ヤミ金融の口座名義人に対し、支払額全額の返還を命じた地裁判決(全額説) 奈良地方裁判所 野口卓志 平成15年(ワ)第75号 2003年(平成15年)7月1日 不当利得返還請求事件 宮坂光行弁護士 公表せず 本件は、ヤミ金融の口座名義人に対して、支払額全額の返還を求めた訴訟の地裁判決(全額説)である。 訴訟提起のために、UFJ銀行に口座名義人の住所・漢字氏名等を23条照会したところ、速やかに回答が得られた。訴状提起後、被告は住所地(東京地裁)への移送を申立てたが却下された。以後、被告は答弁書、準備書面等を提出したが、裁判には1度も出廷せずに判決となった。被告は、「過去に金融会社に事務員として入社 […]
当時の副理事長による生協財産の私物化や公私混同を内部告発して懲戒解雇や長期の自宅待機処分にされた原告らが、内部告発当時の副理事長及びその側近であった専務理事に対して損害賠償を求めた事案について、原告らの内部告発は当時の生協組織の実状からすればやむを得ない正当な行為であり、彼らに対する懲戒解雇や長期の自宅待機は内部告発に対する報復であり、その意思決定に実質的に関与した当時の副理事長と専務理事には共同不法行為が成立するとして原告らに対する損害賠償を命じた 大阪地方裁判所堺支部第2民事部 高田泰治・竹添明夫・三井大有 平成12年(ワ)第377号 2003年(平成15年)6月18日 損害賠償請求事件 […]
厚生年金をその振込口座から引き出して郵便貯金としたところ、その貯金を差し押さえられたケースにつき、申立人が現状破産状態で年金しか収入の途がなく、身体障害でもあることを考慮して、貯金の差押命令全部を取り消した千葉地方裁判所8日市支部 安藤宗之平成14年(ヲ)第198号2003年(平成15年)2月3日差押禁止債権の範囲変更申立事件山田裕祥弁護士(株)ジャックス申立人は、無職で厚生年金のみで生活していた。厚生年金給付の振込先口座から毎月年金を全額引き出し、本件郵便貯金口座へ移し替えていたところその郵便貯金の差押を受け、たちまち生活に困窮した。判決要旨は、「郵便貯金債権は、その口座が前記の銀行口座に振 […]
建売住宅につき、不等沈下による建物の傾き、損傷が生じている事案で、建物の売主及び名義貸建築に対し、不法行為による損害賠償責任を認めた 松山地方裁判所西条支部 安永 武央 平成12年(ワ)第110号 2002年(平成14年)9月27日 損害賠償請求事件 加瀬野忠吉弁護士 086(236)1550 公表せず 建売住宅の売主である不動産業者につき、本件建物は、建築基準法上1級建築士等による設計及び監理が義務づけられているにもかかわらず、建築確認申請手続を建築士に依頼しただけで、本件建物の設計及び工事監理を依頼していないから、売主としての注意義務違反があるとして、不法行為責任を認めた。また、不動産業者 […]
過剰融資の抗弁が主要な争点となり、被告及び貸付担当者の取調べが必要になるため、訴訟の著しい遅滞を避け、当時者間の衡平を図るため、民訴法17条による移送決定を認め、原告の合意管轄の主張を認めなかった 東京簡易裁判所 岡田洋佑 平成15年(サ)015026号 2003年(平成15年)7月2日 移送申立事件 功刀正彦弁護士 075(222)7090 ナイスキャピタルリミテッド 本件は、自己破産申立を前提にした受任通知を送付したところ、ナイスキャピタルリミテッドが、訴外ナイス株式会社との貸付証書にある「合意管轄条項」を理由に東京簡易裁判所に提訴してきたというものです。 東京で裁判を行うだけの費用もない […]
日栄との包括根保証契約の成立を否定し、単発の保証であると認定した上で、主債務が決済されたことにより、保証責任は消滅したと認定した事例 大阪高等裁判所 太田幸夫・川谷道郎・大島眞一 平成15年(ネ)第482号 2003年(平成15年)7月25日 求償債権等請求控訴事件 辰巳裕規弁護士 日本信用保証(株) 保証人は、主債務者が日栄から金300万円を借り受ける際(実際は、借入金は保証人自身が利用し、4カ月後の手形決済期日に保証人が返済資金を準備した)の保証人となるつもりであったが、日栄との間で1000万円を極度額とする包括根保証契約を結ばされおり、主債務者倒産後、日本信用保証より残債務900万円の求 […]
