従来の貸金契約ではない契約を貸金として取り締まる必要性

弁護士(大阪) 日髙伸哉

 法人・個人は金融機関からの融資が得られない場合、やむを得ずヤミ金業者から資金を得ることがある。ヤミ金は高利で貸し付ける違法業者であり、暴利を得ていたが、近年はその違法性が広く認識され、利用者も利用を回避する傾向にある。これに対し、業者は摘発リスクを回避しつつ利益を上げる方法を模索し、形式上は売買契約としながら実質は貸付けと変わらない「給与ファクタリング」や「先払い買取」といった手法を展開している。

 個人向けの「給与ファクタリング」は、未払給与債権の売却と見せかけて、手数料を差し引いた金銭を交付し、給料日に全額を回収する仕組みであり、実質的には高利の貸金に等しい。また、「先払い買取」は、商品売買を装いながら、キャンセル料や違約金として金銭を徴収し、こちらも貸金に相当する性質を持つ。いずれも貸金契約と異なる形式を取ってはいるが、その実態は一時的資金の提供と返済を伴う構造であり、ヤミ金と変わらない。

 法人向けには、以前はシステムヤミ金(手形・小切手を担保として高利で金銭の貸し付けを行う手法)などがあったが、現在はファクタリング(売掛債権の売買)を通じた資金調達が増えている・・・

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