貸金業法の制定及び改正経緯と「売買仮装ヤミ金」対策の必要性

一橋大学名誉教授 松本恒雄

1 貸金業法の制定

 「貸金業の規制等に関する法律」(貸金業法)が制定されたのは、1983年のことであり、その背景には、1970年代後半からの「サラ金問題」に対する運動の高まりがあった。貸金業法制定以前には、利息制限法と「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(出資法)という金利規制関係の法律があったのみである。

 貸金業法の制定と同時に出資法も改正された。刑事罰を免れる出資法の上限金利(年109.5%)と民事的に無効となる利息制限法の上限金利(年15〜20%)との間のグレーゾーンで営業している貸金業者の利益の維持と高金利の規制の妥協の産物として、貸金業者については、出資法の上限金利が73%、54.75%、40.004%へと順次引き下げられるとともに、この上限金利以下である場合には、債務者の弁済の任意性と所定の書面が債務者に交付されていることを要件に、利息制限法の制限超過利息の弁済は、利息債務の弁済として有効となり、超過部分の元本充当や返還の請求は認められないこととされた(みなし弁済、制定時の貸金業法43条1項)。

2 貸金業法等の主な改正経緯

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