第13章 生活保護・福祉

弁護士(大阪) 小久保哲郎

第1 最高裁判決を迎える「いのちのとりで裁判」(生活保護基準引下げ訴訟)

 2013年からの史上最大(平均6.5%、最大10%)の生活保護基準引下げの違法性を争う「いのちのとりで裁判」が、いよいよ最高裁判決を迎える。

 いのちのとりで裁判は、全国29地域で31の訴訟が提起されているが、校正時点(6月11日)までに言い渡された43判決(地裁31、高裁12)のうち、原告側が27勝16敗(地裁20勝11敗、高裁7勝5敗)と大きく勝ち越している。後記一覧表を御覧いただければわかるとおり、地裁段階も高裁段階も前半は負けが多いが後半に入ると勝ちが増えて逆転していっている。今年に入ってからの高裁判決は原告側の6勝2敗である。

 最高裁判所第三小法廷(宇賀克也裁判長)は、先行する大阪訴訟(高裁で逆転敗訴)と愛知訴訟(高裁で逆転勝訴)について、口頭弁論期日を指定した。5月27日午後、両訴訟の弁論が開かれ、6月27日午後3時に判決言渡し期日が指定された。本稿掲載誌発刊時には既に結果が出ているかもしれないが、わが国の司法の存在意義が問われる極めて重要な判断であり、結果が注目される。

第2 引取り

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