2025年こそ食品行政の大転換を
─紅麹サプリ事故が突きつけた機能性表示食品制度の危険性─

食の安全・監視市民委員会共同代表 佐野真理子

 2024年は食品問題の分野でも重大な事故・事件が相次いだ。感染症対策の強化を目的に、厚生労働省から消費者庁へ食品衛生基準行政が移管されるなど大きな組織改革がなされた一方、誤認・誇大表示の横行、健康食品の詐欺的定期購入商法の増加など、安全性問題に加え、表示、取引の各分野で違反事件が頻発した。その対応が急がれた年でもあった。

 特に、24年3月に発覚した小林製薬「紅麹サプリメント」深刻事故は、行政庁がこの問題にどう対応するか、今後の食品行政のあり方を見極めるうえで極めて重要となる。

 健康被害の原因は複合的・重層的であるだけに重大事故の教訓化は、食品行政の改善に結びつけないと意味はない。実態はそうではなく、事故再発の可能性、その懸念は残されたままと思わざるを得ない。このような事態にこそ、消費者目線に立った食品行政の転換が必要だ。

なぜ公開しないのか 買上調査の商品名

 2024年11月7日、消費者庁は保健機能食品の「令和5年度分買上調査」の結果を発表した。調査対象数は特別用途食品2商品、特定保健用食品(トクホ)15商品、機能性表示食品84商品だった。うち、特別・・・

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