工事途中で監理業務を放棄した建築士の責任を認めた判決 仙台地裁古川支部 平成11年(ワ)第36号 2002年(平成14年)8月14日 損害賠償請求事件 吉岡和弘弁護士 022(214)0550 佐東組、かたくら建築設計室 1 木造2階建の注文住宅につき、注文者Xは建築士Yとの間に契約時に30万円、設計審査完了時に30万円、工事監理完了時20万円それぞれ支払うなどの設計・監理契約を、大工Zとの間には請負契約を、それぞれ締結し、同建物は引き渡されたが、同建物には数々の欠陥が存在した。そこで、Xは、施行業者に対する訴えとともに、設計・監理をした建築士を訴えたところ、建築士Yは、Xから工事途中で監理契 […]
加盟店の債務不履行に至るべき事情を知り得べきでありながら立替払を実行したあっせん業者には、不履行の結果を帰せしめるのを信義則上相当とする特段の事情がある 東京高等裁判所 平成15年(ネ)第1726号 2003年(平成15年)7月16日 立替金請求控訴事件 植田勝博弁護士 06(6361)8177 (株)ジャックス 本件は、被控訴人が訴外アイディックから購入した省エネシステム1式について、控訴人ジャックスとの間で締結した立替払契約に基づいて、ジャックスが立替金の支払いを求めた事案である。本件省エネシステムは省エネの効果を有しておらず、アイディックの被控訴人に対する債務が不履行になることを知りもし […]
学則等における前納学納金不返還特約につき消費者契約法九条一号を適用として無効とした事例
京都地方裁判所 平成15年7月16日判決
学則等における前納学納金不返還特約につき消費者契約法9条1号を適用として無効とした事例 京都地方裁判所 水上敏・福井美枝・尾河吉久 2003年(平成15年) 7月16日 平成14年(ワ)第1789号 学納金返還請求事件 平成14年(ワ)第8329号 入学金返還請求事件 平成14年(ワ)第2642号 学納金返還請求事件 加納克利弁護士 06(6366)6226 学校法人京都女子学園 学校法人京都成安学園 本判決は、一連の前納学納金返還請求訴訟における初めての判決である。 事案は、被告大学・短期大学の入学試験を受験、合格し、所定の入学手続期日(第1次及び第2次手続がある)までに入学金その他の学納金 […]
日本信用保証の受ける保証料等は、ロプロ(日栄)の貸付のみなし利息にあたるものであり、利息制限法を超過する支払いを元本充当するにあたり、貸主は充当されるべき元本に対する約定の期限までの利息を取得することができない 最高裁判所第2小法廷 滝井繁男・福田博・北川弘治・亀山継夫・梶谷玄 2002年(平成15年) 7月18日 平成13年(受)第1032号同第1033号 不当利得返還請求上告事件 茆原洋子弁護士 044(855)5414 (株)ロプロ(旧日栄) 原審は、保証料をみなし利息と認め、かつ、充当を認めた(個別天引後、返済を充当するにあたり一連計算)のですが、充当の時期に問題があった結果、実質年率 […]
割賦販売業者に対抗できる詐欺による取消に基づく抗弁の「対抗」の趣旨は、取立禁止の趣旨に限局されるものではなく、債務自体が存在しない事由になる 岡山地方裁判所 金馬健二 2002年(平成14年) 10月17日 平成14年(ワ)第842号 債務不存在等確認請求事件 水田美由紀弁護士 086(234)3311 (株)アイディック・アコム(株) 居酒屋を営む原告が、アイディックから「省電王」なる省エネ設備の購入する契約を締結し、アコムより同設備の売買代金につき立替払いを受けて割賦弁済する契約を締結したが、原告がクーリングオフもしくは詐欺による取消によるアイディックに対する債務不存在並びに抗弁の接続によ […]
特別に電気関係の知識を有しない一般社会人に対し、過大な節電効果を説明してセールスを行ったことは、社会的に許容される商業活動の範疇を逸脱したもので、欺罔行為に当たる 久喜簡易裁判所 荻原三雄 2003年(平成15年) 3月26日 平成14年(ハ)第296号 売買代金返還等請求事件 植田勝博弁護士 06(6362)8177 (株)アイディック 原告は、高校普通科を卒業後、そば屋を経営している男性である。被告会社の従業員が原告の店舗兼住宅を訪問し、「省電王」と称する電圧調整器具につき、電力の節減効果を強調してセールスを行ったため、原告は省電王を設置すれば、節電の効果があると信じて、省電王等の設備1式 […]
発信者情報開示請求訴訟においては、被害者が発信者情報の一部を既に把握している場合であっても、そのことにより、その余の発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の存在が否定されるものではない 東京地方裁判所 高橋利文・齊藤顕・世森亮次 2003年(平成15年) 3月31日 平成14年(ワ)11665号 損害賠償請求事件 ヤフー(株) 本件は、インターネット上のプライバシー侵害などに対応するために制定されたプロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)に基づいて発信者情報の開示を求めた事案である。 原告は、眼科を診療科目とする病院を運営する医療法人で […]
