イスラエルにおける消費者保護
─Do-Not-Call制度の導入を決定─

弁護士(大阪) 薬袋真司
京都大学大学院法学研究科准教授 カライスコス アントニオス

1 はじめに

 イスラエル国(以下、「イスラエル」という)の国会であるクネセト(Knesset)は、昨年(2020年)11月にDo-Not-Call制度(電話勧誘拒否登録制度)の導入を内容とする消費者保護法改正法案を可決した。

 地中海の東岸に位置するイスラエルは、人口は約934万人(日本の1/13)、面積1は2万2000km3(日本の1/17)ではあるが、国際的に存在感がある中東の強国である2。パレスチナ問題やアラブ諸国との関係などで国際ニュースでも頻繁に紹介され、最近では新型コロナウイルスのワクチン接種などでも注目を集めているが、同国の法制度、特に消費者保護の制度はあまり知られていない。

 以下では、イスラエルにおける消費者保護制度の概要とDo-Not-Call制度の内容を紹介することとしたい。

2 イスラエルの消費者保護制度

(1)法制度の概要(特に消費者保護)

 イスラエルの法制度は、第1次世界大戦後にイギリスの委任統治下にあったことなどから、コモンローがベースとなっている。他方で、人口の7割を超えるユダヤ人の民族的・・・

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