弁護士(愛知) 石川真司
1 令和5年3月24日 大津地裁彦根支部判決〔1〕
本件は、戸建て住宅の建築を発注した原告が、本件建物には、契約で外壁防火構造として約定した国土交通大臣認定の工法(以下「本件認定工法」という)に従った施工がなされていない瑕疵(瑕疵①)、断熱材施工についての瑕疵(瑕疵②)、玄関ポーチの土台が基礎からはみ出している瑕疵(瑕疵③)があり、これらは建物としての基本的安全性を損なう瑕疵(以下「安全性瑕疵」という)に当たるとして、施工業者らに対し、不法行為に基づき補修費用等の損害賠償を求めた事案である。
判決は、瑕疵①〜③のいずれも安全性瑕疵に当たるとして、原告の請求を認めた。
原告が主張した瑕疵の内、瑕疵①は、いわゆる主観的瑕疵である。すなわち、本件建物の建築場所は防火地域又は準防火地域ではなく、本件認定工法を採らなくても法令違反ではないが、判決は、「認定工法を採るものとして契約し、当該内容で建築確認を受けたにもかかわらず、その仕様通りの施工がなされていなければ、防火機能を果たす保障はなく、これを放置した場合には原告らの人身被害につながり、あるいはその健康や財産が損なわれる危険・・・
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