弁護士(神奈川) 石戸谷 豊
はじめに
本年2月8日、大阪司法書士会の主催で「マルチ取引を考えるシンポジウム」が開催され、ウィンメディックス被害者の会の代表(仮名・永山さん)から被害実態の報告があった。貴重なシンポで、考えるべき点も多いことから情報提供する。
事案の概要
この事案については、すでに被害者の声が本誌に寄せられているので、参照してほしい1。また、以下の民事判決や刑事判決は未登載であるが、そのポイントや事実経過などは、事件を担当している藤森克美弁護士のホームページに掲載されているのでご覧いただきたい2。事案のポイントを要約すると、次のようになる。
① 「癌細胞を副作用なしに死滅させる」という同社開発のヨウ素水を、癌患者あるいはその家族等に勧誘し売りつける。
② その際、「購入するには当社の株主になる必要がある」等として、同社の未公開株を購入させる。
③ 未公開株の代金は、別法人の口座に寄付金として入金させる。
④ 販売・勧誘については、紹介料を配分するシステムを採用している。
民事事件判決
民事事件の判決は、静岡地裁令和6年12月19日に言い渡された。そのポイントは、ヨウ素による癌治療の医学的効・・・
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