弁護士(東京) 志水芙美代
第217回通常国会にて、公益通報者保護法の一部を改正する法律が成立しました。令和6年12月27日に公表された消費者庁「公益通報者保護制度検討会」報告書において具体的な方向性が示された事項を、基本的に取り込んだ内容となっています。
1 主な改正事項は次のとおりです。
① 公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対する刑事罰(直罰・両罰)が導入されました。一般職の国家公務員等に対して公益通報を理由とする分限免職又は懲戒処分をした者についても同様です。
② 通報後1年以内の解雇又は懲戒について、公益通報を理由としてされたものと推定する立証責任の転換規定が設けられました。
③ 事業者が、公益通報対応業務に従事する者を指定すべき義務に違反した場合に、現行法の指導・助言、勧告に加えて、勧告に従わない場合の命令権及び命令違反時の刑事罰が導入されました。また、この従事者指定義務違反に対する消費者庁の行政権限が強化され、現行法の報告徴収権限に加えて、立入検査権限が新設されました。
④ 労働者等に対する事業者の公益通報対応体制の周知義務が法文上で明記されました。
⑤ 事業者が、労働者等に対・・・
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