情報商材被害に関する共通義務確認請求事件(東京地方裁判所平成31年(ワ)第11049号)の令和3年5月14日敗訴判決の報告

弁護士(東京) 瀬戸和宏

1 はじめに

 本件は、消費者裁判手続特例法(以下、「特例法」という)に基づく共通義務確認請求事件の三つ目の判決であり、初の「訴え却下」判決である。原告は、特定適格消費者団体の消費者機構日本(以下、「COJ」という)である。

2 訴訟事件の内容

 事案は、いわゆる「情報商材」にかかわる多数消費者被害である。

 問題となった情報商材は、株式会社ONE MESSAGEが販売者となる泉忠司の仮想通貨で稼ぐ方法を解説するという①仮想通貨バイブルDVD5巻セット(以下、「DVD5巻セット」という)と、そのオプションとして、より「確実」に、より「早く」億万長者になりたいという方を対象とした②VIPクラスへの参加(以下、「VIPクラス」という)、および、泉忠司が開発にかかわったとする③パルテノンコース(ハイスピード自動AIシステムおよびこれに付帯するサービス。以下、「パルテノンコース」という)である。DVD5巻セットとVIPクラスは、同一の動画付きメールが送信されることで勧誘されるので、前者を購入せずに後者だけに参加するということはない。パルテノンコースは、DVD5巻セットの購入者に対して配・・・

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