1審において期限の利益の再度付与が認められなかったが、2審において黙示による合意の成立を認め過払い金の返還を命じた事例 金沢地方裁判所 井戸謙一・野村賢・村山智英 2003年(平成15年) 6月16日 平成15年(レ)第1号 貸金等請求控訴事件 喜成清重司法書士 076(291)2090 キャッシュサービスアイドルこと中山明男 業者主張 債務者はキャッシュサービスアイドルから次の借入を繰り返してきた。 平成9年 2月12日 30万円 同 11月10日 30万円 10年 9月 9日 30万円 11年 5月11日 30万円 12年 1月11日 30万円 業者は、上記貸付を別個独立した貸付と主張。 […]
相手方の期限利益喪失の主張を信義則上認められないとし、取引経過開示義務を信義則上の債務不履行として認めた 京都地方裁判所 古谷恭一郎 2003年(平成15年) 5月28日 平成14年(ワ)第2985号 根抵当権抹消・不当利得金・損害賠償請求事件 飯田昭弁護士 075(211)4411 サンケイこと加納佳 1 相手方業者は不動産担保をとっている京都の個人業者で、本人訴訟ですが、終盤で例の武富士の最高裁決定と、吉野正三郎弁護士(商工ファンド代理人)の論文を追加提出してきました。判決は、開示義務違反を信義則上の債務不履行ととらえています。ただ、不開示と因果関係のある損害は10万円(請求50万円)しか […]
在宅ワークで勧誘し、医療事務速習講座の教材販売に関する立替え払い契約をさせた場合に、主婦の錯誤無効の主張を認め、クォークの請求を棄却した事例 津地方裁判所 2003年(平成15年) 4月2日 平成13年(ワ)第152号 立替金請求事件 村田正人弁護士059(226)0451 クオーク 医療事務速習講座という教材販売に関する立替払い契約について、津地方裁判所平成15年4月2日判決は、主婦とクォークとの間の契約は教材の売買代金の立替払いをすることを約した契約であり、本件売買契約の締結当時、主婦は、本件売買契約を締結すればアド・ホックから分割金の支払をなしうる程度の在宅ワークの提供を受けられると誤信 […]
チケット金融業者とは無関係の他の金券チケット屋でチケットを売却させる、という手口のチケット金融業者の保証会社からの求償金請求について、争った結果、原告が請求を放棄した事例尼崎簡易裁判所2003年(平成15年) 2月24日平成14年(ハ)第440号求償金返還請求事件堀泰夫司法書士 0729(99)4803(株)神崎信用本件売買契約は、実質的には金銭消費貸借契約であり、利ざやは利息にあたり、契約全体が暴利行為として無効である、と主張して争った。これを裏付ける事情として、①初めての客には、チケットを売れば金銭を得られるという融資の仕組を説明していること②申込書に他社借入及び同居する家族の氏名・生年月 […]
貸金業者に対する帳簿等の文書提出命令の申し立てを却下した原審決定を取り消し、文書の提出を命じた事例 大阪高等裁判所 下方元子・水口雅資・橋詰均 2003年(平成15年)6月17日 平成14年(ラ)第936号 文書提出命令申立却下決定に対する抗告事件 井上元弁護士06(6366)0636 (株)善木 過払金返還請求事件において、業者に対する帳簿等の文書提出命令の申し立てにつき、原審決定(大阪地裁平成14年8月30日)は、文書を廃棄したとする業者の主張をいれて文書の存在の証明がないとして却下した(但し、取引帳簿の廃棄は過払金を免れようとする意図を十分推認させるものであり、文書提出命令が発令されたに […]
鉄骨3階建ての建売住宅で、柱梁の断面寸法が半分程度の材料が使われるなど著しい構造欠陥のある事案であり、取り壊し建て替え費用相当の損害金を認めた事例 東京地方裁判所 伊藤繁 2002年(平成14年)6月17日 平成11年(ワ)第17906号 損害賠償請求事件 河合敏男弁護士 タテノ建設(株) 本件は、鉄骨ラーメン構造3階建ての建売住宅の事案である。柱、梁の鉄骨断面寸法が、確認図面上の寸法の半分以下の材料(例えば200ミリ角の角形鋼管が使用されるべきところ100ミリ角が使われている)が使用されており、剛接合もなされておらず、柱梁で囲まれたフレーム内に木製の枠を作りそこに木製の筋かいを入れるという極 […]