消費者庁・消費者委員会創設15周年シンポ基調報告(総論)

弁護士(神奈川) 石戸谷 豊

はじめに

 2024年10月19日、日本弁護士連合会主催の消費者庁・消費者委員会創設15周年シンポジウムが開催された。前半は基調報告2本(総論部分と各論部分)、後半はパネルディスカッションの構成である。その資料等は、日弁連のホームページに掲載されるので、ここでは概要を紹介する。私の担当は、基調報告の総論部分で、この15年を軌跡と課題を概観したものである。

激動の15年

 最初に指摘したのは、政治の動きとの関係である。そもそも、消費者庁・消費者委員会の創設そのものが、高度に政治的であった。当時の福田総理の下で検討された消費者庁の構想は、消費者行政推進基本計画として閣議決定された1。消費者庁関連三法案は、国会の場で超党派合意によって大幅に修正して成立した2。消費者委員会の誕生は、この超党派合意の修正による3

 次に、消費者庁・消費者委員会の発足後においては、消費者行政の推進体制そのものが大きな政治マターとなった。まず、事業仕分けとの関係で国民生活センターの消費者庁への移管の問題が浮上し、続いて内閣官房・内閣府のスリム化との関係で消費者委員会の消費者庁への移管が問題となり、最・・・

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