(公社)全国消費生活相談員協会 竹谷啓子
令和6年版消費者白書1によれば、国民生活センター越境消費者センターが2023年に受付けた相談件数は5,924件と前年(4,756件)よりも大幅に増加した。越境消費者トラブルは、物理的な距離や言葉の壁だけでなく、商習慣の違いや日本法の執行力が及びにくいことなど、国内事業者との消費者トラブルとは違った難しさがある。(公社)全国消費生活相談員協会の週末電話相談に寄せられた越境取引に関する相談の中から、同様の相談が複数寄せられた事例をもとに紹介する。
1 越境取引に関する相談事例
A)「海外OTAの運営する予約サイトで航空券とホテルを予約した。キャンセル可能とあったのでキャンセルしようとしたが、航空券代は返金できないと言われた」
海外OTAの予約サイトでの航空券とホテルのセット販売に関するトラブルである。セットの予約であっても、キャンセルや変更については、ホテル、航空会社それぞれの規定に従うこととなるが、ホテルのキャンセル規定がすべてに適用されると誤解する消費者が少なくない。また、海外OTAの予約サイトは日本語で表記されていても、航空券の契約内容の詳細を確認し・・・
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