弁護士(神奈川) 田井 勝
1 全国の農家・消費者が原告となり、国を被告としてたたかっている種子法廃止違憲確認訴訟について述べます。
2017年に国会が制定した種子法廃止法(正式名称は「主要農作物種子法廃止法」)により、種子法が廃止されました。正式には同廃止法が2018年に施行され、その際、同廃止法に基づき、種子法が廃止されたこととなります。
種子法は、米麦大豆などの主要農作物の種子について、都道府県による生産及び普及体制を義務付けた法律です。種子法に基づき、都道府県が種の原種・原原種を生産すること、原種から種を生産するほ場を指定すること、圃場審査、生産物審査を行うことなどが規定されていました。この法律は、第二次大戦後の食糧難を乗り越えるべく、食糧増産の目的で制定されたものです。
ところが、政府は、「すでにコメの供給不足は解消された」「優れた民間品種があるので公的生産体制に委ねる必要がない」という理由から種子法廃止法案を提出し、国会の議決で種子法が廃止となりました。わずか10時間余りの審議で廃止法案が可決されました。
原告らはこの種子法廃止法が、食料への権利を侵害するから憲法違反であり無効である・・・
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