成年後見制度改正に向けた審議の現状
~予想される消費者問題への影響~

弁護士(大阪) 浅野永希

 現在、成年後見制度の改正審議が行われている。令和5年2月15日に法務大臣より成年後見制度の見直しに関する諮問がなされ、法制審議会の民法(成年後見等関係)部会が設置され、同年4月9日から改正要綱案作成に向けた議論が開始されている。審議会では、前記諮問に示された「成年後見制度を利用する本人の尊厳にふさわしい生活の継続やその権利利益の擁護等をより一層図る観点」から今回の改正のための議論が行われている。

1 改正が必要となった背景

 現行制度の問題として次のような報告されていた。まず、制度利用の必要がなくなった場合でも、本人の判断能力が回復しない限り制度利用が継続すること、本人にとって必要な限度を超えて行為能力が制限されること、成年後見人等による財産管理権等の行使が本人の意思に合致しない場合があること、本人側のニーズの変化に応じて成年後見人等を交代させることができないこと、である。このような問題は実務の現場で指摘されたものであり、これらを解消するため制度の見直しが必要とされていた。

 また「成年後見制度利用促進第二期基本計画」(2022年3月閣議決定)において「見直しに向けた検討・・・

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