消費者被害防止ネットワーク東海検討委員 弁護士(愛知) 青木 俊
当法人が行った、デジタル庁が運営するマイナポータルの利用規約(以下「本規約」といいます)への申入れについて、報告します。
1 申入れの経緯
マイナンバーカードに紐づいた個人情報に誤入力・誤登録が多数存在することが明らかになったことがきっかけとなり、本規約に、利用者がマイナポータルを利用して損害を被っても、デジタル庁は「一切責任を負わない」という免責条項が規定されていたことが世間で問題視されました。その後、本規約の令和5年1月4日付け改定により、上記免責条項は「故意又は重過失による場合を除き責任を負わない」と変更されましたが、依然として、消費者契約法(以下「法」といいます)に抵触する内容であったため、デジタル庁に対し、他の不当条項と併せて改定の申入れを行うことになりました。
2 申入れの内容
(1)軽過失全部免責条項
上記変更後の免責条項によれば、デジタル庁の重過失を除く過失(軽過失)の場合、債務不履行又は不法行為による損害賠償責任の全部が免除されるため、法8条1項1号及び3号により無効となります。そのため、上記条項のうち「重過失」と・・・
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