相談現場での気づき

(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
消費生活相談員 中村郁子

はじめに

 消費生活センターに勤務する相談員として、日ごろ、相談対応に際し法律の当てはめに大変苦慮している。逐条解説やガイドラインで確認し、諸官庁に問い合わせるなど法律の解釈はとても難しいと感じている。その中で、かなり以前、相談員養成講座で村千鶴子弁護士の講義を受けた際にお聞きした言葉がとても印象に残っている。

 割賦販売法の昭和43年改正の前払式割賦販売について、「法律を理解するには、その法律ができた背景を知ることが大事である。この法改正は、消費者がリスクを被らないために行われた」と論じられた。その言葉が、今でも強く印象に残っている。

昭和43年改正の背景と目的

 前払式割賦販売は、ミシンの販売のために開始された。その後、電化製品や家具などの販売でも使われるようになり、前受け金残高が急増した。著しい普及の反面、倒産する事業者も続出し、預かった前受け金を返済できずに消費者に損害を与えるトラブルが増加した。そこで、消費者保護、事業者の健全化を目的とし、前払式割賦販売業を登録制から許可制とし、要件を強化する法改正が行われ・・・

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