第4章 消費者契約法・消費者裁判手続特例法

弁護士(京都) 増田朋記

第1 はじめに

 本稿では、消費者契約法・消費者裁判手続特例法関係の裁判例として、以下の裁判例を取り上げる。

・最高裁判所第三小法廷令和6年3月12日判決

・東京地方裁判所令和3年6月10日判決(第一審)、東京高等裁判所令和5年4月18日判決(控訴審)、最高裁第二小法廷令和6年3月15日決定(上告)

・松江簡易裁判所令和6年4月11日判決

・旭川地方裁判所令和6年8月1日判決

第2 最高裁判所第三小法廷令和6年3月12日判決〔1〕

1 事案の概要

 本件は、消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(以下「消費者裁判手続特例法」という)に基づく、特定適格消費者団体による共通義務確認請求事件である。

 被上告人らは「仮想通貨バイブル」と称するDVD等をウェブサイトで販売していたところ、上告人の特定適格消費者団体は、被上告人らが消費者に対して虚偽または実際とは著しくかけ離れた誇大な効果を強調した説明をして商品を販売するなどしたことが不法行為に該当すると主張し、売買代金相当額等の損害賠償義務を負うべきことの確認を求めたというのが本件事案である。

2 判旨

 原審(東・・・

この記事は会員に限定されています。ログインしてください。
会員になるには「会員に申し込む」をクリックしてください。