事業者ファクタリングについて

弁護士(東京) 三上 理

 金融庁は、ホームページで「ファクタリングの利用に関する注意喚起」をし、「企業が、売掛債権等を譲渡して資金を調達するファクタリングにおいて、高額な手数料を支払う契約を締結した場合、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性がありますので、十分注意してください」としている。中小企業が高額な手数料を支払うこととなるファクタリングを利用すると、かえって資金繰りは悪化する。こうして金利規制が潜脱され、多重債務となり、資金需要者の保護に欠ける結果を招く。

 下級審裁判例は、譲渡債権の回収リスクを売主(譲渡人=資金需要者)と買主(譲受人=ファクタリング業者)のどちらが負担するかで、貸付け該当性を考える傾向がある。そのため、最近の契約書は、売主は回収リスクを負わない旨を定める(ノンリコース条項)。こうした契約条項を理由に、貸付け該当性を否定される裁判例も少なくない。

 しかし、ファクタリングが利用されるのは、回収リスクを転嫁するためではなく、資金の融通を受けるためである(金融の目的)。必要な資金を得るためには不利益な契約でも甘受せざるを得ない。回収リスクを評価し、売主と買主の自由な・・・

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