弁護士(新潟) 中村周而
1 はじめに
今回、私が報告するのは長期にわたって全く科学的根拠のないカウンセリングを受けて多大な金銭的・精神的被害を受けたというA子さんのケースである。A子さんが自称カウンセラーのB夫婦と夫婦が経営する都内のカウンセリング会社(C社)を被告として3305万円の損害賠償を求める訴訟を提起したのは2023年1月。請求金額の内訳はA子さんが相談料(カウンセリング料)等として出捐させられた2800万円余の実損と慰謝料および弁護士費用である。現在、係争中であり、私も原告代理人の一人である。
C社はカウンセリング事業、心理学講座、ワークショップやセミナーの開催などを目的として設立された有限会社。C社のホームページにはB夫婦はカウンセラーだけでなく、トレーナーとかセラピストとしても紹介されているが、心理学に関係する資格はない。
2 被害者が多額の金銭の出捐をさせられた経緯
A子さんの祖父はお寺の住職で、父親はお寺の副住職をしていた。祖父が亡くなった後は、A子さんの姉の夫が住職を務めていた。父親と姉は以前から鬱病を患っていたが、数年前に相次いで自死した。その後、体調不良や情緒不安定で・・・
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