宗教の妄想・狂気・詐欺(2)
─統一協会の場合─

弁護士(大阪) 植田勝博

第2 宗教のもたらす妄想、狂気、詐偽

(4)キリスト教の場合

 キリスト教(山我哲雄『キリスト教入門』(岩波書店)など)が始まった当時、ユダヤ人は国なき民としての生活を強いられていた。紀元前63年以降、紀元後6年まで、ローマ人の総督がおさめローマ軍が駐屯するようになった。

 当時のユダヤ人社会は、祭司を頭とする神殿の祭司や貴族がサドカイ派と呼ばれる支配階級を形成し、ファリサイ派と呼ばれる中産階級を背景とする律法学者を中心とするグループが日常生活のすべてを律法に即したものにすることを要求し遵守できない人々を「罪人」として差別する社会であった。

 律法を守れない者は宗教的救いはなく、罪人とみなされていた者は病人、徴税人、娼婦であった。病気は本人や祖先の罪への報いとされ、特定の病気は穢れを帯びたものとして社会から排斥され、徴税人は異教徒ローマ帝国のために税金を取り立てる仕事で安息日にも働くことを余儀なくされ、律法を破る「罪人」であった。イエスは、「貧しい人々は幸いである、神の国はあなた方のものである。今飢えている人々は幸いである。あなた方は満たされる。今泣いている人々は幸いである。・・・

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