)池田泉州銀行 問合先 田端聡弁護士 06(6314)0039 事案は、一人暮らしの高齢の女性が、銀行の支店長らから勧誘を受けて、合計2000万円で、いわゆるノックイン型投資信託(ノックイン条件付き日経平均連動債を運用対象とする仕組投資信託)を購入させられて損失が生じたというもので、 […]
先物取引経験者が行った取引につき、取引開始段階で利益が出ているとしても、取引を過大に拡大させた勧誘行為について適合性原則違反を肯定し、さらに仕切り拒否、差玉向かいの説明義務違反等を認定し、不法行為の成立を認めた例 裁判所 大阪高等裁判所第3民事部 岩田好二、三木昌之、西田隆裕 判決・和解・決定日 2011年(平成23年)2月25日 事件番号 平成21年(ネ)第1885号 事件名 損害賠償請求控訴事件 業者名等 大起産業、外 問合先 津久井進弁護士 0798(68)3161 委託者は当時39歳の学習塾の個人経営者で、商品先物取引経験があった。大起産業は、自社がハイブリッド取引と命名したサヤ取り取 […]
未公開株商法についての関与を否認する発行会社及びその取締役に対して賠償責任を認めた裁判例 裁判所 東京地方裁判所民事第8部 小濱浩庸 判決・和解・決定日 2011年(平成23年)2月9日 事件番号 平成22年(ワ)第1559号の7 事件名 損害賠償請求事件 業者名等 (株)H4O、外 問合先 太田賢志弁護士 03(3501)3600 いわゆる自社株販売型(販売会社が(形式上)存在せず、発行会社が自社の未公開株式を販売する商法)と呼ばれるタイプの未公開株商法である。 本訴訟において、発行会社である(株)H4Oは、本件未公開株商法は(株)H4Oの社員Aらにより行われたものであって、会社ぐるみの関与 […]
商品先物取引における「差玉向かい」の説明義務違反と取引上の実損との因果関係を明確に認めた判決(過失相殺5割) 裁判所 東京高等裁判所第9民事部 下田文男、宇田川基、北澤純一 判決・和解・決定日 2010年(平成22年)10月27日 事件番号 平成22年(ネ)第51号 事件名 差戻し損害賠償請求控訴事件 業者名等 東京コムウェル(株)、黒田義輝 問合先 平澤慎一弁護士 03(5570)5671 国内公設商品先物取引被害事件において「差玉向かい」についての外務員の説明義務を明確に認めた最判平成21年12月18日判時2072号14頁の差戻審判決。 同最判では、差玉向かいの説明義務違反と取引による損害 […]