弁護士(大阪) 白出博之1
第7章 法律責任
【精神的損害賠償責任】
第51条 事業者に侮辱、誹謗、身体への捜査、人身の自由の制限等消費者その他の被害者の人身上の権益を侵害する行為があり、重大な精神的損害を生じさせた場合、被害者は精神的損害に対する賠償を請求することができる。
本条は、事業者が精神的損害の賠償責任を負う場合の前提条件及び補償を受ける主体に関する規定である。2013年の本法改正前には消費者その他被害者の精神的損害賠償請求の可否に関する規定はなかったが、2009年侵権責任法の規定2を参考として、消費領域における精神的損害賠償の問題につき2013年改正法で新設された規定である3。
1 事業者が精神的損害の賠償責任を負う場合の条件
1)事業者に侮辱、誹謗、身体への捜査、人身の自由に対する制限等の違法行為が存在すること
本法27条は、事業者は消費者に対して侮辱、誹謗を行ってはならず、消費者の身体及びその携帯する物品に対する捜査を行ってはならず、消費者の人身の自由を侵害してはならない旨を明確に定める。実務において法律を顧みない一部事業者は、消費者が商品を比較し、選択している時に辛辣な嘲笑や皮肉を・・・
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