第12章 電子商取引

弁護士(東京) 板倉陽一郎

1 電子商取引に関する2024年の立法・政策動向

 本章では、電子商取引に関し、2024年に進展した立法・政策の動向を紹介する。

 2024年には、電子商取引を直接規律する消費者契約法や特定商取引法の改正自体はなかった。他方、主として電子商取引についての問題点が議論された内閣府消費者委員会「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」の報告書(2022年8月及び2023年8月)を受けて、内閣府消費者委員会は「チャットを利用した勧誘の規制等の在り方に関する消費者委員会意見」(2023年8月10日)を発出している1。その内容は、

 「1 特定商取引法の通信販売において、チャットを利用して事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為に対して、勧誘の規制等の導入に向けた検討を行うこと。」

 「2 上記1に当たっては、以下の内容を含め検討を行うこと。

(1)チャットを利用した勧誘に先立って、消費者に対し、事業者名・販売目的等を明示すべき義務を設けること。

(2)チャットを利用した勧誘による販売に禁止行為等に関する行政規制を設けること。具体的には、訪問販売及び電話勧誘販売規制を・・・

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