弁護士(東京) 荒井哲朗
第1 はじめに
今回は、本誌140号から143号及び先物取引裁判例集88巻に掲載されている裁判例等の中から、詐欺的金融商品(まがい)取引被害について被害救済手続実務上参照価値があると思われるものについて紹介することとする。本文において言及していない裁判例にも様々な主張立証の工夫がみられ、参考となるものが多数あるので、データベースを併せて参照されたい。
第2 証拠金取引
大阪地判令和6年2月28日は、「被告は、カバー取引規程の定めに従って、顧客との間のネットポジションが20枚以下になるようカバー取引を行っていたものの、個々のCFD取引に対応したカバー取引を行わず、本件CFD取引において被告との間で利益相反関係にあった。このような利益相反関係が生じ得ることは、被告が本件CFD取引開始前に予想することができ、原告の投資判断に影響を与える事情であるから、被告は、信義則上、本件CFD取引前に、原告に対し、上記利益相反関係が生じ得ることを説明すべき義務を負うものというべきである。ところで、被告は、原告に対し、本件CFD取引は被告が顧客と直接取引を行う相対取引である旨記載された本件・・・
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