宗教法人に対する解散命令後の清算手続についての弁連案

全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長 弁護士(東京) 木村 壮

1 宗教法人に対する解散命令後の清算手続についての弁連案

 2025年3月25日に東京地方裁判所は世界平和統一家庭連合(旧称世界基督教統一神霊協会。以下、「統一教会」という)に対し宗教法人法81条1項1号に基づき解散命令を下した。統一教会に対して解散命令決定が下される3日前の3月22日開催の全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、「全国弁連」という)の全国集会において、統一教会に対する解散命令が確定した後の清算手続きに関して全国弁連の立法提案(以下、「弁連案」という)を公表した。その後、文化庁は清算手続に関して立法ではなく、ガイドラインを策定すべく、有識者会議を立ち上げる旨を公表した。そこで、本稿では、弁連案の概要について触れたうえで、ガイドラインとの関係について述べる。

 清算手続きについての弁連案の骨子は、①清算手続きにおける清算人の権限の強化、②散逸した財産の取戻を容易にする規定の創設、③残余財産を被害者救済のために充てるための規定の創設の3点である。

2 ①清算手続きにおける清算人の権限の強化について

 現行の宗教法人法では、清算人の・・・

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