大阪公立大学現代システム科学域教授(歴史学・日本近現代史) 住友陽文
「政治家」というアイデンティティ
大阪府知事や大阪市長を歴任した維新の首長たちの言葉で、ずっと気になっていたことがある。それは、彼らは自分たちのことを「地方公共団体の首長」とか、「地方行政の長」と言うかわりに、頻繁に「政治家」と言うことである。もちろん知事や市長が政治家であるのは間違いないが、それらはまず特別公務員として地方公共団体の首長もしくは地方行政の長としての役割を果たしたうえでの存在である。
国政政党の日本維新の会の地方組織である大阪維新の会、その幹部が務めるのが大阪府知事(吉村洋文代表)であり大阪市長(横山英幸代表代行)である。維新所属の歴代の大阪府知事は、橋下徹、松井一郎、吉村洋文であり、同じく大阪市長は、橋下、吉村、松井、横山英幸である。彼らは同時に国政政党である日本維新の会の幹部でもあった(現在は、吉村知事は代表、横山市長は副代表)。国政政党の代表や共同代表が同時に地方自治体の首長に就任するケースは珍しい。しかも、国政政党でその本部の所在地が東京以外にあるのも日本維新の会(大阪市)だけである。それだけ大阪に・・・
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