第8章 欠陥商品

弁護士(大阪) 菅 聡一郎

 本年度は、まず、生後9か月の子が就寝中に、転落防止用のベッドガード(本件ベッドガード)とベッドマットの間に挟まって死亡した事故(本件事故)について、製造物責任の有無等が争われた東京高判令和6年11月27日〔3〕を紹介する。

1 事案の概要

 一審原告Xらは、一審被告Yが輸入販売する本件ベッドガード(新古品)を購入し、これをベッドに取り付けて使用していたところ、平成29年8月、Xらの子A(生後9か月)が、就寝中に同ベッドガードとベッドマットとの間に挟まって死亡する本件事故が発生した。Xらは、本件事故によりAが死亡したのは、本件ベッドガードの設計上及び指示・警告上の欠陥(製造物責任法2Ⅱ)に起因する旨主張して、Yに対し、同法3条に基づく損害賠償請求として、それぞれ4672万円余及び遅延損害金の支払いを求めた。

 原判決(東京地判令和6年3月22日〔2〕)は、本件ベッドガードには指示・警告上の欠陥があり、同欠陥と死亡との間に相当因果関係が認められるとして、Xらの請求につき、Yに対してそれぞれ1788万円余及び遅延損害金の各支払いを求める限度で認容したところ、一審原告ら及び一審・・・

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